中小製造業A社に新設されたマーケティング部門の、販促営業担当になったさとる。
マーケティング知識がゼロのため、中小企業診断士である姉のミキに、「マーケティングとは」について基本レッスンを受けることになりました。
今回はレッスン2回目!マーケティング環境分析について学びます。
さとる、前回は、マーケティングの定義から顧客ニーズや組織における役割についての話をしたけど、ちゃんと理解できた?
マーケティングが、顧客のニーズを見極めて会社の各部署の活動にも影響を与える、重要な業務だってことがよくわかったよ。 今日からは、前回ちらっと見せてもらったマーケティングをするプロセスについてだよね。
そう!これが、マーケティング・プロセス。
筆者作成
このプロセスさえわかれば、立派なマーケターになれるね!
知るだけじゃだめだよ。いかに使いこなせるかの努力次第!
マーケティングとは何か、の基本をしっかり習得してからだね。
わかりました!
まず、このマーケティング・プロセス図の左側に注目してほしいの。
「誰に、何を、どのように」のところ?
そう。マーケティング・プロセスは、「誰に、何を、どのように」の3つを明確にするためのもの、という意味なんだ。
“誰に”はターゲットになるお客さんのこと。“何を”は販売する製品・サービス、そして“どのように”は、具体的な戦略の組み合わせ。この「誰に、何を、どのように」に、一貫性をもたせるのが、マーケティングにおいてはすごく重要かつ基本的なことなんだ。
どうして、それが重要なの?
例えば、お母さんと彼女に誕生日プレゼントを選ぶとすると、プレゼントの中身も渡す場所も、値段も決めゼリフもまったく違ってくると思わない?
そりゃそうだよ。お母さんのプレゼントにそんな細かな戦略は考えないよ!
それに、さとる自身のお財布事情とか、相手の機嫌とかを色々と検討したうえで、一番相手が喜んでくれそうなプレゼントを選ぶでしょ。
彼女へのプレゼントだったら、周りの友達の経験とか流行とか、何を欲しがってそうかとか、もちろん自分のふところ具合も含めて、いろいろ調査するかな。お母さんのプレゼントはお姉ちゃんに相談するくらいだけど。
さとるが今言った、彼女へのプレゼントのための調査が、まさに今日のテーマの環境分析なの。彼女にあげるものの分析を、お母さんへあげる条件では選ばないでしょ。だから一貫性が大事ってこと!分析に一貫性があり、なおかつ十分じゃないと、何をどんな風にプレゼントするのか決まらないからね。
なるほど!そう考えると、環境分析ってすごく重要だね!
でも具体的にどう進めていけばいいの?
環境分析は、大きく「外部環境」と「内部環境」の2つに分けられるよ。
内部環境は会社自身のことで、さっきの例で言うと、さとるのお財布事情だね。それにお金のことだけじゃなくて、会社自身の「強み」と「弱み」も分析するんだ。
プロフィールの「チャームポイント」と「ウィークポイント」みたいなこと?
そう。会社でいうと、社風、製品の技術力、市場シェア、資金力、社長のリーダーシップなど、冷静に強みと弱みを分析していくよ。
うちは、社長のリーダーシップが強力すぎるんだけど…。
社長の強いリーダーシップは、意思決定のスピードという意味では強みにもなるし、将来の幹部育成という面では弱みになるかもしれないね。特徴をどう強みとして活かすかは、とらえ方にもよるんだよ。
社長にも、このレッスン聴いてもらいたいな(笑)。
アハハ。それは、理解して社内に広めるさとるの役目だよ!
そっか、そうだね!
じゃ、次に進むね。
「内部環境」と、もう1つ分析するのが「外部環境」。これは企業の外のこと。さとるの例で言うと、最近の流行とか恋のライバルの出現とか、相手の心変わりのあたりだね。
怖いことばかり言わないでよ。自分ではどうにもできない部分ってことかな。
そう。この外部環境は、「機会」と「脅威」に分けられるよ。機会はチャンス、脅威はピンチ。ここをしっかり分析して適切な戦略を立てていくよ。
そして、重要な言葉を1つ教えるね!
内部環境と外部環境の2つを分析することを、「SWOT分析」って呼ぶんだ。SWOT分析のフレームワークは環境分析の重要なツールになるから、覚えるだけでなく、しっかり使いこなせるようになるまでが基本だよ!
ちなみにこの言葉は、内部環境の「強み(Strength)」と「弱み(Weakness)」、外部環境の「機会(Opportunity)」と「脅威(Threat)」の4つの頭文字を取ってつけられた名前だよ。
基本か、わかった!覚えておくね。
環境分析をする際に、特に注意しないといけないことってある?
コンサルタントはよく、ミッシーという用語を使うかな。
ミッシー?誰かのニックネームみたいな名前だね。
ミッシー(MECE)とは「Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive」の頭文字からとった言葉で、「もれなく、ダブりなく」という意味。ここが注意点かな。
分析のフレームワークは、モレやダブりを無くすために有効なツールになるんだ!
何かコツみたいなものってあるの?
分析は1人で作業するよりグループで行った方が断然効果が高いから、するなら複数人でやったほうがいいかな。自分では弱みとか脅威だと思っていたことが、他の人からすると、実は強みや機会だったってことが実際にあるの。
へー!まさに「3人よれば文殊の知恵」だね。
脅威をいかに機会と捉えるか、弱みをいかに強みと捉えるか、発想を転換して新たな市場機会を見つけることが、環境分析のゴールなの。
お金持ちの恋のライバルの出現(脅威)とあなたの金欠状態(弱み)が逆に、さとるの良さをアピールするチャンスになるかもしれないってこと!
いや、そんなライバル出現してないから!(笑)。でもよくわかったよ。
明日から社内で一緒に分析作業してもらえそうな人とやってみようと思う。今日もありがとう。
いいえ、こちらこそ。
次回は、環境分析の後にする「市場細分化」と「ターゲティング」を教えるね!
商品はどの市場で販売していくか、どの客層をターゲットにするかも大事なんだ。その部分がわかると思うよ!それまで、今日の事を復習しておいてね!
了解!
筆者作成
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