連載「ビジネスに使える心理学」、3回目のテーマは「スティンザー効果」です。
会議や交渉など、席順が決められておらず自由に着席できるような場において、座る位置は非常に重要な要素になります。
実は人は、交渉相手の座る位置によって、その人に対する感じ方が異なってくるのです。この効果のことを「スティンザー効果」と言います。逆に言えばスティンザー効果を利用することで話し合いを自分に有利に進めることも可能です。
それではスティンザー効果について詳しく見ていきましょう。
スティンザー効果とはどういう心理効果?
スティンザー効果とは、アメリカの心理学者スティンザーが、小集団における心理的効果・原則を研究し発見した原則で、主に会議の中で見られる集団心理です。
早い話が、会議など複数の人が1つのテーブルに着く際、座る位置によって人に与える印象が変わる、ということですね。
スティンザーが発見した原則は3つ。
正面に座る人は反対意見であることが多い。実際、過去に対立した人も正面に座りやすい。 ある発言のあとには反対意見が出ることが多い。 議長の主導権が強い場合は隣同士、弱い場合は正面同士で私語を交わすことが多い。
この法則の中で注目したいのは、1つめの「正面に座る人は反対意見であることが多い」という点。誰かと面と向かう姿勢は、その人に対して隙を見せにくいポジションとも言えますね。
しかしテーブルを囲んで行う会議の場合、隣に座る人や斜めに座る人も出てきます。正面以外のポジションにはどのような意味があるのでしょうか?
まず、隣に座る人は、物理的に視線が近くなるので心理的にも気持ちが近くなりやすく、味方になってくれるポジションです。
斜めに座る人は、正面でもなければ真横でもない、つまり「敵でも味方でもない」というニュートラルなポジション。ストレスを与えにくいので、親しくなりやすいと言われています。
テーブルを囲んで座る場合、座っている位置に対してこうした心理が働くのであれば、会議や交渉の場ではどのように活かしていけばいいのでしょう?
スティンザー効果を会議で活用するには?
座る位置で人に与える印象が異なることがわかりました。このことを、テーブルを囲む形の会議で活用するならば、まず対立するつもりがない人の正面に座ることはやめましょう。反対意見を述べる場合でも、正面からだと攻撃性が強く出てしまうのであえて斜めに座り、理性的な面を強調する、というのも作戦としてはアリですね。
面談やアドバイスを与える際は、正面では相手に威圧感を与えるので、あえて斜めに座らせるのもスティンザー効果の応用になります。部下や後輩、あるいは顧客などに萎縮されず物事を伝えたい時は、正面ではなく斜めに座って話しかけてみてください。
このように「斜めに座る」というのは、正面ほど威圧感を与えず、隣ほど馴れ馴れしくない、ほどよい距離なので、使い勝手がいいポジションです。あまり親しくなく、かつ対立したくない人や、もっと親しくなりたいと思っている人とは、斜めに座るのが効果的。
逆に味方につけたい人がいれば、隣に座るようにします。ただし、すでにある程度は親しくしている人でなければ逆効果です。あまりよく知らない人と隣同士になると、距離が近すぎて逆に緊張してしまい、いざ会議が始まっても同調してもらえない可能性があるからです。
とはいえ、スティンザー効果はスティンザーの法則を知らない人同士での集団心理であり、もしその場に法則を知っている人がいれば、スティンザーの法則は崩れてしまいます。
ただ、スティンザーの法則を知っていようがいまいが、基本的に対立するグループは固まって反対側に座りますし、似たような考えを持つ人はグループではなくても隣同士になりやすいという傾向はあります。
恋愛にも応用可能! 親しくなりたい人とはどう座るべき?
さて、スティンザーの法則を利用すれば、親しくなりたい人とはどう座るべきかの答えが導き出せますね。
答えはもちろん「斜めに座る」です。
具体的に言うと、テーブルの角を挟んで90度の位置で座るのがおすすめです。理由は2つ。
1つめは、体の向きは異なりますが視線はほぼ同じなので、同じものを見ながら話ができるためオープンマインドになりやすいこと。
正面に座ると常に視線があう状況となりますが、よく知らない人同士では非常につらいものがあります。
90度の角度で座っていれば、視線は必要な時以外あわせる必要がありません。また、隣同士のように近すぎないので、馴れ馴れしくならないのもポイントです。
2つめは、体の距離が近いこと。心の距離と体の距離は比例するので、よく知らないけれどこれから親しくなりたいという人には、ぴったりの距離感なのです。
相手に萎縮されず会話をしたい場合には、90度の角度で座ってみてください。
連載「ビジネスに使える心理学」、今回は、座る位置で相手への印象が変わる「スティンザー効果」についてご紹介しました。
テーブルをぐるっと囲んで座るような場合は、相手にどのような印象を与えたいか考えて席取りをしてみてくださいね。
また、席が指定されていて席順を選べないような場合は、体を斜めに向けたり、足を組んで少し姿勢を変えてみたりすると印象が和らぎます。
次回は人間関係やマーケティングに応用できる「返報性の原理」をご紹介します。
オトナ女子を楽しもう!タイプ別おすすめ趣味講座~診断つき~
大人の女性におすすめの趣味講座をご紹介。
性格や志向から4つのタイプに分類し、診断結果からあなたにピッタリの講座が見つかります。
無料登録でオンラインの資格講座を体験しよう!
資格受け放題の学習サービス『オンスク.JP』では様々な資格講座のオンライン学習が可能です。
最短20秒の無料会員登録で、各講座の講義動画・問題演習の一部が無料体験できます。
※自動で有料プランになることはありません。
関連する記事が他にもあります
ビジネスに使える心理学
- 会食で好印象!「ランチョンテクニック」とは?|ビジネスに使える心理学⑤
- 人間関係や販促に活用できる「返報性の原理」とは?|ビジネスに使える心理学④
- 会議を有利に進める「スティンザー効果」とは?|ビジネスに使える心理学③
- 印象的な会話に役立つ初頭効果・親近効果とは?|ビジネスに使える心理学②
- コミュニケーション力を上げる「ミラーリング」とは?|ビジネスに使える心理学①