連載「仕事がサクサク進む!Excel関数活用術」、前回は検索条件に一致したデータを抽出するVLOOKUP関数とXLOOKUP関数を紹介しました。
今回はついに最終回。指定した「条件に合うとき」と「条件に合わないとき」で結果が変わるIF関数と、複数の条件が指定できるIFS関数やSWITCH関数、条件に合う数を数えるCOUNTIF関数を詳しく解説します。
どの関数も、仕事の様々なシーンで使われる関数。覚えておいて損はありません。
これまで紹介したExcelの関数を合わせてしっかりマスターしてくださいね。
仕事がサクサク進む!Excel関数活用術(全6回)
- 関数のキホン、SUM関数
- 集計に便利!AVERAGE、MAX、MIN、COUNT関数
- 消費税・賃金計算に便利!ROUND系関数
- 日付表示に便利!TODAY関数、DATEDIF関数
- データ抽出に便利!VLOOKUP関数
- 条件指定に便利!IF関数、IFS関数、SWITCH関数、COUNTIF関数
目次
IF関数の基本的な考え方
IF関数とは、指定した条件にもとづいて「条件に合うとき」と「条件に合わないとき」で異なる処理結果を返す関数です。
処理の結果を出したいセルに次の数式を入力します。
=IF(論理式,値が真の場合,値が偽の場合)
引数1「論理式」
上記数式の引数のうち「論理式」には、条件の基準となる数式を指定します。ここでは「A=B」のような比較演算子を入力します。次の6種類の論理式から選択してください。
A=B | AとBは等しい |
---|---|
A<>B | AとBは等しくない |
A>B | AはBより大きい |
A | AはBより小さい |
A>=B | AはB以上 |
A<=B | AはB以下 |
引数2「値が真の場合」
上記数式の引数のうち「値が真の場合」には、「論理式」で指定した数式の条件に合う場合に表示する値を指定します。
数値、数式、文字列のどれを指定しても構いません。ただし文字列を指定する場合は、引数を「“”(ダブルコーテーション)」で囲むようにしましょう。
引数3「値が偽の場合」
上記数式の引数のうち「値が偽の場合」には、「論理式」で指定した数式の条件に合わないときに表示する値を指定します。
「値が真の場合」と同様に、数値や数式、セル、文字列が入力できます。
IF関数の実践的な使い方!昇進試験の合否判定
昇進試験の合否判定を例にして、IF関数の実践的な使い方をマスターしましょう。
A社の昇進試験は80点以上が合格、80点未満が不合格と判定します。まずは上の図のように、昇進試験の条件に合った表を作ります。
次に、合否判定を自動表示するためIF関数を設定します。
① 合否判定を出すセル(C4)に「=IF()」と入力。
② B列の点数を見て合否判定を行うため、引数の「論理式」はB4>=80と入力。
③ 80点以上とれれば合格なので、引数「値が真の場合」は「“合格”」と指定。
④ 80点未満だと不合格なので、引数「値が偽の場合」は「“不合格”」と指定。
⑤ Enterキーを押すとC4セルに「不合格」と表示されます。
⑥ C4セルの右下にカーソルを持ってきてC9までオートフィルでコピー。C5からC9の合否判定のセルに「合格」「不合格」のいずれかが表示されます。
今回は昇進試験を例にしてIF関数の使い方を説明しましたが、参加者別に会費が違う飲み会の集金、営業マンのノルマ確認など、様々な仕事の場面で活用できます。
複数の条件が指定できるIFS関数
IFS関数は、指定した条件によって複数の値を表示できる関数です。IF関数の場合は複雑になってしまう条件設定を、わかりやすく表すことができます。
IFS関数は、最大127個の様々な条件を指定することが可能です。
処理の結果を出したいセルに次の数式を入力します。
=IFS(論理式1,値が真の場合1, 論理式2, 値が真の場合2…)
実践!IFS関数を使って試験結果を4段階評価
試験結果の点数から複数の評価をしたいときなどにIFS関数が使えます。実際に入力した例を見ていきましょう。
試験結果の点数ごとに、評価はA~Dとなっています。
① 評価結果を出すセル(C4)に「=IFS()」と入力。
② B列の点数を見て合否判定を行うため、引数の「論理式1」には「B4>=80」と入力。
③「値が真の場合1」にはF3のセルを選択。(「A」と入力してもOK。)
※参照する評価結果のセルは固定なので、「$」で絶対参照マークをつけます。
④同じようにB~Cの評価の条件について入力。
⑤Enterキーを押すとC4セルに「C」と表示されます。
⑥ C4のセルからオートフィルでC9のセルまで数式をコピーして完成です。
IFS関数の倫理式は、条件が厳しいものから緩いものへと順に並べることがポイントです。並べた順に調べた結果を返していくため、最初の倫理式が満たされてしまうと次の倫理式が無視されてしまうので注意しましょう。
また、どの倫理式にも当てはまらなかった場合はエラーとなってしまいます。エラーを避けるためには、倫理式の最後に「TRUE,(何にも当てはまらなかった場合の既定値)」を入力しておくといいでしょう。
複数条件の指定がシンプルでわかりやすいSWITCH関数
SWITCH関数は使い方がIFS関数と似ていますが、より数式がシンプルで分かりやすくなっています。最大126個まで、組み合わせを指定することが可能です。
処理の結果を出したいセルに次の数式を入力します。
=SWITCH(検索値,値1,結果1,値2,結果2…値126,結果126,既定の結果)
SWITCH関数を使って、入力された文字をもとに合否区分を表示
ここからは、実際の例からSWITCH関数の使い方を見ていきましょう。評価に応じて合否区分を表示させます。
評価がAまたはBの場合は合格、CまたはDの場合は不合格となっています。
① 評価結果を出すセル(D4)に「=SWITCH()」と入力。
② 検索値には「C4」を入力。
③ 値1に「”A”」、結果1に「”合格”」を入力。
④ 同じように、B~Dについても式を入力します。
⑤ 式の最後に、値を書かずに結果「“未受験”」だけを書きましょう。これは、結果がどの値にも当てはまらなかった場合に表示されます。
⑥ D4のセルからオートフィルでD12のセルまで数式をコピーすると、合否区分が入力されます。
SWITCH関数は、1つのセル(式や値)について条件に完全一致するものを判定できます。判定の対象が複数や異なる場合、「以上」や「より大きい」となる場合などは、IFS関数を使いましょう。
条件に一致するデータを数えるCOUNTIF関数
COUNTIF関数は、Excelのデータ上で、条件に一致する値の数を数えたいときに使います。指定した条件に一致する数を出したいセルに以下の数式を入力します。
=COUNTIF(範囲,検索条件)
引数1「範囲」
上記数式の引数のうち「範囲」には、条件に一致する値を数えたい範囲を指定します。
引数2「検索条件」
上記数式の引数のうち「検索条件」には、検索条件となる値やセル、文字列を指定します。一定の数量以上の数を数えるとき、例えば商品リストの中から単価が1000円以上の商品の数を数えたいときは「A1>=1000」と、比較演算子を検索条件に指定できます。 考え方はIF関数の論理式と同じです。
それでは、営業部の社員表を例にして、社員の中で女性が何人いるかCOUNTIF関数を使って数えてみましょう。
① 女性社員の数を表示したいセル(E4)に「=COUNTIF()」と入力。
② 営業部の社員表から人数を数えるので、引数「範囲」には「C4:C12」と指定。
③ 女性の人数を知りたいので、引数「検索条件」には「“女”」と指定。
④ Enterキーを押すと、E4セルに「4」と表示されます。
今回の例ではCOUNTIF関数で営業部の女性社員の人数を数えました。
その他にも、ある一定の数量以上の人数、たとえば営業部でノルマが達成できた社員の数とか、人口が20万人以上の市町村の数などをすぐに確認したいときに便利です。
最終回の今回は、条件に合うときと合わないときで返す結果が違うIF関数、複数の条件が指定できるIFS関数やSWITCH関数、条件にあったセルを数えるときに便利なCOUNTIF関数をご紹介しました。
連載「仕事がサクサク進む!Excel関数活用術」で紹介した関数は全部で16種類。
どれも、仕事の様々なシーンで頻繁に使われる関数です。
たった16個のExcelの関数でも使いこなせるようになれば、驚くほど仕事のスピードが早くなりますよ。
ぜひ使ってみてくださいね!
※画像はすべてExcel2019を使用
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