SNSやメールでのやり取りが増えた今、手書きの手紙を書く機会がめっきり減ったように感じませんか?
手紙は、親しい仲間内だけでなく、ビジネスやフォーマルなど、少しあらたまった関係の方へも真心をまっすぐに伝えられる素敵なツールです。
今回より全3回の連載で、初心者にもわかりやすい手紙の書き方やマナーについて、実体験でのエピソードも交えてご紹介していきます。
手紙に苦手意識がある方も、基本マナーやちょっとしたコツを知ることで、もっと自由に手紙を活用できるはずですよ。
第1回目となる今回は、TPO別の手紙のアイテム選びや、便箋の折り方、宛名の書き方について見ていきます。
連載「今さら聞けない!手紙の書き方超基本」
- 第1回 手紙の選び方・折り方、宛名の書き方
- 第2回 手紙の構成の基本、時候のあいさつ
- 第3回 TPOにあわせた書き方のポイント
手紙の種類はTPOにあわせて選ぼう
手書きの手紙を書くときは、送る相手や内容にふさわしいレターアイテムを選ぶことが大切です。一般的に手紙には、以下の4種類があります。
① 封書(便箋と封筒)
② ハガキ
③ 一筆箋
④ カード
それぞれのアイテムは、ビジネスやフォーマルな場面にふさわしいものからカジュアルに使えるアイテムまで、様々な種類がそろっています。
基本的に、どの種類においても「縦書きで白色、罫線はなし」のものが、よりフォーマルにふさわしいと覚えておくとよいでしょう。
では1つずつ、詳しい選び方を見ていきます。
① 封書(便箋と封筒)の選び方
便箋と封筒の封書タイプはビジネスの場のほか、お世話になった方や目上の方へ、お礼やお詫びの気持ちなどをしっかり伝えたいときに適しています。
よりあらたまった場面であれば、前述したように縦書きで白色の罫線なしタイプ、かつB5サイズの便箋を選ぶとよいでしょう。罫線ありの便箋を使う場合は、12ミリ幅のものがおすすめです。
ビジネスの場で用いるときに、英語や数字の表記が頻繁に出てくる場合には、見やすいよう、横書きを選んでも失礼にはあたりません。
② ハガキの選び方
ちょっとしたお礼状や事務連絡を絡めた挨拶状など、封書にしたためると少し重く感じる手紙を送るときには、ハガキをおすすめします。
こちらも封書と同じように、ビジネスやフォーマルな場面では縦書きを用いるのがマナーです。白色のハガキであれば問題ないですが、なかでも通常ハガキより柔らかな質感をした、少し高級感のある素材を選ぶのがおすすめです。
罫線ありのハガキの場合は、7行から10行ほどのものを選んでくださいね。
また、季節のご挨拶に送るハガキには、季節のお花や景色が描かれた絵ハガキが喜ばれます。
③ 一筆箋の選び方
一筆箋は、細長い短冊のような形をした便箋です。単体で送ることは少なく、主にお届けする荷物や書類などと一緒に添えるために使われています。ちょっとした贈り物には、何も付けずに渡すよりも一筆箋でメッセージを添えて渡すと印象アップに繋がるでしょう。
縦書きのものがよりフォーマルですが、便箋と同様、英語や数字の表記が気になる場合は、横書きを選ぶと書くときも読むときもスムーズです。
④ カードの選び方
カジュアルな場面で使われることも多いメッセージカードは、若い方にも馴染みのあるアイテムかもしれませんね。実はカードも、ビジネスやフォーマルな場面で使いやすいアイテム。ビジネスシーンでは、栄転や退職のお祝いとして、またお得意様へのお誕生日カードやパーティの招待状としても活用されています。
こちらも、白色で縦書き、無罫のものがよりフォーマルですが、上品なものであればワンポイントの柄が入っても素敵ですよ。
フォーマルやビジネスにも使えるレターアイテムは、いざ使うときに探しても、自分がよいと思えるものがなかなか売っていないこともあります。
私自身、仕事を退職する際、お世話になった方へお手紙を書きたかったのですが、フォーマルに使える便箋や封筒を買いに行く時間がなかなか取れず、行けたと思っても、なかなか納得いくデザインのものが見つからず、結果ギリギリに書いた経験がありました。
急に必要になったときに困らないよう、それぞれのアイテムごとにフォーマルシーンで使いやすい「縦書き・白色・罫線なし」のものを用意しておくと安心でしょう。
ちょっとした彩りを入れられるようシールも一緒に用意しておくと、華を添えたいときに便利ですよ。
また、素敵なレターアイテムは、見つけたときにすぐ購入しておくことで、いざというときにも困らないですし、手紙を書くモチベーションもグンと上がります。
慣れない手紙を書いていると書き損じることもあるので、便箋や封筒は多めに準備しておきましょうね。
便箋の折り方・封筒への入れ方も注意
手紙には、便箋の折り方、封筒への入れ方のルールもあるので、覚えておくとスムーズです。まずは、封書タイプについて、便箋の折り方・封筒への入れ方を、ご説明します。
縦書きの手紙の場合
縦書きの便箋は、三つ折りにして入れることがマナーです。
折ったあとは、文章の書き出し部分が外側となるように入れましょう。
次に、封筒への入れ方です。
和封筒に入れる場合は、便箋の書き出し部分が、封筒の表側から見て左上になるように入れましょう。
洋封筒に入れる場合は、便箋の書き出し部分が、封筒の表側から見て右下にくるように入れます。
横書きの手紙の場合
横書きの便箋は、二つ折りにして封筒に入れましょう。横書きの便箋には、和封筒ではなく洋封筒を使うことが一般的です。
洋封筒へ入れるときは、折り目を底にして、封筒の表側から見て、便箋の書き出し部分が上になるように入れます。
便箋を折るときの注意点
和封筒は洋封筒よりも少し幅が狭いので、三つ折りする際には注意が必要です。
私自身、便箋を三つ折りにしたときに、和封筒の幅よりも広く折ってしまったため封筒に入らず、泣く泣く書き直したことがあります。
「折り直せばいい」という人もいると思いますが、実は便箋は、何度も折り目をつけると、見栄えが悪く、相手に失礼と言われています。
便箋を折る前には、封筒の幅、三つ折りか二つ折りか、などをしっかり確認して、一度できれいに折るようにしましょう。
便箋を三つ折りにするときのコツ
実は、便箋を三つ折りにするときには、ちょっとしたコツがあります。
やり方は以下のとおり。
三つ折りにしたい便箋の上に、横向きにした同じサイズの紙(手紙で使った便箋でOK)を重ねて、重なっていない下部分を上に折ります。そして、上の部分を下に重ねて折れば完成です。
紙を重ねたとき、重なっていない部分がおおよそ三分の一なので、簡単にきれいに折れるというこちらの方法。実は、A4サイズの用紙をなるべくきれいに三つ折りにする方法の応用なんです。
きっかり三等分できるわけではありませんが、バランスよく簡単に三つ折ができるのでおすすめですよ。三つ折りに自信がない方は、ぜひ試してみてくださいね。
カードの場合
最後は、意外と迷ってしまうカードの入れ方についてです。
二つ折りになったカードは、カードの折り目部分を下にして入れましょう。
単カードや封をしない場合は、メッセージを書いたカードの表側が、封筒の裏面にくるように入れればOKです。
手紙の折り方、封筒への入れ方は、手紙を読む相手が取り出しやすく読みやすいようにすることがポイントになっています(なお、手紙は、宛名面を上にして開封されると想定します)。悩んだときには参考にしてみてくださいね。
宛名の書き方
宛名の書き方のポイントは、文字の大きさやバランスに注意して丁寧に書くこと。和封筒、洋封筒、それぞれで見ていきましょう。
和封筒への宛名の書き方
ビジネスやフォーマルな内容の手紙は、縦書きの和封筒がおすすめです。
まずは、宛名の書き方など、表書きのポイントをご覧ください。
・切手は左上に貼る
・数字は漢数字を使用する
・住所は、郵便番号を書いた右端とラインを揃えるとバランスが取りやすい
・名前は、郵便番号が書かれた枠部分から一文字分あけて書く
次に、差出人である自分の住所・名前を書く、裏書きについてのポイントです。
・自分の名前や住所は中央に書くのが正式な書き方だが、今では左側に記入する方が一般的
・封じ目には、一般的に「〆」を使うが、お祝い事には「寿」や「賀」を使用する
洋封筒への宛名の書き方
洋封筒は、ビジネスの場ではあまり使用しませんが、カジュアルな場面や親しい方へのお礼状などで使われます。まずは、表書きのポイントです。
・切手は右上に貼る
・数字は、算用数字を使用する
・郵便番号は、枠ありの場合は枠内に書き、枠なしの場合は左端からスペースを空けて書く
・名前は、中央部分にくるように書く
続いて、裏書きのポイントです。
・住所は、封じ口下の中央部分か、少し右寄りに記入する。(郵便番号が記載されている場合は、郵便番号の左端と住所を揃えて記入する)
・封じ目に「〆」は不要だが、書いたり、スタンプやシールを使ったりしてもよい
和洋共通の注意点とは?
和封筒・洋封筒どちらにも共通する注意点として、次のことが挙げられます。
・名前は、住所よりも大きな文字で書く
・よりフォーマルな内容であれば、ビルやマンション名は省略せずに書く
・封かん日を記入する場合は、左側に書く
プライベートな手紙では、少しくらいマナーやルールから逸れていても気にしなくてもいいと思いますが、内容がフォーマルになると、これまでに紹介した細かな点にも気を付けるようにしたいですね。
そして、もう1つ気を付けたいのが、洋封筒の切手の位置です。
私自身、切手はずっと左上に貼るものと勘違いしており、あるとき、洋封筒に切手をはるときも、もちろんなんの迷いもなく左上に貼ってしまっていたのです。
指摘されたときには、どうしてきちんと調べなかったのだろうと恥ずかしく思いました。
和封筒の切手は左上、洋封筒の切手は右上となりますので、覚えておきましょうね。
たくさんの条件を掲げましたが、これらと共に大切なのは、丁寧に書くこと。やはり丁寧に書かれたきれいな字は、よい印象に繋がります。
もし自分の書く文字に自信が持てない人は、オンラインで気軽に学べるボールペン講座を受講してみてはいかがでしょうか。手書きの手紙のときはもちろん、いざ文字を書くというときにも自信が持てるようになりますよ。
誰でも簡単!ボールペン字講座もちろん、バランスやマナーも大切なので、それらのことをしっかり学びたいなら、「秘書検定講座」というものもあるので、ぜひ検討してみてください。
秘書検定2級 3級講座一見堅苦しくみえる手紙の書き方やマナーには、相手への敬意と気遣いがあふれています。
文章の書き方だけでなく、TPOにあった手紙を選び、折り方や宛名の書き方に気を配ることで、デジタルツールでは届きにくい真心をしっかりと相手へ伝えられますよ。
手紙を送る際には、ぜひ今回ご紹介したポイントにも気を付けてみてくださいね。
さて次回は、手紙の書き方について、構成や時候の挨拶など、基本的な形式についてご紹介します。「拝啓」や「敬具」など、耳にしたことはあるけれど正しい使い方がよくわからないという方は、ぜひご覧くださいね。
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