小売業などの販売員としてのスキルを示す資格のひとつに「販売士検定」という資格があります。
この資格は、販売に関する知識や顧客ニーズに最適な商品を提供する能力などを備えた人物を認定する試験で、より高度な販売知識を持つ1級から初学者向けの3級までの、3段階に分かれています。
ここでは、初学者向けである販売士3級に関する基本的な知識と、取得することで得られるメリットを中心にご紹介します。
目次
販売士3級とは?資格概要とその役割
「マーチャンダイジング」は何に役立つ?
「マーケティング」は何に役立つ?
「ストアオペレーション」は何に役立つ?
「販売・経営管理」は何に役立つ?
販売士3級を取ることで得られるメリットとは?
キャリアアップを目指して販売士を取得しよう!
販売士3級とは?資格概要とその役割
販売士検定とはリテールマーケティング検定とも呼ばれ、販売に関する専門的な知識を試す試験です。
特に3級では百貨店などの小売業をメインに、マーケティングの知識や売り場の作り方などを学びます。また、卸業や流通業であったとしても顧客のニーズを満たすという観点では販売士の知識が有効活用される場面もありますので、そのような業界に関する知識も学ぶことになります。
3級では、試験科目は以下の5つに分けられています。
◆小売業の類型
◆マーチャンダイジング
◆ストアオペレーション
◆マーケティング
◆販売・経営管理
試験科目を見て分かる通り、販売士といっても販売に関することだけではなく、経営に関する知識も必要とされています。
試験時間は60分で、合格ラインは満点の70%以上。ただし、足きり条件が設定されており、1科目でも得点が50%を下回っているものがあると、その時点で不合格となります。
「マーチャンダイジング」は何に役立つ?
「マーチャンダイジング」とは、消費者の欲求やニーズを的確に把握し、それを商品に投影する活動のことをいいます。日本語では商品計画と訳されることが多いです。
このマーチャンダイジング(商品計画)では、商品の価格の決め方や発売する時期、適切な数量など、さまざまな要素を学びます。
3級の場合には商品計画に関する基本的な知識しか問われませんが、この部分は販売士としては実務上も非常に重要な範囲です。
特に仕入計画や在庫管理、販売管理などの分野は試験上も配点の大きな部分で頻出分野でもありますので、重点的に勉強する必要があります。
マーチャンダイジングは、実務の世界ではマーケティングの一環として行われており、この計画次第で商品の売れ行きが大きく左右されてくるところでもあるため、とても大切な部分です。
顧客のニーズにしっかりとあった商品を作り上げることで、顧客満足度を高めるとともに利益を最大化することができます。
商品計画をするためには、その市場に対する深い知識や適切な情報をもとに戦略を考えていかなければならないので、まさにマーケティングの基礎ともいえる部分です。
「マーケティング」は何に役立つ?
「マーケティング」は、消費者のニーズを知るという観点ではマーチャンダイジングと同様ですが、それより、もっと大きな概念を指しています。
例えば、企業がある新商品を発売しようと考えた場合、まずはどのような需要があるのかを探ります。この段階はリサーチとも呼ばれますが、一般的にもマーケティングとして認知されている活動です。
消費者のニーズを掴むことができたら、今度は新商品の価格や数量などを中心とした商品計画を策定します。この段階がいわゆるマーチャンダイジングと呼ばれているところです。
商品計画が完成したら、新商品を実際に作ると同時にその商品のブランディングに移ります。このブランディングには様々な手法があり、代表的なものにはテレビCMや雑誌の広告などがあげられます。
このように、商品の作成からエンドユーザーへ商品が渡るまでの一連の活動がマーケティングで、企業活動の中でも最も重要な活動です。
マーケティングは、言葉を変えれば『売れる仕組みを作りだすプロセス』ということもできます。このプロセスに対する知識は販売士として大切なスキルです。
「ストアオペレーション」は何に役立つ?
「ストアオペレーション」とは、売り場の販売方法の管理や運営に関する知識の総称です。
例えば、売り場の設置の仕方や商品のディスプレイ方法、販売員の配置の仕方に至るまでの知識をいいます。どの要素をとっても、その目的は店舗の利益を最大化することです。
販売員の配置や管理など接客クオリティを向上させる目的もあります。
また、ストアオペレーションの中には経費の削減という要素も入っています。
人材管理の部分では、ミーティングの効率化や社員教育の方法、商品の仕入れに関するオペレーションなど、無駄を省いて効率化を目指すことによって経費は削減されていきます。
当然、効率的になれば無駄な時間を使うことがなくなり、間接的に人件費の削減につながります。
このようにストアオペレーションの最終的な目的は、売り上げを最大化させるだけでなく、経費の削減という部分にもスポットを当てて、利益を大きくすることにあるのです。 他社との差別化をする上でも非常に重要になってきますし、独自のバリューを提供する上でも大切な部分です。
「販売・経営管理」は何に役立つ?
「販売・経営管理」では、販売員に求められる、より実務的な内容が試されます。
例えば、販売員が守るべき法令などの知識や、職場の人間関係などがあります。
特に職場の人間関係に関しては、人が働く現場ではどこでも問題になる部分です。そのため、この部分に精通していれば、どのような環境でも上手い立ち回りや人間関係を築くスキルが身に付きます。
また、販売事務に関する内容もこの部分で勉強することになります。
このように、販売士としての知識には、マーケティングや戦略部分といった理論的な知識だけでなく、実際に働く人の管理や人間関係への理解といった実務的な内容も深く問われるのです。
商品計画やマーケティングなどが完璧に行われていたとしても、販売活動をする現場の人間関係にトラブルがある場合は、どうしても接客のクオリティが低下してしまいます。
接客の質が低下するとクレームの発生につながり、利益を最大化する目的とは程遠い結果になってしまいます。
このようなことを未然に防ぐためにも、販売士にはより実務的な知識への理解が求められています。
販売士3級を取ることで得られるメリットとは?
販売士の資格を取るメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。
現在、会社員として働いている方の場合には、昇給や昇進につながる可能性があります。
実際にデパートや百貨店で現在販売員として働いている方の場合はキャリアアップに直接的に結びつきますが、それだけではなく、会社が小売りにまつわる事業を行っているのであれば販売士としての知識を高く評価してくれる可能性もあります。
また、小売業界への就職を希望している学生や、就職活動中の方には、大変有利に働く可能性があります。最近では卸業などを行っている企業であっても、営業職として小売業界の人と話す機会が多いことから、小売りに関する知識を高く評価する企業も多くなってきています。
実際に、近年では学生の受験者数は増加傾向にあります。
このように、販売士の資格は幅広い世代にとって役立つため、知名度と評価もグングン上昇しています。
キャリアアップを目指して販売士を取得しよう!
販売士に関する基本的な知識と資格を取ることで得られるメリットについて見てきました。
販売士は、小売りや流通業界における専門知識を評価する唯一の公的資格です。
そのため、面接などで客観的に販売のスキルを判断するためには販売士を持っているかどうかで印象は大きく変わってきます。
合格率は約65%(2021年2月~2018年7月実施分の平均)と、難易度はそれほど高くありません。2021年7月からはCBT試験方式が導入され、忙しい社会人の方でも受験しやすくなりました。
ぜひ、販売士の資格を取得して、販売員としてのキャリアアップを目指してみてはいかがでしょうか。
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