この連載では「Excel2013ユーザー必見!業務効率がUPするExcel2019活用術」と題し、Excel2019(Office365)の新機能や活用方法を、13回にわたり紹介します。
前回の連載1回目では、Excel2013とExcel2019の大まかな違いについて解説しました。
続く連載2回目と3回目では、Excel2013とExcel2019の関数の違いについて、より深く見ていきたいと思います。
Excel2019では、Excel2013以前から使われている「IF関数」に加えて、「IF関数」の進化版ともいえる「IFS関数」や「SWITCH関数」も使えるようになりました。これがどう違うのか、また、どこで使ったらいいのか気になりますね。
難しく考えなくても大丈夫です。本記事では、
- 「IFS」とは、「IF」に複数形「S」がくっついたもの
- 「SWITCH」は、切り替えと同じ
などのイメージを持って読んでもらえたらと思います。
まずはIF関数をおさらい!
IF関数は、Excel2013よりかなり前から搭載されている関数で、今でもよく使われています。まずは、このIF関数をおさらいしていきましょう。
昔、学校の先生がクラスの生徒の成績を決めるとき、氏名と点数が書かれた紙に、AからEまでの成績を1つずつ書く作業をしていた時代がありました。
それが今ではパソコンで、この表のように成績の列にIF関数を設定しておけば、点数を入れるだけで自動的に成績が表示される時代になっています。
IF関数の使用例
評価の間違いが減ったのも、仕事がスムーズに進み早く帰れるようになったのも、すべてIF関数のおかげですね。
IF関数の引数例
このように、論理式にある条件が正しければ、値が真の場合に入れてある答えを返し、正しくなければ、値が偽の場合に入れてある答えを返す数式を設定することで、AかBなど答えを出してもらえます。
これだけでもとても便利ですが、最新バージョンのExcel2019では、IF関数の進化形ともいえるIFS関数が追加され、数式の見やすさや編集のしやすさが、かなりアップしました。
次で詳しく紹介していきます。
Excel2019で追加されたIFS関数をもっと詳しく!
ここからは、IFS関数をより詳しく見ていきましょう!
先程のIF関数で作った数式を、IFS関数にすると、このようになります。
IFS関数の引数例
Excel2013以前から使われているIF関数では、「論理式」、「値が真の場合」、「値が偽の場合」と3つの関数で完結するような設定でした。そのため、成績がA~Dのように分岐数が4個になれば、IF関数が3個必要になってきます。
最初のIF関数で「80点以上はA」と入れたとしても、そのあとのBやCやDの条件を「値が偽の場合」の欄に正しく入れなければ、警告が出るときがあります。いわゆる、最後まで気が抜けない関数といえます。
一方、Excel2019に追加されたIFS関数は、「論理式1」、「値が真の場合1」というように、「論理式」と「値が真の場合」をセットにして作っていく関数になります。
また「IFS」の後、Aを判定する「論理式」と「値が真の場合」をセットで入れて、カッコで閉じておけば、警告は出ることはありません。
そのあとのBやC、Dの判定も、「論理式」と「値が真の場合」を繰り返しセットにして、数式に入れていけば完成です。
2つの関数を図で表すとこのようになります。
IF関数が入れ子構造であるのに対し、IFS関数はシンプルになっている
以上のことから、IFS関数はIF関数と使う場面は同じでも、IFS関数を使った数式の方が、より見やすくなり扱いやすくなったと言えるのです。
Excel2019で追加されたSWITCH関数とは
続いてもう1つ、Excel2019で追加された「SWITCH関数」についても紹介していきましょう。
SWITCH関数も、Excel2013以前からあるIF関数や、Excel2019で追加されたIFS関数と同じように、条件によって判定する関数の部類です。
またIFS関数と同じように、複数の条件があっても関数1つで完結するので、見やすく扱いやすい関数と言えるでしょう。
よりわかりやすいよう、SWITCH関数とIFS関数との違いを以下の図で解説します。
SWITCH関数とIFS関数の引数の違い
IFS関数では、論理式の数だけ毎回「C2="A"」や「C2="B"」を設定していました。
それに対しSWITCH関数は、引数「式」に「C2」と1回だけ入力するだけなので、IFS関数と比べて、とてもシンプルなつくりとなっています。
では実際に、先程の表にある成績の横に評価としてコメントを挿入してみましょう。
SWITCH関数の引数例
ここでは「式」にセル「C2」を指定して、「値1」に「"A"」とすることで、「C2="A"」という論理式になっています。見えない「イト」ではなく、見えない「イコール」で繋がっていることを表しています。
次の条件から、最初の「式」に「C2」が入っていることで省略となり、「値2」に「"B"」を入れるだけで「C2="B"」となります。以下の条件も同じことになり、その条件に合えば、値と同じ数字が付いている、結果にある答えが返ってくるのです。
ここでイコールという条件以外、例えば「>、<、>=、<=」などの不等式はどうやって入れるのか、という疑問が出てきた方もいるでしょう。
これに関しては、SWITCH関数ではイコールという条件しか扱えないため、不等式の条件についてはIFS関数を使うということになります。
論理式がどれにも該当しない場合はどうする?
先程作成した数式では、成績がAからDまでの4種類しか対応できません。
成績欄が空欄だと#N/A(該当なし)エラーになる
例えば、上記の図下のように未受験者がいて成績が空欄だった場合、AからDのどの条件にも合致しないため、「#N/A」(値が無い)というエラーになります。
これを回避するために、5個目の論理式を追加することもできるのですが、今回は別の方法を紹介します。
引数の最後の「既定または値5」に「"未採点"」を入力
まず、関数の引数ダイアログボックスを表示して、引数の最後にある「既定または値5」に「"未採点"」を入力します。
いずれの論理式にも該当しなければ、「既定」に入力した答えを返してもらえるのです。
AからDの成績にどれにも該当しなかったときは、「"未採点"」を表示
これにより、AからDの成績にどれにも該当しなかったときは、「"未採点"」が答えとなり入力されます。
これも含めSWITCH関数のメリットは、条件式が複数になる場合「C2=」が省略され、数式がIFS関数と比べてより短くなることにあります。イコールを条件式とするのであれば、大変見やすく扱いやすい関数ということになるでしょう。
下記に3つの関数の比較表を作ってみたので、確認してみてください。
IF関数・IFS関数・SWITCH関数の違い
Excel2019で使えるようになったIFS関数やSWITCH関数ですが、IF関数と使う場面が大きく違わず、またどちらもIF関数で対応できないことはありません。このような理由で、Excel2013ユーザーの中には、使ったことがない方も多いと思います。
しかし、ここまでで解説してきたように、格段に見やすく扱いやすくなった関数ですので、使わない手はありません!ぜひ日々の業務で試してみてください。
連載「Excel2013ユーザー必見!業務効率がUPするExcel2019活用術」、今回は、Excel2013以前からExcel2019でも使われているIF関数と、Excel2019で追加されたIFS関数とSWITCH関数との違いについてご紹介しました。
Excel2013よりも前からIF関数を使ってこられた方にも、IFS関数やSWITCH関数の見やすさや扱いやすさをわかっていただけたと思います。この記事を機に、ぜひ使ってみてくださいね!
さて次回は、関数編の後半です。Excel2019で追加された「MAXIFS関数」「MINIFS関数」「CONCAT関数」について、具体例を挙げながら紹介していきたいと思います。こちらもお楽しみに!
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