幸せを掴む おもてなし力アップ術の5回目は「ホスピタリティ」についてです
「ホスピタリティ」とは、おもてなしの心のこと。
私は自分の経歴から大学などで「ホスピタリティ」について話す機会が多く、必ずと言っていい程、感動をいただいた有名旅館についてのエピソードを話すことにしています。
ある旅館でのエピソード
その旅館は、交通の便が良いとはいえない何度も乗り継いでやっとたどり着くところにありました。
少し疲れを感じながら玄関口を入るやいなや、その場にいる従業員が整列して温かいまなざしで「いらっしゃいませ。ようこそいらっしゃいました。」と心を込めた歓迎をしてくれました。
「うわぁ」とそれだけでこちらの疲れが一気に吹っ飛んでしまいました。
そして、チェックインの時に「今日はお部屋をアップグレードさせていただきました。」との思いがけない出来事に、到着してわずか10分にして心を掴まれました。
もちろん景色も最高、そして美味しい食事を味わいながらお酒をたしなんでいると、「失礼致します」と旅館のご主人から丁寧なご挨拶をいただきました。時間もゆっくり和やかなご挨拶でした。
すでに十分な満足を感じているにもかかわらず、まだまだ感動は続いていきます。
私はお酒を少し飲み過ぎ、そして部屋も乾燥していることもあって、喉が渇いたと思っていると、コンコン「失礼いたします」と仲居さんが部屋に訪ねてきました。何事かと思いきや、「フルーツをお持ちいたしましたが、いかがでしょうか」と。
お盆の上のお皿には、マスクメロンなどのフルーツが盛られていました。「丁度喉が渇いたと思っていたんです」と伝えると、笑顔で「それは良かったです」と言い、静かに去っていきました。
次の日、旅館を出発するときに従業員の方々にお礼を伝えると「お客様の喜びは私どもの喜びです」との言葉にまた感動し、その後、私の乗ったマイクロバスが見えなくなるまで従業員の方々は整列して深く頭を下げていました。
1泊2日で手にしたかけがえのない感動
私は1泊2日で何度の感動をしたのでしょうか。
この旅館の従業員の方々はお客様の様子を注意深く観察し、お客様のウォンツを先読みして、おしつけがましくなく、さりげなくお客様に尽くすという「最高のホスピタリティ」を実践しているのです。
私が受けたこの旅館でのサービスは、単に支払った金銭価値のサービスをはるかに超えていたもので、従業員ひとり一人が私に「無償の真心」を与えてくださったのだと感じました。
サービス業とは、施設などのハード面も大切ですが、最も心に残るものは、「人の真心」にふれた経験であり、それが幸せをもたらしてくれるものと実感しました。
お客様と従業員が共に幸せになることがサービス業の根幹ですね。
次回のテーマは「クレームをチャンスに変える」です。人と人とが関わるサービスの現場では、クレームをいただくこともありますよね。ただ、そのクレームをどう捉えるかで、沢山の気づきを得ることができることをお伝えしていきます。お楽しみに。
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