「MBAはどうやって取得するの?」
「日本版と海外版で取得方法には違いがある?」
MBAを取得したいと思っている人は、このような疑問を持っている人もいるはずです。
この記事を読めば、MBAの取得方法や国内と海外の違いについても把握できます。
MBAは資格ではなく、大学院等で取得する学位のことなので、取得するためには大学院もしくはビジネススクールに通う必要があります。
試験合格にてMBA取得とはならないので注意しましょう。
この記事では、MBAの取得方法や国内版と海外版の違い、それぞれのメリットについて解説しています。
MBAの取得を検討している人や国内版と海外版MBAの差が気になる人はぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
「MBA」とは?
MBAは「Master of Buisiness Administration」の略称で、経営学修士を意味します。
先述した通り、MBAは試験に合格すれば取得できる資格ではなく、大学院やビジネススクールに通って単位を取得し卒業することで得られる修士号です。
大学院やプログラムによっては、実務経験の有無が問われることもあり、レベルの高い授業内容が提供されます。
MBAは、大学卒業後に進学する人から社会人として働いた経験を持つ人まで、幅広い人を対象にした学位であるといえるのです。
MBAで学ぶ内容や取得後の進路に関して詳しく説明していきます。
MBAで学ぶ内容について
MBAで学ぶ内容は経営全般の知識や実践的なスキルです。
大学院やビジネススクールにおけるカリキュラムは、「ヒト・モノ・カネ」の3領域で構成されていることが多い傾向にあります。
「ヒト」の領域では組織行動や人事関係、リーダーシップを学び、「モノ」の領域ではマーケティングや経営戦略、オペレーションなどを学びます。
「カネ」の領域では、アカウンティングやファイナンスといった分野について学ぶことが多いです。
大学院やビジネススクールの方針によっては、IT関連の科目や思考力を育む課題が課されることもあるそう。
MBAを学ぶ大学院やビジネススクールは2年間のプログラムを組んでいるところが多く、1年次は基礎、2年次は専門的な内容を学びます。
これらのカリキュラムを通じて、経営全般の知識を習得し、実践的なスキルや思考力を身につけていきます。
MBAを取得した後の進路について
MBA取得後のキャリアパスは、これまでの経験や将来の目標によって異なります。
中には、転職したり社内で昇進したり、企業や独立する人も少なくありません。
経営に関する知識が身につくのはもちろんですが、MBA大学院やビジネススクールで人脈を作ったことで、新たなキャリアが築けるのでしょう。
また、MBA取得をきっかけに、今までの業務と異なる職種に挑戦する人もいるそうです。
MBAを取得した後の進路はさまざまで、キャリアの幅が生まれることが予想できます。
MBAの取得方法を流れに沿ってチェックしよう
MBAは大学院やビジネススクールに通って取得しなくてはならないことがわかりましたが、具体的にはどうやって取得するのでしょうか?
ここからは、MBA取得までの流れに沿って、取得方法や注意点などを解説します。
1.学校に入学するための受験資格を獲得する
先述した通り、MBAを取得するためには、MBAを学べる大学院やビジネススクールに入学して所定の単位を取得しなくてはなりません。
MBAについて学べる大学院やビジネススクールは国内だけでなく、海外やオンラインなどさまざまな形態で存在しています。
国内の大学院では、大学卒業あるいは大学卒業と同等の学力を有していることが求められ、企業での実務経験を重視する学校もあります。
一方、海外の大学院では、決められた大学を卒業していることや実務経験、英語力などが求められることがあり、難易度が高いです。
2.MBAを学べる学校の試験を通過する
MBA大学院やビジネススクールに入学できる資格を獲得したら、希望する大学院やビジネススクールで設けられている試験を受けなくてはなりません。
難易度は倍率2倍〜7倍の学校もあり、難しい試験であると考えて良いでしょう。
試験内容は学校によって異なりますが、経営に関することや英語力が問われる出題が多いです。
3.修了に必要な単位と必要年限を満たす
試験を通過し、大学院やビジネススクールに入学したら、修了に必要な単位と年数を満たして卒業となります。
ただ、MBA大学院やビジネススクールの授業内容は難しく、課題やテスト等も多いため、出席しているだけで取得するのは困難です。
また、ディスカッションや発表する機会が多いので、自分の考えを持たなくてはなりません。
必要な年限は2年間のところが多いですが、大学院やビジネススクールによっては1.5年間などの期間が設定されている場合もあります。
MBAは日本・海外どちらで取るべき?それぞれ向いている人の特徴
MBAは日本国内、海外どちらでも取得可能ですが、評価の差が大きいといえるでしょう。
MBAは海外で発足したものであり、日本国内での認知度が高まっているものの、海外と同等の評価は得にくいのが現状です。
特に日本の企業では実務経験が重視される傾向にあり、現場で経験を積んでスキルを磨くといった考え方が根付いています。
対してMBAは約2年かけて知識やスキルを学ぶため、実務経験と比べて現場の経験数が少ないのではないかと懸念されるのです。
また、MBA取得によって独占業務が得られるわけではないため、取得したから就職に有利になるとは言い切れません。
ただ、これは日本国内のMBAを取得した場合であり、海外のトップスクールにてMBAを取得した場合は事情が異なります。
世界的に有名なMBAスクールでMBAを取得すれば、外資系企業や海外ビジネスを取り扱う企業から大きな評価が得られることでしょう。
とはいえ、海外でMBAを取得するのは難易度が高く、莫大な費用の準備や言語の壁も越えなくてはなりません。
日本国内の場合は言語の壁がないため、経営に関することを深く学びたい人や仕事を続けながら取得したい人に向いています。
反対に海外スクールに通う場合は、海外でのビジネスや外資系企業で活躍したい人に向いているといえます。
以下、日本国内のMBAスクールと海外のMBAスクールの違いと向いている人の特徴をまとめているので、どちらに当てはまるかチェックしてみてください。
日本国内のMBA | 海外のMBA | |
---|---|---|
学費総額 | 120万円〜400万円 | 700万円〜2,000万円 |
言語 | 日本語がメイン | 英語がメイン |
ブランド力 | 海外に比べると低い | 高い |
生徒の多様性 | 海外比べると少ない | 多い |
向いている人の特徴 | 経営に関することを突き詰めて学びたい人 | 海外ビジネスや外資系で活躍したい人 |
これからのセクションではそれぞれ詳しくみていきます。
MBAを日本国内で取得する場合の学校・費用
まずはMBAを日本国内で取得する場合の学校の情報や学費についてです。
授業は主に日本語で行われ、海外と比べて学費は安い傾向にあります。
取得できる学校
MBAを学べる大学院やビジネススクールは国内で増加傾向にあります。
例えば、早稲田大学大学院や慶應義塾大学大学院、京都大学大学院・一橋大学院などトップクラスの学校が挙げられます。
国内でMBAを取得するなら学校選びが重要になります。
海外の第三者機関から得られる「国際認証」を受けているかどうか、学べる内容や授業形態は充実しているかなど、総合的に判断しましょう。
「国際認証」を受けている学校は世界の5%程度と言われており、学校の質を証明する手段ともいえます。
権威性の高い学校を選ぶことで、経営に関する知識やスキルを評価してもらいやすくなります。
取得するための費用
取得するための費用は海外と比べると低めで、130万円〜400万円が相場です。
オンラインスクールを利用した場合は、100万円程度で取得できる場合もあるようです。
ただ、大学院やビジネススクールによって異なるため、希望する大学に入学したら何にいくらかかるのかを調べておいた方が良いでしょう。
取得後のキャリア
先述した通り、日本ではMBAの価値はまだそこまで高くありません。
そのためMBを取得したから経営者として活躍できる、給料がアップするなど確実な成果は期待できません。
MBA取得後は、MBAで得た知識やスキルを活かして社内で実績を上げ、企業からの評価を得ることが重要です。
その後、転職したり昇格したり、企業や独立するといったキャリアを積み上げていくのが、国内でよくみられるキャリアパスでしょう。
大学院やビジネススクールでは、経営者や幹部候補として活躍する人との人脈を作れるため、そういったものを利用してビジネスで成功するパターンもあるそうです。
MBAスクールを決める際や通学している間に、どのようなキャリアを歩みたいのか考えておくことをおすすめします。
日本国内でMBAを取得するメリット
日本国内でMBAを取得するメリットは以下のようなことが考えられます。
- 取得までにかかる費用が安い
- 仕事を続けながら通える
- 授業の内容に集中して取り組める
- 日本国内での人脈が作れる
先述した通り、取得までにかかる費用は海外に比べて安く、留学費用もかかりません。
国内で学べるので、仕事をしながら取得したい人にも大きなメリットがあるでしょう。
また、日本語での授業がメインなので授業内容に集中して勉強することができたり、国内で活躍する人との人脈や横の繋がりを作ることが可能です。
MBA取得後も日本国内で働くのであれば、有利な点が多いといえるでしょう。
MBAを海外で取得する場合の学校・費用
次に、MBAを海外で取得する場合の学校の情報や費用面についてみていきましょう。
海外の方が難易度が高く、費用は高い傾向にありますが、キャリアに直接つながるのは大きなメリットです。
取得できる学校
MBAはアメリカ発足であるため、アメリカに主要大学が集まっています。
例えば、ハーバード大学、ペルシンベニア大学ウォートン、スタンフォード大学といった主要大学がビジネススクールを展開しています。
海外スクールの特徴として、出願するための資格が厳しいことが挙げられます。
指定された大学の学士やその成績、推薦状やTOEFLのスコア、GMATやGREのスコアなど、多方面から学力を判断されます。
国外からの場合は英語力を重視されるため、TOEFLのスコアはかなり重要なものになってくるでしょう。
取得するための費用
取得するための費用は700万円〜2,000万円程度かかり、国内MBAと比べてかなり高額になります。
国内と同じく学校によって大きく異なりますが、他にも留学費用や海外での生活費等を踏まえると、膨大な資金が必要になることは間違いありません。
また、海外のスクールに通学する場合は仕事を休職するか退職するかの選択が必要です。
国内で仕事ができない分収入が減り、MBA取得後に苦しい生活になるかもしれません。
海外でMBAを学ぶなら、ある程度の貯蓄が必要になるでしょう。
取得後のキャリア
MBAを国内で取得するよりも海外で取得した方が、キャリア的には有利に働きます。
有名スクールでMBAを取得した場合、海外ビジネスを取り扱っている企業や外資系企業から高い評価を得られるでしょう。
以下の表は、慶應義塾大学学術情報リポジトリで公開されているMBA取得前と取得後の賃金上昇額の平均を示しています。
プログラムの種類 | MBA取得前 | MBA取得後 | 賃金上昇額 |
---|---|---|---|
海外MBA | 701.52万円 | 1247.78万円 | 546.25万円 |
国内MBA | 799.66万円 | 888.46万円 | 88.80万円 |
この表から分かるように、海外MBAの方が仕事でのリターンが大きいのです。
海外MBAスクールのブランド力や授業の品質の高さによって、このような結果になっていると考えられます。
海外MBAで取得するメリット
海外でMBAを取得するメリットは以下のようなことが考えられます。
- 高い英語力が身につく
- グローバルな人脈が作れる
- MBA取得者としての評価が高くなる
- 収入アップにつながりやすい
海外MBAの授業は基本的に英語で行われます。
そのため、日本にいるよりも英語力が身につくのは一目瞭然です。
また、世界各国から経営を学びたい人が集まるため、世界中に人脈を形成することが可能で、グローバル社会での活躍が期待できます。
海外のMBAの評価の高さや収入アップへの直接的な繋がりも海外MBAのメリットだといえるでしょう。
国際的に活躍したい人や、国内外からの評価を重要視している人は、海外MBAを検討してみても良いかもしれません。
MBAを学ぶ学校選びでチェックしたいポイント5つ
ここからは、MBAを取得する学校をどう選ぶかについて解説していきます。
MBAを学びたいと思っている人はぜひ参考にしてみてください。
1.日本で取得するのか海外で取得するのか
まずは日本国内でMBAを取得するのか、それとも海外でMBAを取得するのかを決めましょう。
それぞれメリットもデメリットもあるため、自分のニーズや将来の目標と照らし合わせて考えてみてください。
日本国内で海外MBAを受けたいという場合は、海外MBAの日本版オンラインスクールもあるので、検討してみても良いでしょう。
ただ、海外スクールに通うより権威性は低くなるので注意が必要です。
2.プログラムが提供される時間帯はいつなのか
MBAプログラムは大学院やビジネススクールによって提供される時間帯が異なります。
通常の大学のように昼間に講義を行う学校もあれば、社会人でも通いやすいよう夜間帯に講義を行う学校もあります。
仕事が終わる時間によっては夜間帯でも通えないことがあるので、土日に講義を行なっているかどうかもチェックしておきましょう。
MBAスクールに入学したら約2年間は授業を受けなくてはならないため、ライフスタイルに合わせた時間帯に学べるよう確認しておきましょう。
3.実務経験があるかどうか
MBA大学院やビジネススクールによっては実務経験を問われる場合があります。
もちろん大学を卒業してすぐに進学できるスクールもありますが、実務経験必須の場合は先に就職しなくてはなりません。
希望する大学院やビジネススクールで実務経験が問われているかどうかは、早い段階でチェックしておきましょう。
4.立地や学費は現実的なものかどうか
国内でも海外でも大学院やビジネススクールの立地はさまざまです。
実際に通うキャンパスはどこなのか調べ、現実的に通えるかどうかを判断しましょう。
仕事を続けながら通いたいと思っている人は、自宅だけでなく仕事場との距離も重要です。
中には、オンライン講義を開いている大学もあるので、遠いけれど授業を受けたいと思っている人は調べてみましょう。
また、MBAを取得するまでにいくらかかるのかも重要なポイント。
国内MBAでも100万円以上の費用がかかるほか、教材費や交通費、入学金など多額の資金が必要になります。
無理なく支払っていける金額なのかを判断して学校を決めるのも大事です。
5.国内で取得するなら「専門実践教育訓練給付金」が受けられるかも大事
MBAプログラムにかかる学費を少しでも抑えたいのであれば、「専門実践教育訓練給付金」制度を活用することがおすすめです。
厚生労働省が実施する制度で、大学のプログラムが指定を受けている場合は給付金の対象となります。
大学が限られていることと国内のみの適応になる点には注意しましょう。
他には、奨学金や教育ローンなどを活用する方法もあります。
MBAの取得にまつわるよくある疑問5つ
最後にMBAの取得に関連するよくある質問についてみていきましょう。
MBAの取得についてもっと知りたいと思っている人は、ぜひチェックしてください。
1.社会人として働きながらでも取得できる?
日本国内のMBAスクールに通う場合は社会人として働きながらでも取得可能です。
先述した通り、夜間にプログラムを実施している大学院やビジネススクールもあるため、昼間に仕事をして夜間は学校へ行くこともできます。
実務経験を入学条件としている学校もあることから、社会人も対象となっていることがわかります。
かなりハードな生活になると予想されますが、オンラインスクールを利用したり土日を活用して講義に参加したりさまざまな選択肢があるので、自分に合った方法で取得を目指しましょう。
2.高卒でMBAを取得することはできない?
高卒や専門卒であっても、国内MBAを受験することは可能です。
しかし、受験の前に入学資格審査を受けなくてはなりません。
大学院やビジネススクールでは、大学卒業かそれに匹敵する能力が入学資格として求められることが多いからです。
入学資格審査に合格し、「大学院において個別の入学資格審査により認めた22歳以上の者」として認められれば入学できます。
3.オンラインでMBAの勉強をすることは可能?
MBAを取得するには、MBA大学院やビジネススクールに通うだけでなく、オンラインスクールを活用するという方法もあります。
オンラインMBAも学ぶ内容は変わらず、ネットを利用してディスカッションなども行います。
MBAで学ぶ経営の知識やスキルは対面と変わらず身につけることが可能でしょう。
ただ、対面式と比べて人脈が作りにくかったり、モチベーションの維持が難しかったりするデメリットも考えられます。
また、クラスメイトからの良い刺激を受けにくいのも難点です。
対面であれば何気ない会話や休み時間など意見交換の場が豊富にありますが、オンラインの場合はそうはいきません。
視野を広げたり気軽に質問できたり、対面ならではのメリットも非常に大きいと言わざるを得ません。
ただ、知識を学びたい、人脈よりもスキルを磨きたいと思っている場合は、オンラインでも身につけることが可能でしょう。
4.MBA取得までにどれくらいの時間がかかる?
多くの大学院やビジネススクールでは2年間のプログラムを組んでおり、取得するまでに最低でも2年かかるとみておきましょう。
海外MBAの場合は1年でプログラムが組まれている場合もあります。
ただ、課題やディスカッションを行う機会が多いため、積極的に学ぶ必要があります。
学校だけでなく通勤時間や隙間時間に勉強を行うことも考えると、1,000時間程度かかると言われています。
5.日本でMBAを取得しても意味ないって本当?
日本でMBAを取得しても意味がないという意見を聞いたことはありませんか?
MBAが意味ないとされる理由は以下のようなものが考えられます。
- 実務経験の方が役立つと考えられている
- MBAを取得することが目的になりがちである
- MBAを取得しても独占業務がない
- 労力や費用などに見合ったリターンが期待できない
MBAには弁護士や医師のように独占業務はなく、日本では直接仕事に結びつくことは少ないと言われています。
しかし、MBAを取得してキャリアアップにつながった人やキャリアの幅が広がった人がいることも間違いありません。
MBAを取得する意味は個人によって異なりますが、キャリアにどう活かしたいのか具体的な目標を持って勉強することが重要です。
意味ない結果にしないためにも、自発的な学習を心がけておきましょう。
MBAの取得方法 まとめ
MBAを取得するためには大学院やビジネススクールに通う必要があります。
大学卒業の学力だけでなく、実務経験や英語力を問われる場合もあるので、まずは希望する大学院やビジネススクールの受験資格の有無からチェックしましょう。
MBAは国内でも海外でも取得できる学位ですが、それぞれメリットとデメリットがあります。
将来のビジョンや自分のライフスタイルを見直して、最も勉強に励める環境を選ぶことが重要です。
自分に合った大学院や環境を選んで、MBA取得を目指しましょう。