「公務員試験を受けたいけれどいつから勉強したら良い?」
「公務員試験の勉強スケジュールはどんな感じなの?」
このような疑問を抱いている人もいることでしょう。
この記事を読めば、公務員試験の勉強を始める時期について把握できます。
公務員試験は受験科目が幅広く、筆記試験だけでなく論文や面接などの2次試験もあります。
そのため、早い段階から対策をしておいた方が良いと言われる試験です。
この記事では、公務員試験を受けようと思っている人向けに、いつから勉強を始めたら良いのかや勉強スケジュール例について解説していきます。
自分で計画を立てようとしている人や公務員試験に興味がある人はぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
公務員の勉強はいつから始めるべき?基本的には受験の1年〜2年前がおすすめ!
公務員試験を受験する人の多くは、受験の1年前から勉強を始めています。
公務員試験対策ができる予備校や通信講座でも1年間のカリキュラムを組まれていることがほとんどです。
大学3年生から勉強を始めるのであれば、夏季休暇などまとまった休みを利用している人が多いようです。
近年では、2年前から余裕を持って勉強を始める人も増えています。
公務員試験の勉強を早く始めたほうが良い理由
公務員の勉強は、受験の1年〜2年前から始める人が多いと述べましたが、どうしてこんなに時間がかかるのでしょうか?
ここからは公務員試験の勉強を早く始めた方が良いとされる理由について解説していきます。
準備や対策に時間がかかる理由について
準備や対策に1年〜2年の月日がかかるのは、筆記試験のボリュームが多いからです。
大卒程度の公務員の場合、以下のうちいくつかの筆記試験に合格しなくてはなりません。
- 教養試験択一試験
- 教養試験記述試験
- 専門試験択一試験
- 専門試験記述試験
国会一般職以外の国家公務員試験は全ての筆記試験が実施されますし、国家一般職は専門試験記述試験以外の3つの試験を受けなくてはなりません。
1年〜2年と幅が出るのは、希望する職種によって出題範囲や難易度が異なるためでしょう。
どの職種に就きたいのかによって、出題範囲や難易度が異なるため、人によって対策期間が大きく変わってくるのです。
また、最近は面接試験に比重をおく採用基準が一般的になりつつあり、複数回スタイルを変えて行う職種もあります。
面接慣れしていない人は対策に時間がかかる傾向にあるため、早めに対策を始める人が増えてきているのでしょう。
併願を考えている場合はより早く始めよう
公務員といっても、さまざまな職種があり筆記試験を受ける時期も異なります。
以下の表は2022年度の一部の公務員試験の日程(1次試験)を表しています。
職種 | 日程 |
---|---|
国家総合職(院卒・大卒各区分) | 4月24日 |
地方上級(県・政令市) | 6月19日 |
国立大学法人等 | 7月3日 |
市役所C日程 | 9月18日 |
国家総合職(教養区分・法務区分) | 10月2日 |
このように試験の時期に差があるため、いくつかの職種を併願する人が多いです。
併願する場合は筆記試験の科目や内容、過去問の傾向なども異なるため、準備期間が長くなりがちです。
併願する職種が決まっている場合は、満遍なくこなせるよう早めに勉強に取りかかることをおすすめします。
まだ決定していない場合は、第一志望の職種に合わせて、無理なくこなせるスケジュールを組みましょう。
【時期別】1年間で公務員試験合格を目指す人の勉強スケジュール例
ここからは1年間で公務員試験合格を目指す人のスケジュール例と、時期に合わせたポイントについて解説します。
自分に合ったスケジュールを組み立てる際の参考にしてみてください。
試験1年前の勉強
試験1年前は受験への準備を進める期間です。
主にやっておくことは以下の3つです。
- 公務員として何をしたいのかゴールを決める
- 論文の出題傾向に慣れておく
- 試験の傾向を学んだりスケジュールを作ったりする
まず公務員になった場合のビジョンを描くことが大事です。
公務員になって何をしたいのか、公務員になったら何ができるようになるのかなど、自分自身と向き合って考えてみましょう。
これがモチベーションや面接時の志望理由の土台となっていきます。
長期にわたって勉強を続けるために、モチベーションを高められるように準備しておきましょう。
また、教養論文のテーマを見て、自分ならどんなふうに答えるか大まかな答えを出せるようにしておくのも大事です。
まだ論文は書けなくて良いですが、方針や意見などを思いつく状態にしましょう。
準備段階であるため、希望する職種の試験の傾向を研究したり、併願するかどうか決めたり、今後のスケジュールを作る時間を作りましょう。
試験に関する情報を集め、効率的に勉強できる下準備をしておくことが重要です。
試験10ヶ月前の勉強
試験の10ヶ月前には、以下のことを進めていきましょう。
- 数的処理を徹底的に勉強する
- 専門科目や知識科目の基礎を固める
- 数的処理は、1次試験において最も重要視されており難易度が高い科目です。
多くの受験生がぶつかる壁なので、早い段階から対策を打っておきましょう。
理解が浅いと実践的な場では活用できない可能性が高いため、本番まで時間をかけて理解するつもりで勉強すると良いでしょう。
また、専門科目や知識科目の基礎にも触れておくことが大事です。
発展的な内容にも対応できるよう、基礎をコツコツ積み上げていくようにしましょう。
平日や通勤時間、隙間時間を活用して知識を定着させていく方法がおすすめです。
試験8ヶ月前の勉強
試験から8ヶ月前の時期は以下のことに取り組みましょう。
- 専門論文や文章理解を学ぶ
- 専門科目や知識科目のアウトプット
- 数的処理の問題をこなす
この時期は論文や文章理解など文章を扱う問題に時間を使うのがおすすめです。
いきなり論文を完成させる必要はありませんが、構成メモやチャート図を作れるよう徐々に特訓していきましょう。
試験10ヶ月前にインプットした専門科目や知識科目はアウトプットの時期に移ります。
実際に問題を解いてみることで、定着率や復習しなくてはならない場所が見えてくるはずです。
また、数的処理の問題は定期的に解いていきましょう。
この時期にはある程度数的処理の問題を解けるようになっているかもしれませんが、幅広い問題に対応できるようコツコツ取り組んでいくようにしてください。
試験5ヶ月前の勉強
試験5ヶ月前までに必要な勉強を全て網羅できている状態にしておきましょう。
ここを仮の試験日として想定し、受験科目を網羅しておくことが重要です。
理解度を測るためにも模擬試験を行ってみるのもおすすめです。
この記事は模擬試験と復習を繰り返し、これまでやってきたことの定着を目的に勉強しましょう。
試験3ヶ月前の勉強
試験3ヶ月前は復習をしつつ、解ける問題を増やしていくことが重要です。
今までなんとなく解けていた問題や解けそうだけどできなかった問題に絞って、解けるまで理解度を深めていきましょう。
解ける習慣をつけることで、自信にも繋がるはずです。
試験1ヶ月前の勉強
試験1ヶ月前はあたふたせず、アウトプットとインプットを繰り返しましょう。
やるべきことは以下の2つです。
- 今までやってきたことの総復習を繰り返す
- 試験1週間前に見直すまとめの作成
過去問や模擬試験を解き、復習を行うことをコツコツ続けましょう。
また、試験1週間前に見直すべきポイントをまとめておくのも重要です。
間違えやすいところや忘れがちな知識などをまとめておくことで、試験前に効率よく復習ができます。
持ち運びできるサイズのノートなどに作成すれば、試験直前にも見直せます。
【タイミング別】1日の勉強スケジュール例とポイント
1年の受験対策スケジュールだけでなく、1日の中でどう勉強するかも重要なポイントです。
少しの時間でも侮ることなく、受験勉強に励むことが大事です。
ここからは、1日のうちどこで時間を捻出するのか、おすすめの勉強タイミングについて解説します。
起床後の短時間
起床してから初めに勉強する内容は、数的処理がおすすめです。
数的処理は扱う情報量が多く脳の活性化につながります。
朝から脳を活性化させることで、1日のパフォーマンスが上がるとされているので、その日の学習効果を上げるために取り入れると良いでしょう。
起床後すぐに机に向かえないという人は、テキストをベッドの近くに置いておくとおすすめです。
ベッドの中で問題を解くだけでもOKという軽い気持ちで行うことが、継続のコツです。
移動時間や隙間時間
会社や学校までの移動時間や家事をやっている間の隙間時間を活用するのも大事なポイントです。
この時間は知識や暗記科目、一問一答など短時間で答えが出せるものに取り組みましょう。
移動時間や隙間時間は定期的に訪れるので、定期的に反復できるのも定着率も期待できます。
まとまった時間が取れなくても5分、10分を積み重ねて、合計30分〜60分の勉強時間を確保していきましょう。
帰宅後から寝る直前
帰宅後から寝る前は比較的まとまった時間が確保しやすい時間帯です。
帰宅したら1〜2時間程度は論文など文章系の問題に取り組みましょう。
家に着くとだらけてしまう人は、仕事や学校帰りにカフェに寄ったり家に着いてすぐに机に座ったり工夫してみてください。
寝る直前には暗記科目の勉強や苦手分野の復習を行います。
記憶は寝ることによって定着するので、覚えておくべき内容をおさらいするのが効率的です。
また、睡眠時間を大幅に削って勉強するのはおすすめできません。
効率良く勉強を続けるためだけでなく、試験に向けて健康状態を良好に保つためにも、6〜7時間程度は睡眠時間を確保してください。
【職種別】公務員試験の勉強で押さえておくべきポイント
ここからは職種ごとの勉強のポイントについて解説していきます。
先述した通り、公務員の職種は多岐にわたり、それぞれ受験科目や対策ポイントが異なってきます。
希望する職種の試験の傾向を把握することも、スケジュールを立てる上で重要なポイントなので、しっかり研究しておきましょう。
国家総合職
国家総合職は公務員試験の中でも最難関試験と言われており、対策に時間がかかる傾向にあります。
また、1次試験は4月と早い時期にスタートするので、早めに勉強を始めることをおすすめします。
以下の表は2022年度の国家総合職の試験内容と配点比率についてです。
試験 | 種目 | 解答題数 | 配点比率 |
---|---|---|---|
1次試験 | 教養択一 | 30問 | 2/15 |
専門択一 | 40問 | 3/15 | |
2次試験 | 専門記述 | 3問 | 5/15 |
政策課題討議試験 | (1時間半) | 2/15 | |
面接試験 | ー | 3/15 |
国家総合職の試験では、専門択一の配点が高く、法律系・経済系・政治系の分野を中心とする知識が求められていることがわかります。
専門択一では大学専門課程レベルの問題が出題されますが、学習範囲が広いため質だけでなく量も求められるのです。
専門記述の部分は、専門択一の知識をもとにした記述対策をするようにしましょう。
教養択一では、数的処理や文章理解の配点が高い傾向にあるため、知識よりも知能分野を重点的に勉強しましょう。
面接も重視されていることがわかるので、1次試験だけでなく2次試験の対策もしっかり行わなくてはなりません。
なお、国家総合職の場合はTOEICやTOEFLといった英語力を測るテストのスコアなどに応じて15点または25点の加算が認められています。
英語力に自信がある人は活用すると良いでしょう。
地方公務員・国家一般職
地方公務員や国家一般職、国家専門職は、国家総合職より難易度が下がるもののしっかり受験対策をしなくてはならない職種です。
以下の表は、国家一般職の試験内容と配点比率を表しています。
試験 | 種目 | 解答題数 | 配点比率 |
---|---|---|---|
1次試験 | 教養択一 | 40問 | 2/9 |
専門択一 | 40問 | 4/9 | |
教養論文 | 1問 | 1/9 | |
2次試験 | 面接試験 | ー | 2/9 |
国家総合職と同じく教養択一では、数的処理や文章理解の問題が多数出題される傾向にあります。
知能分野を重点的に勉強することをおすすめします。
また、数的処理では過去問の傾向からズレたものはあまり出題されないため、過去問を中心に対策していきましょう。
地方公務員の場合は、論文対策も非常に重要なので、まとまった時間を確保できた時は時間を測って論文を書く練習をしておくと良いでしょう。
警察官や消防士
警察官や消防士は、教養試験と論文試験が実施されます。
消防士の場合は、行政事務職員と同じ試験科目が実施されるため、幅広く知識を身につけておきましょう。
筆記試験はもちろんですが、体力試験も実施されるため、体づくりや体力トレーニングも行わなくてはなりません。
試験勉強だけでなく、体も鍛えて試験に臨みましょう。
公務員試験を合格するためのおすすめの勉強方法5つ
公務員試験は職種によって科目や比重が異なりますが、早い段階から効率良く対策を進めるという点は変わりません。
公務員試験に合格するためのおすすめの勉強方法について解説していくので、取り入れやすそうなものから実践してみてください。
1.隙間時間をうまく活用する
会社や学校に行くまでの移動時間や休憩時間、家事の間の時間など、隙間時間を活用するのが大事なポイントです。
たった5分でも積み重ねれば30分にも1時間にもなります。
隙間時間を活用するためには、単語シートを作ったり一問一答形式のテキストなどを持ち歩いたりするのがおすすめです。
テキストの持ち運びが難しい場合は、スマホで勉強できるようなアプリを入れてみるのも良いでしょう。
2.あらかじめスケジュールを決めておく
公務員試験の勉強の効率を上げるためには、あらかじめスケジュールを決めておくことが重要です。
試験からどれくらい前に何をするのか、試験全体の勉強はいつ終わらせるのかなど、具体的なスケジュールを決めておくようにしましょう。
スケジュールを立てるのが難しい人は、先ほど紹介した1年もしくは1日のスケジュール例を参考にしてみてください。
また、いつ勉強するのかを決めておくことで、習慣化され継続しやすくなります。
3.過去問を解いて傾向を掴む
公務員試験の勉強をする時は過去問に取り組むことも忘れないようにしましょう。
過去問を解くことで試験の傾向を掴めますし、どんな問題につまづきやすいのかを分析することもできます。
公務員試験の中には、過去問と同じような問題が出る試験もあるため、繰り返し解いて問題に慣れることが大事です。
ただ、過去問以外の問題が一切出題されないわけではないので、あくまで参考程度に考えておきましょう。
4.気分転換を程よく盛り込む
公務員試験の勉強期間は1年〜2年と長く、時にはモチベーションが下がったり勉強が辛いと感じたりすることもあるでしょう。
途中で力尽きないためにも、勉強だけでなく気分転換の場を設けるようにするのがおすすめです。
気分転換が長すぎると勉強モードに戻れなくなる可能性があるため、ランニングや散歩、入浴など短時間で手軽にできるものが良いでしょう。
また、体調を崩さないために適度な睡眠とバランスの取れた食事を摂ることも忘れてはいけません。
5.高め合える勉強仲間を作る
予備校などに通っていないと難しいかもしれませんが、同じように公務員を目指す仲間を作るのはとても重要です。
試験までの準備期間が長く、1次試験の次は2次試験と長丁場になります。
その間の緊張感やプレッシャーは大きく、モチベーションが低下したり精神的に不安定になったりする可能性は否めません。
そこで励まし合える仲間がいることで、モチベーションの維持やメンタルを良好に保つ効果が期待できます。
身近にそういった仲間がいない場合は、SNSやコミュニティなどに参加してみても良いかもしれません。
公務員試験の勉強にまつわるよくある質問3つ
最後に、公務員試験の勉強にまつわる質問を見ていきましょう。
公務員試験の勉強についての疑問解消に役立ててください。
1.勉強を始めるのが遅くなった場合はどうする?
勉強を始めるのが遅くなってしまった場合でも、3ヶ月以上の余裕があるなら以下の方法で対策をしてみてください。
- 合格する最低ラインを目標にする
- 限られた科目で受験できる職種を目指す
- 予備校や通信講座を利用してみる
勉強する時間が確保できない場合は、あれもこれもやろうとするより合格できるラインを目指すようにスケジュールを組みましょう。
公務員試験は科目数が多く全てを対策するには時間がかかります。
最低何問正解すれば合格できるのかを見極め、確実に取れる問題を落とさないように対策しましょう。
先述した通り、公務員試験は職種によって科目が異なり、中には教養科目のみで受験できるものもあります。
対策する時間が足らない場合は、対策できそうな範囲で受験できる職種に絞ってみるのも良いでしょう。
また、独学で対処するのが難しい場合は、予備校や通信講座を利用するのもおすすめです。
短期間で合格を目指すコースや、講師と直接相談できる制度が設けられているコースもあるため、プロに相談しながら合格を目指した方が確実でしょう。
2.社会人をしながらでも勉強できる?
社会人として働きながら公務員試験の勉強をしている人は少なからずいます。
しかし、学生に比べて時間の確保が難しく、予備校に通う余裕がない人も多いのではないでしょうか。
そういった場合は通信講座を利用することをおすすめします。
テキストや動画をベースに自分のペースで学習が進められるので、通勤時間や休憩時間など隙間時間を活用して勉強を進めることが可能です。
社会人向けのコースを展開している講座もあるため、まずは資料請求や体験から始めてみてください。
3.勉強の他に試験合格のためにやっておくべきことはある?
勉強の他にやっておくべきことは体調管理と面接対策でしょう。
体調管理は勉強を効率良く継続するために重要であるため、勉強を頑張りすぎるあまり睡眠や食事が疎かにならないよう気をつけてください。
また、先述した通り面接試験に比重をおく試験形態が増えてきています。
1次試験が終わったあとに対策を始めても良いですが、自己分析や志望動機の方針は決めておくと良いでしょう。
面接に苦手意識がある人は、模擬面接を繰り返し行うことをおすすめします。
公務員の勉強はいつから? まとめ
公務員試験の勉強は受験の1年〜2年前から始める人が多い傾向にあります。
その理由は対策すべき科目が幅広いことや、難易度が高い職種があることが考えられます。
そのため、スケジュールを組んで効率よく勉強する必要があるでしょう。
受験日から逆算して、余裕を持って対策できるスケジュールを組んで、合格を目指してみてください。
独学では難しいと判断した場合は、予備校や通信講座を利用してみるのもおすすめです。