あなたは普段、どのくらい文章を書いていますか?
例えば、報告書・企画書・論文・SNS・ブログ…。「あまり書かないな」と思っている人も、仕事やプライベートを含めれば、それなりに書いているのではないでしょうか。
そして、それらは全部、自分の言葉だけで書いていますか?誰かの書いたものや、何かに載っているグラフやデータを参考にしていませんか?
全5回の連載にてお届けする「知らないと困る!著作権入門」。第4回となる今回は、無断で著作物を利用しても著作権の侵害にならない例外的な手法、「引用」について、お伝えしようと思います。
今回も〇✕クイズを出題していくので、ぜひ挑戦してみてくださいね!
問1 SNSにおすすめ本の冒頭を無断引用してもよい?
あなたは面白かった小説を友人にもおすすめしようと思っています。小説のはじめの部分を引用し、感想をSNSに投稿するつもりです。しかし、「無断で引用すると著作権の侵害になるのでは?」と、不安になってきました。では、さっそくクイズです!
問1 小説などの著作物を無断で引用しSNSに投稿すると、著作権の侵害となる。○か×か?
問1の答えと解説
正解は 【×】
引用にはルールがあります。しかし、そもそも引用とは、許諾を得ることなく利用できることが前提なので、無断であっても著作権の侵害にはなりません。
小説の感想を書くにあたって、その小説の内容を説明しなければ意味が伝わらない場合がありますよね。このような正当性があれば、引用することは可能です。
もちろん、感想を書くためとはいえ、小説のすべての文章を投稿してはいけません。あくまでも自分の文章がメインであり、引用は補助的な役割であることが求められます。したがって、著作権の侵害にならず、自由に使ってよいのは必要最低限だけということになります。
大部分が引用で、自分の言葉は少しだけ、というような使い方をすると、引用とは認められないので、注意してくださいね。
問2 引用できない著作物はあるの?
あなたは自分の論文で、ある論文の批評をしようと考えています。まずは、批評する論文の内容を紹介する必要があると思うのですが…。ここでクイズです!
問2 批評のためであれば、どんな著作物でも引用してもよい。○か×か?
問2の答えと解説
正解は 【×】
どんな著作物でも引用できるわけではありません。
この事例の場合、批評のために必要なので、引用する正当性はありますね。しかし、引用には、さらに条件があります。その1つは、著作物が既に「公表されているものである」ということです。
公表されている著作物とは、出版社から発行されている書籍はもちろん、インターネット上に掲載されている文献、個人のブログなども含まれます。
未公表の著作物を目にするチャンスはそれほど多くないかもしれませんが、業務上などで知り得た報告書・論文などは、未公表であることも多いでしょう。このような場合、引用はできないということになります。
またプライベートでも、知人の作品などで、未公表の小説・詩・日記などを手に入れた場合も同じく、引用はできません。うっかり…!がないよう、覚えておきたいですね。
問3 自分の文章と引用部分を区別するには?
あなたは、ある文献を引用して資料を作成する予定です。文献は既に公表されたもので、必要最低限の文章を記載するつもりです。さて、ここでクイズ!
問3 引用するときは、自分の書いた文章と、文献からコピー&ペーストした部分が、はっきり区別できる書き方をしなければならない。○か×か?
問3の答えと解説
正解は 【○】
引用元である文献から持ってきた文章が、どこからどこまでなのかを明白にするのは、引用の条件の1つです。
引用を区別するには、“”(クォーテーション・マーク)、「」(かぎ括弧)、フォントを変える、引用文を枠で囲む、などの手法があります。さらに、出典(タイトル・著者名など)を明記すれば、引用の完成です!
では、試しに引用してみますね。
他人の著作物を自分の著作物の中に取り込む場合,すなわち引用を行う場合,一般的には,以下の事項に注意しなければなりません。
(1)他人の著作物を引用する必然性があること。
(2)かぎ括弧をつけるなど,自分の著作物と引用部分とが区別されていること。
(3)自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること(自分の著作物が主体)。
(4)出所の明示がなされていること。”
出典:文化庁 著作物が自由に使える場合
上記は、ブログで引用する場合の例です。
引用したときの出典の表示方法は、作成するものによって異なります。
研究論文には研究論文の書き方が、ブログにはブログの書き方があるのです。それぞれの慣習に基づいて引用してくださいね!
著作権○×クイズは正解できましたか?
前回までの記事では、何かにつけて「無断で○○してはいけません」とお伝えしてきました。しかし、正しく引用すれば、無断で著作物を使っても大丈夫なこともあるのです。
著作者を保護しつつも無断使用OKなんて、著作権法ってなかなかユニークな法律だと思いませんか?「そうかも…!」と思った人は、知的財産管理技能検定3級で、著作権についてもっと学んでみてくださいね!
知的財産管理技能検定3級講座次回は、なんと最終回。最後は、社会人としてぜひ覚えておいてほしい、著作権における「やってはいけないこと」について、出題しようと思っています。楽しみにしていてくださいね!
無料登録でオンラインの資格講座を体験しよう!
資格受け放題の学習サービス『オンスク.JP』では様々な資格講座のオンライン学習が可能です。
最短20秒の無料会員登録で、各講座の講義動画・問題演習の一部が無料体験できます。
※自動で有料プランになることはありません。
関連する記事が他にもあります
知らないと困る!著作権入門
- ついやりがちだけど業務ではやってはいけないこと!|知らないと困る!著作権入門
- 無断引用、どこまでなら違法じゃないか知ってる?|知らないと困る!著作権入門
- 家庭で起こる身近な例で学ぼう!|知らないと困る!著作権入門
- 著作権には2種類の意味がある?|知らないと困る!著作権入門
- 著作権とは作家だけの権利じゃない?|知らないと困る!著作権入門