いつも使っている洗剤が少なくなったなあと思ったら、ボタンを“ぽちっ”。
アマゾンダッシュボタン、コレすごいですね。よく考えたものです。
近所のスーパーで買う方が安いかもしれませんが、ボタンを押すだけで届く便利さには勝てません。ズボラな人間には禁断のアイテムです。
ところでアマゾンダッシュボタンで買える商品は、販売業界でどう分類されているかご存知ですか?販売業随一の公的資格・販売士3級の問題でちょっと見てみましょう。
アマゾンダッシュボタンで買える商品は最寄品?買回品?
例題:商品の分類について述べた文章で、文中の〔 〕に、それぞれの語群から最も適当なものを選びなさい。
よく消耗するため頻繁に買う商品だが、メーカー間の価格に大差がなく、消費者が経験的に品質や内容をよく知っている商品を〔最寄品、買回品、専門品〕という。
いかがでしたか?
解答は、最寄品です。
最寄品とは、食料品、日用雑貨など近くの小売店で頻繁に買う商品のことです。
洗剤などは、消費者が一度買う商品を決めると、他のブランドに移ることはまずありません。
他のブランドに移ることをブランドスイッチといいますが、消費者は保守的ですので、このブランドスイッチを起こさせるのが大変!メーカーもあの手この手を考えています。
この最寄品の特性を活かしてできたのが、アマゾンダッシュボタン。
ボタンを“ぽちっ”と押すだけでその商品が届く。一度体験してしまうと、その便利さからもう逃れられません。ブランドスイッチを起こさせない、うまいやり方です!
“販売のプロ”を認定するのが販売士
SNS、ブログで、知り合いやお気に入りの芸能人がおすすめした商品がすぐにわかる時代となりました。
お店側は、多様化したお客さんのニーズをとらえ、ニーズにあった商品を提供しなければ売上をあげられません。そのためには、入りやすいお店にするなど考えるべきことがたくさんあります。
そこで“販売のプロ”を認定するためにできたのが販売士試験です。
販売士試験は、日本商工会議所や各地商工会議所が主催する試験で、公的資格にあたります。
後援は経済産業省、中小企業庁。流通・小売業界では必須の定番資格として、これまでに約89万人が資格取得し、販売のプロをあらわす“販売士”という称号で活躍しています。
公的資格について少し補足しておきますと、資格には「国家資格」「公的資格」「民間資格」の3種類があります。
国家資格とは、国の法律で規定されている資格です。医師、弁護士、中小企業診断士などが国家資格の代表例です。
公的資格とは、国家資格と民間資格の中間で、試験は日本商工会議所など知名度が高い団体が実施することが多いです。日商簿記、販売士などが公的資格の代表例です。
これらに対し民間資格は、民間団体が実施しており、試験の規模や知名度はピンキリです。TOEIC、漢字検定などが民間資格の代表例です。
販売系の資格は販売士以外にもある?
前回の記事でもお話ししましたが、販売系の資格は意外に少なく、オールマイティで対応する定番資格はやはり販売士です。
他の販売系資格には、前回ご紹介した登録販売者(医薬品販売が主)という公的資格があります。
家電製品業界には、一般社団法人家電製品協会が行う家電製品アドバイザーがあり、AV情報家電と生活家電の2種類からなります。こちらは民間資格です。
【販売系資格の例】
資格名 | 販売士3級 | 登録販売者 | 家電製品アドバイザー |
---|---|---|---|
種別 | 公的資格 | 公的資格 | 民間資格 |
合格率 | 約65% | 約40% | 約35% |
試験日 | 随時 | 年1回 | 年2回 |
試験方法 | CBT試験(択一式) | マークシート | CBT試験(択一式) |
対象 | 販売品全て | 医薬品 | 家電製品 |
その他、中小企業支援法に基づく中小企業診断士(国家資格)という試験があります。ただ、販売も一部含みますが、こちらは経営全般を対象にした資格です。
国家検定(職業能力開発促進法による技能評価)に接客販売技能士という試験がありますが、こちらは販売の知識というよりは接客に特化した資格です。
販売士3級でマーチャンダイジングの知識も身に付く!
冒頭の例題で、アマゾンダッシュボタンで買える商品は「最寄品」(近くの小売店で頻繁に買う商品)であるという説明をしましたが、選択肢にあった「買回品」「専門品」についても少し触れておきましょう。
買回品とは、パソコンをはじめとする家電製品、家具、自動車など、少し値がはる商品です。
買物に失敗したくないので“価格や品質を比較しよう”といくつものお店を回るため、買回品といいます。買うまでに少し時間がかかる商品です。
専門品とは、高級腕時計をはじめとする高額品で、買うのに勇気がいる商品です。品質、デザイン、性能など考えに考えて買う商品になり、買うまでにすごく時間がかかります。
冒頭の例題は、販売士3級のマーチャンダイジングという分野からの出題です。
マーチャンダイジングは商品化計画ともいい、誰に、何を、いくらで、どうやって提供するか考えます。
流通、アパレル、小売業等の企業では、マーチャンダイジングを専門に業務する人がいてマーチャンダイザーと呼ばれています。なんだか格好いいですね。
販売士3級とは、このように販売に関わる様々な知識や技術を学べる試験です。
例えば最寄品の代表であるドリンクですが、コンビニの冷蔵庫からペットボトルを取りだすと次のボトルが自動的に前に出てきて、冷蔵庫の前面にきれいに並びます。この陳列方法を前進立体陳列といいます。スーパーでも洗剤などは前進立体陳列で並べられています。
お店側は、いかに商品を目立たせて消費者に買ってもらうか研究し、皆さんをいろいろな陳列で待ち構えています。販売士3級では、このような陳列の知識も学ぶことができます。
お店を今までと全然違う目で見ることができるようになり、楽しいですよ。
次回は販売士3級を学ぶメリットについてご紹介します。
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