「公務員試験の面接ってどんなことをするの?」
「公務員になりたいけど面接ってどう答えたら良い?」
このような疑問や不安を抱えている人は多いのではないでしょうか。
この記事を読めば、公務員試験の面接の内容やよくある質問について知ることができます。
公務員試験において面接は比重の高い試験項目となっているため、しっかり対策を行わなくてはなりません。
公務員の面接試験でよく聞かれる質問はある程度決まっており、対策を立てやすいといえるでしょう。
この記事では、公務員試験で聞かれるよくある質問と答えのポイントを解説します。
面接スタイルに合わせた対策方法についても触れているので、希望している面接タイプに合わせてチェックしてみてください。
この記事の目次
公務員試験の面接とは?
公務員試験では、筆記試験を合格した受験者を対象に面接試験を実施することが多く、1回〜3回など複数回行われることもあります。
複数回面接試験をする場合は、面接スタイルが変わることもあり、多方面から人間性を判断されます。
例えば、国家総合職や国家一般職の場合、筆記試験に合格し人事院が面接を実施しますが、その時点ではまだ採用段階ではありません。
その後、就職を希望する官庁の面接試験を経て、合格すれば内定という形式です。
中には、第1次試験から面接を行う職種や、願書を提出した際に面接を行う職種もあるため、希望する公務員試験の形式を調べておくことが大事です。
面接試験でやることについて
公務員試験では基本的に個人面接が行われます。
最もオーソドックスな面接形式で、受験者1人に対して面接官1人〜3人で行う面接スタイルです。
受験者の人間性や過去の体験、仕事に対する熱意などを見ていることが多いです。
しかし、最近では集団面接や集団討論、グループディスカッションといった形式を指定されることもあります。
この形式の場合は、周囲とのコミュニケーション能力や協調性などを見ていると考えて良いでしょう。
以下、表で特徴をまとめたので、比較する際に参考にしてください。
面接形式 | 受験生の人数 | 面接官の人数 | 見られている能力 |
---|---|---|---|
個人面接 | 1人 | 1人〜3人 | 個人の性格・過去の経験 |
集団面接 | 3人〜6人 | 2人〜3人 | 判断力・協調性 |
集団討論 | 4人〜8人 | 2人〜3人 | コミュニケーション力・リーダーシップ |
公務員の面接試験の重要性
国家公務員や一部の自治体では、標準点を算出する際の配点比率を発表しています。
以下の表は2022年度国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)の配点比率を表したものです。
区分 | 基礎能力試験 | 専門試験(多肢選択式) | 一般論文試験 | 専門試験(記述式) | 人物試験 |
---|---|---|---|---|---|
行政区分 | 2/9 | 4/9 | 1/9 | なし | 2/9 |
建築区分 | 2/9 | 2.5/9 | なし | 2.5/9 | 2/9 |
行政及び建築以外の区分 | 2/9 | 4/9 | なし | 1/9 | 2/9 |
この比率を見ると、基礎能力試験と同じくらい人物試験が重要視されていることがわかります。
国を背負って働く人材かどうかを判断するため、面接に配点比重を置いていると考えられます。
公務員になりたいのであれば、筆記試験だけでなく面接にも力を入れて対策をする必要があるでしょう。
公務員の面接試験でよく聞かれる質問6つと答えのポイント
ここからは具体的に面接の質問と答え方のポイントを見ていきましょう。
公務員の面接試験でよく聞かれる質問6つに絞って答え方のポイントを解説しているので、ぜひ面接対策に役立ててください。
1.公務員を選んだ理由は?
公務員試験において最も聞かれるであろう質問です。
どうして民間企業ではなく公務員になろうと思ったのか、その理由や動機を答えられるようにしておきましょう。
その際、民間企業を否定して公務員を持ち上げるような発言は控えましょう。
また、以下のような回答もありきたりで他の受験生との差がつきません。
- 住民の役に立ちたいから
- 地元の発展に貢献したいから
- 利益よりもやりがいを追求したいから
公務員のどういった部分に魅力を感じ、将来的にどう活躍したいのか、自分なりの答えを見つけることが大事です。
2.職種や地域を選んだ理由は?
ひとくちに公務員といっても職種や地域はさまざまで、その中からどうしてこの職種や地域を選んだのかという理由を尋ねられることは多いです。
例えば地方公務員志望なのであれば、「地元だから」という理由はありきたりでしょう。
自治体がどう変わっているのか、自分はどう貢献できるのか、どうしてこの地域が良いのかなど深堀した内容を盛り込まなくてはなりません。
希望する自治体について調べるのはもちろん、他の自治体との比較で良いところを見つけるなどのアプローチもおすすめです。
3.将来やってみたい仕事ややりたいことは?
公務員として採用されたら何ができるのか、どんなことをしたいのかなどを聞くことで、仕事への熱意や価値観を見ようとしています。
ただ「市民の役に立ちたい」「地元に貢献したい」というだけでなく、具体的な目標や仕事内容を考えましょう。
今までの経験やスキルを活かしてどんなことができるのかなどをアピールするのも良いでしょう。
4.自己PRをしてください
自己PRに苦手意識を持っている人は少なくないはずです。
強みがわからない場合は、自分の長所や短所を分析することから始めてみましょう。
自分だけでは判断できない場合は、周囲の人に聞いてみるのも良い方法です。
アピールする方向性が決まったら、その具体的な理由や体験談などを伝えます。
最後は仕事にどう活かせるのかなど将来のビジョンにつなげることが大事です。
漠然と良いところだけを伝えても面接官には響かないため、具体性と簡潔性を重視して組み立てましょう。
5.今まで頑張ってきたことは?
今まで何を頑張ってきたのかを聞かれるのは面接でよくある傾向です。
ただ、頑張ってきたことだけを伝えるのではなく、経験の成果や学んだことを具体的に説明することが重要です。
例えば、部活を頑張って最後まで諦めないことの大事さを学んだことや、ボランティア活動を通じて市民のために働くやりがいを感じたことなどを答えましょう。
また、仕事にどう活かせるのかについて触れるのも好印象です。
6.過去に失敗した経験は?
この質問から「失敗から何を学んだのか」「どう立ち直ったのか」などを知ろうとしています。
そのため、失敗した経験を話すだけでなく、そこから何を学んだのか、どう乗り越えたのかまでセットで話しましょう。
例えば、対人関係の失敗からコミュニケーションの重要性を学んだことや、応用からやろうとして失敗し基礎の大事さを学んだなどのエピソードを考えてみましょう。
そのほか聞かれがちな質問について
そのほか、よく聞かれる質問についてまとめました。
どれも具体性や将来につながるポイントなどが大事なので、自己分析をして考えてみましょう。
- 今までで一番大変だったことは?
- ゼミでの役割は?
- サークル活動は何をしていた?
- 最近読んだ本は?
- 併願状況は?
- 前職で経験したことをどう活かせる?
- 〇〇県の施策で気になっているものは?
- 今回落ちたらどうする?
いずれも質問された意図に対して簡潔かつ具体的に述べることが求められています。
過去の経験や活動の場合は、自分が体験したエピソードも交えて話せるとより良いでしょう。
失敗や大変だったことなどマイナスな要素の質問をされても、学んだことやこれから活かしていきたいことなどプラスの方向で答えるように意識するのも大事なポイントです。
公務員の面接試験で聞かれる応用質問5つと答えのポイント
次は公務員試験で聞かれることがある応用質問についてみてきましょう。
出題頻度はそこまで高くないものの、聞かれる可能性は大いにあります。
幅広い質問に対応できるよう、対策していきましょう。
1.待ち時間に何を考えていましたか?
受験生の緊張をほぐす目的でアイスブレイク系の質問をしてくる場合があります。
アイスブレイク系だからといって「何も考えていなかった」などと答えるのは避けましょう。
「第一志望なので面接の復習をしていました」など第一志望であることをアピールするのがおすすめです。
合否に直接関わる質問ではありませんが、好印象を与えるためにもアピールの場として活用しましょう。
2.興味のあるニュースは?
公務員になる将来を見据えて、時事問題に興味を持っているかや社会問題に関心があるかをみられています。
芸能関係のニュースや宗教関連のニュースでも良いですが、一般的には避けるのが無難です。
AIに関するテクノロジー系の話題や環境などの社会問題の話題を選び、自分の考えを述べましょう。
また、自分が公務員になったらどう活用したいかなど、将来を見据えた視点からの意見も盛り込むと良いでしょう。
3.大学で学んできたことは?
大学で学んだことだけでなく、どんな工夫をして学んでそれをどう活かせるのかまで具体的に説明しましょう。
以下のような流れで組み立ててみましょう。
- 大学で学んでいた内容について簡潔に説明する
- 勉強する上での工夫や意識したことについて説明する
- 公務員になった場合にどう仕事に活かしていくのかについて説明する
ただの感想を述べる場にならないよう、自分が何をしてきたのかどうしていきたいのかを具体的に説明することが大事です。
4.仕事でストレスが溜まったらどう対応する?
公務員になれば仕事のストレスが溜まることもあるでしょう。
中には精神的な病気にかかってしまい働けなくなることもあります。
そのため、こういった質問でストレス耐性を見ています。
ここでのポイントは1人で手軽にできるストレス発散方法を述べることです。
例えば、以下のようなものが挙げられます。
- 好きなアーティストの曲を聴いて散歩する
- 好きな入浴剤を入れたお風呂に浸かる
- ジョギングや筋トレなど体を動かす
旅行やフェスなど準備が必要なストレス発散方法だと、リフレッシュできない時はどうするのかなど突っ込んだ質問をされる可能性があります。
5.趣味は何?
面接試験で趣味の質問がされるのは、受験者の人柄や普段の生活を見たいと思っているからです。
嘘の趣味を言ったり誇張した趣味の内容を話したりするのはやめましょう。
自分の趣味について述べ、長所やアピールポイントにつなげる流れがおすすめです。
以下のような流れで組み立ててみましょう。
- 自分の趣味は読書である
- 一度集中するとずっと読みふけってしまう
- 今でも通勤時間などで本を読んでいる
この回答であれば、集中力が高く、勉強熱心な印象を与えることができます。
どんな印象を持ってもらいたいのかを考えて、普段行っている趣味の中から選んでみるのも良いかもしれません。
そのほか聞かれがちな質問について
応用編の質問で他に聞かれがちな質問についてまとめました。
以下の質問をチェックして、自分なりの答えを見つけておきましょう。
- 緊張している?
- ここまで何で来た?
- 感謝されない仕事のことをどう思うか?
- この職業にどんな能力が必要だと思うか?
- あなたを採用するメリットは?
- この仕事で大切だと思うことは何?
自分の考えについて聞かれた場合は、結論、理由の順番で述べるとわかりやすいです。
結論と理由の論点がズレると論理矛盾が生じてしまうので、意見を統一できるよう意識しましょう。
また、どんな質問が来ても黙り込む時間を作らないのも大事なポイントです。
想定していなかった質問を投げかけられたら、自己分析や用意していた質問を振り返って、意見を言えるよう練習しておきましょう。
公務員の面接試験に合格するための対策5つ
ここからは公務員の面接試験に合格するためにやっておくべき対策について解説していきます。
面接スタイルや公務員試験の種類を問わずやっておいた方が良いことなので、何からやれば良いかわからない人はまずはここから始めてみましょう。
1.面接カードに力を入れる
公務員試験では、「面接カード」というものを面接試験前に提出し、これをベースに面接が進んでいくことが多いです。
そのため、面接カードに力を入れて取り組むのが面接対策の第一歩となるのです。
面接カードの記入項目は以下のようなものが多いです。
- 基本情報(住所や学歴・職歴など)
- 志望動機
- 自己PR(長所や短所)
- 趣味や特技
- 最近関心のあるニュース
- 課外活動(ボランティアやアルバイトなど)
- 併願状況
自分が得意な質問や聞いて欲しい内容を面接カードに盛り込むことで、面接を有利に進めることが可能なのです。
面接カードを書く時、誇張しすぎた内容を書いたりなんとなく項目を埋めたりすることはやめましょう。
自分自身をみて採用してもらうためにも、嘘なく強みをアピールできる内容に仕上げましょう。
2.求められている人物像やスキルを調べる
公務員試験の面接は、民間企業の面接と異なり、マイナス部分を見て落とす要素が強い傾向にあります。
優秀な人材を見極めるだけでなく、国を背負って働けるのか問題を起こさないかなどの視点からも判断されます。
そのため、公務員としてどんな人物が求められているのか、どんなスキルが重要視されているのかなどを分析しておくことが重要です。
求められる公務員像を研究し、自分の良いところをアピールできるポイントを探しましょう。
- 公務員として求められる人物像は以下の通りです。
- 考え方が前向きで向上心がある
- 相手の考えや感情が理解できる
- 組織や集団のメンバーと信頼関係が築ける
- 公務に対しての使命感がある
- 優先度や重要度を明確にして目標や計画を立てているか
- ストレスに前向きに対応できる
- 話の内容に一貫性があり論理的である
- 相手の話の趣旨を理解して的確な答えが出せる
他にも、企画力や決断力、リーダーシップなどプラス評定項目も設けられています。
3.自分だけの体験を語る
面接試験では自分だけの体験を論理立てて説明する力がみられます。
最近の面接では、受験者の体験に基づく説明から「なぜ?」を深掘りしていく傾向があります。
そのため、自分がした体験で何を感じ、どう活かしていくのか具体的に伝えなくてはなりません。
また、面接官の質問に対して長すぎる回答をするのも避けましょう。
ダラダラ話すのではなく、端的にわかりやすい答えを意識することが大事です。
4.意見に一貫性を持たせる
面接試験において気をつけなくてはならないのは論理矛盾です。
論理矛盾とは、最初に発言したことと後から発言したことが一致せず矛盾してしまうことで、発言に信憑性がなくなってしまいます。
論理矛盾を防ぐために、あらかじめ用意した答えに矛盾がないか第三者に見てもらうことが大事です。
自分自身の判断のみだと気づかないうちに論理矛盾を引き起こしている可能性があります。
また、「ここは譲れない」という強いポイントを持っておくことも大事です。
ブレない芯があれば、予想していない質問が来てもそこから派生して答えを導くことができます。
意見に一貫性を持たせ、論理矛盾を起こさないようしっかりと対策しましょう。
5.質問を想定して事前に練習しておく
冒頭でも述べた通り、公務員の面接試験で聞かれる質問はあらかじめ予想することができます。
過去のパターンや経験者の話を聞いて、どんな質問が来そうなのかある程度予測を立てておきましょう。
それに対する答えを用意しておくことで、落ち着いて面接に臨むことができるはずです。
答えが決まっていても面接が苦手だと感じている人は、模擬面接を何度も行いましょう。
反復練習するうちに答えが定まったり自信を持てたりするため、面接対策としてとても有効な方法です。
公務員の面接3つのスタイルに合わせた対策
最後に公務員の面接スタイル別の対策方法について解説していきます。
希望する公務員試験の面接スタイルに合わせた対策を行っておきましょう。
個人面接の対策
受験者1人に対して面接官1〜3人で行われる、最もオーソドックスな形の面接です。
事前に記入した面接カードやエントリーシートをベースに面接が進んでいくことが多く、記載した内容について質問が多く投げかけられます。
個人面接の場合は以下のような目的で質問がされる傾向にあります。
- 受験生自身はどんな人なのか知りたい
- 合格したら働く意欲があるのか
- 採用されたらどんな仕事ができるのか
自分だけの体験やそこから学んだこと、自分の長所がどう仕事に活かせるのかなどを具体的に話せるように対策しておきましょう。
実際に採用されたらどんなことをしたいのかなど将来のビジョンもあると良いです。
また、仕事に対してのストレス耐性があるかどうかも見られていることが多いため、趣味やストレス発散方法を聞かれることもあります。
自分について知ってもらう機会だと認識し、アピールポイントを見つけておきましょう。
集団面接の対策
集団面接は受験者3人〜6人に対して面接官2〜3人で行われることが多く、受験者が多い場合にこの形式が取られます。
集団面接を行う場合は、ライバルが多く倍率が高い試験であると思って良いでしょう。
指名制で行われる場合がほとんどですが、挙手制で進んでいく場合もあります。
その場合は、なるべく早く回答する姿勢が重要なので、積極的に挙手をして答えていきましょう。
個人面接と比べて個人に突っ込んだ質問がくることは少ないため、答えに困ることは少ないはずです。
個人面接と同じように、質問の内容を予想しておくことが早く答えるコツです。
また、他の受験生と比べて好印象になるよう、ハキハキした声で話すよう心がけましょう。
椅子に座っている姿勢や他の受験生が話している時の態度を意識するのも大事です。
面接官に常に見られていると思って望むようにしましょう。
集団討論・グループディスカッションの対策
集団討論やグループディスカッションは、受験生4人〜8人程度がグループになり、与えられた課題について討論し意見をまとめる形式です。
ここで見られているのは、他者とのコミュニケーション能力やリーダーシップ、協調性などです。
発言数が少なければ消極的、発言が多すぎれば独りよがりなイメージになりかねないため、バランスを取るのが難しいでしょう。
集団討論やグループディスカッションで合格するコツをまとめました。
- テーマに対する自分自身の意見を周囲に伝える
- 周りの意見をしっかり聞き入れる
- 発言量が全員同じくらいになるよう配慮する
- 時間を意識して討論する
中には、役割分担を決めて討論を進めるのが良いとされるパターンもありますが、司会者以外の役割を決めてもほとんど意味がありません。
何よりも自分の意見を伝えつつ他の人の意見を聞き入れるのが最も大事です。
また、討論する時間を管理し、答えを出すことも忘れてはいけません。
公務員の面接対策をして合格を目指そう
公務員の面接試験は年々重要度が高くなっており、配点の比重も高く設定されています。
そのため、公務員を目指す場合は筆記試験だけでなく面接対策も行うことが重要です。
公務員試験の面接では聞かれがちな質問がある程度決まっているので、事前に自己分析や面接練習などで対策をしておきましょう。
また、公務員試験の面接では個人面接以外の方法が採用される場合があります。
面接形式に合わせた対策を講じ、どんなシーンでも自分らしさをアピールできるようにしておきましょう。