連載「説得力UP!Excelグラフ活用術」、第1回は棒グラフと折れ線グラフ、第2回は円グラフと面グラフについてご説明しました。
今回は「散布図」「株価チャート」という種類のグラフについてご紹介します。
どちらも「作成したことがない」という方が多いかもしれません。
しかし、それぞれの機能や特徴を知っておくと、傾向を探り将来を予測する会議資料やレポート作成時に役立つ機会も出てくるでしょう。
特に散布図に関しては、意外と簡単に作れるうえ、たくさんのデータの傾向をわかりやすく視覚化できます。覚えておいて損はないですよ。
今回の記事を参考に散布図と株価チャートのグラフの特徴をつかんで、Excelマスターを目指しましょう!
2種類のデータの傾向把握に!「散布図」グラフ
分析資料によく使われている散布図グラフは、「近似曲線」を追加することで一つの値から別の値を予測することができます。予想以上に簡単に作成できるので、ぜひ作成してみてくださいね。
散布図の特徴
● 2つの変動するデータを視覚化したものです。
● 変動する値に相関関係があるか、どういう傾向のデータになっているかを分析するときに有効なグラフです。
● 相関関係は、点が集合した状態・形により表現されます。
相関関係3パターン
散布図を作成すると、おおむね以下の3種類の相関関係に分かれます。
相関関係とは、2つの値の関連性のことです。
①正の相関 (x軸の値が増えるとy軸の値も増えるという関係)
身長と体重という2項目の関係のように「一般的に身長と体重は比例する」関係です。散布図が右上がりになるとき「正の相関がある」といいます。
②負の相関 (x軸の値が増えるとy軸の値が減るという関係)
湿度とインフルエンザの感染者数という2項目の関係のように「一般的に湿度が高いほどインフルエンザの感染者数が減る」関係です。散布図が右下がりとなるとき「負の相関がある」といいます。
③相関がない(x軸の値が増えてもy軸の値に一貫性がない関係)
都道府県の面積と人口の関係のように「一般的に敷地面積とそこで暮らす人口は比例しない」といったような関係。散布図がばらばらに散らばるとき「相関がない」といいます。
散布図の使用例
● プロ野球選手の身長と体重の相関を表す(x軸:身長、y軸:体重)
● 都道府県の敷地面積と人口の相関を表す(x軸:敷地面積、y軸:人口)
散布図の作成例
ここでは、活躍するプロ野球選手の身長と体重に関係があるのかを知るために、散布図を作成する場合の手順を簡単にご紹介します。
(以下、Excel2019で作成。フォントは游ゴシックを使用)
↓元の表データ
① B2セルからC17セルまでを選択する
② リボンの「挿入」タブをクリック。 「グラフ」グループ→「散布図(X,Y)またはバブルチャートの挿入」→「散布図」→「散布図」をクリックする
あとは、グラフを選択するとタブに表示される「グラフツール」の「デザイン」及び「書式」タブで見映えを整えれば完成です。
※下図では以下の調整を行っています。
・「(グラフの)デザイン」タブで「グラフスタイル」グループ→「スタイル1」を指定 グラフ上のグラフタイトルを入力
・「(グラフの)デザイン」タブで「グラフ要素を追加」→「近似曲線」→「線形」をクリック
・「(グラフの)デザイン」タブで「グラフのレイアウト」グループ→「グラフ要素を追加」→ 「軸ラベル」→「第1縦軸」を指定「体重」と入力
・「(グラフの)デザイン」タブで「グラフのレイアウト」グループ→「グラフ要素を追加」→ 「軸ラベル」→「第1横軸」を指定「身長」と入力
↓作成後の散布図
上記の表では「身長」の値が大きくなると「体重」の値も大きくなっていることがわかりますので、全体としては正の相関関係があるといえそうですね。
意外と簡単に作成できる!「株価チャート」グラフ
「株価チャート」というとあまり縁のないグラフに思うかもしれませんが、テレワークやオンラインビジネスが主流になる昨今、副業として株式投資を始める人が増加傾向のため、知っておきたいグラフの1つです。
そんな株式投資の指標としてよく目にする「ローソク足チャート」は、自分で作成することが可能。複数の株を運用する場合などに特徴のチェックがしやすく、便利になりますよ。
今回は、株価チャートの中でも「ローソク足」と呼ばれる、ポピュラーな種類のグラフを紹介します。
株価チャートの特徴
● 任意の期間の四本値である始値(その期間の開始株価)・高値(その期間の最高株価)・安値(その期間の最低株価)・終値(その期間の最終株価)と、上ひげ・下ひげで構成されます。
● 一定期間の株価の動きを表します。
Excel2019の株価チャートには、以下の4種類があります。
・株価チャート(高値・安値・終値)
・株価チャート(始値・高値・安値・終値)
・株価チャート(出来高・高値・安値・終値)
・株価チャート(出来高・始値・高値・安値・終値)
必要に応じてわかっているデータで使い分けをしていただければいいのですが、「株価チャート(始値・高値・安値・終値)」を使用するのが一般的です。
株価チャートの作成例
株価チャートを作る際つまずきやすいポイントは、元となる表の“系列の並び”です。
「系列」とは、例えば以下の表データでいえば「日付」「始値」「高値」「安値」「終値」各列のことです。
他のグラフでは、系列の並びが逆であってもグラフとして原則成立しますが、株価チャートでは系列の順番が大事になります。
左から日付→始値→高値→安値→終値という順番に並んでいないと株価チャートは作れないので注意しましょう。
では、上の表から株価チャートを作成する場合の手順を簡単にご紹介します。
(以下、Excel2019で作成。フォントは游ゴシックを使用)
① A2セルからE17セルまでを選択する
② リボンの「挿入」タブをクリック 「グラフ」グループ→「ウォーターフォール図、じょうごグラフ、株価チャート、等高線グラフ、レーダーチャートの挿入」→「株価」→「株価チャート(始値・高値・安値・終値」をクリックする
あとは、グラフを選択するとタブに表示される「グラフツール」の「デザイン」及び「書式」タブで見映えを整えれば完成です。
※下図では以下の調整を行っています。
・「(グラフの)デザイン」タブで「グラフスタイル」グループ→「スタイル1」を指定 グラフ上のグラフタイトルを入力
・「書式」タブで「現在の選択範囲」グループで「横(項目)軸」を選択 「選択対象の書式設定」をクリック 右側に作業ウインドウが表示されるので「軸のオプション」より「テキスト軸」選択
表では、土日曜日が除かれた5日ごとの日付が使用されていますが、グラフを作成すると自動的に間の日付が挿入されます。軸の種類を変更して土日曜日を非表示にします。
↓作成後の株価チャート
この図の白い長方形は値上がりした動きを、黒い長方形は値下がりした動きを表し、上下に延びる線は高値と安値を表しています。
証券マンや個人的に株取引をされている方は、ぜひ作成してみてください。
今回はExcelの標準グラフでありながら作成する機会が少ない「散布図」と「株価チャート」についてご紹介しました。
どちらも意外と簡単に作成できるグラフであることがおわかりになったと思います。各グラフの特徴を把握して、ぜひ作成してみてくださいね。
次回は「等高線、ドーナツ」グラフをご紹介します。こちらも難しい種類に入るグラフですが、マスターして資料のレベルアップを狙いましょう!
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