知識ゼロからいきなりマーケターに任命された、営業職5年目のさとる。マーケティングの基本レッスンを中小気象診断士である姉のミキから受けるうちに、マーケティングのプロセスが徐々に見えてきました。
最終レッスンのテーマは、マーケティング・ミックス。初めて聞く言葉ですが、とにかく重要そうなので今回も楽しみにしています。
マーケティングとは、の基本レッスンは今日が最終回だね!
前回は、ターゲット顧客が自社を選ぶ理由となるポジショニングについてだったよね。
筆者作成
今回は、具体的にどうやって顧客に提供するのかを決める、マーケティング・ミックスの基本についてだよ。
ちなみにマーケティング・ミックスは、戦略の組み合わせのことだからミックスっていうよ。
なるほど、でもミックスって具体的に何を組み合わせているの?
組み合わせるのは4つの戦略。それぞれ、製品(Product)、価格(Price)、プロモーション(Promotion)、流通(Place)で、それぞれの頭文字を取って4Pともいうよ。
じゃ、順番に説明していくね。
OK!
まず、ここにミネラルウォーター入りのペットボトルがあるとします。これは何の商品?
水だよね?
そう。でも、それだけではないの。
というと?
水は、ペットボトルの容器がないと商品にはならないでしょ。それに商品ラベルやブランド名、成分表示なんかも。これらが全部揃ってはじめて、商品として販売されるんだよ。
次に、この図を見てみて。
「製品戦略」橋田洋一郎を参考に著者作成
この図のように製品には3つの階層があるとされていて、製品戦略で重要なことは、3つの階層に統一感を持たせることなんだ。
すなわち、自社製品のポジショニングに基づいて、この3つの層全体の製品設計をする必要があるということなの。
どうして、統一感が重要なの?
例えば、高級化粧品は素材も大事だけど、パッケージやブランドも重要。高級路線であれば、容器も高級でないとおかしいでしょ。
中身と外見の統一感が必要ということか…。
そう。それにこの部分の統一感がないと、次に話す価格戦略にも影響しちゃうんだ。価格は会社の利益が決まる部分だから、とても重要な部分になるしね。
うちの会社の場合、社長が製造コストと競合品の価格を比較して決めているけど、それでいいのかな?
そういう企業は多いと思う。最低ラインの価格は製造コストだから、これを下回ると赤字になってしまうしね。それと競合品の価格を意識することも重要だよ。 でももう1つ、重要な点があるんだ!何かわかる?
何かな?
それは、顧客がこの製品にいくらまでなら払ってくれるのか?ってこと。
へー。でも、顧客はできることなら安く買いたいし、いくらまでなら払うかなんてわからないよね?
その通り!そもそも商品のことをよく知らなかったら、いくら払えるかなんてわからないはずだよね。だから、商品の価値を適切に伝える必要があるの。それが、次のプロモーション戦略の役割だよ。
プロモーション戦略は、テレビCMとかチラシのイメージだけど、他にどんなものがあるの?
OK、じゃこの図表を見て。
「マーケティング戦略」和田允夫他を参考に著者作成
プロモーションは、このように5種類あるとされているの。ちょっと複雑かもしれないけど、費用対効果を考えて、この中のいくつかを組み合わせて実施することが多いみたい。
うちの会社だと、いきなり大きな広告とかは無理だし、どこから手をつけたらいいのかな?
まず、販売員の宣伝活動からスタートすると思うよ。お客さんの反応を直に感じられるというメリットもあるしね。
そしてネット社会になった今、重要になっているのがクチコミ。でもここで注意したいことがあるんだ。ショッピングサイトの評価コメントが最高評価だけだったりすると、信用を無くすこともあるの。
え?なんで?いい評価ばかりなら、いい商品という広告になるんじゃないの?
実はその逆なの。さとるは、ネットショップとかでユーザー評価がぜんぶ星5つだけだったら、怪しいと思わない?
ん~確かに、ヤラセっぽく感じるかも。じゃ、どうすればいいんだろう?
悪い評価もそのままに真摯に対処して、誤解がないか改善点がないかを検討することが大切だね。
大企業だとカスタマーサポートのような部署が対処するけど、最初はマーケティング部と営業部の人が協力して対応するしかないかも。でもそれも、顧客ニーズを知るよい機会になると思うよ。
何事もポジティブに対応している会社は、印象もいいよね。
そして、最後は流通の戦略。流通戦略とは、ターゲット顧客の購入機会を増やせるように、どこで販売するのかを決めること。自社が直接販売するのに限界がある場合は、卸や小売店といった販売協力店を活用したりするよ。
そうなんだね。この流通戦略を決めるうえで重要なことって何かある?
たくさん販路があれば、それだけたくさん売れると考えそうだけど、実はそんな簡単じゃないんだ。いろんな場所で販売したい気持ちを抑えないといけないことがあるの。
例えば、高級路線で販売したい商品がディスカウントストアで安売りされていたら、せっかく作り上げたマーケティング戦略が台無しになっちゃうでしょ。
お客さんが商品のことを誤解しないように、販売協力店にもしっかりと自社のマーケティング戦略を理解してもらわないといけないの。
確かに、売っている場所が商品に与える影響ってあるよね。この間、同じ効果のサプリメントをドラックストアと100円ショップで売っているのを見たよ。なんとなくドラックストアの方が効くような気がしたから、値段は高かったけどそっちで買ったんだ。
そうでしょ。だから、どこで売るかも大事なんだよ。
さあ、ここまで4Pとは何かについての説明をしたけど、何か疑問点はある?
ん~、4Pを考えるうえで最も重要なことって何かな?
やっぱり、一貫性だね。前回説明した自社のポジショニングに基づいて、すべての4Pを組み立てるの。どれか1つでも方向性が違うと、すべての辻褄が合わなくなるからね。
だから、これまでのプロセスに沿って考えないといけないんだね。
その通り!マーケティング・ミックスについては、大丈夫そうだね!
うん。ありがとう!
お疲れ様!さとる、よく頑張ったね!
ここまで全体を通して、マーケティングとは何かよくわかったかな?
うん。マーケティングの役割、考えにおいて大切なこと、環境分析から機会を見つけてターゲット顧客の設定とポジショニング分析、そして実行戦略としての4P・マーケティング・ミックスといったプロセスの基本がよくわかったよ。ありがとう!
明日からさっそく、仕事に活かせるようにやってみるよ!
そうだね!でも今回の話はまだ基本中のきほんだから、これからの仕事の中でどんどん学んで、レベルアップできるようにがんばってね!
了解!
筆者作成
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