司法試験の内容とは?出題傾向や合格のための勉強方法も解説!

「司法試験ってどんな内容が出題されるの?」

「司法試験の試験内容が知りたい」

など司法試験を受けようと思っている人は気になるかもしれません。

この記事を読めば、司法試験の内容や特徴について知ることができます。

司法試験は国家資格の中でも最難関とされており、出題範囲は広く専門性も高いです。

そのため、過去問などから司法試験の内容の傾向などを把握することが重要です。

この記事では、司法試験で出題される内容や対策、勉強方法などを解説しています。

司法試験を受けようと思っている人や対策方法を悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。

この記事の目次

司法試験の概要

司法試験の概要について

まずは司法試験の基本的な情報から見ていきましょう。

司法試験は誰でも受験できる資格ではなく、受験資格を得るまでにも時間がかかります。

また、司法試験の出願時期や試験日程についても解説していきます。

受験資格について

先述した通り、司法試験は受験資格が必要な国家資格です。

受験資格は以下のとおりです。

  • 法科大学院を修了する
  • 法科大学院在学中に一定の要件を満たす
  • 予備試験に合格する

これらのいずれかに該当する人のみが受験できます。

かつては法科大学院修了者か予備試験合格者のみが受験資格を得ていましたが、2023年から法科大学院在学中でも司法試験を受けることができるようになりました。

法曹資格取得までの時間的、経済的な負担を軽減する目的で追加されたようです。

法科大学院在学中でも司法試験を受験できるのは以下の条件を満たした人です。

  • 当該法科大学院にて所定科目単位を修得していること
  • 司法試験が行われる日の属する年の4月1日から1年以内に当該法科大学院の課程を終了する見込みがあること

なお、法科大学院によって所定科目単位は異なるので、確認してみてください。

出願方法や時期について

願書の交付を受ける方法は以下の3つです。

  • 法科大学院を通じて交付を受ける
  • 郵送によって交付を受ける
  • 雷鳥によって交付を受ける

いずれかの方法で願書の交付を受け、出願しましょう。

司法試験の受験料は28,000円です。

また、以下の表は令和5年度の司法試験実施予定についてまとめたものです。

事項 期日
願書交付 3/10〜4/4
願書受付 3/22〜4/4
試験実施 7/12〜7/16
合格発表 11/8

引用:令和5年度司法試験実施予定表

期日は毎年変わるので、受験年が決まったら調べておきましょう。

試験の日程について

司法試験は4日間かけて実施されます。

以下の表は、令和5年度の司法試験の日程です。

日程 試験内容 科目
7/12 論文式試験 選択科目(3時間)・公民系科目第1問(2時間)・公法系科目第2問(2時間)
7/13 民事系科目第1問(2時間)・民事系科目第2問(2時間)・民事系科目第3問(2時間)
7/15 刑事系科目第1問(2時間)・刑事系科目第2問(2時間)
7/16 短答式試験 憲法(50分)・民法(75分)・刑法(50分)

引用:令和5年度司法試験実施予定表

例年は5月中旬の4日間で実施されますが、令和5年司法試験については7月中旬に実施しています。

イレギュラーな事態にも対応できるよう、早めに日程の確認をしておくと良いでしょう。

また、司法試験対策は早めに終えられるよう調整しておきましょう。

司法試験の試験内容

司法試験の試験内容

司法試験は年に1回受けることができ、試験を受けるためには条件を満たさなくてはなりません。

ここからは、司法試験の試験内容について解説していきます。

出題科目や配点、合格基準についても紹介しているので、受験を検討している人はチェックしてみてください。

>>司法試験は簡単?難しい?

試験内容は2種類に分かれる

司法試験は、短答式試験と論文式試験の2つで構成されています。

旧司法試験は、短答式と論文式の他に口述試験も含まれていましたが、現在の司法試験では行われていません。

短答式試験と論文式試験に分けて、科目や配点についてみていきましょう。

短答式試験

短答式試験は、基本的な法律知識や法的な推理能力を判断する試験です。

例年、試験最終日に実施されている試験です。

マークシート形式で実施され、試験中にテキストや参考書など参照物を見ることは禁止されています。

頭の中にある知識やスキルのみで問題を解かなくてはなりません。

また、司法試験の短答式試験には足切り制度が採用されており、基準点を下回った場合は論文式試験を採点してもらえません。

そのため、短答式試験は足切りとしての機能や最終合格の判断として扱われる立ち位置として機能しています。

出題される科目

出題される科目は以下の3つです。

  • 憲法
  • 民法
  • 刑法

いずれも基本的な知識から専門性が求められると考えて良いでしょう。

科目はそこまで多くないですが、侮らずしっかり対策する必要があります。

配点と合格基準

司法試験の短答式試験の配点や試験時間などを表にしてまとめました。

科目 問題数 配点 試験時間
憲法 20問〜25問 50点満点 50分
民法 30問〜38問 75点満点 75分
刑法 20問〜25問 50点満点 50分

合格ラインは実施される年度によって異なりますが、6割〜7割の得点率で合格できるといわれています。

そのため、7割以上の正答率が達成できれば、短答式試験に合格できる可能性が高いといえるでしょう。

ただ、得点が4割に満たない科目がある場合は、合計得点が合格基準点を上回っていても不合格になってしまいます。

先述したとおり、短答式試験が合格点に満たなかった場合は、論文式試験の採点を受けることができません。

論文式試験

論文式試験は、基本的な法律の知識や法的な分析力や論述能力の有無を判定する試験です。

例年では、試験の1日目から3日目にかけて行われています。

出題されるすべての科目で六法が貸与されるので、それを見ながら論文を完成させます。

出題される科目

試験科目は以下の7つです。

  • 憲法
  • 行政法
  • 民法
  • 商法
  • 民事訴訟法
  • 刑法
  • 刑事訴訟法
  • 選択科目

なお、選択科目は以下の8つから選んで受験することになります。

  • 倒産法
  • 租税法
  • 経済法
  • 知的財産法
  • 労働法
  • 環境法
  • 国際関係法(公法系)
  • 国際関係法(私法系)

論文式試験では、最大8枚の解答用紙に文章で答案を作成します。

白紙に論文を作成しなくてはならないため、何をどれくらい書くのかを自分で判断する必要があります。

論文式試験の力は短期間で培うのが困難なので、早い段階から対策を打っておきましょう。

配点と合格基準

論文式試験の配点や試験時間については以下のとおりです。

科目 配点 試験時間
公法系科目(憲法・行政法) 200点満点 1問につき2時間ずつ
民事系科目(民法・商法・民事訴訟法) 300点満点 1問につき2時間ずつ
刑事系科目(刑法・刑事訴訟法) 200点満点 1問につき2時間ずつ
選択科目 100点満点 3時間

論文式試験の合格最低点は発表されていませんが、短答式試験を含めた総合得点820点前後が目安になるでしょう。

そのため、短答式試験で120点の場合は700点程度で合格できると考えられます。

とはいえ、合格最低点は実施年度によって異なるため、なるべく高得点を獲得するにこしたことはありません。

また、論文式試験にも足切りラインが存在し、満点の25%に満たない科目がある場合は、その時点で不合格になります。

最終的な合否の判定は、以下の算式で算出した総合得点を元に行われます。

【総合得点の算式】
短答式試験の得点+(論文式試験の得点×1400/800)

これで算出した総合得点が合格点以上であれば、司法試験に合格したことになります。

司法試験の問題の例から特徴や傾向

司法試験の問題の例から特徴や傾向

司法試験では3科目の短答式試験と8科目の論文式試験が出題されます。

4つの試験科目の特徴をつかみ、それらを把握することで試験対策が立てやすくなります。

試験対策を効率的に行うためにも、試験の特徴や傾向についてみていきましょう。

短答式試験の特徴や傾向

短答式試験はマークシート形式なので、マークミスが起こらないよう気をつけるのが前提です。

憲法、民法、刑法に分けて特徴や傾向について解説していきます。

例題も紹介しているので、挑戦してみてください。

憲法

憲法の短答式試験は20問を50分で解くことになるため、1問あたり2.5分で解答する必要があります。

憲法は1問あたりの選択肢が3つであることが多く、以下のような出題形式が多い傾向にあります。

  • 正しいものに◯、謝っているものに×の組み合わせを選ぶ
  • 正しいものに1、謝っているものに2をマークする

中には部分点を配点する問題もあるので、比較的点数が取りやすいかもしれません。

【例題】
[憲法] 〔第1問〕(配点:3)
外国人の人権に関する次のアからウまでの各記述について,bの見解がaの見解の根拠となって いる場合には1を,そうでない場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[No.1]か ら[No.3])
ア.a.国は,在留期間中の憲法の基本的人権の保障を受ける行為を在留期間の更新の際に消極 的な事情としてしんしゃくすることができる。 b.外国人に対する憲法の基本的人権の保障は,外国人在留制度の枠内で与えられているに すぎない。[No.1]
イ.a.憲法第93条第2項の「住民」と,憲法第15条第1項の「国民」とは統一的に理解さ れるべきであり,憲法第93条第2項の「住民」は,日本「国民」であることがその前提 となっている。 b.地方公共団体の政治・行政は,国の政治・行政と互いに関連しており,地方公共団体が 国の事務を処理することもある。[No.2]
ウ.a.憲法第22条第2項は,「何人も」との文言を用いているため,国籍離脱の自由は,我 が国に在留する外国人にもその保障が及ぶ。 b.憲法による基本的人権の保障は,権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解 されるものを除き,我が国に在留する外国人に対しても等しく及ぶ。[No.3]

引用:法務省「令和2年司法試験問題」短答式試験 憲法

民法

民法は36問〜37問を75分で解くことになるため、1問にかけられる時間は2分程度です。

憲法や刑法に比べると時間的にはシビアですが、シンプルな問題形式が多いのが特徴です。

正しいものを選ぶものや謝っている組み合わせを選ぶものなど、慣れやすい形式の出題方法が多くみられます。

ただ、問題文の指示を間違えると、解答は合っているのに得点にならない場合があります。

そのため問題文を先読みせず、しっかり読み込んで答えを出すようにしましょう。

【例題】
[民法] 〔第1問〕(配点:2)
補助に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から 5までのうちどれか。(解答欄は,[№1])
ア.家庭裁判所は,精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分であり保佐開始の 原因がある者についても,補助開始の審判をすることができる。
イ.本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには,家庭裁判所が相当と認める場合を 除き,本人の同意がなければならない。
ウ.補助開始の原因が消滅したときは,家庭裁判所は,職権で補助開始の審判を取り消すこと ができる。
エ.補助人の同意を得なければならない行為について,補助人が被補助人の利益を害するおそ れがないにもかかわらず同意をしないときは,家庭裁判所は,被補助人の請求により,補助 人の同意に代わる許可を与えることができる。
オ.家庭裁判所が特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判をした場合であ っても,被補助人は,その法律行為を自らすることができる。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ

引用:法務省「令和2年司法試験問題」短答式試験 民法

刑法

刑法は20問を50分で解くことになり、1問あたり2.5分かけられます。

憲法と同じ問題数と制限時間ですが、刑法の方が問題文が多く選択肢も5つある傾向にあります。

問題文を読むのが苦手な人にとっては時間がないと感じる場合もあるでしょう。

出題形式は多様化しており、事案を読んで解答するものや正しいものの組み合わせ、謝っているものを選ばせるものなど、幅広い出題形式に対応しなくてはなりません。

中には、会話形式で穴埋め問題が出題される場合があります。

なるべく複数の過去問を解いて、幅広い問題形式に慣れておきましょう。

【例題】
[刑法] 〔第1問〕(配点:2)
次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか。(解答欄 は,[No.1])
1.甲は,Xに対し,暴行や脅迫を用いて,自殺するように執拗に要求し,要求に応じて崖から 海に飛び込んで自殺するしかないとの精神状態に陥らせた上で,Xを崖から海に飛び込ませて 死亡させた。この場合,甲に,Xに対する殺人罪は成立しない。
2.甲は,追死する意思がないのにあるように装い,その旨誤信したXに心中を決意させた上で, 毒物を渡し,それを飲み込ませて死亡させた。この場合,甲に,Xに対する殺人罪は成立しな い。
3.甲は,財物を奪取するために,当該財物の占有者Xに対し,反抗を抑圧するに足りる程度の 暴行や脅迫を用いて,当該財物を差し出すしかないとの精神状態に陥らせた上で,当該財物を 差し出させた。この場合,甲に,Xに対する強盗罪は成立せず,窃盗罪の間接正犯が成立する。
4.甲は,日頃から暴行を加えて自己の意のままに従わせて万引きをさせていた満12歳の実子 Xに対し,これまでと同様に万引きを命じて実行させた。この場合,Xが是非善悪の判断能力 を有する者であれば,甲に,窃盗罪の間接正犯は成立せず,Xとの間で同罪の共同正犯が成立 する。
5.甲は,Xが管理する工事現場に保管されている同人所有の機械を,同人に成り済まして,甲 をXであると誤信した中古機械買取業者Yに売却し,同人に同機械を同所から搬出させた。こ の場合,甲に,Xに対する窃盗罪の間接正犯が成立する。

引用:法務省「令和2年司法試験問題」短答式試験 刑法

論文式試験の特徴や傾向

論文式試験はかなり問題文が長く、2時間〜3時間かけて論文を完成させます。

書くべき答案の枚数は最大8枚で、白紙が配られます。

そのため、何をどこまで書くのかどれくらいのボリュームで終わらせるのかなど、全て自分の裁量次第で決まります。

また、行政法や民事訴訟法の場合は、会話形式をガイドラインとして答案を書くなど、独特な出題形式がみられています。

論文式試験は時間をかけて対策することや、第三者からの添削を受けることが重要です。

司法試験に合格するための準備5つ

司法試験に合格するための準備5つ

司法試験では幅広い科目の対策が必要になります。

そのため、効率的に勉強を進めていかなくてはなりません。

ここからは司法試験に合格するためにできる準備について解説していきます。

これから司法試験の勉強を始める人は、効率的に勉強を進めるためにも取り入れてみてください。

勉強時間をしっかり確保しよう

司法試験に合格するための平均学習時間は約8,000時間と言われています。

この時間を満たせば合格できるというわけではありませんが、これから司法試験合格を目指すのであれば、毎日勉強するくらいの時間を確保しておきましょう。

まとまった時間を確保するのも大事ですが、隙間時間の活用も重要です。

例えば、通勤や通学の移動時間、寝る前のベッドでの時間、仕事や学校の休み時間などを活用してみましょう。

短時間での勉強になるため、短答式試験の対策や暗記などを行うと良いでしょう。

帰宅後などまとまった時間が確保できた場合は、論文式試験の対策など、時間がかかる問題に取り組むのがおすすめです。

学習環境を整えよう

勉強する時間が確保できたら、学習環境を整えていきましょう。

家で勉強できる場合は良いですが、そうでない場合や集中できない場合は、他の場所を確保する必要があります。

例えば、図書館や自習室、学習スペースを開放している場所などを活用してみましょう。

社会人の場合は会社の近くにそういったスペースを確保しておいても良いかもしれません。

また、予備校にも自習室やロッカーが設置されている場合があります。

教材の持ち運びが困難である場合は、ロッカーに荷物を置いておいて自習室で勉強するのも良いでしょう。

最も集中できる学習環境を整えるのが重要です。

最新の六法を手に入れよう

司法試験に取り組むのであれば、最新版の六法を手に入れましょう。

これがないと始まらないといっても過言ではありません。

ポケット六法やデイリー六法など持ち運びやすい小型のものでも良いでしょう。

また、法律は日々アップデートされるため、最新版の六法を常に購入してください。

基本情報をゲットできる参考書を手に入れよう

司法試験の勉強を始めるにあたって法律知識をインプットする必要があります。

そのため、基本的な知識をゲットできる教材やテキストを手に入れましょう。

入門書や基本書などを使うのがおすすめですが、予備校や通信講座を使う場合は用意されている可能性が高いです。

過去問などの問題集を手に入れよう

参考書等でインプットした法律知識は、問題集を使ってアウトプットする必要があります。

ここで必要になるのは、過去問や演習例題が載っている問題集です。

これらを購入して、問題に慣れていきましょう。

問題集もまた、予備校や通信講座を使う場合は用意されている可能性があります。

過去問集を購入する場合は、なるべく多くの過去問が掲載されているものを選びましょう。

また、過去問の解説がわかりやすいものを選ぶのも重要なポイントです。

司法試験合格に向けたおすすめの勉強方法5つ

司法試験合格に向けたおすすめの勉強方法5つ

勉強時間の確保や環境の整備が完了したら、早速勉強を始めていきましょう。

ここからは、司法試験合格に向けたおすすめの勉強方法について5つ解説していきます。

勉強の仕方がわからない人や効率の良い勉強方法を知りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。

条文を読み込む

六法に載っている条文を読み込むのは基本中の基本です。

条文は全ての出発点であり、これに紐づけて知識や思考力を身につけていく必要があります。

全てを暗記する必要はありませんが、条文をもとに知識や論証を整理しておくことで、正確に問題を解くことが可能です。

つまづいた問題があったら解説を読むのと同時に条文にも目を通すようにしましょう。

事実関係を条文を往復しながら、知識やスキルを身につけていくことが重要です。

法的三段論法で考える癖をつける

法的三段論法は法律を扱う人の思考回路です。

三段論法は大前提と小前提から結論を導き出す推論の仕方で、法的三段論法は法規の適用において用いられる論法です。

法的三段論法は以下のような流れで行います。

  1. 大前提:法規(条文やその解釈によって定立される規範など)
  2. 小前提:具体的事実
  3. 結論:法適用の結果

この流れで考える癖をつけておくことで、司法試験合格後にも役立つ知識やスキルを身に付けることが可能です。

慣れないうちは難しいかもしれませんが、少しずつ考え方に慣れるようにしていきましょう。

全体的な概要から細かい知識を身に付ける

全体的な概要から細かい知識を身に付ける流れを意識しましょう。

このサイクルを活用して勉強する段階から身につけておくことで、条文や知識の関係性などを把握することが可能です。

  1. 体系的な全体像を把握する
  2. 論文を書いて知識を補充する
  3. 全体像を見直して書き直してみる

法律は1つの条文や事案だけでは完結しないため、複数の条文の関係性や位置付けを把握しておくことが重要です。

また、知識から先に身につけようとするとキリがありません。

そのため、まず全体像を把握して、問題を解くなどする中で細かい知識を身につけていく流れが効率的です。

ある程度の知識が身についたら、過去問や問題集などを使って全体像を把握してみましょう。

良い回答を見てインプットする

司法試験合格者が書いた答案や、見本となる答案は真似するようにしましょう。

良い回答の見極め方は以下のとおりです。

  • 法的三段論法の表現方法
  • 段落分けの仕方
  • 事実の使い方

法的三段論法をどう使っているのかや段落分けの仕方は、読みやすい文章を作るのに役立ちます。

論文式試験では、書いた文章が相手に伝わりやすいよう書くことも重要なポイントです。

また、事実に法律を解釈して適用する必要があります。

そのため、どうやって事実分析を行い、どのような観点から評価を加えているかをみるようにしましょう。

良い回答がわからない場合は、合格者が書いた回答を参考にしてみると良いでしょう。

答案の添削を受けてみる

自分が書いた答案は、第三者目線で添削してもらいましょう。

独学で行っていると、表現の癖や書き方の癖がついてしまうことがあります。

フラットな状態で論文に取り組めるように、合格者やプロの人に見てもらいましょう。

予備校や通信講座を申し込む場合は、論文の添削が受けられるかどうかもチェックする必要があります。

【試験科目別】司法試験に合格するためのコツ

司法試験に合格するためのコツ

ここからは科目別に司法試験に合格するためのコツを解説していきます。

司法試験の出題範囲は広いため、科目ごとに効率良く勉強しなくてはなりません。

民事系科目の攻略方法

民法は私法のベースとなる法律であるため、1番最初に勉強するのがおすすめです。

民法は出題量が多いのもあり、勉強時間が必要になるのも理由の1つです。

民法に関連する民事訴訟法や会社法なども併せて勉強しておくと良いでしょう。

勉強をするときは、完璧を目指すのではなく、一旦範囲を全て終わらせる意識で始めましょう。

1周目で全てを把握することはできないため、おおよその知識を身につけたら次の学習を始めるのがおすすめの勉強方法です。

何周もすること、他の科目と併せて知識を深めることが攻略のコツです。

刑事系科目の攻略方法

刑法では、犯罪の成否を検討するような問題が多く出題され、身近なニュースで触れるような題材が扱われます。

比較的想像しやすい内容で興味が湧きやすいので、初心者でも始めやすいはずです。

また、刑法の答案にはパターンがあり、罪責を論ぜよという出題が多いです。

この場合は以下の順序で答案が作成できます。

  1. 構成要件該当性
  2. 違法性
  3. 責任

これに当てはめて考えていけば、答案作成は難しくありません。

刑事訴訟法は、刑法で学んだ知識を前提として、刑法に規定されている犯罪の刑罰権を実現するための知識という位置付けです。

刑法の知識が基本となるので、刑法を学んだ後の発展として刑事訴訟法に取り組むのがおすすめです。

刑事訴訟法を学ぶときは、民事訴訟法との違いに着目して勉強するのも定着しやすい方法でしょう。

公民系科目の攻略方法

憲法は法分野の上位に位置する規範です。

司法試験対策をするなら、出題数が多い人権分野からするのがおすすめです。

人権分野や統治分野において違憲かどうかを問われる問題が多く出題される傾向にあります。

憲法が上位の規範であるなら早く勉強したほうが良いのではと思うかもしれませんが、抽象的な規定が多く、初心者だと理解できないかもしれません。

そのため、民法や刑法などである程度法律の知識を身につけたあとで勉強するのがおすすめのタイミングです。

憲法は具体的な事例の中で主張される法律であることから、他の知識を身につけておくと具体的なイメージが湧きやすくなるでしょう。

また、行政法で出題される事例は憲法とも似たところがあるため、一緒に勉強すると効率が良いといえます。

行政法は、公権力が私人の権利や利益を侵害している場合に適用される法律です。

憲法のイメージが掴みにくいと悩んでいる人は、行政法から先に取り組んでみても良いかもしれません。

選択科目の攻略方法

選択科目については法律基本科目を一通り終えてから勉強する流れで良いでしょう。

早い段階から選択科目に取り組んでも、知識やスキルが身に付いていないため問題を解くのは困難なはずです。

どの選択科目も他の法律がベースになっているので、ゼロからの学習にはなりません。

安心して、基本科目から勉強を始めていきましょう。

司法試験を受けたいならやってはいけない行動3つ

司法試験を受けたいならやってはいけない行動3つ

司法試験は効率よく勉強を進めていくことが重要です。

ここからは、司法試験対策でやってはいけないことについて解説していきます。

勉強をする上でこれらは避けるようにしましょう。

条文を読まないで勉強する

法的三段論法の大前提部分が欠落してしまうため、条文を読まないのは避けましょう。

法律家からすると、条文は共通言語ともいえます。

その言語無くして自分の主張が通ることも相手の主張を読み取ることもできないでしょう。

知識を身につけるためにも、解釈をするためにも、条文はこまめにチェックすることが大事です。

実際の論文式試験では六法を参照することが可能なので、条文から知識や考え方を想起できるようにしておくと有利です。

どんな問題でも一定の解答を導き出せるよう、条文を読まないで勉強するのはNGです。

スケジュールを組まずに勉強する

先述したとおり、司法試験は試験内容が幅広く、効率的な勉強が重要になります。

そのため、スケジュールを組まずに闇雲に勉強するのは避けましょう。

予備校や通信講座であればスケジュールが組まれている可能性がありますが、その他の時間で勉強するときは自分でスケジュールを組まなくてはなりません。

試験の時期や進捗に合わせて無理のない計画を立てましょう。

アウトプットせずにインプットだけする

知識や理論だけをインプットしていても、試験で活用できる知識にはなりません。

法律は具体的な事実に対して適用することで機能するため、インプットをするだけでは機能させることができません。

暗記や知識を学ぶことも重要ですが、過去問や問題集を使ってアウトプットしていきましょう。

特定のケースだけでなく、幅広い事例に対応できる応用力を身につけておきましょう。

司法試験の内容にまつわるよくある質問5つ

最後に司法試験の内容にまつわるよくある質問に答えていきます。

司法試験について疑問を持っている人は、ぜひ活用してみてください。

1.司法試験の勉強にかかる時間はどのくらい?

先述した通り、司法試験の勉強にかかる時間は3,000時間〜8,000時間と言われており、中には10,000時間かけた人もいるそうです。

かなり幅があるため、時間がかかることは当たり前だが個人差があるということがわかります。

何時間勉強したら合格できるというわけではないので、コツコツ継続して学習する必要があるでしょう。

司法試験に受かるためには、何年間も勉強することになるかもしれません。

2.独学でも勉強できる?

独学で勉強できないとは言い切れませんが、非常に困難な道であるといえるでしょう。

費用面や自分のペースで勉強できる点について大きなメリットがありますが、デメリットも大きい方法です。

考えられるデメリットは以下のとおりです。

  • スケジュールを立てるのが難しい
  • 疑問をすぐに解決できない
  • 論文式試験の添削が受けられない
  • モチベーションが維持しづらい

試験範囲が広く、長期にわたって勉強する必要があるため、効率的な勉強と気力が必要になります。

独学が難しいと判断したら、予備校や通信講座の利用を検討してみても良いでしょう。

3.司法試験は口述試験がある?

旧司法試験には口述試験がありましたが、現在の司法試験には口述試験はありません。

ただ、予備試験では口述試験が実施されています。

4.司法試験の難易度はどれくらい高い?

司法試験は国家資格の中でも非常に難しい試験で、最難関ともいわれています。

しかし、実際の合格率は30%〜40%とそこまで低くありません。

ただ、司法試験を受験するためには先述した受験資格を獲得する必要があり、ここまでも狭き門です。

そのため、受験資格獲得なども加味すると、合格率は3%〜4%程度だといえるでしょう。

この数字であれば、国内最難関の試験といっても過言ではありません。

5.予備試験との違いは?

予備試験は、「法科大学院を修了した者と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎素養を有するかどうかを判定する」ための試験です。

現在の司法試験を受験するためには、いずれかの要件を満たす必要があります。

  • 法科大学院を修了する
  • 在学中に一定の要件を満たす
  • 予備試験に合格する

そのため、予備試験は司法試験を受けるために必要な通過点であるといえます。

その他の違いは以下のとおりです。

  • 予備試験には受験資格がない
  • 予備試験には受験期間制限がない
  • 試験内容が異なる

司法試験と比べて予備試験の方が難易度が高いといわれているので、心得て勉強するようにしましょう。

司法試験の内容は幅広いから時間を確保して対策しよう

司法試験の内容は幅広く、難易度が非常に高い試験です。

そのため、勉強できる時間を確保して効率良く学習を進めていかなくてはなりません。

科目ごとに要点を押さえたり、考え方を工夫したりして、知識やスキルを確実に身につけていきましょう。

司法試験は長い戦いになると心得て、コツコツと勉強するのが合格につながる道です。

効率の良い勉強方法を取り入れて、ぜひ合格を勝ち取ってください。

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