中小企業診断士を取得すれば人生が大きく変わる、年収アップができると思って勉強に取り組んでいる方もいるのではないでしょうか。
中小企業診断士は受験資格なしで受けられるため、取り組みやすい資格の1つです。
しかし、取得したものの人生が大きく変わらなければ意味がありません。
そこでこの記事では、中小企業診断士取得で人生が大きく変わるのは本当なのか、取るメリットや中小企業診断士で人生を変える方法などを紹介します。
この記事の目次
【結論】中小企業診断士を取得しても人生は大きく変わらない
結論からいうと、中小企業診断士を取得しても人生は大きく変わりません。具体的な理由としては、次の5つです。
中小企業診断士は最難関資格の1つですが、人生を大きく変えるには資格取得後が重要です。
ここでは、中小企業診断士を取得しただけでは人生が変わらない理由についてみていきましょう。
独占業務がないため
公認会計士や弁護士などの士業では資格を持っていなければできない「独占業務」があるものの、中小企業診断士は独占業務がありません。
中小企業診断士自体は価値のある資格なのですが、独占業務がないため資格で仕事を獲得できるわけではないのです。
後ほど詳しく紹介しますが、独占業務がないため開業したとしても簡単に稼ぐことはできません。
中小企業診断士で人生を変えるには、キャリアを積んで他のコンサルタントと差をつける必要があります。
専門性があるわけではない
中小企業診断士を取得するには、800時間から1000時間前後必要になる最難関資格の1つですが、難易度に対して専門性はあまり高くありません。
そもそも中小企業診断士は1次試験で次の7項目を勉強する必要があり、幅広いものです。
- 「経済学・経済政策」
- 「財務・会計」
- 「企業経営理論」
- 「運営管理」
- 「経営法務」
- 「経営情報システム」
- 「中小企業経営・政策」
中小企業診断士はすべての分野を勉強するため、弁護士のように法律のプロ、公認会計士は数字のプロのように、特別専門性が高いわけではありません。
経営コンサルタント自体、無資格でもできる仕事であるため、自分で専門性の高い分野を作り、他のコンサルタントと差別化しなければなりません。
資格の認知度が低い
中小企業診断士は弁護士や公認会計士のように知名度が高い資格ではありません。
知名度の高い資格であれば「この資格を持っている人に頼もう」となりますが、知名度の低い中小企業診断士では、そもそも仕事が来ない可能性もあります。
難易度が高いものの資格の知名度が低いため、自ずとキャリアのある方に仕事がきます。
中小企業診断士で仕事を依頼されるには、資格以外の部分で自分を宣伝しなければなりません。
開業が難しく仕事獲得にはキャリアが必要だから
1つ目と2つ目でも述べたように、中小企業診断士は独占業務がないうえに専門性があるわけではありません。
あくまで経営に関する知識があるとの肩書きであるため、開業しても成功する保証はありません。
資格を持っていないコンサルタントもライバルになるため、キャリアを積んで差別化を図っていく必要があります。
中小企業診断士の開業は難しいものの、キャリアによっては年収1,000万円〜も実現可能です。
中小企業診断士の年収は幅広く一概に年収が上がるわけではない
中小企業診断士の年収は300万円以内から3,000万円以上と、非常に幅広いものです。
年収500万円から800万円代が最も多いものの、500万円以下が珍しいわけではありません。
このように中小企業診断士といっても年収はとても幅広く、中小企業診断士=年収が上がって人生が大きく変わるわけではないのが現状です。
中小企業診断士で年収を大きく上げるには、キャリアや宣伝がとても重要です。
中小企業診断士取得でなぜ人生が変わるといわれているのか?
中小企業診断士で人生は大きく変わらないものの、一部では人生が変わるとも言われています。
その理由としては、次の4つです。
なぜ中小企業診断士取得で人生が変わるといわれているのか、その理由についてみていきましょう。
非常に難しい試験であるため
中小企業診断士は一次試験と二次試験で分けられており、1次試験の合格率は17%から42%、2次試験の合格率は18%から19%前後です。
1次試験だけで見れば合格率が高いと感じるものの、1次試験と2次試験を突破して中小企業診断士になれるため、実際の合格率は3%から7%です。
難しいといわれている税理士でも合格率は18%、公認会計士でも10%であるため、中小企業診断士が難しい試験であることがわかるでしょう。
このように中小企業診断士は希少価値の高い資格であるため、取得すれば転職や独立に有利となり、人生が変わるといわれています。
コンサルタントに関する唯一の資格であるため
中小企業診断士はコンサルタントに関する唯一の資格であり、コンサルタント業界は収入ランキングで上位に君臨しています。
このことから、中小企業診断士を取得すればコンサルタントの転職に有利になるため、年収アップで人生が変わるといわれています。
しかし、コンサルタントは実務経験が重要になり、年収の高い企業ほど転職は難しいものです。
未経験でも中小企業診断士を取得したからといって、コンサルタント企業に転職できるわけではありません。
転職で役立つ可能性のある資格であるため
中小企業診断士は独立しなくとも、転職やキャリアアップで役立つ可能性があります。
資格手当として月1万円から3万円の支給がされたり、若いときに取得すればコンサルティング企業へ転職できたりする可能性もあります。
中小企業診断士で独立しないにしても、転職の際に大きな武器となるでしょう。
キャリアアップにつながる資格を取得したい人にとって、中小企業診断士はおすすめの資格です。
社内での昇進には効果的であるため
先述したとおり、中小企業診断士の取得によって資格手当と称して年収がアップする可能性があります。
月1万円から3万円ほどの昇給が相場であるため、12万円から36万円も年収がアップします。
20代であれば転職はしやすいものの、30代にもなるとキャリアがなければ厳しいのが現状です。
しかし、中小企業診断士を取得すれば転職をせずとも年収を上げられます。
年収をアップしたいものの転職はしたくない、転職ができない、などの場合は中小企業診断士の資格を取得するのも1つの手段です。
それでも中小企業診断士を取得するメリット
中小企業診断士で人生は大きく変わらないものの、取得する意味が全くないわけではありません。
取得することによって、次のメリットも得られます。
ここでは、中小企業診断士を取得するメリットを見ていきましょう。
転職・出世に役立つ可能性がある
先述したとおり、中小企業診断士を取得すると転職がスムーズにいったり、出世に役立ったりする可能性があります。
企業からすれば最難関資格を取得できるため向上心がある人、また経営に関する知識もある人だと評価されます。
中小企業診断士自体、取得が難しい資格であるため、所有しているだけで他の求職者と大きく差をつけられます。
そうなれば転職の際に有利となるはずです。
転職しないにしても、中小企業診断士で得た知識を業務で活用すれば出世も期待できます。
副業につながる可能性がある
中小企業診断士の取得方法として講師をしたり、知識を生かして経営コンサルタントとして副業したりもできます。
中小企業診断士の副業に関しては後ほど詳しく解説しますが、本業と副業で年収アップを目指している人には最適です。
実際、副業を許可している会社は増えつつあるため、これを気に中小企業診断士に挑戦してみるのも良いでしょう。
副業の稼ぎが大きくなれば、本業を辞めて独立も可能です。
努力次第で高年収を狙える
中小企業診断士を取得後は、独立開業すれば高い年収を実現することも可能です。
中小企業診断士で独立した人の年収は、300万円と3,000万円以上と非常に幅広いものの、頑張り次第で1,000万円を超えます。
ただし開業したからと言って高年収になるわけではなく、500万円以下の場合もあります。
冒頭でも述べたように、コンサルタントは資格がなくともできる業務であるため、年収アップのためにはキャリアを積んで差別化することが重要です。
経営に関する知識が身につく
中小企業診断士は経営に関する知識を身につけるため、会社の経営状態を多面的に見ることが可能です。
とくにコンサルタントとして働く場合は実務経験で得た考えと、資格勉強で得た知識をかけ合わせれば、さまざまな提案ができるでしょう。
業務で経営に関する仕事をしている、経営層と仕事をすることが多い場合は、中小企業診断士の知識を活用できる機会があるかもしれません。
中小企業診断士取得で人生を変える方法
中小企業診断士を取得後、次に取り組むことによって年収が大幅アップしたり、副業から独立できたりします。
「中小企業診断士を取得しても人生が変わらないならやめようかな」と諦めている方は、参考にしてみてください。
副業を始めてみる
中小企業診断士で取得した経営の知識をもとに、本業が休みの日に経営コンサルティングに取り組んでみましょう。
副業コンサルの単価相場は稼働日数によっても異なりますが、月額9万円から30万円程度のものまであります。
本業と組み合わせて副業をすれば、大幅な年収アップを実現できます。
ブログに取り組んでみる
中小企業診断士取得までの流れから取得後をブログにまとめることで、収益化できる可能性もあります。
役立った教材や実際の勉強時間をブログで発信すれば、中小企業診断士に興味がある人は読んでくれるはずです。
収益化までに時間はかかるものの、パソコン1台ではじめられるため、コツコツと取り組んでみるとよいでしょう。
人脈を広げて仕事につなげていく
中小企業診断士は同じ業界の人や経営層の方と関わることが多く、人脈を広げやすい資格です。
また、中小企業診断士を所有している方で勉強会もあり、そちらに参加して自分から人脈を広げることも可能です。
人脈を広げれば紹介から仕事をもらえたり、自分のキャリアを積むことにも繋がります。
今後、独立を検討している方にとっても、人脈が広いのは有利になるでしょう。
本業の昇進を狙う
中小企業診断士は経営に関する知識を身につけられるものとなっており、ビジネスをする方ならば必須なものです。
管理職やコンサルタントに関する仕事に就いている方は、中小企業診断士取得で昇進のチャンスをつかめるはずです。
また企業によっては資格手当で年収アップもするため、中小企業診断士は本業のキャリアアップとしても最適です。
キャリアを積んで独立してみる
コンサル業界では資格の有無よりも、キャリアがあるかが重要です。
キャリアを積んだ後に独立してみると、年収アップする可能性もあります。
実際、中小企業診断士のなかには年収1,000万円以上の方が多くいるため、年収アップを目指している方は挑戦してみるとよいでしょう。
ただし先述したとおり、キャリアの有無が重要であるため、資格取得後にどのくらい努力ができるかが重要になってきます。
中小企業診断士を取得して独立したからといって、必ずしも年収アップするわけではないため、注意してください。
書籍を書いてみる
中小企業診断士は最難関資格の1つであるため、取得できれば信頼度もアップします。
その信頼度を活かして、書籍を出版してみるのも1つの手です。
専門性の高い本を出版したり、中小企業診断士取得を目指している人向けにわかりやすく解説したりして、需要の高い本を書けば大きな額の収入を得られる可能性があります。
kindle本であれば、手間もかからないため出版しやすいでしょう。
中小企業診断士取得後は転職先によっては年収アップが可能
中小企業診断士取得後は、転職先によって年収アップが可能です。具体的には、次の4つに転職できる可能性がアップします。
それぞれの具体的な内容を見ていきましょう。
コンサルティング業界
中小企業診断士は経営に関する必要な知識が身についているため、コンサルティング業界での転職に有利です。
ただし、コンサルティング業界といっても大手から中小企業まであり、転職難易度もさまざまです。
企業によってはキャリアが重視されるため、30代未経験ともなれば転職がスムーズに行かないこともあるでしょう。
とはいっても20代のうちに中小企業診断士を取得して副業で実績を出せば、転職できる可能性があります。
コンサルティング業界は年収が高いため、年収アップを目的に転職を検討している方にはおすすめの業界です。
税理士事務所
中小企業診断士は会計事務所、税理士事務所への転職でも役立ちます。
税務相談の際に出てくる経費を削減できないか、といった経営に関する相談につながるケースもあり、この際に中小企業診断士の知識が役に立つはずです。
併せて簿記を獲得していれば、税理士事務所へ転職できる可能性はさらに高くなります。
税理士事務所は個人事務所が多く大幅な年収アップが出来るとは限らないものの、経験を積めば年収の高い事務所も狙えます。
一般企業
一般企業の総務や管理部門では中小企業診断士が役に立つ場面が多いため、中小企業診断士を持っていると有利になります。
中小企業診断士は知名度の低い資格であるものの、難しい資格であるため所有していれば評価されるはずです。
転職活動の際はアピールすることで、他の転職者と差別化できるでしょう。
中小企業支援機関
中小企業支援機関とは商工会、商工会議所、中小企業団体中央会などのことを指しており、地域の仕事をしたり、中小企業の経営者と関わったりします。
さらに年収は700万円台から900万円台と高く、正社員として高い年収を目指している方にはとても魅力的でしょう。
独立をしたくないものの、高い年収を目指している方には最適です。
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中小企業診断士で人生は変わる? まとめ
中小企業診断士は人生が大きく変わるわけではないものの、年収アップのチャンスは大きくなります。
取得すれば本業で資格手当が出たり、副業でお金を稼いだりできるでしょう。
副業が波に乗れば、独立も可能です。
中小企業診断士取得だけで人生は大きく変わるわけではないものの、取得後の努力次第で大幅な年収アップ、転職が可能です。
独立したい方や年収アップを狙っている方、コンサルタント業界に転職したい方は、中小企業診断士の取得に挑戦してみてください。