サービス接遇検定とは、文部科学省後援のビジネス系検定の1つです。
1級・準1級・2級・3級の計4つの級があり、サービス接遇業務に対する心構えや接客技術などが学べるほか、就職や転職時に有利に働く可能性もあります。
主にサービスを提供するホテルの従業員や販売員、ファッション・航空業界の従業員など、あらゆる業界のサービス接遇業務全般に活かせる資格です。
サービス接遇業務に興味があれば取得して損はありませんが、試験の内容や難易度がどのくらいなのかは気になるところですね。
そこで本記事では、次の内容についてお伝えします。
- サービス接遇検定の各級ごとの試験内容と難易度
- サービス接遇検定の攻略ポイント
- サービス接遇検定の合格難易度
- サービス接遇検定を取得するメリット
サービス接遇検定に興味がある方、どの級を受験するか悩んでいる方はぜひ参考にしてくださいね。
目次
サービス接遇検定とは?
はじめに、サービス接遇検定はどのような検定かを紹介します。
サービス接遇検定の概要
サービス接遇検定試験は年2回、6月と11月に試験を行います。
受験資格はなく誰でも試験を受けられますが、受験料は級によって異なり、級位が上がるほど高くなるので注意が必要です。
また、試験方法も級位によってそれぞれ異なります。3級と2級は筆記試験のみです。準1級は面接試験のみで、1級は筆記試験と面接試験の両方が行われます。
サービス接遇検定の出題内容
サービス接遇検定では、次の接客マナー全般が身に付いているかを判定されます。
- サービススタッフとしての資質:接客時の心構えや身だしなみなど、接遇に対する基礎の有無
- 専門知識:正しいサービスがどれか判断できるか
- 一般知識:一般的な社会常識の有無、時事問題の理解
- 対人技能:正しい敬語の使い方、適切な言葉遣いなど
- 実務技能:トラブル対応や環境整備、金品の管理に対する知識・実技
サービス業務に就く際に必要な心構えから知識・技術を学び、お客様に喜んでもらえるサービス接遇を身に付けられるのが、サービス接遇検定です。
次に各級のレベルを確認していきましょう。
サービス接遇検定 3級
サービス接遇の基礎知識と技能取得を目指す級です。筆記試験のみで面接試験はありません。
まず、サービス接遇に関する基礎を習得していきたい方、これから接客業に就く方におすすめです。
サービス接遇検定 2級
2級は、3級よりも一歩踏み込んで、サービス接遇の基礎知識を応用する力を身に付けることを目指す級です。3級と同じく、筆記試験のみで面接試験はありません。
3級よりも記述問題が増えるので、より接客現場を想定した知識・経験が求められます。
サービス接遇検定 準1級
準1級は、サービス接遇における適切な話し方や動作、身だしなみが身に付いているかを面接試験で判定します。「いらっしゃいませ」や「いかがでございますか」などの接客用語を披露したり、審査員をお客様に見立てて販売の実演を行ったりします。
なお、準1級は2級合格者のみが受験可能です。
サービス接遇検定 1級
サービス接遇における高度な知識と技能、専門的なサービス力が身に付いているかを筆記試験と面接試験を通して判定するのが1級です。
面接試験では、テレセールスとセールストークのロールプレイングを行い、高度な接遇技能が身に付いているかを審査されます。
サービス接遇検定1級、準1級、2級、3級|各試験の特徴と違い
次に、3級から1級までの各級の特徴をチェックしていきましょう。どの級を受験するか悩んでいる方はぜひ参考にしてくださいね。
3級の試験の特徴
3級は、5つの選択肢の中から不適当な接遇を選ぶなど、選択問題が多めです。過去の出題内容の一例は次のとおりです。
- 接遇の心構えや感じのよい接遇とは
- お客様への正しい気づかいについて
- 日本の年間行事に関連する飲食物
サービス接遇における基礎的な部分に関する問題が出題されるので、これから接客業に就く方はまず3級からチャレンジするといいでしょう。
2級の試験の特徴
2級も3級と同様、「サービススタッフの資質」、「専門知識」、「一般知識」、「対人技能」、「実務技能」が出題されます。
ただし2級から記述問題のレベルが上がるので、しっかり対策しておく必要があるでしょう。例えば、お客様にお電話して留守番電話にメッセージを入れる際の用件の話し方を、箇条書きされた用件をもとに自分で考えるといった問題が出されます。
準1級の試験の特徴
準1級に筆記試験はなく、面接試験のみです。面接試験では模擬的な接客を行い、「基本言動」、「接客応答」、「接客対応」の際の言葉と態度が審査員にチェックされます。
接客対応では、審査員をお客様に見立て、用意された商品の模擬販売を行い、お客様へ適切な案内ができているかを審査されます。
1級の試験の特徴
1級は筆記試験と面接試験が行われ、両方合格することで資格取得となります。筆記試験の問題の項目は、3級、2級と同様の「サービススタッフの資質」、「専門知識」、「一般知識」、「対人技能」、「実務技能」ですが、すべて記述問題です。
また、面接試験を受験できるのは筆記試験の合格者のみです。面接試験では対面販売や電話を使ってのセールスを行い、接客技術や接客態度などがチェックされます。
サービス接遇検定1級・準1級・2級・3級|各攻略ポイントは?
ここからは、サービス接遇検定の攻略ポイントについてお伝えします。
まず全級共通で筆記試験の勉強は、サービス接遇検定を運営・実施している実務技能検定協会から発売されているテキストや問題集を使うのがおすすめです。運営元が発行している教材のため、わかりやすくまとまっています。
準1級と1級の面接試験は、本番を想定して実際に入室・実技・退室まで通して練習しておきましょう。家族や友人、学校の先生などに審査員役を頼み、人前で実技を見せることに慣れておくと本番も落ち着いて対応できます。
また勉強していると、どうしても独学だけでわからない部分も出てくると思います。その際は、オンライン学習を活用してみてはいかがでしょうか。オンライン学習では、サービス接遇に長けた専門講師が、ポイントをわかりやすく解説。テキストだけでは理解しにくい部分を口頭で説明してくれるので理解しやすいですよ。
それでは、各級の試験の詳細と攻略ポイントをお伝えしましょう。
どの級にも共通しているのは「理論」と「実技」の2つの領域に分かれている出題項目です。合格の基準が、どちらの領域もそれぞれ60%以上の得点であることも共通しています。
3級の攻略ポイント
筆記試験のみの3級は、マークシート方式の選択問題が約7割と記述問題が約3割出題されます。3級で出題されるのは、サービス接遇に関する基礎知識が中心です。
テキストで基本的な知識を覚え、問題を繰り返し問いていきましょう。間違えたところはテキストで正しい答えを覚えて、試験日までに正答率8割以上を目指しましょう。遅くても試験日前の1ヵ月前から取り掛かることをおすすめします。
2級の攻略ポイント
2級も筆記試験のみです。3級と同様に、選択問題が約7割と記述問題が約3割となっています。3級で学んだ基礎の知識や技能を踏まえ、少しステップアップした接遇の問題が中心です。
特に2級では記述問題に答えられるかが合否のカギを握ります。記述問題では、正しい言葉遣いや適切な応対を文章で答えられなければなりません。なるべく多くの過去問を問いて、落ち着いて記述問題に取り組めるように対策しておきましょう。
準1級の攻略ポイント
準1級は面接試験のみで、筆記試験はありません。面接試験は、3人1組で面接室に入り、接客時の言葉遣いや態度が適切かを1人ずつチェックされます。日ごろから正しい言葉遣いや態度を心がけること、本番を想定した練習をしていることが合否を左右します。
家族や友人に審査員を頼んだり、オンライン学習の面接対策講座を活用したりするなどして、本番に備えて練習しておきましょう。
また準1級で特に大切なのは、次の3つです。
- 笑顔で接客できているか
- 張りのある声で接客ができているか
- お客様の立場に立って商品説明ができているか
これらを重点的にチェックしながら、面接練習を行ってくださいね。
1級の攻略ポイント
1級の筆記試験はすべて記述問題です。そのため、2級と3級以上に参考書や過去問を繰り返し解いて、記述に慣れておく必要があります。最低でも過去3回分の問題を解いて、時間内にすべて問題を解き終わるように、本番を想定した試験対策を徹底して行いましょう。
また、1級の面接試験では、テレトークとセールストークのロールプレイングを通して、愛嬌のある態度やサービス業にふさわしい接客技術があるかをチェックされます。具体的な評価ポイントは次のとおりです。
- 適切な表情
- 柔らかい話し方
- 物腰の低さ
- セールストークにおける表現力と説得力
これらは、たとえ接客業に長く携わっていても、自分がきちんとできているかはなかなかわからないものです。職場でアドバイスを求めたり、家族や友人に審査員役を頼み練習をしたりして、客観的な評価をもらうのが合格への近道になります。
サービス接遇検定1級、準1級、2級、3級|各合格率は?
ここでサービス接遇検定の合格率について見ていきましょう。2022年11月に行われたサービス接遇検定の各級の合格率は次のとおりです。
1級 | 41.5% |
---|---|
準1級 | 82.5% |
2級 | 67.1% |
3級 | 77.5% |
各級の合格率を見てみると、3級、2級、準1級はいずれも合格率が高めです。この合格率の高さは、3級と2級は筆記試験のみ、また準1級は面接試験のみなので、ポイントを押さえて勉強しやすいことが影響していると考えられます。
対して1級は合格率が40%台と下がり、大幅に難易度が上がっていることがわかります。1級の難易度が高い理由は、主に次の2つです。
- 筆記試験と面接試験両方に合格しなければならない
- 準1級よりも面接試験の内容が難しい
面接試験の難易度は準1級に比べて著しく高く、人並の接客では合格できないと言われています。
しかしその分、1級を取得すれば大きな自信になり、企業によっては待遇がよくなる可能性もあります。他人とは違う、きらりと光る接客術を身に付けて1級合格を目指しましょう。
サービス接遇検定を取得する3つのメリット
サービス接遇検定を取得するメリットは次のとおりです。
- 就職・転職活動でアピールできる
- サービス業に必要な基礎知識・実務を身に付けられる
- スキルアップやキャリアアップにつながる
サービス接遇検定の資格を取得しておくと、サービス業はもちろん一般企業への就職や転職の際に面接官に好意的に見てもらえるでしょう。これから就活する学生や転職を考えている社会人の就活対策の一環してサービス接遇検定の資格を取得することは、大変有意義でありおすすめです。
また、すでにサービス業界で働いている人も、忙しさで忘れがちなサービス業務に対する心構えや接遇の技術の基本を学び直せます。より高いレベルの接遇を学んでスキルアップして、キャリアアップを目指すこともできるでしょう。
ショッピングや旅行、あるいは体調不良で病院に行く際など、私たちは日々あらゆるところで接遇のサービスを受けていますよね。自分がお客様の立場で受けてきたサービスが、どのような心構えや技術を持って行われてきたのかを知るのもおもしろいですよ。
サービス接遇検定では、サービス業務に就く際に必要な心構えから知識・技術を学べます。まずサービス接遇の基礎力を身に付けたい方は、3級・2級の受験がおすすめです。準1級・1級では面接試験もあるので、合格すれば自分のサービス力により自信を持てるようになるでしょう。
サービス接遇検定を通して培った知識・技術を現場で活かすことはもちろん、就職活動の際に資格取得をアピールしてキャリアアップにつなげることも可能です。
サービス業に関わる方は、ぜひサービス接遇検定にチャレンジしてみてくださいね。
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