効率的学習法の最終回は、証券外務員一種の合格までを見据えた効率的な学習方法についてお話をします。
結論から申し上げますと、二種と一種では試験の範囲が重なる部分が多いため、共通部分の学習を二種でしっかり行っておけば、その後の一種試験で大きなアドバンテージなるということがお分かりいただけると思います。
証券外務員一種の試験の特徴をおさえよう!
証券外務員一種の試験は、440点満点のうち308点以上、つまり7割以上で合格することができます。この試験では、証券外務員二種の範囲に加えて、新たに一種特有の科目として、先物取引・オプション取引・特定店頭デリバティブ取引が加わります。そのため、試験は全17科目になります。最新の試験傾向から、出題科目別の出題数・配点を下表のように予想しました。
計17科目の出題数と配点予想
科目 | 予想出題数 | 予想配点 | |
---|---|---|---|
○×式問題 (1問2点) |
五肢選択式問題 (1問10点) |
||
証券市場の基礎知識 | 0問 | 1問 | 10点 |
金融商品取引法 | 6問 | 2問 | 32点 |
投資信託及び投資法人に関する法律 | 3問 | 0問 | 6点 |
協会定款・諸規則 | 8問 | 3問 | 46点 |
取引所定款・諸規則 | 6問 | 0問 | 12点 |
株式業務(信用取引を含む) | 6問 | 4問 | 52点 |
債券業務 | 5問 | 3問 | 40点 |
投資信託及び投資法人に関する業務 | 7問 | 2問 | 34点 |
付随業務 | 0問 | 1問 | 10点 |
セールス業務 | 5問 | 0問 | 10点 |
株式会社法概論 | 5問 | 1問 | 20点 |
経済・金融・財政の常識 | 0問 | 2問 | 20点 |
財務諸表と企業分析 | 5問 | 1問 | 20点 |
証券税制 | 6問 | 1問 | 22点 |
先物取引 | 1問 | 4問 | 42点 |
オプション取引 | 2問 | 3問 | 34点 |
特定店頭デリバティブ取引 | 5問 | 2問 | 30点 |
合計 | 70問 | 30問 | 440点 |
配点は○×問題が2点、五肢選択方式問題が10点となり、五肢選択方式問題の配点は440点満点中の300点です。証券外務員二種の試験同様に、五肢選択方式問題の攻略が合格の鍵となります。計算問題は特に重要なので、落とさないようにしてください。
○×問題は、似たような語句の入れ替え問題がよく出題されますので、きちんと問題文を読むようにしましょう。(例:ラダー型とダンベル型など)
二種と比較しながら一種の出題項目の重要論点をおさえよう!
次に一種出題項目の重要論点を列挙します。
なお、下線部分は、前回、証券外務員二種の効率的学習法でお伝えした内容と同じで、証券外務員一種でも重要な項目となります。そのため、二種合格に向けた学習の比重の置き方を改めて掴んでいただけると思います。
株式業務
二種の学習法でもお伝えしましたが、株式業務は、計算問題が出題され、特に株式投資尺度であるPER、PBR等の理解は確実にしたいところです。また、権利落ち相場の計算問題や株式の受渡計算問題も出題されます。一種特有の論点に信用取引があり、信用取引の概要と委託保証金が頻出です。信用取引は、二種で学習していない論点なので、十分理解する必要があります。
債券業務
二種同様、債券利回りの計算が必須です。応募者利回りや最終利回り及び所有間利回りの計算の違いや、債券の受渡代金計算や転換社債の乖離(かいり)率の計算問題が頻出であることも二種・一種共通となります。よって、しっかりマスターすることがカギになります。
投資信託及び投資信託法人に関する業務
二種同様、投資信託の分類と追加型公社債信託及び証券投資信託の販売が出題されます。パッシブ運用とアクティブ運用の違いなどの特徴が、○×問題で頻出であることも変わりません。
金融商品取引法
二種同様重要な項目です。金融商品取引業務や金融商品取引業の行為規制及び5%ルールが頻出。特に行為規制では、広告規制、書面交付義務及び説明義務、適合性の原則、損失補てん等の禁止などが重要項目であることは、二種と同じです。
協会定款・諸規則
二種と重なります。特に照合通知書面及び契約締結時交付書面、協会員の従業員に関する規則などは、二種同様に一種でも重要項目となります。
一方、以下の項目は、一種のみで取り扱われる内容となります。
先物取引
一種特有の論点です。中でも株価指数先物、債券先物が頻出です。
オプション取引
一種特有の論点です。中でもオプション取引の戦略の損益とオプションの価格形成が頻出です。
特定店頭デリバティブ取引
一種特有の論点です。中でも金利デリバティブ、クレジット・デリバティブ、天候デリバティブが頻出です。
以上、一種試験の重要項目を中心にポイントを挙げてきましたが、二種・一種共通で問われる範囲をしっかり学習することが、先々の一種試験合格に向けた近道となることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
二種で学習した内容をしっかりと得点できるようにした上で、一種特有の範囲を攻略すれば、合格がグッと近づきます。皆様の合格をお祈り申し上げます。
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