人間誰しも、コミュニケーションを取るなら和やかな雰囲気で取りたいものです。
けれど、知らない人といきなり和やかに話すのは難しいものですね。仕事絡みだと共通の話題も見つけにくいですし、相手の考えもわからない状態では話題のチョイスも難しい。
そんな時は、心理学を応用したコミュニケーション術を使ってみましょう。
今回から5回シリーズで、ビジネスに使える心理学をご紹介していきます。1回目は、相手の真似をして親近感を高める「ミラーリング」です。
ミラーリングとはどういう心理効果?
私は大学で教育学を学んでおり、心理学についても触れる機会がありました。この心理学の講義で講師は「カウンセラーがクライアント(カウンセリングの依頼主)から信頼を得る方法」について、かなり詳しく説明してくれました。
カウンセラーのもとを訪れるクライアントというのは、ほとんどが初対面です。
しかしカウンセリングを行ううえで、クライアントとの信頼関係の構築は必須。カウンセラーはほぼ初対面の人と初めから良好な信頼関係を築く必要があるのですが、そのポイントは「共感的理解」をすること。
つまり「うんうん、あなたの気持ちはよくわかるよ」と頷いてあげることが大切なんですね。気持ちがわかってくれる人には、弱みを打ち明けたくなるくらい信頼を寄せることができるのです。
さて「ミラーリング」ですが、これは相手の言動やしぐさを真似すると、相手が自分に対し親近感を覚えるという心理的効果のこと。
ミラーリング効果が生まれるしくみには、「類似性の法則」というものが深く関係しています。これは、自分と似ている、共通点がある、という人に対して親しみを覚える、というもの。
例えば、偶然隣り合った人と話しているうちに、出身地や趣味が一緒だとわかると「私と同じなんですね!」と親しみがわいたりしませんか?カウンセリングの基本である「共感的理解」と似ていますよね。
ミラーリングは、意図して相手の言動やしぐさを真似して、相手に「自分と似ている」と思わせる、つまり類似性の法則を発動させることで、自分に親近感を抱いてもらうというテクニックです。
ミラーリングってどうやるの?
では具体的にミラーリングのやり方をご紹介しましょう。
相手の口調やトーン、音量などを真似る 相手と同じタイミングで資料を見たり、飲み物を飲んだりする 相手と同じタイミングで手を組んだり、足を組み替えたりする 相手が身を乗り出したら、こちらも身を乗り出す 相手の話に合わせて表情を作る
話し方を真似する以外は、基本的に相手のしぐさをなぞるように行動するのがポイント。
同じ行動を起こすということは、同じ気持ちになっているという表れでもあります。「笑う」「身を乗り出す」など、相手に興味を持っている行動を合わせると、「うんうん、あなたの気持ちはよくわかるよ」という意思表示になります。
特に、相手の話に合わせて表情を作るのは効果抜群。相手から見ると共感的理解を得られたと感じるので、信頼の獲得に効果的です。
ただ注意したいのは、「わざとらしくしないこと」。相手の行動をすべて真似ていると、からかっているように思われて、逆に警戒されてしまうかもしれません。相手に気取られない程度にさりげなく行動を真似することがポイントです。
ミラーリングのテクニックは、話題に頼らず人の心を開くのに効果があります。トップセールスを誇る営業も相手とコミュニケ―ションを取る方法として使っている技なので、人と接することが多い仕事の人は試してみてくださいね。
ミラーリングを使ってコミュニケーション力を上げよう
ミラーリングを使えば、お客様だけでなく職場の人との関係も親密にできます。一緒に働くうえで、職場の人と円滑なコミュニケーションが取れる関係を築くことは大切ですよね。
先ほどご紹介したミラーリングは基本の行動なので、さらに親密になりたい場合はもう少し踏み込んでみましょう。「類似性の法則」を強めに発動させるのです。
お店などで同じメニューを頼む 出身地、趣味、興味があるものなど共通項を探す メールやLINEなどのメッセージは相手のトーンに合わせる
例えば食事に行った時、同じメニューを頼むのは「あなたと同じ体験をしたい」という強力なメッセージになります。食べるものが同じなので食事中の話題にもなりますしね。
共通項探しは言わずもがなです。
メールやLINEなどのメッセージに関しては、口調や行間の取り方、顔文字やスタンプの使い方を相手に合わせるようにしましょう。自分とノリや考え方が近い人なら「付き合いやすいかも」と思ってくれますからね。送信時間やメッセージのやり取りの数なども相手に合わせると、さらに効果的です。
ただこの場合も、やりすぎないことが肝心です。やりすぎると媚びているような印象を与え、ミラーリングが一切効果を発揮しなくなってしまいます。あくまでもさりげなく相手に合わせることが大切。
仲良くなりたい人がいる場合は、さりげなく試してみてくださいね。
連載「ビジネスに使える心理学」、今回は、円滑なコミュニケーション作りに効果がある「ミラーリング」についてご紹介しました。
初対面で話題に困りそうな場合や、親密な人間関係を作りたい場合にはミラーリングを意識してみましょう。あくまでもさりげなくがポイントです。
次回は印象を利用した「初頭効果」と「親近効果」についてご紹介します。
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