こんにちは!この連載「知らないと困る!著作権入門」では、全5回にわたり“著作権は意外と身近な場面にあるよ”ということをお伝えする記事をお届けしております。
第2回のテーマは、「著作権の種類」について。
会社やプライベートでコピー機やカメラを使うことは珍しくないですよね?実は、コピーを取るときや写真を撮るときには、著作権について考えていただきたい場合があるのです。
今回も、○×クイズ形式で紹介するので、ぜひ挑戦してみてくださいね!
問1 会社の経費で買った問題集はコピーできる?
あなたは、ある国家資格を持っていると資格手当が支給される会社で働いています。会社は資格取得を奨励しているので、試験問題集は経費で購入しました。
同僚も同じ資格試験の勉強をしているので、問題集をコピーして共有しようと思っています。それでは、クイズです!
問1 あなたが経費で購入した問題集は、会社のコピー機を使ってコピーすれば、同僚たちに配ることができる。○か×か?
問1の答えと解説
正解は 【×】
会社の経費で購入したといっても、問題集をコピーして配ることはできません。
著作物は無断で複製して利用することはできません。ただし例外として、私的使用のための複製は認められています。自分や、家庭内で家族が使う程度なら、自由にコピーしてもよいのです。
しかし、問題集のコピーを同僚たちに配る行為は、私的使用とはいえませんよね。そのため、この行為は著作権侵害になる可能性が高いです。
ところで、「複製」とは、コピー機による複写(コピー)のことだけでないのはご存じですか?
問題集のページを撮った写真や画像データ、スキャナーで取り込んでPDF化したものなど、紙に印刷していない状態でも複製にあたります。
著作物の複製に関する権利を、「複製権」といいます。複製権は、著作権の中で最も基本的な権利なので、ぜひ覚えておいてくださいね。
また、問題に「コピー機を使って」とありましたが、会社の機器を使うか、自宅の機器を使うか、はたまたコンビニの機器を使うかは関係ありません。例えAさんが自宅でコピーしてきたとしても、「会社で人に配る」という行為は私的利用とはなりませんので注意してくださいね。
問2 許可をとって撮影した絵の写真はSNSにアップできる?
先ほど友人が描いていた絵がステキだったので、許可をとって写真を撮りました。あなたはさっそくインスタグラムに投稿しようと考えています。さて、ここでクイズです!
問2 写真を撮る許可をもらったので、絵の写真を自由にインスタグラムに投稿できる。○か×か?
問2の答えと解説
正解は 【×】
絵の写真を勝手にインスタグラムに投稿してはいけません。
インスタグラムに投稿すると、たくさんの人が閲覧できる状態になりますよね。多くの人に向けて発表することを「公表」といいます。公表するかしないか、公表するとしたら、いつどのようにするのかを決めるのは著作者であり、「公表権」という権利で保護されています。
今回の事例のような「勝手に投稿する」という行為は、公表権の侵害になってしまうので、著作者である友人に無断で公表してはいけないのです。
問1の解説で、写真を撮ることも複製(コピー)であると説明しました。今回の事例では、写真を撮る許可はとっていますので、複製権はクリアしています。
しかし、「インスタグラムに投稿」という、公表については許可をとっていないのです。
日常的に、インスタグラムやツイッターなどのSNSによるコミュニケーションを楽しんでいる人は、写真を撮ってよい=SNSにアップしてよい、と思うかもしれません。
しかし、「写真を撮ってよい」という許可に、「SNSで公表してもよい」という意味が含まれているでしょうか?
SNS投稿による著作権トラブルを回避するためには、「写真を撮っていい?」ではなく、「SNSに載せていい?」と確認することをおすすめします。
著作権には2種類の意味がある
著作権は、大きく分けて2種類があります。著作者人格権と、著作権(財産権)です。
そして「著作権」という言葉は、広い意味での著作権と、狭い意味での著作権の、2種類を指すことがあります。
著作者人格権と著作権(財産権)をあわせたのが、広い意味の著作権です。そして、著作権(財産権)の方だけを指す場合が、狭い意味の著作権です。
ちょっと、ややこしいですよね。表にすると下のようになります。
著作者の権利 | 内容 | 簡単な説明 | |
---|---|---|---|
著作権 (広い意味での著作権) |
著作者人格権 | 人格的な利益を保護する権利 | 気持ち・名誉など、感情的な部分を守ります。 |
著作権(財産権) (狭い意味での著作権) |
財産的な利益を保護する権利 | 金銭的なメリットについて守ります。 |
ここで、上記2つの著作権を、先ほど出題した○✕クイズの事例と照らしあわせて、解説していきましょう。
著作者人格権とは?
問2に出てきた公表権は、著作者人格権の1つです。
「誰かに見られたら嫌だ」、「勝手に公表されたら困る」のような、著作者の思い・気持ちを保護しています。
著作権(財産権)とは?
財産というと、お金や土地など、価値のあるものをイメージしますが、お金や土地などの他に、特許や著作物も含まれています。
問1に出てきた複製権は、著作権(財産権)の1つであり、また中心となっている権利です。
もし、本を自由にコピーして配ってよければ、書店で本を買う人が減ってしまいますよね。本を買う人がいないと、著作者にお金が入りません。
著作権(財産権)は、ざっくりですが、お金が儲かるかどうかに直結する種類の権利だと思ってください。
著作権に関する○×クイズは、正解できましたか?
今回は、コピーやSNSを題材に、広い意味での著作権と狭い意味での著作権の、2種類を紹介しました。
実は、著作権の中には、今回の事例に登場した権利の他にも、いろいろな「○○権」があるんですよ!興味のある人は、知的財産管理技能検定、まずは3級から学んでみてくださいね。
そういえば今回は、ちょっと難しい説明が入ってしまって、クイズが少なかったですよね…すみません。次回は、動画・音楽などの身近な例をテーマに著作権クイズを出題してみたいと思います。どうぞお楽しみに!
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