「IT 系の資格をとってスキルアップしたい!」と考える人の中には、ITパスポートと情報セキュリティマネジメント、どちらを目指せばいい?どちらも取ればいいのかな?などと悩む人もいるのではないでしょうか。
この2つの資格は、どちらも情報化社会で役立つ資格です。現代社会で必要なITリテラシーを高めるには、いずれもおすすめの資格なのですが、いったい何がどう違うのでしょうか。
今回の記事では、実際に両資格を持つ筆者が、2つの資格の違いや勉強方法のポイント、さらに実務で資格を活かす方法などについて解説します。筆者がどういう順番で資格を取ったかについても書いているので、資格を取ろうと思う人はぜひ参考にしてみてください。
ITパスポートと情報セキュリティマネジメントの違い
ITパスポートと情報セキュリティマネジメントの難易度は
ITパスポートと情報セキュリティマネジメントは、どちらもIPA(情報処理推進機構)の実施する試験です。
IPAの実施する試験は、大きく「ITを利用する者」「情報処理技術者」「サイバーセキュリティを推進する人材」の3つに分かれています。
ITパスポート試験と情報セキュリティマネジメント試験はどちらも「ITを利用する者」に分類されます。
「ITを利用する者」の中でもさらに、「全ての社会人」「ITの安全な利活用を推進する者」に分かれています。
ITパスポート試験の想定受験者は「全ての社会人」となり、情報セキュリティマネジメント試験の想定受験者は「IT の安全な利活用を推進する者」となっています。
試験概要の違いを簡単にまとめたので、確認してみてください。
ITパスポート | 情報セキュリティマネジメント | |
---|---|---|
レベル | 1 | 2 |
試験時間 | 120分 | 120分 |
出題数 | 100問 | 科目A:48問 科目B:12問 |
解答方法 | 四肢択一式 | 科目A:四肢択一式 科目B:多肢択一式 |
合格率 ※2022年度 |
51.6% | 56.2% |
どちらの資格も、社会人であれば持っておきたいITの基礎知識を学べる資格なのですが、情報セキュリティマネジメントは“マネジメント”と名がつくように、情報の対策や管理など、マネジメント要素が少しだけ強くなる点が違いと言えるでしょう。
また出題内容にも違いがありますので、続いてそれぞれの資格の概要を見ていきましょう。
ITパスポートの概要と出題内容
ITパスポートはITの入門といえる国家資格で、 IT化が進む現代で働く社会人なら持っておきたい資格の1つ。問題数は合計100問で、出題分野と問題数の内訳は以下になります。
経営全般「ストラテジ系」 | 35問 |
---|---|
IT管理系「マネジメント系」 | 20問 |
IT技術系「テクノロジ系」 | 45問 |
各分野の正答率が30%(300点)以上、全体の正答率が60%(600点)以上なら合格です。2022年度には119,495名の応募があり、合格率は51.6%でした。
ITパスポート試験はすべての社会人向けのため、ITの基礎的なしくみや利用方法などの問題が出題されます。試験は、CBT方式と呼ばれるPCを利用した試験方式となっており、都合のよい日時・会場で受験できる点がメリットです。試験日の3日前までであれば、試験日の変更が可能なことも、社会人にとっては嬉しいことですね。
情報セキュリティマネジメントの概要と出題内容
情報セキュリティマネジメント試験は、ITの安全な利用を推進する立場の方向けとなるため、ITパスポート試験よりやや専門的な問題が出題され、難易度が高くなる点が違いと言えます。
具体的には、企業内のセキュリティ担当者として必要な知識を問われる問題が増え、試験は午前と午後の2回あるのが特徴です。
以下が、出題内容になります。(分野別の問題数は決まっていません)
科目A | ||
---|---|---|
重点分野 | 情報セキュリティ 情報セキュリティ管理 情報セキュリティ対策 情報セキュリティ関連法規 |
48問 |
関連分野 | テクノロジ マネジメント ストラテジ |
|
科目B | ||
重点分野から、より実践的な問題が出される | 12問 |
2023年3月までは、情報セキュリティマネジメント試験は午前問題・午後問題と分かれており、試験時間も午前問題90分、午後問題90分の試験でした。午前問題は科目A、午後問題は科目Bに置き換わり、試験時間も科目A・B合わせて120分となっています。
2022年度の試験では16,051名の応募があり、合格率は56.2%です。
試験は、ITパスポート試験と同様、CBT方式で通年の受験が可能です。
ITパスポート試験との大きな違いは、長い文章問題が出される科目Bがあること。一夜漬けのような、暗記だけでは正答することが難しいため、しっかりとした対策が必要です。
2つの資格を取得するメリットとは
次に、ITパスポートと情報セキュリティマネジメント、2つの資格を取得するメリットをそれぞれにおいて紹介していきます。そして、両方取得するメリットについても解説します。
ITパスポートを取得するメリット
まずITパスポートは、幅広いITの基礎知識が身に付くため、会社では、営業、事務、工場など、勤務場所を問わず、コンピューターを使うすべての仕事に役立ちます。現代の企業では、どの部署でもコンピューターを使う機会があるため、資格所持者はコンピューター操作を伴う実務で優位に立てるでしょう。
またITパスポート試験では、経営学を学ぶ必要もあるため、会社全体での自分の役割などを意識しながら働けるようになるというメリットもあると思います。意識しながら働けるようになるということは、会社にとってより役立つ人材になれるということです。
さらに転職や就職の際は、ITや経営に関する基礎的なスキルを証明できるので、会社員として必要不可欠な知識をすでに持っていることをアピールできます。在職中の場合は、仕事に向けて資格を取得する向上心があることをアピールできるでしょう。
情報セキュリティマネジメントを取得するメリット
情報セキュリティマネジメント資格を取得すれば、情報の保護という一歩進んだ知識を実務に活かせます。資格試験で得たIT知識を体系化して理解しているため、今取り組んでいる実務が試験分野のどこにあてはまるかを意識しながら仕事をすれば、他社とは圧倒的な差を生み、職業人として差別化できるでしょう。
また、転職や就職の際には、リーダーや管理職など、人をマネジメントする役職へ就くことへのアピールもできると思います。
こんなところで役立った!筆者の体験談
筆者は、金融系の情報システムを扱ううえで、情報セキュリティマネジメント試験に合格するための知識が役に立った、と実感したことがあります。
業務上、個人情報の取り扱い方や管理方法など、どのように対応するのが適切か?と判断に迷う場面に多々遭遇します。そのときに、情報セキュリティマネジメント試験のために学んだ知識を基にして判断をしました。
例えば、ある目的のために個人情報を収集する際、部署内での取り扱い方についてのルールを作成する機会がありました。個人情報の保護は、企業の信頼性を左右する重要な要素であり、適切な管理方法が求められます。
その際、情報セキュリティマネジメント試験で学んだプライバシー保護やデータ管理に関する知識が役に立ちました。その時は学んでいてよかった、と心から実感しました。
せっかく取るなら、両方の取得がおすすめ
筆者としては、どちらか一方の資格だけを持つよりも、両方を持つことをおすすめします。幅広いIT知識を持った人材として認められ、活躍の場が広がると考えるからです。
なので、興味のある方はぜひ、両方の取得を目指してください。そして、勉強を始める際はITパスポートから学んでみてください。そのメリットについては、次項で解説します。
ITパスポートから先に取得するのがおすすめ
情報セキュリティマネジメント試験はITパスポートの上位試験であり、出題範囲の約半数以上がITパスポート試験と重複しています。
さらに、情報セキュリティマネジメント試験はITパスポート試験レベルの知識があることを前提にしています。
そのため、ITパスポートの資格を先に取得してから受験した方が合格しやすくなると、筆者は考えます。ちなみに筆者もこの順で資格を取得しました。
また、2つの試験はどちらもIPAが実施していることから、出題傾向をつかみやすく、受験方法も似ているため効率よく資格取得できます。
その点でも、この2つの資格を連続して取得するのがおすすめです。
今回は、ITパスポートと情報セキュリティマネジメントの資格の違いや、取得するならITパスポートからがおすすめということをお伝えしました。
筆者は、2つの資格を取得しています。
ITパスポート取得のための知識は、スマートフォンやパソコンの購入時に、今までは呪文のように感じていたスペック内容の詳細がわかるようになりました。
情報セキュリティマネジメント取得のための知識は、仕事だけでなく、インターネット上やショッピングセンターなどで説明を受ける「個人情報の取り扱い」について、ただ聞くだけでなく、理解することができるようになりました。
独学でも合格可能な資格ですので、興味のある方は、テキストを探してみてはいかがでしょうか。オンライン講座なら、忙しい社会人でも時間を有効に使って学べるので、こちらもぜひ活用してみましょう。
これからの社会で必要な人材となるための基礎知識である2つの資格、ぜひ取得を目指してくださいね。応援しています!
参考URL:
https://www.ipa.go.jp/shiken/reports/hjuojm000000ll0f-att/suii_hyo.pdf
https://www.ipa.go.jp/shiken/reports/ps6vr7000001lzik-att/202305_sg_toukei.pdf
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