この連載では「Excel2013で止まっている人必見!業務効率がUPするExcel2019活用術」と題し、Excel2019(Office365)の新機能や活用方法を、13回にわたり紹介しています。
連載7回目は、グラフ紹介のラストです。
学生時代に社会の教科書でよく見かけた地図やじょうごの形状をした、「マップグラフ」と「じょうごグラフ」をご紹介していきます。
マップグラフは、その名の通りグラフを地図上に表示するもので、エリアごとの色の濃淡によって、どこが多くてどこが少ないかが一目でわかるようになっています。
もう1つのじょうごグラフは、段階的に減っていく様子がわかるグラフです。
どちらも、これまでは棒グラフで表現していました。しかしExcel2019で登場したマップグラフやじょうごグラフを使うことで、プレゼンテーションの資料がよりインパクトのあるものに変わります。ぜひこの機会に覚えて活用してみてください。
地域ごとの比較に最適!「マップグラフ」とは?
マップグラフの概要
マップグラフとは、日本地図や世界地図上に、色の濃さをエリアごとに変えることによって数の大小を表すグラフのことで、Excel2013以前には無かったグラフの1つ。
社会の教科書や新聞などでよく見かけるこのグラフ、これがExcel2019なら簡単に作れるのです。
マップグラフは、例えば複数の都道府県にまたがって営業している企業や、全国展開している商品・サービスをもつ企業の資料作成で活用できます。
例えば都道府県ごとの営業成績について、数値の大小を知りたい場合、Excel2013以前では、棒グラフぐらいでしかビジュアル化できませんでした。
このように棒グラフにすれば、どこの県が多いか少ないか見ればわかります。
ただ、プレゼンテーションの時などは、もっと視覚的にアプローチしたほうが有効だと思いませんか?
マップグラフはそんな時に役立します。
マップグラフ(日本)の作り方
ではさっそく、マップグラフを作っていきましょう!
① 下図左の表、A2セルからB49セルを選択します。
②「挿入」タブで「マップ」にある「塗り分けマップ」をクリックします。
③ これで完成です!
…とは言っても、日本地図を作ったはずなのに世界地図になっていますよね。実は、完成時は世界で表示されるようになっているのです。
ちなみに、マップグラフを初めて作成するときは「マップグラフを作成するために必要なデータがBingに送信されます。」というメッセージが表示されます。
このBingとは、Microsoft社が提供する検索エンジンのことで、地図上にグラフを反映するためには、Bingのマップサービスに接続する必要があります。そのため、「同意します」をクリックして進んでください。決して外部の怪しいサイトに情報が送信されるというわけではないので、安心してくださいね。
さて、続きに戻りましょう。
日本は右上の位置にありますので、ここから見やすく整える作業を行います。
④ 地図上でダブルクリックすると、右側に「データ系列の書式設定」が出てきます。これは棒グラフでいえば、棒の部分に該当します。
「マップ領域」を「自動」から「データが含まれる地域のみ」に変更します。
これで日本だけのマップになりましたが、傾いた状態で表示されているので、もう少し調整が必要です。
⑤ 引き続き「データ系列の書式設定」で、「マップ投影」→「自動」以外を選択します。ここでは「メルカトル」、「ミラー」、「アルバース」とある中で、一番しっくりくる形の「メルカトル」を選べば完成です。
このように、北は北海道から南は沖縄県まで、色の濃さによって多い少ないを表すのがマップグラフです。
棒グラフと違い、「どこの都道府県が多い」という単体の情報だけでなく、「色が濃いエリアが集中している」という情報も視覚的にすぐ把握できます。
例えば「この地方は色が薄いのでもっと営業を強化しよう」など、経営の判断材料として使えるでしょう。
マップグラフ(世界)の作り方
先ほどのマップグラフでは日本の都道府県の比較を行いましたが、途中でチラッと見えたように、世界の国々の比較も簡単にできるのが、このグラフの特徴です。
ぜひ作り方を覚えてみてください。
① 最初にグラフの元となる表を作成します。国の名前を入力するときは正式名称で入力してください。(例:「アメリカ」→「アメリカ合衆国」)
② 表(セルA2からB10)を選択し、「挿入」タブで「マップ」にある「塗り分けマップ」をクリックします。
③ これで完成ですが、 「グラフのデザイン」にある「色の変更」 で見やすい色を選べば、より わかりやすいマップグラフになります。用途により、選んでみてくださいね。
国名の入力についての注意事項
マップグラフを作る際、国名を入力しても反映されない場合があると先ほどお伝えしました。
通常であれば「アメリカ」→「アメリカ合衆国」のように正式名称で入力すれば解決するのですが、一部の国で正式名称であっても表示されないときがあります。
ここでは、「インド」と「韓国」が表示されていませんよね。
韓国は正式名称ではないので、反映されないのはうなずけるのですが、インドは正式名称であるにも関わらず反映されていません。
こんなときの解決法をお伝えします。
① セルA2からA6を選択し、「データ」タブで「地理(英語)」をクリックすると、英語表示に変わります。これで、インドなど一部の国が反映されました。
しかし、「韓国」だけ「?」がついていて反映されていません。
② 反映されていない国、セル「A3」の「?韓国」を選択すると、画面右側にデータ選択ウィザードが表示されます。
マップグラフに反映させるためには、「韓国」と入力された箇所に、正式名称「大韓民国」と入力します。すると、下に候補として国旗が表示されるので「選択」をクリック。
③ 以上で完了です。この手順で、表示されない国もほぼ反映されるようになるでしょう。
数値の減少の表現に最適!「じょうごグラフ」とは?
「じょうごグラフ」の概要
じょうごグラフの「じょうご」というのは、キッチン用品の「じょうご」を表しています。上の部分が広くて下の部分が細い、瓶などに液体を入れる時に使うもので、それと同じく、逆三角形になっているのが特徴です。
図を見てもらうとわかりますが、特に減少している数値を表すのに適しています。
Excel2013以前からある横棒グラフと、じょうごグラフを比較してみましょう。どちらも棒が横になっており、多いか少ないかを比較するグラフです。
しかし、棒の部分が太く奇抜な形をしているじょうごグラフの方が、より減少傾向を強調しており、インパクトを与えるように思いませんか?
このように、じょうごグラフを使えば、プレゼンテーションでより印象付ける効果が生まれます。
また見た目と違い、加工する手間もなく簡単に作れるのも特徴の1つです。
では、実際にじょうごグラフを作ってみましょう。
じょうごグラフの作り方
今回は、マラソン大会における各通過地点の通過人数データを元に作成していきます。
① セルA2からB11を選択します。
②「挿入」タブ で「じょうごグラフ」を選択します。
③ じょうごグラフの完成です。
このグラフは、スタート地点で135人だった人数が徐々に減っていき、途中30Km地点では大幅に減り、最後は36人が完走した、ということを表しています。
もちろん同じデータで横棒グラフも作れます。
しかし、じょうごグラフよりも、見た目のインパクトが全然違いますね。じょうごグラフの方が、時間の経過にともなって減少していくというイメージをよく表しています。
見た目的にも作業的にも、より使いやすいじょうごグラフ。
段階的に減っていくことを表したい時には、ぜひともじょうごグラフを使ってもらえればと思います。
連載「Excel2013で止まっている人必見!業務効率がUPするExcel2019活用術」、今回でグラフの紹介はラストとなります。
今回紹介したマップグラフやじょうごグラフはもちろん、Excel2019で使えるようになったグラフは、どれも簡単に作れるのにインパクトのあるものばかりです。
知識がExcel2013で止まっていて、「ずっと棒グラフや円グラフのみを使っていた」「難しいグラフは時間をかけて作っていた」なんて人は、この機会にExcel2019のグラフをマスターしましょう。業務効率とあなたの評価が、きっとアップしますよ。
さて次回は、Excel2019の新機能「予測シート」の紹介です。
こちらもグラフが作れるのですが、過去のデータを表すグラフと違い、将来を予測して作れるグラフです。これまでとは違った発見があるかもしれないので、ぜひ楽しみにしていてください。
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