皆さん、こんにちは!今回の連載のテーマは「仕事や資格勉強に役立つ思考ツール」 です。
第3回となる今回は、代表的な思考ツールの1つ「ロジックツリー」にフォーカス!その特徴と使い方、実践例まで詳しくご紹介します。それでは始めましょう。
思考ツール「ロジックツリー」とは?
ロジックツリーとは英語で「logic=論理」、「tree=木」を意味します。
第2回でご紹介したプロセスツリーと同様に、物事や情報をツリー状に細かく分解・図式化することで、情報を理解しやすくする思考ツールです。
プロセスツリーとロジックツリー、似た名前同士ではありますが、作成の目的は大きく異なります。
プロセスツリーとは主に、物事や情報の手順を明確にするためのもの。一方、ロジックツリーは作成の目的別に、3つに分類されます。
・Why(原因追及ツリー)
・How(問題解決ツリー)
・What(要素分解ツリー)
どの目的で作成するにせよ、必ず1つの課題や問題に対してツリーを展開させていくのが特徴です。
プロセスツリーは使用用途や目的に応じて、様々な場面で活用できる思考ツールです。使用例をいくつか挙げてみましょう。
例えば会社内の会議などでは、ある議題に対する具体的な改善・解決策を導き出すのに役立ちます。
勉強面で言えば、わかりづらい文章を簡潔に図式化できるので、効率的なノートテイク術として活用でき、結果的にスムーズな理解や暗記につながります。
仕事や資格の勉強をする中で、ふだんから積極的に取り入れてみるとよいでしょう。
ロジックツリーを描くポイントとは?
では、ロジックツリーの作成例を1つ挙げてみましょう。
こちらは目的の種類で言えば、Why(原因追及ツリー)に当たります。
あくまで一例ですが、この場合の課題は「ダイエットしているが体重が減らない」ことです。
原因を追究してみると、赤い網掛け部分にある「ランニングやジムは続かなさそう」という運動不足の面での不安要素が明らかになりました。
ロジックツリーを初めて作る場合は、言葉が出てこなくてうまく作れない…ということもあるかもしれません。
そんなときは、以下に挙げる3つのポイントを押さえながら作成してみましょう。
作成ポイント① MECEを意識する
MECEってなんのこっちゃ、と思われた方もいるかもしれませんが、ロジックツリーを作るうえで欠かせない言葉。ぜひこれを機会に覚えておきましょう。
MECE(ミーシーと読みます)とは、英語の「Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive」の頭文字を取ったもので、「互いに重複せず、全体的に漏れがない」という意味になります。ビジネスの現場では、「漏れなく、ダブりなく」と訳される場合が多いですね。
ロジックツリーは問題解決を目指すためのツールでもあるので、書いたツリーの内容の中に重複や漏れがあっては非効率な結果を招いたり、ミスを発生させたりする恐れがあります。そうなると問題解決にはつながらず、せっかくの作業が無駄に終わってしまいますね。
ツリーに書いたものがMECEになっているか、常に意識しながら作りましょう。
作成ポイント② 階層を合わせる
第1層から始まり、必要に応じて第4層、第5層以上まで展開していくロジックツリー。ここで注意すべきは、各階層に書かれている内容が同列なものであるかという点です。
例えば野菜が書かれている階層に突然フルーツが入っていては、混乱してしまいますよね。各階層に書かれている内容に飛躍がないか、確認しながら作成を進めましょう。
作成ポイント③ 具体的な行動に結びつくまでツリーを増やす
ロジックツリーは、特に問題の原因を追究する場合や解決策を導き出すのに役立つ思考ツールです。
具体的ですぐに取り組める行動に行き着くまで、試行錯誤しながらツリーを展開していく必要があります。なんとなく書いただけでは、問題解決の糸口はつかめませんよ!
ロジックツリーに限ったことではありませんが、思考ツールを使いこなすためには“習うより慣れる”のが一番の近道!好きなテーマで構いませんので、まずはとにかく書いてみることから始めましょう。
現在はロジックツリーを書くのに便利なアプリもありますし、WordやExcelにはロジックツリーのテンプレートも備わっています。
WordやExcelで作成するときは、「挿入」のプルダウンメニューから「SmartArt」内の「階層構造」の項目を選びます。すると自動的にロジックツリーが出てくるので、テキスト欄に文字を打ち込んでいけばOK!
紙に書くより素早くアウトプットできるうえに、修正や追加にも手間を取らないので、ぜひ活用してみてください。
ロジックツリーを実際に描いてみよう!
ここからは、実際にロジックツリーを使って情報を整理する練習をしてみましょう。まずはこちらの例文に目を通してみてください。
引用元:生活困窮者自立支援法(平成二十五年法律第百五号)第一条、および第3条
こちらは、ある法律の一部を抜粋したものです。漢字が多く読みづらい文章に見えますね。
この文章をロジックツリー化したものが以下となります。図にすると、文章を読むよりも頭に入ってきやすくなりますよ。
今回は、情報を分解し整理する作業になるので、What(要素分解ツリー)に当たります。
ぜひあなたも紙とペン、またはパソコンを使ってロジックツリーを書いてみてください。
では、こちらのロジックツリーの作り方を、1つずつ順を追って見ていきましょう!
ステップ① 第1層のテーマを決める
ロジックツリーは、原則として1つのテーマに沿ってツリーを展開させていくものです。まずは第1層のテーマを決めてから、続いて右側へ第2層、第3層と具体的に展開させていきます。
例文に挙げた文章は、生活困窮者自立支援法の条文を抜粋したものなので、今回のテーマは生活困窮者自立支援法となります。ツリーの第1層にテーマを書き加えてみましょう。
ステップ② 第1層を具体的な要素に分解する
第1層のテーマを、第2層でさらに具体化していきます。例文を見てみましょう。
赤枠で囲んだ部分は、今回のテーマである生活困窮者自立支援法について書かれた内容です。これを分解し文章を簡略化すると、以下の3つに分けられます。
・「生活困窮者自立相談支援事業の実施」→「生活困窮者自立相談支援事業」
・「生活困窮者住宅確保給付金の支給」→「生活困窮者住宅確保給付金」
・「その他の生活困窮者に対する自立の支援に関する措置を講ずることにより」→「その他の生活困窮者に対する自立の支援に関する措置」
この3つをロジックツリーに図式化してみましょう。
第2層までできました!ツリーに書く内容は、文章の要点を意識しながら、なるべく簡潔でわかりやすい言葉に言い換えます。
わかりにくい場合は、文章を文節に区切りながら情報を整理していくとよいでしょう。
では第3層も同じ手順で書いてみましょう。
ステップ③ 第2層以降の要素をさらに具体化する
赤枠で囲んだ文章は、前の文章で出てきた「生活困窮者自立相談支援事業」について述べられた内容になっています。第2層の一番上に書いた、生活困窮者自立相談支援事業を具体化していきましょう。
第2層と同じように、文章の要点を押さえながら、わかりやすく簡潔な言葉で言い換えます。自分が理解できればよいので、表現が原文と多少違ってもOKですよ。
・「一 就労の支援その他の自立に関する問題につき、生活困窮者及び生活困窮者の家族その他の関係者からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言をし、並びに関係機関との連絡調整を行う事業」→「就労支援」
・「二 生活困窮者に対し、認定生活困窮者就労訓練事業(第十六条第三項に規定する認定生活困窮者就労訓練事業をいう。)の利用についてのあっせんを行う事業」→「認定生活困窮者就労訓練事業の利用のあっせん」
・「三 生活困窮者に対し、生活困窮者に対する支援の種類及び内容その他の厚生労働省令で定める事項を記載した計画の作成その他の生活困窮者の自立の促進を図るための支援が包括的かつ計画的に行われるための援助として厚生労働省令で定めるものを行う事業」→「その他の生活困窮者の自立の促進を図る支援」
言い換えが完了したら、また同じようにロジックツリーに図式化します。
これで完成です!お疲れ様でした。
例文は法律の一部を抜粋したものなので、実際はもっと長い文章です。練習として、原文のままをロジックツリーに図式化してみるのもよいでしょう。
ロジックツリーを勉強や仕事に役立てよう!
ロジックツリーの最大のメリットは、例え無理難題と思える問題や課題であっても、論理的に分解していけば最終的に原因や解決策を導き出せるということ。
ロジックツリーは、ロジカルシンキングの手法としても有名な思考ツールで、実際にオリエンテーションや会議など、社内活動に積極的に取り入れている企業も少なくありません。
資格取得に向けた勉強などにおいても効果的で、例えば暗記しなければならない内容をスマートにわかりやすく理解するためのノート術としても活用できます。
ロジックツリーとかプロセスツリーとか、カタカナだらけでなんとなく難しそう…とそっぽを向いてしまってはもったいない!ぜひ仕事や勉強に積極的に活用して、スムーズな理解につなげてくださいね。
連載最終回となる次回は、2軸思考法とも呼ばれるマトリクスについて詳しくご紹介していきます。最後までぜひチェックしてくださいね。それでは、また!
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