公認会計士の難易度は高い?受かる勉強方法や難易度の秘密を解説します!

「公認会計士ってやっぱり難易度が高いのかな…」
そうお考えではありませんか?

公認会計士は受験資格がなく、年齢学歴問わず誰でも受けることが可能な資格です。
しかし、行政書士や弁護士など他の士業同様、国家資格でもトップクラスの難易度といわれています

公認会計士試験の難易度、またなぜ難しいのか、もし挑戦するならばどのような勉強方法があるのかなどを詳しく解説します。

>>公認会計士はやめとけ!なぜ?

(※)本記事での合格率は、金融庁の「令和3年公認会計士試験の合格発表の概要について」より算出しています。

公認会計士の合格率は10%前後

公認会計士の合格率は10%前後

金融庁によると、2021年の公認会計士試験における全体の合格率は9.6%でした。

同じく国家資格である司法書士の合格率が2,8%であることを考えると、「正しく努力すれば合格できる」資格であるといえます。

しかしながら、並大抵の努力では受かりにくいというのが実情です。

▮合格者数

全体 男性 女性 合格率
1,360人 1,063人 297人 9.6%

公認会計士が難しいといわれる2つの理由

公認会計士が難しいといわれる2つの理由

前述した10%の合格率をみて分かる通り、公認会計士は難易度の高い国家資格です。

特に難しい要素としては、以下2点があげられます。

1.短答式4科目・論文式5科目と科目数が多い

公認会計士は短答式4科目・論文式5科目と、かなり広い範囲が求められます。

もちろん選択科目以外はすべてを勉強する必要があるため、長い勉強時間が必要です。

▮公認会計士試験出題範囲

必須科目 選択科目(1科目を選択)
一次試験(短答式) 管理会計論、財務会計論、監査論、企業論
二次試験(論文式) 会計学(財務会計論・管理会計論)、監査論、租税法、企業法 経営学、経済学、民法、統計学

(※)参考:公認会計士試験に関するQ&A – 金融庁

全ての科目を記憶することはほぼ不可能であり、覚える問題と捨てる問題を選択する判断力が必要です。

2.満遍なく全科目で点数を取る必要がある

公認会計士の試験では、得意な科目だけに特化すればよいわけではなく、1科目でも平均比率が40%未満であれば不合格になります。

公認会計士の試験別合格率は短答式試験が16%に対し、論文式試験が34%です

論文式の合格率は高く見えますが、短答式でふるいに掛けられた上での合格率であり、容易ではないことが分かります。

また、論文式試験の合格点は偏差値により毎年推移し、決まった合格ラインが存在しません。
令和3年の論文式試験では51.5%以上の得点比率(※)が必要でした。

さらに、試験期間を3日間設けており、各日2科目をそれぞれ2時間ずつを乗り切る体力と集中力が求められます。

どれか1科目でも平均比率を下回れば不合格になるため、即座に解答できるだけの質の高いインプット量と思考能力が必要です。

公認会計士の難易度は他国家資格と比べて高くない

公認会計士の難易度は他国家資格と比べて高くない

他の主な国家資格と合格率を比べると、比較的高くはありません。

公認会計士の合格率が9.6%であるのに対し、司法書士・税理士の合格率は5%を下回っています。

▮国家資格合格率比較(令和3年)

受験者数 合格者数 合格率
公認会計士 14,192人 1,360人 9.6%
司法書士 11,925人 613人 5.1%
税理士(一部科目合格を含む) 27,299人 585人(5,139人) 2.1%(18.8%)
行政書士 47,870人 5,353人 11.18%

(※)参考:令和3年公認会計士試験の合格発表の概要について、令和3年度司法書士試験の結果について、令和3年度(第71回)税理士試験結果、令和3年度行政書士試験/都道府県別試験結果一覧

一方で、公認会計士の平均合格年齢は「24歳」と、大学在学時~卒業直後にて取得した人がほとんどです。

まとまった勉強時間が必要なことから、社会人にとってはかなり難易度が高いとも考えられます。

>>食っていけるおすすめ国家資格を見てみる

公認会計士の合格者の傾向分析

公認会計士の合格者の傾向分析

次に、公認会計士の合格者の内訳傾向を分析していきます。

年齢別にみる合格者の傾向-平均合格年齢は24.5歳

金融庁(※1)によると、2021年度における合格者の平均年齢は24.5歳でした。

推測として、大学在学中あるいは卒業後すぐに取得しているとみられます。

▮年齢別合格者調べ

出願者数 合格者数 合格率
20歳未満 270人 12人 4.4%
20歳以上25歳未満 6,403人 873人 13.6%
25歳以上30歳未満 3,056人 297人 9.7%
30歳以上35歳未満 1,710人 110人 6.4%
35歳以上40歳未満 1,099人 44人 4.0%
40歳以上45歳未満 655人 15人 2.3%
45歳以上50歳未満 399人 6人 1.5%
50歳以上55歳未満 270人 2人 0.7%
55歳以上60歳未満 157人 0人 0.0%
60歳以上65歳未満 85人 1人 1.2%
65歳以上 88人 0人 0.0%

(※2)参考:令和3年公認会計士試験 合格者調査

上記でも分かる通り、幅広い年齢の方がチャレンジしており、合格者の最低年齢は19歳、最高年齢は60歳です。

(※1)参考:令和3年公認会計士試験の合格発表の概要について

大学学部在学者・卒業者の割合が多い

合格者の割合としては、大学の学部在学者・卒業者の割合が多いです。

大学在学中のまとまった時間を生かして、資格取得している方が多いようです。合格率も高くなっています。

どうしても科目数が多いため、まとまった時間が必要だということがわかります。

▮学歴別合格者調

区分 願書提出者 合格者 合格率 合格者構成比
大学院修了 831人 51人 6% 3.7%
会計専門職大学院修了 637人 32人 5% 2.4%
大学院在学 97人 11人 11% 0.8%
会計専門職大学院在学 115人 5人 4% 0.4%
大学卒業(短大含む) 6,374人 567人 8% 41.7%
大学在学(短大含む) 4,415人 604人 13% 44.4%
高校卒業 1,367人 75人 5% 5.5%
その他 356人 15人 4% 1.1%

※参考:令和3年公認会計士試験 合格者調査

公認会計士の試験概要

公認会計士の試験概要

公認会計士の資格試験は短答式試験と論文式試験という2種類の試験を受ける必要があります。

短答式試験は年に2回開催されており、いずれか1回の試験に合格すると論文式試験の受験資格を得られます。
論文式試験は年に1回の開催です。

▮公認会計士の資格試験要項

内容 詳細
試験日程
  • 第1回短答式試験:令和3年12月12日
  • 第2回短答式試験:令和4年5月29日
  • 論文式試験:令和4年8月19日〜8月21日
受験資格 なし
出題範囲
  • 短答式試験:管理会計論・財務会計論・監査論・企業法
  • 論文式試験(必須):会計学・監査論・租税法・企業法
  • 論文式試験(1科目選択):経営学・経済学・民法・統計学
受験手数料 19,500円
申し込み方法 郵送、インターネット

※参考:令和4年(2022年)試験について | 日本公認会計士協会、公認会計士試験に関するQ&A – 金融庁

短答式試験に合格して論文式試験に不合格であった場合は、該当する短答式試験の合格発表日から起算して2年経過するまでに開催される短答式試験は免除されます。

公認会計士取得までの流れ

公認会計士取得までの流れ

公認会計士は試験に合格すればすぐになれる資格ではありません。試験に合格してから公認会計士として登録する必要があります。

公認会計士になるまでの流れ
  1. 公認会計士(短答式試験)合格
  2. 公認会計士(論文式試験)合格
  3. 2年実務経験
  4. 補習所に通学して単位取得
  5. 修了考査を受けて合格
  6. 内閣総理大臣の確認をもらう
  7. 公認会計士登録

また、2年の実務経験と補習所の通学は同時進行が可能です。

公認会計士取得の学習方法比較!最適なのはどれ?

公認会計士取得の学習方法比較!最適なのはどれ?

公認会計士を取得するにあたって、予備校に通うか独学で学ぶかで、かかる費用と時間が異なります。

ご自身の状況を考慮に入れた上で最適な方法を選びましょう。

費用 学習時間 メリット デメリット
スクール(通学) 45万円〜85万円 3,000時間〜4,000時間
  • 学習計画や合格までの期間がはっきりする
  • 講師・生徒と交流しモチベーションを保てる
  • 費用が高い
通信講座 45万円~55万円 4,000時間~5,000時間
  • 予備校とほぼ同じ内容で安く受けられる
  • すぐに質問できない
  • 忍耐力が必要
独学 1万円~3万円 4,000時間以上
  • 費用を大幅に抑えられる
  • 自分のペースで勉強できる
  • 忍耐力が必要
  • 最大限に効率化できない可能性がある

1.予備校・スクール

公認会計士は難易度が高く、問題範囲が広いため予備校(スクール)に通うことが一般的です。

予備校に通うことで合格までの期間と学習計画がはっきりします。

講師や同じく公認会計士を目指している方との交流を通してモチベーションを保ちやすくなるメリットもあります。

〇メリット

  • メジャーな方法を取れる
  • モチベーションを保ちやすい
  • 学習期間や計画をプロと一緒に建てられる

×デメリット

  • 費用が高くつく

費用

スクールでかかる費用は、おおよそ45万円~85万円です。

スクールを利用した場合かかる費用
45万円〜85万円

金額の差はサポート内容が充実度によって変わります。

スクールによっては、対面式の質問応答を行っていないこともあるため確認が必要です。

学習時間

スクール・予備校に通った場合、必要な学習時間は3,000時間~4,000時間です。(※)

1年間で合格を目指すとすると、毎日10時間の勉強が必要です。

スクールを利用した場合にかかる学習時間
3,000時間〜4,000時間

>>公認会計士の勉強時間を詳しく知る

平日に働きながら取得を目指す場合は、2年間の時間が必要です。

たとえば、平日週5で働きながら公認会計士試験の勉強をした場合、平日に3時間・休日に8時間の週30時間勉強したと想定します。
すると、月120時間、年に約1,500時間になり、2年で3,000時間に到達する計算です。

(※)参考:公認会計士試験の勉強時間はどのくらい必要?|資格の学校 TAC

2.通信講座

費用を抑えたい場合、通信講座を利用する手もあります。予備校と同じ内容の授業を受けられることも多く、かなりコスパが良いといえるでしょう。

〇メリット

  • 予備校に比べて費用を抑えられる
  • 授業内容は予備校と同じレベルになる

×デメリット

  • すぐに質問できる環境ではない
  • 独学同様、自分のコントロールが必要

費用

通信講座でかかる費用は、おおよそ45万円~55万円です。

通学型の予備校・スクールと比べて安くはなるものの、書籍のみでの勉強と比べるとどうしても高くなります。

通信講座を利用した場合かかる費用
45万円~55万円

またサポートの内容によっても費用は異なります。随時質問できる手厚いサービスがついている場合、高くなることも多いです。

学習時間

スクール・予備校に通った場合、必要な学習時間は5,000時間~6,000時間です。

1年間で合格を目指すとすると、毎日12時間~14時間の勉強が必要です。

スクールを利用した場合にかかる学習時間
5,000時間〜6,000時間

>>公認会計士の勉強時間を詳しく知る

どうしても予備校と自己学習の時間が長くなりやすいことから、必要な学習時間は長くなります。

3.独学

公認会計士を独学で挑戦するならば、長期にわたって勉強することになるため、相応の忍耐が必要です。

その反面、コストを抑えられたり、自分のペースで学習できたりなどのメリットもあります。

〇メリット

  • 予備校・通信講座と比べて費用を断然抑えられる
  • 自分のペースで勉強できる

×デメリット

  • 自分で学習計画を立て、自立して勉強する必要がある
  • すぐに講師に質問できない

費用

独学で勉強する場合、費用は1万円~3万円かかります。

書籍をすべて購入しても、3万円届くか届かないくらいでしょう。予備校と比べると、費用がかなり割安です。

独学で勉強した場合にかかる費用
1万円~3万円

どのテキストを購入するか、どれだけ購入するかによって金額は変わります。

学習時間

独学で勉強する場合、4,000時間以上かける必要があると考えましょう。

独学で勉強した場合にかける時間の目安
4,000時間以上

独学の場合、スクールよりも学習効率が落ちるため、4,000時間はかかります。

また、独学だと質問できる方がいないため、実際はさらに時間がかかることを想定しておいた方がよいでしょう。

短答式科目別の学習ポイント

短答式科目別の学習ポイント

短答式試験4科目ごとの勉強プランを紹介します。
今後公認会計士の勉強を始める際にご参考ください。

財務会計論

500点ある短答形式の問題のうち、財務会計論の配点は200点です。
大きなウエイトを占めており、必ず押さえておきたい範囲です。
問題内容は簿記が中心です。

テキストを読み込む時間よりも計算にかかる時間が大きく、試験範囲が広いため、多くの時間を費やす必要があります。
とにかく計算を解くことに専念し、見ただけですぐに手が動くレベルに達するまで、何度も繰り返すことが重要です。
仕訳や解き方はある程度計算に慣れてから覚えるようにしましょう。
そうすることで、理解力が格段に上がります。

財務会計論は点数の比率が大きい。
計算を素早く仕上げることが重要。

管理会計論

管理会計論の問題は原価計算と管理会計が出題されます。

原価計算は理解すれば、誰でもクリアできる問題です。
しかし、計算に時間がかかり試験時間内に収めることが難しく、点数を落としやすい箇所でもあります。
解くスピードを上げられれば、確実に点数が取れます。

勉強方法として、計算問題の実践で反復しつつ、同時進行で理論を学ぶとよいでしょう。
最終的には本を見ることなく、理論と解き方が思い浮かぶようになることが理想です。

管理会計において原価計算とは実践よりも理論を重視します。
理解をスムーズにするためには、基本の用語を確実に覚えることが大切です。
その後「問題集を解いて、テキストを確認」を繰り返すことで理解が深まります。

原価計算は「計算速度」を重視する。
管理会計は「用語の意味」を確実に覚える。

監査論

監査論を解くには「監査基準」と「委員会報告書」に記載されている知識が必要です。
監査論には計算問題がなく、勉強範囲も他の科目と比べて狭い分、実務に直結した深い知識を問われます。

そのため、実務経験がない方は、理解に時間がかかる可能性が高く、公認会計士の勉強では早めにインプットとアウトプットを反復しておく必要があります。

監査論を解くには早期の着手が不可欠。

企業法

企業法は、公認会計士の科目でも数少ない法律系の科目にあたります。
企業法でメインに扱う法律は「会社法」です。
その他、「商法」と「金融商品取引法」の一部が出題範囲に関わってきます。

企業法は、論文式・短答式両方で出題されます。
また、条文の細かい言い回しまで正確な暗記が求められ、平均点も高くなりやすい科目であります。
そのため、取りこぼしがないよう、合格点を確実に取ることが求められるでしょう。

精度の高い暗記が求められる。

論文式科目の選択ポイント

論文式科目の選択ポイント

論文式は短答式と異なり、丸暗記だけで乗り越えることは不可能です。
自分が何について書いているのかを把握していなければ、論述の一貫性を保つことが難しくなります。
明確な採点基準がない反面、要点を抑えておけば点数を稼げます。

会計学(必須)

会計学の計算は問題によって難易度の差があります。

時間がかかる難しい問題は最初から切り捨てて、解ける問題を確実にする方法が効率的です。
過去の問題集を遡り、近年出題されていない論点も切り捨てる対象とみてよいでしょう。
頻出して出題される問題に絞ることで、効率よく正答率を上げられます。

理論問題は問題集を早く回転させることで、何度も繰り返し論点に接する機会を増やすと記憶が定着します。

会計学は解ける問題を確実に解く。
倫理問題は素早く問題集を回す。

監査論(必須)

監査論は、理論の全てをまるごと覚えるのではなく、重要な箇所を要約して覚えておくことで、短時間で効率よく多くの論点を覚えることが可能です。

理論の型を習得しておくことで、他の問題にも応用できます。
さらに問題集で頻出するポイントを押さえておけば、得点率が上昇します。

要点を押さえておけば、応用問題にも対応可能。

租税法(必須)

論文式租税法の問題は、理論よりも計算がメインです。
そのため、計算問題を反復する勉強が必要です。

租税法に含まれる税金は「法人税」「所得税」「消費税」です。
特に、法人税は上記3点で最も比重が大きいため、時間をかけて勉強する必要があります。

法人税と所得税で確実に点を取れれば問題ありません。
消費税は軽く押さえておく程度で、あまり深追いしないことが得策です。

基本は計算を中心に解き、条文を同時進行で覚える方法が最も効率の良い勉強方法です。

法人税の計算問題に比重を置く。

企業法(必須)

前述のとおり、企業法は正確な暗記が必須です。
企業法の暗記におけるコツはまず、条文を調べる習慣です。
何度も条文を見て調べるうちに、引用されやすい箇所を絞り込めて、条文の趣旨を理解するスピードが上がります。

条文の趣旨を覚えたら、次は問題提起から解答へ移る流れを覚えます。

問題提起から解答へ移る流れ
・問題がどこにあるのか
・何を問題とするのか
・どの規範を立てることで、この問題が解決できるか

上記のように一つひとつの問題に対し、あらゆる視野から切り口を入れることが重要です。

最後に、問題集を何度も解くことで条文や論点を覚え、一貫性のある文章が書けるようになることが理想です。

条文を引く習慣からはじめる。

経営学(選択)

論文式における経営学のポイントは、出題割合の大きいファイナンス論の計算を徹底して練習することです。
経営学は問題数が少なく難易度も低いため、問題集を解いてからテキストで解説を見るという基本の行動で十分に合格できます。
組織・戦略論は、ファイナンス論に比べるとあまり出題されませんが、最低限の基本を覚えておきましょう。

ファイナンス論の計算に重きを置く。

経済学(選択)

経済学は計算がメインです。
とはいえ、穴埋め問題も多数出題されるため、数学が苦手な方は語句を覚えることで点数を稼ぐ手段もあります。

経済学は数学のセンスを必要とするため、経済学は初学者にとってハードルが高い問題です。
そのため、大学で経済学を専攻している方以外にとっては厳しい科目といえます。

公式に数字は出ていませんが、選択者数は他の科目に比べて少ないとみられています。
数学が得意な方は、競争率の低い経済学を選ぶことも選択肢の一つです。

計算問題を中心に学習する。

民法(選択)

民法の問題は計算よりも知識に重きが置かれています。
そのため、条文を要約し、暗記をメインの勉強としましょう。
さらに、問題として出題されそうな事例を調べ、問題提起から解決までの流れをスムーズに思い出せるようにしておきましょう。

民法は計算に頼れない分、他の選択項目より覚える量が多くなるため、選択科目として選ばない方がいます。
一方で、民法という大枠の概念を学ぶことで、企業法の基礎概念を詳しく理解できるメリットがあります。
また、民法は抽象度が高いため、一度学んでおくと他の士業の資格取得にも応用が効きやすいでしょう。

行政書士や宅建士などのように、民法の知識を必要とする資格を持っている方や、合わせて取得する予定のある方は選ぶ価値のある科目です。

条文を要約して暗記する。暗記量が膨大である。

統計学(選択)

統計学の論文式試験は計算問題が大半を占めており、計算の過程を論理式で説明する必要があります。
統計学は覚える量が少なく、計算問題さえ押さえておけば点数が取れます。
計算問題をひたすら解いて、その上で要点を押さえることが効率の良い方法です。

ただし、数字が苦手な方には不向きな科目のため、暗記でカバーできる科目を選択してもよいでしょう。

公式を暗記し、計算問題を繰り返す。数字が苦手な方は不向き。

公認会計士取得の学習ポイント

公認会計士取得の学習ポイント

公認会計士の資格を取得するために、何が必要なのかを調べました。
今後挑戦しようと決めている方はご参考ください。

学習計画と学習時間の確保

前述した資格の学校TACが集計したアンケートによると、公認会計士合格者の学習時間は平均3,664時間でした。

(※)参考:公認会計士試験の勉強時間はどのくらい必要?|資格の学校 TAC

効率のいい学習計画を立てることが、公認会計士の資格取得の第一歩です。

受験に専念できる方は1日5時間を勉強時間にあてたとして、3,500時間を1日5時間で割ると700日のため、およそ2年で3,664時間をクリアできます。
社会人であれば、平日2時間と土日5時間を勉強に費やして1週間で20時間、1か月を4週間として約43か月分、つまり約3年半かかる計算です。
この期間を目安に学習計画を立てるとよいでしょう。

学習期間
学生は1年から2年、社会人は3年半が目安

学習計画はスクールのカリキュラムに沿った内容で作ることが理想です。
独学で進めるのであれば、難関とされる論文を中心に進め、さらに前述した科目ごとに適した勉強方法を組み合わせると効果があります。

過去問と模擬試験の重要性

過去の問題集を利用することで以下のメリットを得られます。

過去問題集と模擬試験を利用するメリット
・試験の出題レベルが分かる。
・過去に遡ることで頻出される問題の傾向が分かり、膨大な出題範囲から的を絞った効果のある勉強が可能。
・実際に時間を測って過去問題や模擬試験を解くことで、時間をかける問題と素早くこなす必要のある問題が見えてくる。
・何度も解答することで、自分の得意な問題と苦手な問題が理解できる。

試験は年に一度しかありません。
「理解していたにもかかわらず時間が足りなかった」という事態を招かないように、過去問と模擬試験を利用しましょう。

苦手意識を徹底的に払拭

一度苦手意識を持ってしまうと、試験当日に該当する問題を見つけただけで緊張し、他の問題にも影響する可能性があります。
何が苦手なのかをはっきりと自覚した上で、なぜ苦手なのかを理解しなければなりません。

例えば、計算が苦手なのであれば、何度も繰り返し問題を解くことで苦手意識を減らすことが可能です。
理論で詰まるのであれば、基本的な要点を理解していない可能性があります。

そのような場合はスクールで苦手な分野のみを指導してもらう手段がおすすめです。
プロの講師ならば、つまづきやすい箇所や苦手な方の特徴を押さえているため、的確なアドバイスを受けられるでしょう。

公認会計士おすすめテキスト

公認会計士おすすめテキスト

全体的な試験範囲と難易度を理解するために、まず最初にスクールが出版している書籍を購入することは有効です。
その上で、苦手な科目や集中的に勉強したい科目を重点的にインプットしたい場合、個別に参考書籍を購入するとよいでしょう。

以下では、初学者でも読みやすく書かれている書籍を中心に紹介します。

>>公認会計士に合格できる通信講座を見てみる

財務会計論おすすめ書籍

佐藤信彦・河﨑照行・齋藤真哉・柴健次・高須教夫・松本敏史(2021)スタンダードテキスト財務会計論Ⅱ〈第14版〉―応用論点編
会計基準の基本的な基礎と解説について丁寧に解説しているテキストです。

公認会計士試験の試験委員をしていた方が作成しているため、実際に出題されやすい内容について詳細に記載されています。

管理会計論おすすめ書籍

岡本清・尾畑 裕・挽 文子・廣本 敏郎(2008)『管理会計』中央経済社
管理会計の基礎に始まり、財務諸表分析や予算、事業部の業績評価や意思決定など、管理会計論を学習するなら押さえておきたい内容が書かれています。

演習問題が豊富に記載されており、実践対策にも利用可能です。

インプットの補助におすすめ書籍

大蔵財務協会『令和3年 公認会計士試験用参考法令基準集(会計学)』
大蔵財務協会が発行している「法令基準集」には、論文式試験で利用される法令基準と同等の法令が記載されています。
原文に触れることで実際に出題される条文の言い回しに慣れておくことが重要です。

会計学・租税法・監査論・企業法の全4冊が出版されています。

公認会計士取得後のキャリアプラン

公認会計士取得後のキャリアプラン

公認会計士の資格を取得することで、その後のキャリアプランに多くの選択肢が生まれます。

資格取得後は監査法人や会計事務所で数年働くことが一般的です。
監査法人では海外事業を展開する企業もあります。

出向社員として選ばれることで、日系企業のコンサルティング業務や海外企業のマネジメントなど、グローバルな経験を積むことが可能です。
また、ダブルライセンスを取得することで、仕事の幅が広がります。

例えば、中小企業診断士の資格を取得することで、会計事務や監査業務だけではなく、経営法務や運営管理の相談など、経営者の視点をもったアドバイスができます。
さらに、公認会計士の資格を取得することで、行政書士の登録が可能です。

例えば、以下のような形で顧客に貢献できるでしょう。

公認会計士資格を用いて
・会社設立を手助けし、新設法人の税務顧問のポジションを獲得しやすくなる
・遺産分割の手続きと相続税の申告を、同時に請け負う

他にも勉強で得た知識を生かして、執筆業や講師業、コンサルタント業などの道もあります。

公認会計士についてよくある質問

公認会計士についてよくある質問

公認会計士とは何ですか?

公認会計士とは、主に監査や会計業務に携わる方を指します。

監査とは?

会社の経営状況に問題がないかを調査する作業です。
具体的には財務諸表や業務実績を収集し、決裁書の内容に虚偽がないかを調査し、問題がなければ監査証明書を作成します。

他にも税務やコンサルティングの業務も行います。

賃金構造基本統計調査や転職エージェントの調査をもとにすると、公認会計士の年収の目安は以下の通りです。

公認会計士の平均年収
700万円〜900万円

サラリーマンの平均年収である461万円(※)に比べると高い水準です。

また、専門知識を持つ難関国家資格で知られている公認会計士は、社会的な信頼を獲得しやすい資格です。
金融機関からローンを組む際にも大きな効果を発揮します。

さらに、大企業は監査を義務付けられており、監査の独占業務を持つ公認会計士は常に一定の需要がある職業です。

独占業務とは?

国家資格の内、資格保有者以外が行うことを禁じられている業務。

(※)平成30年分民間給与実態統計調査結果について|国税庁

公認会計士の勉強時間 まとめ

公認会計士の試験は非常に難易度が高く、合格するには多くの時間と費用を費やします。
合格までの長い勉強期間を支えるためには、強い意志と綿密に練られた学習プラン、合格した後の明確なキャリアプランが必要です。
非常に困難な道のりではありますが、資格取得後には強い権威性と信頼が得られます。
キャリアの選択肢が多く、安定した報酬が期待できる公認会計士の資格を目指してはいかがでしょうか。

>>公認会計士に必要な勉強時間とは?

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