「知的財産管理技能検定3級」という資格を知っていますか?特許や著作権などの「知的財産」に関する基本的な知識を、試験を通して学べる資格です。
知的財産の知識と聞くと、一部の仕事だけで必要なものに思えるかもしれませんが、最近では、知識が必要な場面が増えてきています。試験勉強を通じて基礎知識が身に付くので、すべての社会人におすすめですよ。
この連載では、知的財産管理技能検定3級の勉強法について紹介していきます。第1回の今回は、資格の概要や難易度、試験勉強での簡単なところや難しいところについて紹介します。
知的財産管理技能検定3級試験はどのくらい難しい?
知的財産とは?知的財産管理技能検定とは?
「知的財産」という言葉はなじみが薄く、「なんだか難しい気がする」と感じる方も多いかもしれません。しかし知的財産は、ふだんの生活で欠かせない大切な役割をもっているのです。
例えばノートパソコンを例にすると、「vaio(バイオ)」などのブランド名や商品名は、法律上「商標」と呼ばれる知的財産の1つです。
また同様に、パソコンのデザインには「意匠」、CPUやメモリなどには「発明」「考案」、中に入っているソフトやプログラムは「著作物」と呼ばれる知的財産が関わっています。
具体的に見てみると、ちょっとした場面にもたくさんの知的財産が関わっているのがわかりますよね。
「知的財産」とは、人が知的活動の結果生み出したものの中で、「財産的な価値をもつ情報」の総称です。そして知的財産の創作者に一定の権利保護を与えるための制度を、「知的財産権」制度と呼んでいます。
この知的財産についての知識を問う国家試験が「知的財産管理技能検定」です。この中で知的財産管理技能検定3級は、初級者向けの試験とされています。
知的財産管理技能検定3級の特徴・合格率・難易度は?
知的財産管理技能検定3級の試験は、マークシート方式の学科試験と記述式の実技試験に分かれていて、合格ラインは両試験とも70%以上の得点です。
試験の出題範囲は、知的財産に関する競争力の保護(ブランド保護、技術保護、コンテンツ保護、デザイン保護)と、活用(契約、エンフォースメント)に大きく分かれています。
必要となる知識は、知的財産法全般および関係法規、国際条約などについての専門知識です。
合格率にはばらつきがありますが、過去5年間の平均で見ると、学科試験、実技試験ともに約65% 。国家試験としては、比較的高い合格率です。
平均勉強時間は2~3ヵ月程度といわれていて、比較的短期間の勉強で合格できます。勉強時間について詳しくは、連載の第3回でご説明しますね。
また、実技試験は記述式とはいっても選択式が中心なので、学科試験と同じくらいの難易度で、あまり高くはありません。
初級者向け試験として、知的財産をまったく知らない状態からでも合格を目指せる国家資格といえるでしょう。
知的財産管理技能検定3級の合格率・難易度知的財産管理技能検定3級の勉強で簡単なところは?
知的財産管理技能検定3級の勉強で簡単なところは、まず出題範囲が知的財産関連法に限られるという点です。
同じ法律系の資格の中で、例えばビジネス法務実務検定の場合には、民法・会社法・商法など、幅広い法律から出題があります。
それに対して、知的財産管理技能検定3級は、ピンポイントで知的財産関連法を学べば大丈夫です。特に初めて法律を学ぶ人にとっては、大きなメリットと言えるでしょう。
次に、試験の出題の中で、「特許法」と「著作権法」に関する出題が全体の半分以上を超えている点も、勉強しやすい理由です。
この2分野と、その次に多い「商標法」の分野をきちんと学習すれば、合格ラインの70%を超えるのは割と簡単です。
知的財産教育協会「国家試験 知的財産管理技能検定 過去問題」より筆者作成
特に、特許に関する基本的な理解ができれば、商標権と意匠権、実用新案権についても、かなり楽に勉強できます。これら4つの権利は「産業財産権」と呼ばれ、権利の考え方や所管官庁、保護手続きなどで共通点が多いからです。
また知的財産の実務経験者にとっては、実務に即した出題が多いのも、比較的簡単に得点できるところでしょう。
例えば筆者の場合、大学の知的財産部で勤務していた際に資格を取っています。試験の頻出問題である特許に関する手続きや特許料の支払い、PCT(特許協力条約)の手続きについては、ふだん仕事で行っていたので、ほとんど勉強の必要がありませんでした。
トータルの勉強時間の中でも、実務で担当していた特許や実用新案については、基礎知識を復習する程度で、あまり勉強しなくてもよかったように思います。
知的財産管理技能検定3級の勉強で難しいところは?
反対に、知的財産管理技能検定3級を勉強するうえで難しいところは、法律や知的財産についての専門用語が多い点です。
特に、初めて法律を学ぶ方だと、法律用語ならではの表現を難しいと感じることも多いかと思います。この場合、しっかりと基礎知識を学ぶところから試験勉強を始めましょう。
しかし、用語自体が難しいと感じる一方で、実際に法律で保護されているものは、小説や映画、ロゴ、発明品などの身近なものであることが多いです。実例を考えながら学べば勉強も進みやすく、モチベーションも保ちやすくなるでしょう。
なお、知的財産の実務担当者など、一定の知識があっても難しい点があります。それは、実務経験のない分野についての勉強です。
筆者の場合、仕事としては特許や実用新案に関する実務が大半で、著作権などのコンテンツ保護や商標権などのブランド保護については、知識も実務経験もほぼありませんでした。
そのため、これらの分野の試験勉強については、通勤時間にテキストを読んだり、セミナーに参加したりと、基礎をゼロから学ぶところから始めました。特に、仕事の多忙な時期の試験勉強との両立は、少し大変だったかなと思います。
また知的財産関連法は、社会情勢の変化を受けて頻繁に法改正がなされる傾向にあります。受験にも最新の知識が必要になるので、これにきちんと沿う内容や勉強をするのも難しい点かもしれません。
おすすめは、最新版のテキストや新情報を元にしたオンライン講座を利用すること。難しい点もしっかり対策すれば、きっと無事に乗り越えられますよ!
知的財産管理技能検定3級は、試験勉強を通じて簡単に体系立てて知的財産の知識を身に付けられる資格です。
難易度もあまり高くないので、知識ゼロから合格を目指せます。出題範囲が狭く勉強しやすいですし、知的財産の知識は専門家以外の仕事でも役立つことが多いです。
少しでも興味が湧いたら、ぜひ勉強してみてくださいね!
次回の連載では、試験には独学で合格できるのか、その場合のおすすめの勉強方法について紹介していきます
参考URL:
http://www.kentei-info-ip-edu.org/range.html
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