全3回に渡ってお送りしている連載「ウィズコロナ時代に必須の文章力とは」。
前回までは、メール・チャットで必要とされる文章力について解説してきました。
最終回となる今回は、チャット上でやりがちな失敗事例をもとに、今すぐ実践できる対策をご紹介します。チャットユーザーなら思わず「あるある!」と思ってしまうはず!?
目次
あるある失敗① 改行なしの長文で読む気が奪われる
PCはもちろんタブレットやスマホなど、様々なデバイスでやり取りされるチャット。スマホでチャットを送る際にはわからなかったけれど、送信後にPCで改めて見てみると「読みにくい!」と気づくこともあります。
まずは、スマホで作成&送信してしまった例文を読んでみてください。
例文:
お疲れ様です!来週提出予定と報告していた〇〇案件ですが、今週中に作業を完了できる可能性が出てきました。つきましては、当初来月提出予定だった□□案件に来週から着手し、今月分の売り上げとして計上したいのですが、検収をあげていただくことは可能でしょうか? 予算の都合上、□□案の今月検収が不可ということであれば教えてください。ご確認よろしくお願いします。
スマホで作成したり、急いで作成したりした文章は、相手の読みやすさを意識せず送信してしまうことがあります。上記の例文のように、ボリュームがあるのに改行がないと、とても読みづらく、何が言いたいのかわかりづらいですよね。
また今回の例文の場合、知りたいのは“□□案件の検収の繰り上げが可能か”についてなので、〇〇案件についてはもっと簡潔にまとめた方が読みやすいでしょう。
前回までの記事で紹介したポイントも総合して、下記のように改善してみました。
【□□案件の売上月変更のご相談】
お疲れ様です!
〇〇案件が今週中に完了しそうなため、来週から□□案件に着手する予定です。
つきましては、□□案件の売上月を、来月→今月に変更することは可能でしょうか?
予算上、今月の検収が不可という場合は、当初の予定通り進行させていただきます。
ご確認よろしくお願いします。
チャットでメッセージを送る際は、相手がどのデバイスで見ても読みやすいよう配慮した文章が求められます。
急いで送らなければいけない場合でも、送信前に全体をざっと見て“読みやすいか?”という点を確認し、適宜改行や空白行を入れるなどの工夫をすると、文章力アップにつながるでしょう。
あるある失敗② 探したい情報がなかなか出てこない
グループや個人ごとに、スレッドが分かれているチャット。各スレッドで目まぐるしく情報が更新されていくので、過去のチャットから情報を探すのは至難の業ですよね。
例文(資料送付の案内文):
お世話になります。
ご依頼いただいていた資料を送付します。
ご確認よろしくお願いいたします。
この文章とともに送付された資料を後から検索したいとき、あなたなら検索窓に何と入力しますか?
「資料」「送付」などのキーワードだと、他のメッセージでもよく使われる言葉なので、なかなか目的のメッセージにたどり着けないでしょう。
以下は、改善例です。
【〇〇案件・事例紹介資料の送付】
お世話になります。
ご依頼いただいていた〇〇案件の事例紹介資料を送付します。
西日本と東日本エリアに分けて、価格帯@円~@円のものをまとめています。
ご確認よろしくお願いいたします。
チャットを送信するときは、後から検索することを想定して、案件名や資料の特徴など、案件を特定できるキーワードを入れるといいですよ。
今まで、どれもコピペの定型文で送信していた!なんて人は、ぜひこれを機会に意識してキーワードを入れ込んでみてくださいね。
あるある失敗③ 冷たすぎる?「無表情」なチャット
メールよりも短文が好まれるチャットでは、無駄を省いた文章が日々やり取りされています。
しかしリモートワークで非対面でのやりとりが多い中、事務的なチャットばかりだと「いくら仕事のやり取りとは言え、冷たすぎるのでは?」と、不安になる人も少なくないのだとか。
コロナ禍では、社内外の「雑談」が減ったことで、寂しさや不安を感じるという人もいます。チャットの宿命ともいえる「無表情」な文面は、文章力で補足するのがよいでしょう。
例文(資料送付してくれた社内メンバーへの返信):
お疲れ様です。
資料、ありがとうございます。
1つ確認ですが、〇〇案件の納期は来週水曜日に確定するということでよろしいでしょうか。
無駄のない文章ではありますが、一方で表情も感じられませんね。この文に、第1回でご紹介した文章力で表情を補うと、下記のようになります。
お疲れ様です!
資料、ありがとうございます。
△△さんの企画がここまで形になり、感動しています!
1つ確認ですが、〇〇案件の納期は来週水曜日に確定するということでよろしいでしょうか?
今は□□案件も大詰めで大変なときだと思いますが、△△さんの企画が無事リリースできるよう、私もがんばります!
一緒に進めている仕事が順調で嬉しいという気持ちや、前向きに仕事に取り組んでいることが感じられるコメントを添えると、一気に表情のある文章となります。記号や、チャットの絵文字機能を活用してもいいでしょう。
文章力で表情をプラスすれば、仕事に向かう気持ちも明るく前向きになれますよ。
あるある失敗④ メッセージ送信対象者の設定忘れ
メールでメッセージを送信する場合、TO欄に相手を指定し忘れるとアラートが出て、送信ができませんよね。
しかしチャットでは、相手を指定しなくてもメッセージを送れます。便利な反面、「メッセージを送ったのに、自分宛だと思われず読んでもらえない」という事態を引き起こす原因にもなってしまいます。
チャットでメッセージを確実に読んでもらうには、文章を書く前にまず「@」や「TO」で相手を指定するメンション機能を使いこなす習慣をつけるといいでしょう。
メッセージを送ったのに相手からのレスポンスがない場合、自分が送ったメッセージを確認してみてください。「ちゃんとメンションできていなかった!」という可能性もありますよ。
連載「ウィズコロナ時代に必須の文章力とは」、今回は、チャットでやりがちな失敗とその対策についてお伝えしました。メールよりも時間軸が早く感じられるチャットでは、今回紹介したような気づかいや工夫が有効です。ぜひ対策を実践してくださいね。
今後のビジネスには、メール・チャットでのやりとりが不可欠になるでしょう。私には上手なやりとりは無理かも…などと思わずに、今回の連載で紹介した内容を1つずつ意識して取り入れてみてください。
直接対面する場合も、メール・チャットでやりとりする場合も、根底に共通するのは相手を思いやる気持ちです。コロナ禍で距離的には離れていても、メール・チャットで心の通じ合うやり取りができるようになれば、ビジネスもスムーズに進むのではないでしょうか。皆さんもぜひ参考にしてくださいね。
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