FP1級合格率・勉強法は?【かなり難しい】知っておきたい情報を徹底解説

ファイナンシャル・プランニング(FP)技能検定とは、金融・経済に関する専門的かつ包括的な知識を要する国家検定試験です。
3段階に分かれている技能検定で、1級は最上級に当たります。

本記事では、FP技能検定1級の概要や難易度、学習時間について詳しく解説します。

ファイナンシャルプランナーとは

ファイナンシャルプランナーとは

「ファイナンシャルプランナー」とは相談者からのヒアリングを通じて、相談者の人生設計を経済的な視点から支援する職種を指します。「ファイナンシャル・プランニング」と呼ばれる、経済分野のおける計画立案や相談の専門家です。

ファイナンシャルプランナーのクライアントは、企業だけではなく個人であるケースも増えてきています。
そのため、家計の見直しや住宅ローン、各種保険といった分野に至るまで多様な知識を身に付ける必要があります。

FP(ファイナンシャルプランナー)1級を取得のメリット

FP(ファイナンシャルプランナー)1級を取得のメリット

FPの1級取得のメリットは、「金融に関するスペシャリストである」という証明をできることです。
プライベートバンカー(※)として活躍したり、自分の勤めている会社で資格を生かすことができたりします。

プライベートバンカーとは?
個人の金融資産の運用や相続対策といったサービスを提供する職種です。
一般的には、銀行・株式証券・保険・不動産といった資産運用や管理に対し提案する役割を担います。

FP1級の試験概要

FP1級の試験概要

FP1級の試験は、「学科試験」「実技試験」の2種類で構成されています。
学科試験と実技試験の試験範囲は、それぞれ以下のとおりです。(※)

学科試験範囲
A.ライフプランニングと資金計画
B.リスク管理
C.金融資産運用
D.タックスプランニング
E.不動産
F.相続・事業承継
実技試験範囲(資産相談業務)
1. 関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング
2. 顧客のニーズおよび問題点の把握
3. 問題解決策の検討・分析
4. 顧客の立場に立った対応

※引用:一般社団法人金融財政事情研究会|ファイナンシャル・プランニング技能検定試験科目及びその範囲

FP1級取得までの流れ

FP1級取得までの流れ

FP1級 取得までの流れ

学科試験を受験していなくても、一定の条件を満たして実技試験に合格することでFP1級を取得できます。

実技試験の受験資格は以下のとおりであり、いずれか1つに該当することが求められます。

FP1級実技試験の受験資格(※1)
・FP1級学科試験の合格者
・FP養成コース(※2)修了者かつ、FP業務に関する1年以上の実務経験がある者
・日本FP協会のCFP(※3)認定者
・日本FP協会のCFP資格審査試験の合格者

(※1)一般社団法人金融財政事情研究会|受験資格と申請方法

FP養成コース(正式名称:普通職業訓練短期課程金融実務科FP養成コース)(※2)とは
FPの運営元である一般社団法人金融財政事情研究会が実施する講座です。
ただし、受講時期・場所が限られている点や、受講費用が100万円近い点から、時間とお金に余裕のある方にのみおすすめできる講座でしょう。
CFP(※3)とは?
CFPは「認定ファイナンシャルプランナー」を指し、グローバルに通用するファイナンシャルプランナーの認定資格です。

FP1級の難易度と現在の合格率

FP1級の難易度と現在の合格率

FP1級実技試験の合格率は80%を超えており、受験すればほとんどの人が合格できます。
しかし、受験資格の1つである学科試験の合格率は10〜20%と低いため、総合的には非常に難易度の高い資格であるといえます。

2021年度におけるFP1級の学科試験とFP2級、CFP各科目の合格率と比較しました。CFPは科目ごとに受験可能です。

試験内容 合格率
FP1級(学科試験) 13.03%
FP2級(学科試験) 25.46%
CFP資格審査試験(金融資産運用設計) 34.9%
CFP資格審査試験(不動産運用設計) 35.4%
CFP資格審査試験(ライフプランニング・リタイアメントプランニング) 36.2%
CFP資格審査試験(リスクと保険) 38.3%
CFP資格審査試験(タックスプランニング) 37.1%
CFP資格審査試験(相続・事業承継設計) 36.3%

参考:一般社団法人金融財政事情研究会|試験結果:2021年9月試験
参考:日本FP協会|2021年度第1回CFP資格審査試験結果

この比較結果からも分かるとおり、FP1級の取得において学科試験の合格がキーポイントといえるでしょう。

前述のとおり、FP1級において実技試験の合格率が80%を超えているのに対し、学科試験は10〜20%と非常に低い合格率です。
つまり、学科試験に合格しさえすれば、実技試験ではほとんどの人が合格し、FP1級を取得できるでしょう。

FP1級(実技試験)の合格率は、80%以上

FP1級の合格基準は、学科試験で「200点満点中120点以上」に設定されています。

また、実技試験は異なる2つのテーマに分かれており、2回試験を受けることになります。
1回目と2回目は、それぞれ100点ずつで合計200点満点です。

こちらも学科試験と同様に「200点満点中120点以上」が合格基準とされています。

FP1級の合格ラインは、学科試験・実技試験ともに60%以上

FP1級が難しいと言われる理由

FP1級が難しいと言われる理由

FP1級の資格取得が難しいといわれる理由として、学科試験の合格率が10〜20%と低いことが挙げられます。

また、FP1級を受験するためには、FP2級に合格する必要があります。
FP2級の合格率は20〜25%程度です。
FP1級に合格するためにはFP2級に合格している必要があることが、FP1級の資格取得をより困難だと印象づけているのでしょう。

FP1級とFP2級・3級との違い

FP1級とFP2級・3級との違い

FPの試験では、級を進めるごとに出題形式や難易度が上がります。

各級に対する出題形式は以下のとおりです。

FP1級 出題形式
学科試験 ・4つの選択肢方式による「基礎問題」

・記述式「応用問題」

実技試験 ・口頭試問方式

 

FP2級 出題形式
学科試験 ・4つの選択肢方式による「基礎問題」
実技試験 ・記述式による筆記試験
FP3級 出題形式
学科試験 ・◯x方式による「基礎問題」

・3つの選択肢方式による「基礎問題」

実技試験 ・筆記試験

参考:一般社団法人金融財政事情研究会|ファイナンシャル・プランニング技能検定

スクールvs通信講座vs独学、最適な学習方法とは

スクールvs通信講座vs独学、最適な学習方法とは

FP1級を取得するまでの学習方法として、資格スクールでの資格取得講座や通信講座の活用、独学が挙げられます。

スクール

19時以降や土日にFP講座を開講している資格スクールは、社会人にも通学しやすく、人気があります。
ただし、最難度のFP1級講座を開講しているスクールは限られていることに注意をしましょう。

通信講座

通信講座では、Web講座とテキスト・問題集を併用して進められます。
そのため、効率的にかつ、計画的に学習を好きな時間に進めたい人に向いています。

>>FPに合格できるおすすめの通信講座を見てみる

独学

独学は、もっとも学習費用を低く抑えられる学習方法です。
最近では、テキストで理解しにくい点もYouTube動画により補うこともできます。
ただし、FP1級の学習内容は範囲が広いため、独学だけだと理解を深める時間に多くを費やすことになります。
つまり時間の観点において独学は、資格スクールや通信講座に比べ、リスクがあるといえるでしょう。

FP1級合格に必要な費用と学習時間

FP1級合格に必要な費用と学習時間

FP1級の受験手数料は、下記のとおり学科試験と実技試験の両受験で合計33,900円です。
これに受験会場までの交通費や宿泊費、独学で使用するテキスト代を合わせると、少なく見積もっても5万円前後になると見られます。
なお、FP1級資格取得後には、更新料や維持費といった費用は発生しません。

科目名 受験手数料(非課税)
FP1級(学科試験) 8,900円
FP1級(実技試験) 25,000円

参考:一般社団法人金融財政事情研究会|2022年度試験日程・科目・受験手数料

また、資格取得までに必要な学習時間については、FP1級に関する実務経験の有無により大きく異なります
たとえば、税務系の職に就きながら学習を開始した人であれば、税務に関する基礎知識がすでにあるため、およそ半年ほどの学習期間で学科試験に合格できるでしょう。
しかし、まったくのゼロからFP1級に関する知識を身に付けるのであれば、最低でも1年間は毎日学習を継続する必要があります。

資格取得までに必要な学習時間

スクール

資格スクールの受講料は、立地や月間の受講時間によって大きく異なりますが高額な傾向です。
ただ、一般的な資格スクールの多くは、教育訓練給付金制度が適用できます。
行政の機関へ申請することで受講料の大幅な割引が期待できるでしょう。

最近では従来の通学スタイルに加え、短期間集中講座や、オンライン講座、Web通信といった受講形式も増えています。

どのような形式を選択するかで学習時間は異なります。
自分に合った形式を選びましょう。

通信講座

FP1級の難易度が高いため、料金相場は比較的高く10〜15万円です。
しかし、FP1級の通信講座を設置しているスクールは多くありません。
通信講座では「3か月コース」や「長期1年コース」など学習時間にあわせて選べます。

独学

FP1級の学習教材費用は、テキスト・過去問題集などを含めても1万円程度です。
効率的に知識が吸収しやすい構成の教材を選ぶようにしましょう。

独学では費用が抑えられる反面、疑問点があっても自分で解決しなければなりません。
そのため、学習時間がほかの学習方法と比べ、大きく増加する傾向にあります。

 

合格のための学習ポイント

合格のための学習ポイント

FP1級の各試験における「合格しやすいポイント」を押さえておきましょう。
合格率をアップさせるコツや出題傾向を紹介します。

出題傾向

学科試験

FP1級は非常に難易度の高い試験であるため、学科試験が免除される「CFP」の先行取得がおすすめです。
CFPは科目ごとに受験が可能であり、FP1級に比べ合格率が高いため、自動的に合格率のアップにつながります。
しかし、CFPの先行取得におけるデメリットとして時間と費用がかかることが挙げられます。

実技試験

FP1級の実技試験対策は「何度も過去問題を解くこと」です。
実技試験の口述式と論述式は、どちらも過去問題から出題されている傾向があります。
そのため、何度も繰り返し過去問題を解くことで合格できるでしょう。

FP1級おすすめテキスト

FP1級おすすめテキスト

FP1級の学習におすすめするテキストは、以下のとおりです。

FP1級の学習におすすめテキスト一覧
・1級FP技能検定 実技試験(資産設計提案業務)精選過去問題集|FPK研修センター株式会社 著
・みんなが欲しかった! FPの教科書 1級 (Vol.1・2)|滝澤ななみ 監修/TAC株式会社(FP講座)著
・合格テキスト FP技能士1級 (1〜6)|TAC FP講座 (編集)
・合格ターゲット1級FP技能士特訓テキスト|きんざいファイナンシャル・プランナーズ・センター (著, 編集)

独学でのFP1級取得は困難を極めます。
そのため、ご紹介したテキストを一度手に取り、内容を吟味したうえで自分にもっとも適した教材を選びましょう
また、独学のモチベーションが上がるか、理解しやすい内容で構成されているかといった点に着目するとよいでしょう。
自分に適した教材は学習効率をアップさせます。
効率的に学習し、FP1級取得を目指しましょう。

FP1級に関するよくある質問

FP1級に関するよくある質問

下記でよくある質問をまとめました。
今後の参考にしていただければと思います。

どのような人がFP1級を取得していますか?

金融機関や保険会社に勤めていて、昇給・昇格を狙うタイミングでFP1級取得を目指す方が多い傾向です。
また、独立してFPを目指す方や就職・転職される方が取得する例も増加傾向にあります。

FP1級の学科試験と実技試験を同時に受験できますか?

原則的に学科試験の合格者のみ、実技試験を受験することが可能であるため、同時には受験できません

FP1級に合格後は、登録や入会の手続きをする必要がありますか?

FP1級に合格した後、すぐにFP1級資格取得者であることを名乗ることができます。
登録や入会といった手続きは必要ありません

参考:一般社団法人金融財政事情研究会|FPに関するQ&A

FP1級 まとめ

FP1級 まとめ

ファイナンシャル・プランニング(FP)技能検定1級の資格取得者は、国家資格「ファイナンシャル・プランニング技能士」の称号を有した金融・経済に関する専門家です。
資格を取得することで「ファイナンシャル・プランナー」としての起業のみならず、一般企業においても仕事の幅を広げることもできます。

教育資金や老後への貯蓄、住宅ローン、家計管理といった日常生活においてもFPの知識は必要とされており、FPに対するニーズも高まっています。
また、FP1級は難易度の高い資格ですが、根気よく学習すれば合格できる技能検定です。

ファイナンシャル・プランニング(FP)技能検定1級取得に興味のある方、すでにFP2級を所持されている方は、ぜひチャレンジすることをおすすめします。

>>FP2級の勉強方法についても見てみる

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