皆さん、こんにちは。オンスクの知的財産管理技能検定3級講座を担当いたしました、株式会社パテントインベストメント代表取締役の草野です。
本連載「特許をもっと身近に!特許の意味や活かし方」では、知的財産権の中でも代表的なものといえる、特許についてお伝えしていきます。特許のことを知っておくと、ビジネスや研究開発などでとても有利になれますので、ぜひ理解を深めてください。
第1回では特許の特徴やメリットをお伝えしていきます。
1.特許とは?
特許とは、正確には「特許権」といいますが、これを一言で表すと、「発明を保護する権利」となります。
また、発明とは、簡単にいうと技術的アイデアのことを指しますので、特許とは技術的アイデアを保護する権利となります。
2.発明の具体例
発明に該当し得るものは世の中にたくさんあり、具体例としては以下のようなものがあります。
・機械類
掃除機、冷蔵庫、電子レンジといった家電製品や、工作機械、ベルトコンベアーといった産業機械など。
・医薬品
痛み止め、風邪薬、抗がん剤など。
・システム
インフラシステム、金融システム、顧客管理システム、勤怠管理システムなど。
・アプリ
ゲームアプリ、マッチングアプリ、マップアプリなど。
他にはビジネスモデルも発明になり得ます。ひと昔前にビジネスモデル特許が流行り、近年また話題になることが増えてきました。
例えば、いきなりステーキのビジネスモデル特許は有名ですね。
ビジネスモデルのように、一見技術のようなものでなくても、技術的な要素がある程度含まれていれば、発明となり得るのです。
以上のように発明は多岐にわたる分野において存在します。
3.特許のメリット
それでは、発明を保護するための特許を取得すると、どのようなメリットがあるか見ていきたいと思います。
今回は、商標、意匠、著作権などの他の知的財産権と比較した時のメリットをお伝えします。
メリット①インパクトが強い
特許というと、知的財産権の代表的な権利であり、例えその内容を知らなくてもほとんどの人が凄いというイメージを持っています。
私も特許を保有しているため、「特許を持っています」と言うことが多いのですが、それだけで「凄いですね」とか、「天才ですね」とか言われます(笑)
逆に、「知的財産に関する仕事をしています」と言っても中々興味を持たれませんし、理解もされません(笑)
もはや知的財産よりも特許という言葉の方が断然、世の中に浸透しているのです。
また、よく色々な商品の説明などにも特許取得済みと書かれていますが、それだけでなんとなく凄いと感じると思います。
それだけ特許というのはインパクトがあり、それも知的財産権の中でも群を抜いているのです。
メリット②権利範囲が広い(独占しやすい)
特許は発明、すなわち技術的アイデアを保護するものですが、技術というのは製品やサービスにおいて必須となるものがけっこうあります。
例えば車が走るには、タイヤが不可欠なのは当たり前ですが、もし仮にタイヤの基本的な構造について特許を取得したら、タイヤはもちろんのこと、車ですら独占できます。
特許を取得するにはいくつか条件があり、新しい技術でないと特許を取得できないため、現代においてタイヤの基本構造を特許で押さえることはできませんが、新たな製品・サービスの基本的な構造や機能を特許で押さえれば、販売シェアを独占できます。
昔の話で言えば、米国のゼロックスコーポレーションがコピー機を発明し、特許で固めたため、他社がまったく太刀打ちできませんでした。
後にキヤノンなどが特許網を破ってシェアを獲得しましたが、最初の頃はゼロックスの独占状態でした。
メリット③信用力が高い
特許は、取得するのに労力もお金もそれなりにかかりますし、特許庁による審査もかなり大変です。
そのように様々な障壁を乗り越えて取得した特許というのは、非常に価値の高いものとなります。
また、例えば商標と意匠は、アイデアの難易度、費用、労力などを踏まえると比較的取得しやすいのですが、特許はすべてにおいてハードルが高いので、他の知的財産権よりも権利の取得が難しいのです。
また、日本は技術立国であり、世界的にも高い技術力を有しているので、それらを守るためにも特許が重視されているのではないかと考えています。
私も特許を取得しているので、初めて会った方に特許のことを伝えると、それだけでも信用力を得ることができています。
メリット④お金に繋がりやすい
特許を保有していると、商品・サービスの販売のアピール材料となったり、銀行融資、助成金・補助金、出資などを獲得できる可能性が高まります。
上記の①と③の理由からも、消費者や公的機関、投資家なども知的財産権の中では特許を重視します。
そのため、特許を保有していると様々な形でお金に繋がりやすくなるのです。私自身も特許を保有していることで出資に大きく繋がりました。
わかりやすい形でお金に繋がるのであれば、特許の取得にかかる労力や費用もあまり気にならない場合が多いかと考えています。
4.最後に
以上、特許のメリットについてお伝えしました。
ただ、特許にはメリットばかりでもありません。次回は特許のデメリットについてもお伝えしますので、ぜひそちらも読んでください。
それでは今回はこの辺りで失礼します。お読みいただきありがとうございました!
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