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実用新案のメリット・デメリット

実用新案のメリット・デメリット

皆さん、こんにちは!オンスクの知的財産管理技能検定3級講座を担当いたしました、株式会社パテントインベストメントの草野です。

前回の記事では、特許のお手軽版ともいえる実用新案の特徴についてお伝えしました。

「特許をもっと身近に!特許の意味や活かし方」最終回の今回は、前回の内容も踏まえて実用新案のメリットとデメリットをお伝えします。

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1.実用新案のメリット

メリット① 取得費用が安い

特許を取得する為には1件あたり50〜100万円もしますが、実用新案の場合は25〜40万円前後と、特許の半分かそれ以下ぐらいです。

この差はかなり大きいと思います。

メリット② ほぼ100%権利を取れる

前回の記事でもお伝えしましたが、実用新案は特許の場合とは異なり、新規性、進歩性などについて判断を行う実体審査がありません。

そのため、形式的な面における審査が通ればほぼ100%実用新案権という権利を取得できます。

つまり、特許ではまず権利にならないような簡単な内容であっても、実用新案の場合は権利になるのです。

ただ、取得した権利が実際に有効かどうかは、実用新案技術評価請求という手続きを行う必要があり、その請求を行わなければ、実際に有効な権利の範囲はわからない状態となります。

そのため、表面上ものすごく広い権利に見せることができるのです。

これが他者からしたら脅威となり、他者もうかつに実用新案の内容を実施できないことにもなります。

実用新案技術評価請求は出願人でも第三者でも自由に行うことができますが、この手続きにはそれなりにお金と時間がかかります。

実際に有効な権利を確かめるだけでもお金や時間がかかるので、できればやりたくない手続きなのです。

以上の理由で、ほぼ100%権利が取れる実用新案は他者にとってはかなり厄介な存在になり得るのです。

メリット③ 権利取得までの期間が短い

特許の場合は、審査の開始までに原則11ヵ月ほどかかり、権利を取得できるまでは通常1年以上かかります。

実用新案の場合は、実体審査がないのでその分権利の取得までの期間が短く、だいたい2〜3ヵ月となります。

特許と比べるとかなり短いため、そこも大きなメリットといえます。

メリット④ 実体審査のハードルが低い

前述のとおり、実用新案の場合は、実用新案技術評価の請求を行うことで実体審査が行われます。

その際は、特許と同様に新規性と進歩性を満たしているかが判断されますが、このときに肝になってくるのは進歩性です。

新規性があるというのは、ざっくりいうと、世の中にまだ知られていない新しいもの・アイデアであるという意味です。

一方で進歩性があるというのは、世の中ですでに知られているもの・アイデアから”極めて”容易に思いつかないことを意味します。つまりは容易に思いつくものであっても、”極めて”容易でなければ進歩性をクリアできるのです。

特許の場合は、容易に思い付かないことが条件のためハードルが高いですが、実用新案の場合はその点もハードルが低いといえますね。

そのため、特許を取得できるか微妙なときには実用新案登録出願をするのも合理的な選択になり得るのです。

続いては実用新案のデメリットを見ていきます。

2.実用新案のデメリット

デメリット① インパクトが低い

特許というと、誰もが知っている言葉であり、ほとんどの人が凄いというイメージを持っています。

一方で実用新案の場合は、知名度がかなり低く、ほとんどの人は知らないと思います。

そのため、実用新案を保有しているといっても中々相手方に響かない場合が多いです。

デメリット② 権利期間が短い

特許の場合は出願から20年間権利を保有することができますが、実用新案の場合は出願から10年間と半分になります。

特許も実用新案も保護されている内容は技術なので、期間が経過するほど価値が増していく傾向にあります。

何故なら古い技術というのは、新しい技術にとってのベースや前提技術として使われる場合が多く、それらを保護している特許や実用新案にも価値がつくのです。

そのため、権利の存続期間が短いと、価値が大きくなる前に権利が無くなってしまうなどのことが多く発生するので、実用新案の場合は特許に比べて不利になります。

デメリット③ 権利が不安定

前述の通り、実用新案の場合は実体審査をされることなく登録になるので、実際にどの範囲までが有効な権利なのかわかりません。

実用新案技術評価の請求を行うことによって、権利範囲を明らかにすることはできますが、その場合は第三者にも権利範囲がわかってしまうため、権利範囲を曖昧にできるという実用新案のメリットも無くなってしまいます。

一見、権利範囲が広く見えるからこそ第三者にとっての脅威となるのです。

このように、権利範囲が曖昧というのは、メリットである一方でデメリットでもあります。

3.最後に

以上、実用新案のメリットとデメリットについてお伝えしました。

実用新案は特許と比べた場合にメリットもデメリットもありますが、中小企業が出願をする場合は実用新案が有効であるケースは多いと考えています。

特許だけではなく、ぜひ実用新案も活用していただけたらと思います!お読みいただきありがとうございました!

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