Excel標準グラフの種類と作り方をご説明する連載「説得力UP!Excelグラフ活用術」 、今回は最終回。
Excel2019/Office365で登場の「じょうごグラフ」と、Excel2016以降に登場した「ウォーターフォール図」をご紹介します。
2つとも棒グラフの仲間で、操作方法はとても簡単!グラフの見映えもよいため、PowerPointと組み合わせてプレゼンテーションに使用すると、聞き手の理解度が増し、社内での評価も上がりそうです。
それではさっそく「じょうごグラフ」と「ウォーターフォール図」、名前も個性的な2つのグラフの特徴と作り方を見ていきましょう。
どんどん減っていく値で作る!「じょうごグラフ」
じょうごグラフとは、名前の通りじょうご型をしているグラフです。
営業の工程が進むにつれて減少する見込み客数や、年間の予算の残高のように時系列で減っていく値のデータを視覚化するのに適しています。
また、ネックになっている作業の原因をグラフから読み取ることも可能です。
じょうごグラフの特徴
● 物事が進行する過程での数値がどんどん減っていく様を表すグラフです。
● 降順に並んでいます。
じょうごグラフの使用例
● 一年間のダイエットの成果
● オーディションや就職等の面接の過程(1次面接、2次面接、3次面接通過者数、採用者数)
● 商談の工程と顧客数(DMはがき、問い合わせ、商談、商談成立)
じょうごグラフの作成例
ここでは、パソコン教室 入会者獲得状況を例にとり、その作成方法をご紹介します。
(以下、Excel2019で作成。フォントは游ゴシックを使用)
↓元の表データ
① A2セルからB7セルまでを選択する
② リボンの「挿入」タブ→「グラフ」で「ウォーターフォール図、じょうごグラフ、株価チャート、等高線グラフ、レーダーチャートの挿入」→「じょうご」で「じょうご」をクリック
作成直後は下図のグラフができます。
あとは、グラフを選択するとタブに表示される「グラフツール」の「書式」タブで見映えを整えれば完成です。
今回は以下の調整を行っていきます。
・グラフ上のグラフタイトルを「パソコン教室 入会者獲得状況」と入力
・「書式」タブで「系列“人数”」→「選択対象の書式設定」→をクリック
・右側に表示される作業ウィンドウの「塗りつぶし」→「塗りつぶし(グラデーション)」をクリック
(今回は色の変更はしませんが、「グラデーションの分岐点」を使用すると、好きなグラデーション色に変えられます)
↓じょうごグラフの完成です
上段からの数値の減少具合から、DMはがきからの問い合わせ数は少ないですが、頂いた問い合わせを有効に入学者数につなげられていることがわかります。
もし、このデータの減少がDMはがきから問い合わせの過程ではなく、問い合わせから説明会出席者もしくは、無料体験から入会者の過程であった場合、お客様への対応方法に減少の原因があると考えられます。
そうすると、スタッフ教育に力を入れるという対処法をする必要があるでしょう。
このように、じょうごグラフでは減少の過程や問題の発見などができます。なにかしらの減少数値を可視化したい時に、ぜひ一度使ってみてください。新たな発見があるかもしれません。
増減の要因を簡単に把握!「ウォーターフォール図」
ウォーターフォール図のウォーターは「水」、フォールは「落ちる」という意味。雨が落下していくようなグラフで、データの増減を棒グラフで表していきます。
グラフは値がプラスかマイナスかわかるように色分けされているため、増減の要因を簡単に把握することが可能。在庫や金融資産の推移を表す場合によく使われます。
ウォーターフォール図の特徴
● 連続した正負の数の累積を表すグラフです。
ウォーターフォール図の使用例
● 入出庫する在庫の管理(前月繰越在庫 入庫 出庫 次月繰越在庫)
● 決算期における財務管理(売上 諸経費 人件費 粗利他)
ウォーターフォール図の作成例
今回は、以下の在庫管理表からウォーターフォール図を作成する手順を簡単にご紹介します。
(以下、Excel2019で作成。フォントは游ゴシックを使用)
↓元の表データ
① A2セルからB11セルまでを選択する
② リボンの「挿入」タブ→「グラフ」で「ウォーターフォール図、じょうごグラフ、株価チャート、等高線グラフ、レーダーチャートの挿入」→「ウォーターフォール図」で「ウォーターフォール図」をクリック
作成直後は下図のようなグラフです。
「増加」が青色、「減少」(マイナスで表記)がオレンジ色で表示されています。
気になるのは、「次月繰越」は増加値ではないのに「増加」として表示されている点。ここを合計に変更し、見映えを整えれば完成です。
今回は以下の調整を行っていきます。
・グラフ上のグラフタイトルに「在庫管理表」と入力
・グラフ上の「次月繰越」系列の上でクリック2回→「次月繰越」系列だけが選択できたら、右クリック→「データ要素の書式設定」をクリック
・右側に表示される作業ウィンドウで「合計として設定」にチェックを入れる
作成後のウォーターフォール図↓
「次月繰越」の色がグレーに変わり、残数がわかりやすくなりましたね。
月初には60個あった在庫が、増えたり減ったりしながら、月末には40個になりました。現在いくつあるのか、いくつ売れたのかが把握しやすいグラフです。
商品のよく売れる時期の特定や決算期の棚卸にウォーターフォール図を使うと、管理が楽になりそうです。
今回は、Excel2019/Office365で登場した「じょうごグラフ」と、Excel2016以降に登場した「ウォーターフォール図」を利用したグラフをご紹介しました。
どちらも増加や減少を表すのに使用される個性的なグラフです。作成が簡単でわかりやすいので、棒グラフや折れ線グラフ同様いろいろな場面で展開できそうですね。
まとめ:どのグラフを使えばよいか、どの範囲を選択すればよいか迷ったら
さて、連載「説得力UP!Excelグラフ活用術」 は、今回で最終回となります。
最後に、Excelのグラフと聞くと高度で難しい作業のように感じる方も多いかもしれませんが、グラフの作成は実はそれほど難しいことではありません。
「グラフはなんだか苦手…」とおっしゃる方の多くは、「どのグラフを使用したらいいのかわからない」「どの範囲を選択すればいいのかわからない」と思われるようです。
どのグラフを使用したらいいのかわからないときには、
① 複数のものを比較する場合、数値の列(系列)が複数ある場合は、棒グラフ
② 時系列でのデータの変化(一つのものの移り変わり)を比較したい場合は、折れ線グラフ
③ 数値の列(系列)が1つで、その値を100%になるよう作成したい(構成比等)場合は、円グラフ
というように使いわけしてみてください。
どの範囲を選択すればいいのかわからないと思ったときには、
① どのデータが必要なのかをまず考える
② 作成した表の中に必要なデータがそろっているか確認する
③ 空セルを選択してグラフを作成してみて、必要なデータは「データの選択」を使用し、後から入れてみる
というように、まずはチャレンジしてみてください。
失敗しても大丈夫!その失敗は、必ず未来の自分の知識につながります。
Excel2019/Office365より初めて登場したグラフの中には、作図が簡単で業務効率化に役立ちそうなグラフがたくさんあります、必要に応じて使い分けをしてみてくださいね。
最後までご覧くださり、ありがとうございました。
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