「公務員を目指しているけれどメリットはあるの?」
「公務員の安定以外のメリットを知りたい」
このような悩みや不安を抱えている人も少なくないはずです。
この記事では、公務員として働くことのメリットについて知ることが可能です。
公務員は安定しているというイメージが強い職種で、安心して働ける保障が充実しています。
女性の活躍も増えてきており、性別を問わずに働きやすい環境であることもメリットでしょう。
この記事では、公務員として働くことのメリットやデメリット、公務員に向いている人の特徴などを解説していきます。
公務員として働きたいと思っている人はぜひチェックしてみてください。
この記事の目次
公務員として働くことのメリット8つ
早速公務員として働くことのメリットについてみていきましょう。
公務員のイメージは安定やライフワークバランスがとりやすいというものではないでしょうか。
そういったイメージに即したメリットが非常に多いため、働きやすい環境であることが魅力的です。
公務員のメリットを8つに分けて詳しく紹介していきます。
1.解雇やリストラの心配がほとんどない
公務員は解雇やリストラの可能性がほとんどない職業です。
民間企業は人件費を会社の売上から出しているため、会社の売上が傾いた場合に解雇やリストラが起こる可能性があります。
社員の給料や待遇も売り上げに左右されてしまうため、給与面での不安定さも懸念されます。
しかし、公務員の場合は国民から納税される税金から給料が決まっているため、税金という制度がある限り安泰なのです。
犯罪行為などの大きな問題を起こさない限り、解雇やリストラに合うことはほぼないと考えて良いでしょう。
2.年齢や役職に応じて年収が引き上げられる
先述した通り、公務員の給料は税金から捻出されているため、変動が少なく安定しています。
また、公務員の人事評価は年功序列で決まる傾向にあるため、勤続年数が長くなるにつれて給料が上がっていくことが多いです。
以下の表は令和3年度のデータで、大学を卒業して行政職の公務員になった人の経験年数と給料の推移を表しています。
経験年数 | 平均月給(円) |
---|---|
1年未満 | 188,592 |
1年以上2年未満 | 195,420 |
2年以上3年未満 | 201,929 |
3年以上5年未満 | 214,460 |
5年以上7年未満 | 231,138 |
7年以上10年未満 | 253,021 |
10年以上15年未満 | 293,862 |
15年以上20年未満 | 337,396 |
20年以上25年未満 | 371,772 |
25年以上30年未満 | 397,317 |
30年以上35年未満 | 405,447 |
35年以上 | 408,092 |
この表を見ると、公務員の給料が勤続年数を重ねるにつれて高くなっていることがわかります。
公務員になりたての頃は給料が特別良いわけではありませんが、コツコツ働くことで評価が上がっていくため安定して稼ぎ続けたい人におすすめの職種でしょう。
年齢とともに収入が上がっていくため、結婚や出産などの将来設計を立てやすいのもメリットです。
3.福利厚生が充実している
公務員の福利厚生が充実しているのもメリットの1つです。
具体的には以下のような手当が用意されています。
- 扶養手当
- 地域手当
- 通勤手当
- 住宅手当
- 超過勤務手当
- 期末・勤勉手当
- 管理職手当
- 宿日直手当
- 特殊勤務手当
- 退職手当
- 児童手当
- 単身赴任手当
- 広域異動手当
このような手当があるため、安定して仕事やプライベートに打ち込むことができます。
また、手当の他に休暇制度が充実しているのも魅力的で、以下のような休暇制度を利用することが可能です。
- 年次有給休暇
- 病気休暇
- 介護休暇
- 特別休暇
年次有給休暇は1年に20日あるので、まとまった休みを確保することができます。
特別休暇は、冠婚葬祭や出産などライフイベントで休みが必要な場合に使うことができる休暇のことです。
民間企業でも福利厚生が充実しているところはありますが、公務員の福利厚生の充実度は非常に高いものでしょう。
ライフイベントに配慮した制度があるため、仕事とプライベートのバランスをとりやすいという意見が多いです。
地域にもよりますが、該当する自治体の施設を利用できるチケットをもらえる制度もあるそうです。
4.定期的な異動がある
公務員は3年〜5年で移動するシステムを取り入れています。
この理由としては癒着防止や業務のマンネリ化を予防する目的が考えられます。
さまざまな職場や地域で経験を積むことができるので、多方面から知識やスキルを磨くことができます。
また、働いている環境や人間関係が合わない場合も、定期的に異動があるので安心です。
自分が移動すれば環境は変わりますし、相手が移動すれば人間関係の悩みが解消されるかもしれません。
こういった場合、民間企業で働いていると転職を考えるかもしれませんが、公務員の場合は定期的に人材の入れ替えがあるのがメリットです。
なお、地方公務員として県や市町村に採用された場合は他県への移動はほぼありません。
定期的な移動があるといっても、県内での移動にとどまるので、結婚やマイホームの購入の妨げにもならないでしょう。
子育てや介護をしやすい環境が作れるシステムなのも魅力の1つです。
5.ノルマなど過度な競争がない
民間企業の場合は厳しいノルマが設定されているなど、他者との競争が激しい傾向にあります。
一方公務員にはノルマなどがありません。
そのため、強いプレッシャーを感じることなく業務に取り組めます。
職場内で競争してギスギスした雰囲気になることも少なく、競争が苦手な人や自分のペースで働きたい人にもおすすめです。
また、公務員の業務は協力することが基本で、チームや組織で問題を解決するので、1人で責任を感じることもありません。
先述した通り給料が年功序列式に上がっていくことも競争しなくて良い理由でしょう。
勤続していれば自然に給料が上がっていくシステムで、能力やスキルによる競争が起こりにくいのです。
6.社会的な信用が高い
公務員は国や自治体に身分を保障されているため、社会からの信用が高いのが特徴です。
「公務員」と聞くだけで、しっかりしている真面目な人というイメージを感じやすい人は多いはずです。
公務員として働くことで、仕事面でもプライベート面でも信頼関係を築きやすいのは大きなメリットでしょう。
また、住宅ローンやクレジットカード発行、賃貸契約の審査の際も、社会的な信用から断られることは非常に少ない傾向にあります。
7.国や地域のために働ける
公務員は社会全体への奉仕者であり、国民全ての人へ行政サービスを提供しています。
教師や行政サービスの受付など直接国民と関わる仕事も多いため、やりがいを感じやすいのもメリットです。
また、地域に根ざしたサービスを取り扱う職種もあり、地元や好きな地域のために働けるのもやりがいにつながります。
ひとくちに公務員といってもさまざまな職種があるので、自分に合った職種を見つけてみましょう。
8.女性が働きやすい環境である
福利厚生が充実していることや異動が少ないこと、プライベートとのバランスがとりやすいことなどから女性にとって働きやすい環境であることが考えられます。
出産時は休暇が必要ですし、子育て期間は業務を少なくしたいと思う女性もいるはずです。
そういった女性の働き方に合わせられる制度や風潮が充実しているのは公務員のメリットです。
女性の活躍が増えてきたこともあり、どんどん働きやすい環境が整備されていると考えて良いでしょう。
公務員として働くことのデメリット5つ
公務員として働くメリットは非常にたくさんあることがわかりました。
しかし、もちろん公務員ならではのデメリットもあるのです。
公務員として働こうか悩んでいる人は、メリットだけでなくデメリットにも着目して、判断してみてください。
1.環境によっては残業が多いこともある
公務員は定時で帰宅できそうなイメージを持っている方もいるかもしれませんが、環境によっては残業が多い場合も少なくありません。
以下の表は令和30年度から令和2年度の地方公務員の時間外勤務の時間数の状況を調べたものです。
区分 | 平成30年度 | 令和元年度 | 令和2年度 |
---|---|---|---|
全体 | 11.4時間/月 | 11.9時間/月 | 11.1時間/月 |
都道府県 | 12.6時間/月 | 13.1時間/月 | 13.3時間/月 |
指定都市 | 12.2時間/月 | 12.5時間/月 | 11.8時間/月 |
市町村 | 10.7時間/月 | 11.2時間/月 | 9.9時間/月 |
このデータを見ると全体では残業時間が減少傾向ですが、年度によって差が出ることがわかります。
配属された部署の繁忙期や環境によってまばらですが、毎日定時で帰れる公務員は稀だと考えた方が良いでしょう。
そのため、「定時で帰りたいから公務員になろう」という気持ちで志望するのは避けた方がいいかもしれません。
また、公務員にはサービス残業もあります。
通常の残業ではなく給料が支払われない残業のことであり、公務員の残業代は予算の上限が決まっている関係でこのようなことが生まれてしまいます。
つまり、予算の範囲内を超えた残業分というのは全てサービス残業になってしまうのです。
2.定期的な異動でスキルを磨きづらい
先述した通り、公務員は定期的な異動制度を取り入れています。
同じ職場にいられる期間は3〜5年程度で、その都度異動しなくてはなりません。
仕事に慣れてきたと思ったら別の職場で働かなくてはならないとなると、専門的な知識やスキルが身につきにくいとデメリットを感じる人もいるようです。
また、公共機関を利用している人からは、サービスが悪くなる原因だと考えられている要因でもあります。
まだ先の話にはなると思いますが、専門性が必要のない仕事に関してはAIの導入が進められるのではという見解もあります。
3.年功序列が染み付いている
公務員の世界は、年齢や勤続年数によって給料や立場が上になっていく年功序列が基本です。
そのため、上司の意見に納得できない場合でも従わなくてはなりませんし、若手の方が実力があっても給料や立場が上がることは稀です。
能力があって自分の意見を発言する人よりも、協調性があり問題を起こさない人の方が好まれる世界といっても良いでしょう。
なお、地方公務員法や国家公務員法の条文の一部に「上司の職務上の命令に忠実に従うこと」とあり、上司の命令に背くことは原則できません。
この法律があることによって国や自治体の方針に沿った行政運営を安定して行えるという理由から定められています。
年功序列制度に疑問を持っている人や、自分の意見を上司に聞いてもらいたいと思っている人からすると、窮屈に感じる環境かもしれません。
4.金銭面の余裕が多いわけではない
年功序列制度によるデメリットは金銭面にもあります。
先述した通り年齢や勤続年数によって給与が決まる傾向にあるので、若いうちや働き始めは給料がなかなか上がりません。
部署や地域にもよりますが、初任給が民間企業よりも低くなることもあります。
そのため、どんどん稼げるようになりたい人や若いうちから出世を目指している人にとってはデメリットに感じるかもしれません。
また、給料の上がる幅が小さいのもデメリットで、部長クラスまで昇格したとしても年収1,000万円程度までしか届かないのです。
さらに、公務員は就職する際に高卒と大卒が別れており、学歴によって働ける職種や給与が異なります。
大卒と比べて高卒の方が給与が低く、昇格のスピードも遅い傾向にあります。
公務員の世界ではまだ学歴社会が採用されているので、高卒でも能力ややる気がある人にとっては理不尽に感じることも多いでしょう。
5.世間からの不満が集まりやすい
メリットのセクションで説明した通り、公務員の給料は国民の税金から捻出されています。
そのことから、「自分たちの税金で良い暮らしをしているのはずるい」といった意見を持つ人もいます。
そういった人が全てではありませんが、そのような不満の声にさらされることもデメリットの1つでしょう。
また、国や行政サービスに不満があったときに公務員に不満や不安の皺寄せがくることも考えられます。
公務員として働く人の中には、公務員であることを公言しないとする人もいるのです。
公務員に向いている人の特徴5つ
公務員のメリットとデメリットは把握できたでしょうか。
ここからは公務員はどんな人に向いているのかについてまとめました。
5つの特徴について解説するので、自分が当てはまっているかどうかチェックしてみましょう。
1.国民生活や地域に貢献したい人
公務員は国民生活の発展や地域への貢献事業を行う仕事です。
地方公務員は特に地域との繋がりが強く、仕事内容も地域の特徴に根付いたものが多いです。
そのため、国や地域のために働きたいという思いを持っている人に向いている職業といえます。
自治体によって抱えている問題はさまざまであり、公務員として働く中で国民の声を直接聞くこともあるでしょう。
そういった関わりの中から課題や要望を読み取って、行政サービスに反映していくことにやりがいを感じる人は公務員に向いています。
2.スキルを磨くより経験を積みたい人
公務員の最大の特徴として年功序列制度が取り入れられていることが挙げられます。
スキルや能力が高くても、年齢や勤続年数が増えないと給与や立場は上がりません。
競争が激しい環境でスキルを磨きたい人や、若いうちから出世を目指している人よりも、年数をかけて経験を積みたいという人の方が公務員には向いています。
3.コツコツ仕事を続けられる人
公務員の業務には地味な仕事もあり、毎日同じ業務を行う部署も少なくありません。
同じ作業の繰り返しになっても、自分自身で工夫して継続する力やさらに効率を求める力などが求められるでしょう。
そのため、コツコツ同じ作業を続けられる人やルーティーンワークの方が向いている人は公務員に向いています。
同じ作業の繰り返しになっても、自分自身で工夫して継続する力やさらに効率を求める力などが求められるでしょう。
4.プライベートも大事にしたい人
先述した通り、公務員はライフワークバランスがとりやすい職種の1つです。
手当や休暇制度が充実していることやカレンダー通りの休日が確保できることなどがその理由です。
そのため、バリバリ仕事に取り組みたい人よりも、仕事だけでなくプライベートも充実させたい考えの人が向いています。
結婚や出産などのイベントにも対応しやすい環境なので、家族との時間も確保できるでしょう。
ノルマもなく競争思考が強くない職場が多いので、適度に働きたいというニーズにも合っています。
5.安定性を求めている人
公務員は解雇やリストラの心配がない上、給与は徐々に上がっていくシステムです。
会社の利益によってリストラやボーナスカットが実施されることはほぼなく、常に安定した給与をもらうことができます。
そのため、安定性を重視している人に向いている仕事です。
年功序列制度なので、真面目に勤続していれば給与や立場が上がるため、業績や能力で評価されるのが苦手な人にもおすすめの職種です。
公務員にマッチしにくい人の特徴3つ
公務員に向いている人の特徴を解説してきましたが、反対にマッチしにくい人の特徴は何なのでしょうか?
ここからは公務員にマッチしにくい人の特徴について解説していきます。
以下で紹介する3つの特徴に当てはまった場合は、公務員以外の仕事も検討した方がいいかもしれません。
1.能力次第で出世したい人
公務員は年功序列制度で評価が決まるため、いくら仕事ができても給与アップや昇格にはつながりません。
仕事ができないベテランの方が給与が高い場合や、勤続年数が長いだけの上司の下で働くことも少なからずあるでしょう。
そのため、業績やスキルによって評価してほしい人やどんどん出世したいと考えている人にはあまりおすすめできません。
民間企業の方が能力次第で給与アップや昇格を検討してくれるケースが多いです。
2.とにかく早くたくさん稼ぎたい人
公務員は年齢によって給与が決まるだけでなく、その上昇スピードも速いとはいえません。
特に若い頃は経験や勤続年数が浅いため、民間企業より給与が低い場合もあります。
そのため、とにかく早くたくさん稼げるようになりたい人とはミスマッチを起こす可能性があります。
また、ノルマなどがない分インセンティブなどもつきません。
仕事ができても給与に直接つながることはほとんどないと考えて良いでしょう。
さらに、部長クラスまで昇進しても年収は1,000万円程度のことが大半なので、上限なく稼ぎたいという方にもおすすめできません。
3.スキルを磨きたい人
公務員は3〜5年ほどの間隔で部署異動が行われます。
幅広い経験や知識は身につきますが、専門的なスキルや深い知識を獲得することは難しいでしょう。
また、部署にもよりますが事務系の仕事やルーティーンワークが多いことも、スキルが身につかない要因です。
こういった仕事は特有の知識や技能が必要ないため、転職時に有利にならないことが多いです。
そのため、専門的な知識やスキルを身につけて価値ある人材になりたいと思っている人にも不向きであるといえるでしょう。
公務員のメリットだけでなくデメリットも把握しておこう
公務員のメリットは、安定していることや福利厚生が充実していること、ライフワークバランスがとりやすいことです。
ノルマなどがないことで人間関係を良好に保ちやすいのも良い点でしょう。
一方デメリットは、年功序列制度によって能力やスキルで評価されないこと、異動が多く専門的な知識が身に付かないことです。
公務員を検討している人は、メリットだけでなくデメリットもしっかり把握し、自分に合っているかどうか判断すると良いでしょう。
公務員が向いている人や向いていない人の特徴も解説したので、自分の長所や短所、将来のビジョンが当てはまっているかどうかチェックしてみてください。