皆さん、こんにちは!
今回の連載のテーマは「仕事や資格勉強に役立つ思考ツール」 。仕事にはもちろんのこと、資格取得などに向けた勉強にも役立つ「思考ツール」についてです。
最終回となる今回は「マトリクス」に焦点を絞って詳しくご紹介していきます。効率的な勉強法を習得したいと思っている方は、ぜひ最後までチェックしてくださいね!
思考ツール「マトリクス」とは?
「2軸思考法」とも呼ばれるマトリクスは、どのような特徴を持つ思考ツールなのでしょうか。早速理解を深めていきましょう。
マトリクスと呼ばれているカタカナ語は、英語の「matrix」に由来します。「matrix」とはそもそも“基盤”や“母体”などといった意味で、一般的には“数字の行列”を意味する言葉です。
普段の業務でExcelを多用するのであれば、マトリクスという言葉は聞いたことがある!という方も多いでしょう。
アンケート調査などにより収集した回答データを、設問内容と掛け合わせて集計する方法をクロス集計と言いますが、この表形式こそマトリクスと呼ばれるものなのです。
マトリクスでは、「列」というタテ軸と「行」というヨコ軸を使って、様々なデータや情報を整理していきます。
とても単純なしくみではありますが、データの集計のみならず物事を深く思考したり、比較や検討をしたりする場合にも大変便利なツールなのです。
よく見るマトリクス表といえば、先ほど図でご紹介したL型マトリクスと呼ばれるものでしょう。他にも縦あるいは横の軸のどちらかが端ではなく、真ん中にあるT型マトリクスや、縦と横の軸が両方とも真ん中にあるX型マトリクスと呼ばれるものもあります。
使用目的に合わせて自在に使い方を変えられるのも、マトリクスのメリットと言えますね。
マトリクスはどう使う?
それでは次に、マトリクスの使用例を見ていきましょう。
X型マトリクスの使用例
まずは、下の図を見てみてください。
有名なX型のマトリクス表なので、見たことがある方もいるのではないでしょうか。
世界的にも有名な著書『7つの習慣』の著者であるスティーブン・R・コヴィー氏は、「緊急度と重要度のマトリクス」というタスク管理法を提唱しました。これは、タテ軸とヨコ軸にそれぞれ重要度と緊急度を当てはめながら、4つの領域にタスクを分類する方法です。
上の図を解説すると以下のようになります。
(A)重要度が高く、緊急度も高いタスク
(B)重要度は高いが、緊急度は低いタスク
(C)緊急度は高いが、重要度が低いタスク
(D)重要度も緊急度も低いタスク
仕事に追われていると、何から手を付けてよいのかわからず混乱することってありますよね。タスクに優先順位をつけて分類しておけば、仕事をすべき順番が明らかになるので、仕事の効率がアップ!トラブルを未然に防ぎながら、タスクに追われるのを防止できるのです。
もちろん勉強においても同じ。優先して取り組むべき苦手分野の試験範囲が明らかになるので、効率的に勉強を進められるというメリットがありますよ。
L型マトリクスの使用例
次に紹介するのは、以下のL型マトリクスです。
受験をテーマにした某人気コミックスで話題になったのは、こちらの「受験マトリクス」を取り入れた勉強法。
受験マトリクスとは、模擬試験の結果をマトリクスで仕分けし、自分が本当に得意・苦手とする分野を把握することで、効率的に学習を進めるというものです。
社会人ともなると、日々仕事に追われて勉強の時間が取れない…という方も少なくないはず。受験マトリクスを取り入れれば、勉強すべき試験範囲の優先順位をつけられるので便利ですよ。
マトリクスを活用するメリット
マトリクスを活用するメリットには、以下が挙げられます。
- 物事の全体をつかめる
- 優先順位をつけられる
- 対象を比較しやすい
- 誰が見ても一目瞭然なので、コミュニケーションを円滑にするツールとして活用できる
マトリクスとは、曖昧で複雑に見える情報やデータを「見える化」させるのに特化したツールだと言えますね。
マトリクスを作ってみよう!
ここからは、実際にマトリクスを作ってデータを整理してみましょう!まずは以下の資料を見てください。
こちらは、ある地域の高齢者施設を比較検討するための資料です。文章だけだと、それぞれの施設条件の比較検討がしづらいですよね。
このデータをマトリクスに書き起こしたものが、以下の図になります。
マトリクスであれば情報が一目瞭然!比較検討がスムーズに進みますね。
それでは、作り方を手順に沿って見ていきましょう。
ステップ① テーマを決める
まずは、マトリクスの作成目的を明確にします。
今回は、資料の表題に「商圏内高齢者施設の比較」とあるので、このまま進めていきましょう。
ステップ② 行と列に入る要素を決める
マトリクスでは「列」がタテ軸、「行」はヨコ軸でしたね。覚えていますか?
それぞれの軸に記入する要素を決める場合は、なるべく反対関係となる指標を設定すると比較検討しやすくなります。
今回の例文であれば、アクセスが近い-遠い、価格が安い-高い、が当てはまります。
ステップ③ 行と列に配置する項目を記入する
ステップ②で指標を設定したら、行と列それぞれに配置する条件を書き込んでいきます。間違いのないように、情報の整合性を確認しながら進めましょう。
すべてのマスに条件を書き込んだら、次は文章中の項目を1つずつ順番に検討し、当てはめていきます。
まずは上記、赤で囲った部分から情報を整理してマトリクスに当てはめていきましょう。「低価格帯の~」と説明されている部分は表の左側「安い」の上下どちらかに、「高価格帯の~」の部分は表の右側「高い」のどちらかに入りそう…ということがわかります。
では次の指標、アクセスについて書いてある赤で囲った部分を見てみましょう。
「最寄駅からも近い」と説明されている部分に「エスマンション神田町」が入っていませんので、これは左下の「安い」&「遠い」マスに当てはまります。
最後に「最寄駅から少し離れている」の文章に「アーバン旭館」と「悠々苑」が入っているので、これらは右下の「高い」&「遠い」マスに当てはまることがわかりますね。
このように、文章を読み解きつつ、条件に合うマスに振り分けていけばマトリクスは完成します。実際に書き起こしてやってみてくださいね!
マトリクス作成のポイントは?
マトリクスを作成する際のポイントについて、いくつかご紹介しましょう。
作成ポイント① MECEを意識すること
第3回の「ロジックツリー」でもご紹介したMECEとは、「漏れなく、ダブりなく」という意味を指す言葉。
マトリクスに記入した内容が、情報のすべての範囲をカバーしていること、また内容の重複がないことを確認しながら作成を進めていきましょう。
作成ポイント② あまりマスを増やしすぎない
多く分けすぎると、分析が大変になってしまいます。2×2のマトリクスが基本的な形と覚えておくとよいでしょう。
マトリクスを取り入れて勉強効率アップを目指そう!
今回は、2軸思考法とも呼ばれる思考ツール、マトリクスについて詳しくご紹介しました。マトリクスを使えば、煩雑でわかりにくい情報でも、全体像を捉えながらわかりやすく分類することができます。
勉強においても、文章や単語で覚えるよりも図で覚えるほうが頭に入りやすく、要素も整理しやすくなります。頭に入らない、難しいと感じる内容があれば、マトリクスに書き起こしてみるとよいでしょう。
また、先ほどご紹介した受験マトリクスのように、自分の苦手&得意分野の分析ができるので、効率的に勉強を進めたい人にもおすすめ。ふだんの勉強に積極的に取り入れて、学習効率アップを狙いましょう。
参考URL:
https://mitanorifusa.com/articles/examinationstudy/395/
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