証券会社で将来アナリストを目指す人にとって、証券アナリストは必須とも言うべき資格です。
証券アナリストと聞くと、「私には難しそう…」と尻込みする人がいますが、しっかり勉強してコツをつかめばそこまで難しくありません。
本記事では、証券アナリストについて、試験の難易度、合格率、勉強時間、独学での勉強法まで徹底的に解説します。
この記事の目次
証券アナリストの難易度は?
証券アナリストは、一次試験と二次試験があります。
一次試験、二次試験ともに講座の受講が必須で、二次試験まで合格しても、実務経験が3年以上なければ証券アナリストにはなれません。
まずは、証券アナリストについて、一次試験と二次試験にわけて合格率や合格ラインをみていきます。
一次試験
直近5年の合格率は、以下の表の通りです。
春 | 秋 | |
2021年 | 51.8% |
53.8% |
2020年 |
中止 | 55.0% |
2019年 | 47.3% |
52.6% |
2018年 |
51.3% | 51.2% |
2017年 | 48.2% |
51.6% |
おおむね5割程度の合格率となっています。
合格ラインについては公表されていませんが、6割程度取れれば合格と言われています。
合格率の割に試験内容は難しいですが、講座を受講しないと受けられないため、ある程度準備して試験に臨む人が多いです。
出題分野は、3科目6分野です。試験については、講座を受講するごとに3年間の受験可能期間があります。
3年間で全ての科目が合格できなかった場合でも、期限内に講座を再受講すれば再び3年間の受験可能期間が設けられ、一部合格した科目はそのまま引き継がれます。
- 証券分析とポートフォリオ・マネジメント
- 財務分析、コーポレート・ファイナンス
- 市場と経済の分析、数量分析と確率・統計、職業倫理・行為基準
二次試験
直近5年の合格率は、以下の表の通りです。
二次試験は一次試験と異なり、年1回しか行われません。
合格率 | |
2021年 |
52.1% |
2020年 |
53.4% |
2019年 |
45.0% |
2018年 |
49.2% |
2017年 |
47.5% |
二次試験の合格率も、一次試験と同様5割前後です。
二次試験の合格ラインも公表されていませんが、5割程度取れれば合格と言われています。二次試験も一次試験と同様に、講座を受講しないと受けられないため、ある程度準備して試験に臨む人が多いです。
二次試験の出題分野は一次試験とほぼ同様です。一次試験と違い論述がメインになり、全ての科目が合格最低ラインに達していなければ合格になりません。
3年間の受験可能期間があり、一度も合格できなかった場合は再度講座を受講しないと、一次試験の合格も取り消しになります。とてももったいないので、3年連続不合格だった場合は忘れずに再受講の手続きを取りましょう。
試験の概要について
証券アナリスト試験の概要について、一次試験と二次試験にわけて、日程や開催場所、出題科目や受験料を詳しく紹介します。
一次試験の概要
一次試験は、年間2回(春試験・秋試験)開催されます。
2022年の日程は下表の通りです。例年、春は4月下旬、秋は9月下旬〜10月上旬に開催されています。
試験日程 | 申込受付期間 | |
春試験 | 2022年4月24日(日) | 2022年2月7日~3月7日
(入金は申込日より7日以内) |
秋試験 | 2022年10月2日(日) | 2022年7月15日~8月15日
(入金は申込日より7日以内) |
(引用:試験に備える・申込む|日本証券アナリスト協会)
開催場所は、国内の主要9都市(札幌、仙台、東京、金沢、名古屋、大阪、広島、松山、福岡)と海外の3都市(ニューヨーク、ロンドン、香港)です。
ニューヨークとロンドンは、時差の関係で1日前が試験日となっています。
なお、これから証券アナリストの講座を受講する人は、翌年の試験から受験可能です。
出題分野は3科目6分野で、科目ごとに合否が判定されます。
一部の科目のみ合格した人が再度受験する場合は、合格していない科目のみの受験が可能です。
科目 | 出題分野 | 試験時間
(配点) |
受験料
(税込) |
Ⅰ | ①証券分析とポートフォリオ・マネジメント | 9:30~12:20
(170点) |
6,400円 |
Ⅱ | ②財務分析
③コーポレート・ファイナンス |
13:40~15:20
(100点) |
3,300円 |
Ⅲ | ④市場と経済の分析
⑤数量分析と確率・統計 ⑥職業倫理・行為基準 |
16:15~17:45
(90点) |
3,300円 |
(引用:試験に備える・申込む|日本証券アナリスト協会)
1回の講座ごとに受験可能期間が3年と決まっており、2022年に講座を受けた人は、2023、2024、2025年の試験まで受けられます。一回で3科目全て合格する人もいれば、数回に分けて1科目ずつ合格する人もいます。
仮に3年以内に全科目の合格ができなかった場合は、講座の再受講が必要です。
ただし、合格した科目については引き継がれます。
二次試験の概要
二次試験は年1回だけで、6月の上旬に開催されます。
2022年の試験日程は、国内9都市と香港で2022年6月5日(日)、ニューヨークとロンドンのみ2022年6月4日(土)です。申し込み受付期間は、2022年3月14日〜4月14日です。
出題分野は一次試験とほとんど変わりませんが、論述がメインになります。
試験科目名 | 試験時間 | 配点 | 受験料(税込) |
証券分析とポートフォリオ・マネジメント
コーポレート・ファイナンスと企業分析 市場と経済の分析 |
午前150分
午後210分 |
360点 | 15,000円 |
職業倫理・行為基準 | 午前60分 | 60点
※一定水準に達しない場合、試験結果は不合格となります。 |
(引用:試験に備える・申込む|日本証券アナリスト協会)
一次試験と同様に、1回の講座ごとに受験可能期間が3年と決まっており、2022年に講座を受けた人は、2023、2024、2025年の試験まで受けられます。
一次試験と異なり、配点360点の3科目の合計点で合格最低点をとり、60点の職業倫理・行為基準で一定水準以上でなければ合格になりません。
3年の受験可能期間で合格できなかった場合は、期限内に再度受講しないと1次試験の合格も失効してしまいます。二次試験で受験可能期間を経過してしまった場合は、早めに講座を申し込んで再チャレンジしましょう。
試験の対策はどうずればよい?
証券アナリスト試験の対策は、主に以下2つの方法があります。
受験のためには講座を受講しなければいけないので、講座以外の試験対策について紹介します。
予備校
一次試験対策で7万円〜20万円前後、二次試験対策で7万円〜25万円前後の受講料がかかりますが、短期間で集中して勉強し、一発合格を狙いたい人は検討してみましょう。
独学でも合格は可能ですが、仕事で忙しい人はあまり勉強時間が取れず、苦手な科目を中心に勉強が不十分になりがちです。
証券アナリストの予備校はLECとTACの2つしかありません。
それぞれの特徴は、下表の通りです。
LEC | TAC | |
受講料
(一次試験対策) |
70,000円
(提携校通学は98,000円) |
160,000円(速修本科生)
(教室講座は150,000円) ※初めてTACで受講する人は入会金10,000円必須 |
受講料
(二次試験対策) |
70,000円
(提携校通学は98,000円) ※再受講割引あり 49,000円 |
190,000円(速修本科生)
(教室講座は180,000円) ※初めてTACで受講する人は入会金10,000円必須 |
単一科目の受講 | ✕ | 一部コースで可能
73,000円~92,000円 (科目や一次・二次により異なる) |
特徴 | 料金が安い
1コース&通信講座のみでわかりやすい |
証券アナリスト講座を予備校の中で長くやっている
単一科目の受講ができる |
LECは受講料が一次試験、二次試験対策ともに7万円と安く、二次は再受講割引もあります。
TACは多数コースがありますが、最も安価な「速修本科生」コースでも16万円〜20万円かかるため、LECの倍以上です。TACはテキストがわかりやすいという声もありますが、値段の差を考えればLECの方が圧倒的に受講しやすいでしょう。
どちらも、近くに校舎がない場合は、Web通信講座でスマホでの視聴も可能です。
TACは、受講料が高めですが、一部コースで単一科目のみの受講もできます。
単一科目なら7万円〜9万円前後となり、LECの3科目分の受講料とほとんど変わらないくらいまで安くなります。
独学で勉強していてどうしても苦手な分野のみに絞って受講する場合は、TACを検討してみましょう。初めから予備校で勉強すると決めているなら、値段の安いLECがおすすめです。
独学
できる限りお金をかけたくない人は、独学での勉強がおすすめです。
証券アナリストは決して簡単ではありませんが、独学でも合格できます。
証券アナリスト協会の講座受講後は、テキスト中心に勉強をすすめた上で、日本証券アナリスト協会のマイページからWeb練習問題を解いて実力をチェックしましょう。
証券アナリスト試験は数学や会計の知識が必要な問題が多く、苦手な人は苦労します。数学が苦手で独学での合格を目指す人は、できる限り早めに勉強を始めて慣れておきましょう。
それでも、証券アナリスト試験で出る計算問題は、ほとんどが公式の暗記で解けるものです。二次試験は論述が多くなるので独学では少々難しい場合もあるかもしれませんが、選択式の一次試験なら独学でも十分対応できます。
なお、証券アナリスト協会が提供するテキストは、決してわかりやすいとは言えないです。講座を受講しなければ受験できないので、誰しもが仕方なく受講してテキストを受け取っています。
科目ごとに市販のテキストや問題集を紹介しますので、そちらをメインに勉強してください。
証券分析とポートフォリオ・マネジメント
・証券アナリスト 1次対策総まとめテキスト 科目1 証券分析とポートフォリオ・マネジメント 2022年試験対策 TAC証券アナリスト講座(著)
予備校で証券アナリスト講座を実施しているTACが作ったテキストです。似た表紙で2021年版もありますが、2022年から試験内容が改定されているので、必ず最新版を購入してください。
他にも証券分析に関わる書籍は販売されていますが、1冊で1科目全てがまとまっているテキストはTACしかありません。分かりづらいという意見もありますが、分かりづらい部分はインターネットで検索するなどして補いましょう。
・証券アナリスト 1次試験過去問題集 証券分析 2022年試験対策 証券アナリスト研究会(著)
テキストに対応する問題集です。ただし、2022年から証券アナリスト試験は改定されるため、問題集については2023年版以降を買うほうがよいでしょう。テキストで学びつつ、実力試しに問題集を解いていく流れで勉強すれば、体系的な理解につながります。
なお、二次試験については改定後の内容が反映されたテキストが販売されていません。おそらく2022年11月以降に販売される2023年版からの対応になるので、それまでは買わなくてよいでしょう。
・証券アナリストのための企業分析(第4版)定量・定性分析と投資価値評価
北川 哲雄(著)、貝増 眞(著)、加藤 直樹(著)、日本証券アナリスト協会(編集)
証券分析だけでなく、財務分析も学べる入門書です。日本証券アナリスト協会が編集に入っており、証券アナリストの実際の業務に関わる部分も記載されています。テキストや問題集での勉強につまずいたときは、この本で改めて基礎を確認したり、証券アナリストの仕事内容を知って、勉強への励みにしてもよいでしょう。
ただし、この本は純粋な試験対策として書かれたものではありません。あくまで基礎的な理解を深める本だと思ってください。
財務分析とコーポレート・ファイナンス
・証券アナリスト 1次対策総まとめテキスト科目2 財務分析/コーポレート・ファイナンス 2022年試験対策 TAC証券アナリスト講座(著)
こちらもTACが作ったテキストです。やはり、長年証券アナリスト講座を実施しているのがTACしかないため、他に試験対策テキストとして紹介できる書籍はないのが現状です。
・証券アナリスト 1次試験過去問題集 財務分析 2022年試験対策 証券アナリスト研究会(著)
テキストに対応する問題集です。こちらも、問題集は2023年版を買うほうがよいでしょう。どうしても2022年の試験を受けたい人だけ買ってください。
・決算書はここだけ読め! 前川修満(著)
会計の知識が全くない初心者向けの本です。いきなり財務分析のテキストや問題集を読んでも、会計の根本が理解できていないと勉強がスムーズに進められない可能性もあります。
もし、テキストや問題集で詰まるところばかりになってしまったら、一度この本を読んでみましょう。資産と負債の考え方や、利益と損失の見方が初心者でもわかりやすく解説されています。
市場と経済の分析、数量分析と確率・統計
・証券アナリスト 1次対策総まとめテキスト科目3 市場と経済の分析/数量分析と確率・統計 2022年試験対策 TAC証券アナリスト講座(著)
TACが作ったテキストです。職業倫理や行為基準については載っていないので、証券アナリスト協会のテキストも使って勉強してください。
・証券アナリスト 1次試験過去問題集 経済 2022年試験対策 証券アナリスト研究会(著)
テキストに対応する問題集です。こちらも、問題集は2023年版を買うほうがよいでしょう。どうしても2022年の試験を受けたい人だけ買ってください。
試験合格に必要な勉強時間は?
証券アナリスト試験の合格に必要な勉強時間数は、どれくらいでしょうか。
個人差はありますが、平均的な勉強時間は一次試験、二次試験ともに200時間前後と言われています。
ただし、証券アナリスト試験は勉強前に持っている知識で大きな差が出ます。
簿記2級やFP2級保持者など、数学、金融、会計にある程度の知識を持っている人は、比較的短い勉強時間でも合格できるでしょう。一方で、そのような資格が一切ない人は、かなり勉強時間をかけないと数学や会計でつまずきます。
特に、文系出身でほとんど数学をやっていない人は、300時間〜400時間程度の勉強時間は確保しておいたほうがよいでしょう。
1科目ずつ受験して合格していくならまだしも、3科目全てを一発合格しようと思えば200時間程度では足りません。証券アナリスト試験そのものが、比較的証券や金融の知識が豊富な人が受ける試験です。
全く専門外の人が受けようとすると、合格率の割には難しいと感じる人もいます。
科目別の勉強法をしっかり頭に入れて、余裕を持って計画的に勉強していきましょう。
科目別の勉強法
証券アナリスト試験は、科目ごとに勉強法が大きく異なります。
一次試験は1科目ずつ勉強して3回に分けて合格するやり方でも問題ありませんが、二次試験は総合点で合否が判定されるため、3科目をまんべんなく学習し、職業倫理・行為基準で最低ラインをクリアしなければいけません。
科目ごとの特徴と勉強法については、2022年より証券アナリスト試験が改定され、特に一次試験について出題分野が変わっていますので、変更点についてもお伝えします。
証券分析とポートフォリオ・マネジメント
証券アナリスト試験の中で最も重要な科目です。
ポートフォリオ理論(CAPM)、債券分析(フォワード・スポットレートの計算)、オプション、ファンダメンタルズ分析、株式分析といった、数学的要素の強い問題が多数出題されます。
数学が苦手な人は、まずは公式を暗記し、問題演習を通じて公式の意味を理解していきましょう。
ファンダメンタルズ分析と株式分析は、財務分析とも重複する分野です。
どうしても証券分析に苦手を感じる人は、財務分析から勉強することで証券分析への理解も深まります。
財務分析(企業分析)とコーポレート・ファイナンス
2021年までは、一次試験は財務分析だけでした。2022年より改定され、コーポレートファイナンスが一次試験でも試験分野に追加されます。
財務分析は、個人投資家が見ているIR情報にある財務諸表を元にした問題が多く出題されるので、実用的な分野です。
慣れていない人は公式を覚えるのに苦労しますが、財務諸表に見慣れた人ならすんなりと理解できます。
コーポレート・ファイナンスには様々な意味がありますが、一言でいえば企業による財務や金融です。企業価値を高めることを目的として、資金を調達して事業に投資し、調達元に資金の返済や還元をしていく活動です。
実際に一次試験の主題範囲になるのは2022年からなので、どのような問題が出るのかはわかりません。
ただし、コーポレート・ファイナンスの基本は財務分析で、「財務分析の結果、どれくらいの借り入れや株式発行による資金調達ができるか」といった視点での問題が想定できます。
試験範囲が変わっても、一次試験については財務分析がメインになる点は変わらないでしょう。
市場と経済の分析、数量分析と確率・統計
2021年までは、一次試験では経済だけでした。2022年より改定され、市場分析、数量分析、確率・統計といった分野も追加されます。
経済では、マクロ経済学とミクロ経済学の2つにわかれます。また、証券投資などの経済分析や経済予測も出題されるので、頻出する分野の勉強は必須です。
市場分析は、証券アナリストにとっては株式市場などの金融市場の分析を意味します。
マクロ経済学やミクロ経済学は、実務的にはあまり使える知識ではありません。一方で、市場分析は実務にも応用しやすい知識になります。数量分析や確率・統計も市場分析に付随する分野として、実務にも応用できます。
一次試験に出る新分野は、テキストを中心に学習してあらゆる問題を想定しておきましょう。
無理に一発合格を狙わないなら、1回目に財務分析と証券分析を集中して勉強し、確実に2科目合格してから経済分析を勉強するのも一つの戦略です。
職業倫理・行為基準
2022年より、一次試験でも主題範囲に追加されました。
一次試験では「市場と経済の分析、数量分析と確率・統計」の科目に付随して出題される分野で、二次試験では単独の科目として扱われます。
メインの出題範囲ではありませんが、二次試験では最低ライン以上得点できなければ不合格です。
証券アナリストは、高い倫理意識が求められます。
証券アナリストは、あらゆる企業に対して今後の見通しについてコメントします。そのコメントによって、相場が大きく動く可能性もあるからです。
そのほかにも、金融商品取引法や証券アナリスト職業行為基準など、証券アナリストとして理解しておかなければいけない内容もあります。
二次試験では、この分野で最低ラインをクリアしないと不合格になるため、基本的な知識は必ずおさえておきましょう。
一次試験でも、経済分析が苦手な人は少しでも点数を上乗せできる分野になるので、しっかり理解しておいて損はないです。
資格を保有するための条件は?
証券アナリストの資格は、試験に合格しただけでは保有できません。
実務経験が3年必要です。
実務経験とは、証券分析に関する実務経験をいい、具体的には以下の業務経験が該当します。
- 金融機関等における資産運用・証券投資相談業務(個人顧客、法人顧客とも含む)
- 金融機関等におけるリサーチレポートの作成
- 証券、債券、株式、不動産への投資業務
- 債券、株式等発行による資金調達業務
- 法人向け投融資、ならびに与信審査
- 金融機関等における金融関連商品のITシステム開発
- 経済、産業、金融に関する調査・分析業務
- 事業会社における財務管理・分析・企画業務
- IR業務
- 監査法人における監査業務
(引用:証券アナリストに合格すると|日本証券アナリスト協会)
証券会社の営業はもちろん、銀行の融資や企業のIR担当、監査業務も対象です。
証券アナリストは証券会社のイメージが強くなりますが、実際には証券会社だけでなく銀行・信託銀行・保険会社・公認会計士など様々な分野の出身者が受験し、証券アナリスト資格を取得しています。
わずかながら大学生の合格者も毎年いますが、あくまで試験に合格しただけであり、大学生は証券アナリストを名乗れません。「証券アナリスト試験合格」と「証券アナリスト資格保有」は全く別ですので注意しましょう。
証券アナリスト資格を持つメリットとは?
証券アナリスト資格を保有するメリットは、3つあります。
今後のキャリアにとって間違いなくプラスに働くでしょう。
ただし、証券アナリストは極めて専門的な資格なので、金融機関や公認会計士など、専門的な分野でのみメリットがあるものと考えてください。
メリット
就職に有利
特に大学生に言える話ですが、就職に有利です。
証券アナリストの二次試験に合格した人は、大学生で毎年10人〜20人程度しかいません。金融機関の就活で証券アナリスト試験合格と記載しただけでも、十分すぎるアピールになるでしょう。
日本の金融機関で初めから証券分析に近い職種に配属されることはまれですが、会社の方針次第では若年層から証券アナリストとしてテレビに出演したり、資格を活かせる仕事に優先的に配属してもらえたり、何かと有利に働きます。
学歴優位の就活ですが、証券アナリスト二次試験合格レベルなら、学歴もある程度覆せるでしょう。
転職に有利
転職にも有利です。
特に、実務経験とみなされている業務を3年以上行っている人なら、履歴書に証券アナリストという資格を記載できます。
万が一、現在の職場で資格に対して正当な評価がされないなら、資格を武器にやりたい仕事へ転職してもよいでしょう。
金融機関出身者は転職市場でも評価は高く、そこに証券アナリストも加わるなら希望の職種や企業への転職も十分可能性があります。
異動の希望が通りやすくなる
現在の会社にとどまる場合でも、異動の希望が通りやすくなります。
会社が証券アナリストをどれだけ求めているかにもよりますが、大手金融機関ならできる限り若手の証券アナリストを投資情報部門などに配属させておきたい方針はあるでしょう。
合格者がそこまで多くないので、証券アナリスト保有者なら営業からの異動などもあり得ます。
まとめ
証券アナリストは、試験の内容が難しいと言われますが、きちんと勉強すれば合格できるレベルの資格です。
合格率も50%前後と、難関資格の合格率10%以下と比べればはるかに合格しやすいといえます。
日本証券アナリスト協会の講座でテキストが送られてくるため、テキストをメインに勉強すれば、予備校に頼らなくても合格できるでしょう。
資格を取得できれば、就職や転職など、あなたのキャリアにも役立ちます。将来、経済や株式市場に関する番組に出演できる機会もあるかもしれません。
証券分析に関わる業務や、証券関係の専門家になりたい人は、ぜひ目指してみてください。