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【条文の読み方編】基本の6つのカテゴリとは?初学者必見の法律の読み方③

【条文の読み方編】基本の6つのカテゴリとは?初学者必見の法律の読み方③

この連載「法律初学者なら必見!法律の読み方」では、行政書士有資格者であり、法律を作成する側である国会議員政策担当秘書の有資格者である筆者が、初心者でもわかるように法律用語の基礎について図解を含めて解説しています。

前回、前々回では、法律を読み解くにあたりよく出てくる法律用語の違いや意味について解説してきました。
連載最終回の今回は、その法律用語を使って作られている条文の読み方を、図解を交えて解説します。

ただでさえわかりづらい法律用語が組み合わさった長い条文を目にして、心が折れそうになる法律初心者は多いもの。どう読み解くかのコツを知れば、きっと理解がスムーズになるはずですよ。

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読み解きのコツは6つの基本カテゴリーを覚えること

法律の条文の基本構造は、実は原則として大きく6つのカテゴリーに分かれています。
このカテゴリーを理解すれば、条文の読み解きは圧倒的にスムーズになります。

カテゴリーは可能、義務、免除、禁止、効果、定義の6つ。
1つずつ解説していきましょう。

① 可能「〇〇することができる」

可能は「〇〇することができる」という規定で、例えば民法第5条第2項の
前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
という規定がその代表例です。

可能の条文は、あくまで「〇〇することができる」という「可能形」の条文であり、「〇〇しなければならない」というものではありません。

② 義務「〇〇しなければならない」

義務は「〇〇しなければならない」という条文です。先ほど解説した可能とは異なり、必ずそのようにしなければならない、という規定です。

条文の例としては、民法第27条第1項の
前二条の規定により家庭裁判所が選任した管理人は、その管理すべき財産の目録を作成しなければならない。
という規定が挙げられます。

また義務の条文は、「絶対にやらなければならない」という義務に関する条文と、「〇〇をするように努めなければならない」という努力義務の条文に分けられます。

努力義務の条文は、実際には行うことができなくても「一応の努力はした」と言えば、法律上課されている義務は果たしたことになります。

法律系国家資格試験の中でも択一式試験では、義務か努力義務かを問われることがよくあります。
そのため義務系の条文を覚えるときは、義務と努力義務のどちらなのかをしっかり覚える必要があります。

③ 免除「〇〇しないことができる」

免除は「〇〇しないことができる」という条文です。つまり本来であればしなければならないにもかかわらず、それをしないことが許されている状態です。

具体的には、個人情報保護法第33条第2項の
個人情報取扱事業者は、前項の規定による請求を受けたとき……次の各号のいずれかに該当する場合は、その全部又は一部を開示しないことができる。
という規定が挙げられます。

④ 禁止「〇〇してはならない」

禁止は、「〇〇してはならない」という条文です。
禁止に似ている免除の条文は「〇〇しなくてもいい」という、あくまでしないことが許されるものでした。これに対し禁止の条文は、明確に「してはならない」という規定になります。

禁止の条文の具体例としては、民法第219条第1項の
溝、堀その他の水流地の所有者は、対岸の土地が他人の所有に属するときは、その水路又は幅員を変更してはならない。
という規定が挙げられます。

⑤ 効果「〇〇すれば、××になる」

効果は、「〇〇すれば、××になる」という特定の要件を満たした場合に、どのようになるかという「効果」に規定した条文をいいます。例えば民法第3条第1項の
私権の享有は、出生に始まる。
という規定がその代表例として挙げられます。

民法第3条第1項は、「出生すれば、私権を享有できますよ」という、出生に与えられる「効果」を表しているのです。

⑥ 定義「〇〇とは××である」

最後の「定義」ですが、これは「〇〇とは××である」という法律上の名称について定義する規定となります。

具体例としては、民法第4条の
年齢十八歳をもって、成年とする。
という規定があり、これは「成年」とは「年齢十八歳に到達した者」であるという「定義」を表しているのです。

以上が代表的な6つのカテゴリーです。

しかしこれはあくまで「原則」であり、当てはまらない条文もあります。
例えば教育基本法の前文にある
我々日本国民は、たゆまぬ努力によって築いてきた民主的で文化的な国家を更に発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを願うものである。
のような「単なる宣言」などです。

このような若干の例外はあるものの、基本的に法律はこの6つのカテゴリーにあてはまる規定の集まりであると覚えておいてください。

法律はこのような6つの論理からなっていると覚えることで、初心者は格段に法律が読み取りやすくなります。さらに理解を深めるため、図解で見ていきましょう。

法律の条文 カテゴリー

条文の読み解きに必要な3つの表現も覚えよう

表現① 原則と例外

先ほど、法律初心者の方は、上の図解に示した法律の条文の6つのカテゴリーを覚えておけば大丈夫と説明しました。
すると次に問題となるのは、この6つのカテゴリーの表現の仕方です。

法律の条文は図解にある6つのカテゴリーを原則とした組み合わせで構成されていることは間違いありません。
しかし実際の法律には「但し書き」など、例外規定が多く置かれているのです。

例えば民法第9条は
成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。
と規定しています。

民法第9条は、「成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。」と「可能」の条文を原則として規定しています。

しかしその後「ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。」と「可能」の範囲に含まれない例外規定を置いています。
法律用語では「ただし、」より後ろの部分を「但し書き」と呼びます。

法律初心者の方は、先に図解した6つのカテゴリーに「但し書き」などの例外規定を含めて論理展開するのが法律の条文なんだと、覚えておけば大丈夫です。

表現② カッコ書き

法律の条文にはカッコ書きが多用されるものもあります。

例えば、行政手続法第2条第1項第1号「定義」を表す条文では、
法令 法律、法律に基づく命令(告示を含む。)、条例及び地方公共団体の執行機関の規則(規程を含む。以下「規則」という。)をいう。
と規定されています。

これは「法令」の定義を示しつつも「法律に基づく命令(告示を含む。)」の部分で、「法律に基づく命令」には「告示」を含みますよ、という定義も示しているのです。

行政手続法第2条第1項第1号はカッコ書きがそんなに多くなく、条文も短いので読みやすいですが、もっと長くてカッコ書きが複雑な条文もあります。
そのような場合はとても読みづらいため、初心者向けに読み解きのテクニックをお伝えします。

それは、まずカッコ書きを削除してから条文を読み、その後カッコ書きがついている部分だけを読むという方法です。

例えば、行政手続法第2条第1項第1号で試してみましょう。

法令 法律、法律に基づく命令(告示を含む。)、条例及び地方公共団体の執行機関の規則(規程を含む。以下「規則」という。)をいう。

カッコ書きを削除するとこうなります。
法令 法律、法律に基づく命令、条例及び地方公共団体の執行機関の規則をいう。

どうでしょうか。先ほどよりかは読みやすくなっているのではないでしょうか。

そしてカッコ書きを削除した文で大まかな内容を理解した後に、カッコ書きのついたところを1つずつ理解していきます。

「法律に基づく命令(告示を含む。)」や「地方公共団体の執行機関の規則(規程を含む。以下「規則」という。)」を読み、「地方公共団体の執行機関の規則」には「規程」を含むと定義されているんだな、と読めばいいのです。

表現③ 見出し

法律の条文では、特に一般的な六法全書などには「見出し」がついているので、まず見出しを読むというのも、初心者が読み解く重要なポイントになるでしょう。

例えば、民法第12条は以下のように規定しています。
(被保佐人及び保佐人)
第十二条 保佐開始の審判を受けた者は、被保佐人とし、これに保佐人を付する。

このうち(被保佐人及び保佐人)の部分が見出しです。
見出しは、条文の前にカッコ書きで示されることがほとんどです。

見ての通り、条文そのものを読まなくても見出しを見れば、「この条文は『被保佐人』と『保佐人』について規定しているんだな」ということが分かりますよね。

このように見出しを見て、大まかな条文の内容を知ったうえで具体的な条文を読めば、初心者でも理解しやすくなりますよ。

おさらい:問題に挑戦してみよう!

ここまでの内容をおさらいするために、問題をやってみましょう!

次の内容は義務と努力義務、どちらにあたるか?

行政庁は、申請者の求めに応じ、当該申請に係る審査の進行状況及び当該申請に対する処分の時期の見通しを示すよう努めなければならない。

…正解は、「努力義務」です。

記事内で解説したように、「〇〇をするように努めなければならない」とあったら「努力義務」になるため、この条文も努力義務となります。
もしこれが「〇〇をしなければならない」というような文言になっていれば、義務になります。

実際の各種法律系資格試験では、今回のような出題ではなく「義務」と「努力義務」の規定を入れ替えて間違いの選択肢を作成するということがよくあります。

例えば今回の問題にも使った行政手続法第9条第1項は、「見通しを示すよう努めなければならない」(努力義務)と規定していますが、問題文や選択肢であえて「見通しを示さなければならない」(義務)とするなどです。

具体的な条文の内容は今後覚えていくとして、このような問題が出題されるんだということを知っておけば、試験勉強でも活かせるかなと思います。

おさらい:問題に挑戦してみよう!

法律というと初心者は難しく感じるかもしれません。
しかし法律は、一般的な人たちがトラブルを起こさずに生活できるように作成した社会のルールです。そのため一般的な人たちにも理解できるように作られています。

少し難しい法律用語や言い回しがありますが、今回解説した図解の6つのカテゴリーや、条文の中にある例外やかっこ書きを理解すれば、読み解きやすくなりますので、ぜひ試してみてくださいね。

さて、これまで3回にわたって、初心者向けに法律の読み解き方を、図解を交えて解説してきました。
他にも法律を読み解くテクニックはありますが、この連載で解説した内容がすべての基本になります。

本連載を何度も読み返して、ぜひ法律系国家資格試験に向けて準備を進めてください。法律系資格の試験勉強はくじけそうになる機会も多いと思いますが、必ず将来の自分の役に立つ資格です。

目指す人はみんながんばっている、自分も絶対合格するんだ!という強い思いで頑張ってくださいね。
時間のない社会人の場合は、スキマ時間なども効率的に使い、ぜひ合格を目指してください。
心から応援しています。

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