金融機関への就職や転職、キャリアアップに欠かせない証券外務員二種。金融業界初心者の方は、試験範囲をどのように覚えていけば合格できるのでしょうか?
連載「2ヶ月で合格!証券外務員二種」、前回は押さえておくべき試験ポイントについてお伝えしました。
第3回の今回は、専門用語の理解や計算問題の覚え方についてお話ししていきます。
証券外務員二種を取るためには、効率的な覚え方で数をこなす必要があります。コツをつかんで短期間で合格し、新しいキャリアをつくっていけるよう、一緒にがんばりましょう。
目次
【学習スケジュール】試験によく出る専門用語や計算問題の覚え方
今回は「試験によく出る専門用語や計算問題の覚え方」として、試験によく出る専門用語の理解と計算問題のポイントをお伝えします。
勉強を始めたばかりの時期は専門用語に苦戦しますが、これから先の学習をスムーズにするためにも、多少時間をかけても省略せずに覚えていきましょうね。
金融商品取引法とコンプライアンスをマスターして有価証券取引の基礎を理解する
証券外務員二種に合格したいと思ったら、まずは金融商品取引法とコンプライアンスの分野を理解しておくことをおすすめします。
試験の土台となる知識なので、この分野をマスターすると他の分野にもつながります。
コンプライアンスとは「法令順守」のことで、法令の遵守や社会規範を尊重することを意味します。
金融商品取引業は、行う業ごとに内閣総理大臣へ登録します。
第一種金融商品取引業者 | 証券会社など |
---|---|
第二種金融商品取引業者 | 従来の投資販売業、信託受益権販売業 |
投資助言・代理業者 | 投資顧問会社など |
投資運用業者 | 投資信託委託会社など |
金融証券取引法は、金融取引が公正となるようにする法律です。証券外務員の試験でもよく出る範囲で、特に下記2点は重要です。
1 金融商品取引業者等の行為規制について
投資家の保護のため、書面の交付義務や不正行為の禁止行為など、行為規制が設けられています。
2 インサイダー取引など不公平な取引への対応について
インサイダー取引(※)の禁止や風説の流布、暴力や脅迫の禁止、安売り及び逆指値注文の禁止など、様々な規制があります。
※インサイダー取引:関係者が事前に得た情報を利用して、株式売買するなどして利益を図る行為
その他には、「協定定款・諸規制」の範囲で、適合性の原則もよく出題されます。一例としては、金融知識が乏しいお客さまにハイリスク商品を売り込まない、断定的な表現での勧誘をしない、などがあります。
金融証券取引法は、証券外務員二種に合格して金融リスク商品を取り扱う際に、実際の業務の基礎となる部分ですので、専門用語も含めてしっかり理解しましょう。
証券外務員二種でよく出る債券利回り計算問題を理解する
証券外務員試験で避けて通れないのが、債券利回りの計算問題ですね。
基本的に出題の仕方はあまり変わらないため、点数を落とさないようにしたい範囲です。
債券利回り計算のポイントは、計算式を見ながら何度も解きましょう。
公式を覚える際は、語呂合わせで覚えることもあります。しかし、債券利回りの公式に使われている専門用語は、正式名称でも覚えておくことをおすすめします。〇×問題や5肢選択問題で、計算式の説明が文章で出ることがあるからです。
まずは、利率と利回りの違いです。
利率
額面金額に対する1年あたりの利子の割合、いわゆるクーポンのこと。
利回り
投資元本に対する収益の割合のこと。
次に、利回りの覚え方について確認します。
図 「利回りの覚え方」
Cは、額面100円に対する1年あたりの利子収入です。
E-Sは、償還差損益、または売却損益です。
これを、nである残存期間で割ることで、1年あたりの償還差損益または譲渡損益を計算することができます。
まずは下のイメージ図で、利回り計算のおおまかなイメージをつかみましょう。
債券利回りの計算では、債券を保有している期間の利回り(%)がどのくらいあるかを求めます。
新規で購入して償還(満期)、新規で購入して途中で売却、途中で購入してから償還まで保有した場合に、債券利回りが変わります。
この債券利回りは、投資金額に対して利子も含めた、年単位の収益の割合です。債券購入する方が選ぶ際の判断材料の1つとなるため、上記に掲載している「利回りの覚え方」は債券を扱ううえで大切な計算式になります。
また「最終利回り」「応募者利回り」「所有期間利回り」それぞれ、その期間の利回りを求める問題が出題されます。
計算が苦手でも、図で覚えられる利回り計算の仕方を理解する
様々な利回りは、前述の図「利回りの覚え方」を使って、同じ式で表すことができます。
いくつか例題を挙げますので、図と照らし合わせながら確認してください。
最終利回り
最終利回り:債券を購入した日から償還期限まで保有した場合の利回り
計算式は下記のとおりです。
最終利回り【r】=
{年利率【C】+(償還価格【E】-購入価格【S】)÷ 残存期間【n】}÷ 購入価格【S】×100%
最終利回りの例題を解いてみましょう。
例題:
利率年2.0%、残存期間5年、購入価格99.00円の利付国債の最終利回りはいくらか。小数点第4位以下を切り捨てる。
解答:
{2.0+(100.00-99.00)÷ 5}÷ 99.00×100%=2.222%
応募者利回り
応募者利回り:債券を新規発行で購入し、最終償還日まで所有した場合の利回り
計算式は下記のとおりです。
応募者利回り【r】=
{年利率【C】+(償還価格【E】-発行価格【S】)÷ 償還期限【n】}÷ 発行価格【S】×100%
応募者利回りの例題を解いてみましょう。
例題:
利率年2.0%、償還期限10年、発行価格100.50円の利付国債の応募者利回りはいくらか。小数点第4位以下を切り捨てる。
解答:
{2.0+(100.00-100.50)÷ 10}÷ 100.50×100%=1.940%
所有期間利回り
所有期間利回り:債券を償還期限まで保有せず、途中で売却した場合の利回り
計算式は下記のとおりです。
所有期間利回り【r】=
{年利率【C】+(売却価格【E】-購入価格【S】)÷ 所有期間【n】}÷ 購入価格【S】×100%
所得期間利回りの例題を解いてみましょう。
例題:
利率年3.0%、10年満期の利付国債を99.50円で購入したところ、4年後に101.00円に値上がりしたので売却した。所有期間利回りはいくらか。小数点第4位以下を切り捨てる。
解答:
{3.0+(101.00-99.50)÷ 4}÷ 99.50×100%=3.399%
今回は証券外務員二種で出題される、専門用語の理解計算問題の覚え方についてお話ししました。
テキストの言葉が難しくて挫折しそうなときもあるかもしれませんが、少しずつでも覚えていけば、わかることも増えるので学ぶ面白さが見えてきますよ!
次回は「証券外務員二種でわかりくい分野についてどう対策を取るべきか」についてお話しします。
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