知的財産管理技能検定は、ビジネスにおいて知財分野の重要性が高まる中で、注目されている資格の1つ。中でも初級者向けの3級は、国家資格である割に難易度が低く、法律初心者でも独学で十分に合格を狙えるのがポイントです。
資格勉強を独学でするメリットは、スクールに通うときと比べて費用が抑えられること。そして、時間や場所に縛られず自由に勉強できるので、仕事や学業と両立させやすいことです。
しかし、いざ勉強を始めようとすると、どんなテキストが必要か?など、教材選びで迷ってしまうことも。
そんな方のために今回は、効率的な勉強法をはじめ、教材を選ぶ際のポイントと、独学におすすめのテキスト&問題集をご紹介します。
目次
知的財産管理技能検定3級は独学できる?2つの試験内容と難易度
知的財産管理技能検定3級の試験内容は学科と実技の2種類!7割正解が合格基準
知的財産管理技能検定3級の試験内容は、学科と実技の2種類に分かれていて、両者同日に行います。試験の概要は以下のとおりです。
試験種 | 試験形式 | 問題数 | 制限時間 | 合格基準 |
---|---|---|---|---|
学科 | 筆記試験 (マークシート方式・3肢択一式) |
30問 | 45分 | 70%以上 |
CBT試験 (3肢択一式) |
||||
実技 | 筆記試験 (記述方式・マークシート方式併用) |
30問 | 45分 | 70%以上 |
CBT試験 (解答入力方式・択一方式併用) |
CBT試験とは、Computer Based Testing試験の略で、PC等の端末画面に試験問題を表示し解答を入力する試験方式。
2024年7月実施の第48回検定から2級および3級で、いままでの筆記試験方式に加え、新しくCBT試験が導入されました。全国約300か所のテストセンターの中から会場を選び、インターネット接続された端末画面に表示される試験問題を解き、解答を入力して提出します。
筆記試験かCBT試験かは、自由に選択できます。
実技試験については、「実技」というものの、選択肢の中から解答を選ぶ問題や計算した数値を記入する問題、〇か×を選びその理由を選択肢から選ぶ問題などです。
学科試験と実技試験両方の合格が必須で、合格にはそれぞれ7割以上の点数が必要になります。
また、制限時間に対して問題数が比較的多いので、日ごろから時間を意識して問題を解くと、合格に必要なスピード感をつかめてよいでしょう。
知的財産管理技能検定3級の合格率は70%前後と高め
2023年7月~2024年3月の試験3回分の合格率は以下のとおりです。
試験日 | 申込者数 | 合格者数 | 合格率 | |
---|---|---|---|---|
学科 | 2024年3月 | 2,829 | 2,016 | 71.26% |
2023年11月 | 3,188 | 2,100 | 65.87% | |
2023年7月 | 3,072 | 2,154 | 70.12% | |
実技 | 2024年3月 | 2,658 | 1,805 | 67.91% |
2023年11月 | 3,207 | 2,397 | 74.74% | |
2023年7月 | 2,929 | 1,950 | 66.58% |
合格率はおおむね70%と、国家資格でありながら難易度が低いことがわかります。学科試験と実技試験の合格率もそれほど変わらないようです。このことからも、初心者や独学の方でも合格を目指しやすいといえるでしょう。
テキストを使って独学で効率的に勉強するには?
問題集メインで苦手分野を重点的に学習しよう
知的財産管理技能検定3級を効率的に勉強するには、まずは基礎知識を覚えるために、テキストをざっと読みましょう。
基礎的な内容をざっくり把握したら、問題集がメイン教材となります。このとき、問題を解くたびに「間違えた・わからない箇所を、テキストで確認」というサイクルで勉強すると、独学でも効率よく進められますよ。
知的財産管理技能検定3級では、テキスト内容の理解はもちろん大切ですが、試験と同じ出題形式の問題をたくさん解いて、本番に備えることが合格への近道です。
効果的なタイミングでの復習で、効率よく覚えよう
とはいえ、できることなら、あまり時間と労力をかけずに合格を目指したいですよね。
効率的に学習を進めるためには、復習のタイミングが重要です。
ドイツの心理学者エビングハウスの「エビングハウスの忘却曲線」からは、覚えた内容を完全に忘れる前の早い段階で復習すれば、1から覚え直す時間が短縮され、学習の効率が上がることがわかっています。
忘却の時間軸と割合から、20分後、1時間後、1日後、1週間後、1ヵ月後に復習を行うとよいようです。
テキストや問題集で覚えづらいところや、間違えた箇所などを優先的に復習するのがおすすめです。もし充分な時間を取れなくても、少なくともその日中には復習できるといいですね。
テキスト・問題集を選ぶポイント
初級者向けの資格とはいえ、知的財産管理技能検定3級に合格するには相応の専門知識が必要です。
法律初心者に馴染みのない専門用語に関する説明がきちんとあり、解説がわかりやすいテキストを選びましょう。
学科・実技2種類の試験に対応したテキストか確認しよう
知的財産管理技能検定3級の受験は、前述のとおり、学科・実技の2つの試験を同日に行います。学科試験は、筆記試験・CBT試験ともに択一式で、実技試験は、択一式および筆記試験の場合は記述式、CBT試験の場合は解答入力式との併用です。
テキスト・問題集は、1冊で学科・実技を網羅しているタイプと、学科・実技が別冊になっているタイプがあります。 テキスト購入の際は、どちらのタイプなのか、タイトルをよく確認しましょう。買って勉強した後に「どちらか片方しか勉強していなかった!」と慌てないよう注意してくださいね。
ちなみに、知的財産管理技能検定3級の受験手数料は、学科・実技ともに6,100円で、合計12,200円です。もしどちらかが不合格だった場合、次回の受験では片方だけを申込むことができますよ。
受験日程に対応したテキストを選ぼう
テキスト・問題集には「〇〇年度版」や「第○回まで対応」などの期間が表示されています。購入する際には、受験する日程と、テキストの対応期間をしっかり確認してください。
技術や文化の発展と共に、法改正も頻繁に行われており、国内外の知的財産を取り巻く環境はアップデートされ続けています。そして、このような変化にあわせて、試験の出題範囲も定期的に見直しされています。
古本屋やフリマアプリなどでは中古の安価なテキストも見かけますが、古いものは法改正等に対応していないので、おすすめしません。正しい情報を効率よく学習するため、受験日程に適した教材を選ぶことが大切です。
知的財産管理技能検定3級の独学におすすめのテキスト・問題集
今回おすすめするのは、早稲田経営出版の「知的財産管理技能検定(R) 3級スピードテキスト/スピード問題集」シリーズ。
問題集でわからなかった箇所を、テキストの解説で確認できるので、テキストと問題集は同じシリーズだと便利ですよ。
勉強時間が豊富で、たくさんの問題を解いて試験に備えたい場合は、問題集を追加するとよいでしょう。テキストは基本的に1冊で十分です。
知的財産管理技能検定(R) 3級スピードテキスト
資格の勉強が始めての人や、法律を学んだことのない初心者にもわかりやすい表現のテキストです。
特許法・実用新案法、意匠法、商標法などの各パートに分かれており、パート内のそれぞれの項目にイラスト付きの事例が含まれているので、初心者にも抵抗なく読み進められます。
簡潔で理解しやすいだけでなく、たまにクスっと笑ってしまうような内容もあり、法律の難しい印象を和らげてくれるため、独学でもストレスなく学習できるのでおすすめですよ。
知的財産管理技能検定(R) 3級学科 スピード問題集
過去の本試験の内容を中心とした問題文と、それに関連したオリジナルの予想問題、それぞれの解答・解説までが見開きで記載されており、わかりやすくまとまっています。同シリーズ「スピードテキスト」の参照ページも記載されているので、問題がよくわからなかった際などの確認作業もスムーズです。
頻出のテーマには「頻出」、やや頻出のテーマには「合否の分かれ目」というマークが登場するので、勉強する優先度の目安にするとよさそうです。
知的財産管理技能検定(R) 3級実技 スピード問題集
実技試験の攻略ポイントは、ズバリ慣れ!
記述式とはいっても選択肢から記号を選んで解答する問題も多いので、それほど不安がる必要はありません。
例えば、実技試験は下記のような形式で出題されます。
機械メーカーX社は,技術者甲が独自に創作した発明Aについて,2023年6月15日に 特許出願Pをした。特許出願後,文献1が発見されたので,甲は,Ⅹ社の知的財産部の部員乙 に特許出願Pが文献1を引用して拒絶されるか否かを相談した。なお,X社は特許出願に際して特別な手続は行っていない。
(中略)
特許出願Pについて,文献1により拒絶されないと考えられる場合は「○」を,拒絶されると 考えられる場合は「×」を,選びなさい。
【理由群Ⅰ】
ア 新規性(特許法第29条第1項)の拒絶理由に該当するため
イ 進歩性(特許法第29条第2項)の拒絶理由に該当するため
ウ 拒絶理由には該当しないため
法律について初心者である私は、まず、このような法律独特の問題文を読むのに苦労しました。対象を「甲・乙…」という文字に置き換える、堅苦しい表現には馴染みが薄かったからです。それでも、繰り返し問題を解いていくと慣れていきます。
それに実際に知的財産に関わる仕事に就いた場合、契約書等の文書を読むことは業務に欠かせません。このような正式な文書に用いられる表現に慣れておくことは、実務でも大いに役立ちます。
この問題集は、実際の試験と同様、法律独特の表現を使用した記述式の問題が出るので、実践力を養うのにもおすすめです。
公式サイトの過去3回分の無料試験問題を利用しよう
知的財産管理技能検定のウェブサイトでは、なんと無料で3回分の過去問題を公開しています。誰でもダウンロード可能なので、ぜひ手に入れて活用してください。
ただし、解答はありますが解説がありません。そのため、初心者がいきなりチャレンジするのは厳しいかも…。テキストや問題集で知識を得てから、試験の制限時間である45分以内に30問すべて解答できるかどうか、挑戦してみてください。
短期合格を目指すなら!無料講義ありのオンスク.JP知的財産管理技能検定3級オンライン講座
今回は効率的な勉強法や、知的財産管理技能検定3級の効率的な独学に役立つ、おすすめのテキストと問題集についてご紹介しました。
受験するからには一発合格を目指したいですよね。受験にかかる費用や時間を無駄にしないためにも、再受験は避けたいところ。
しかし講師もクラスメイトもいない独学は、学習内容の配分やモチベーション維持が課題になります。かといって、スクールに通う時間は無い…。
そんなときには、月額980円(税込1,078円)からオンラインで全60講座以上が受講し放題の、オンスク.JPがおすすめです。1動画5分から視聴でき、でスマホでも受講可能なので、時間や場所に縛られずにスキマ時間で効率よく学習できますよ。
さらに、学習計画の管理機能もあり、試験日にあわせて自分のペースで進捗をコントロールできるため、独学の課題点である計画崩れやモチベーションの低下をカバーしてくれます。
<学習管理機能イメージ>
また無料体験として、知的財産管理技能検定3級講座の約12分の動画を視聴できるので、お試しでの受講もおすすめです。
<知的財産管理技能検定3級講座 お試しイメージ>
独学に後悔の無いよう、しっかり教材を選んで学習し、試験本番に備えてくださいね。
参考URL:
https://www.kentei-info-ip-edu.org/cbt/#cbt_about https://tacpub.jp/list/detail.php?bc=551710
https://tacpub.jp/list/detail.php?bc=551720
https://tacpub.jp/list/detail.php?bc=551730
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