「幸せを掴む おもてなし力アップ術」の2回目は、「相手を幸せにすることもマナーのひとつ」というお話です。お客様を幸せにするために必要な心構えや話の聴き方など、大切なポイントをお伝えしていきます。
相手を幸せにすることもマナーのひとつ
「お客様を笑顔にさせる」ことはサービス接遇者にとって最も大切なことです。笑顔になるということは、そのお客様が幸せを感じている瞬間なのです。
サービス接遇者は、まずお客様に焦点を当てることから始めます。お客様に焦点を当てるとは、つまり相手の話をしっかり聴くということです。これを「傾聴」と言い、大切なポイントになります。
傾聴とは字のごとく、耳+目+心を傾けることです。耳でただ聞くのではなく、柔らかなアイコンタクトと心を入れながらお客様の話を理解していきます。そして、その言葉に素直に反応していけばいいのです。
人は意外と単純で、自分の話を心して聴いてくれていることで安心して幸せになれるのです。実のあるコミュニケーションとは、話すこと以上に聴くことが大事なのです。
サンパウロからの帰国の機内でのエピソード
もう15年ほど前の話になりますが、フライトでブラジルのサンパウロからの帰りの機内で、高齢の日本人男性客に話しかけられました。その内容は他愛もない世間話であり、20分ほど会話を楽しんでいました。
すると突然、その男性客は涙ぐみ「実は、日本に帰るのは50年ぶりなんです。日本語を使える喜びをかみしめています。」と話されました。私はその話を聴いているだけでしたが、「幸せをたくさんいただきました。ありがとう。」とお言葉をいただき、笑顔で飛行機を降りて行かれました。私自身も物凄く感動してしまい、いまだに忘れられない思い出です。
この出来事から相手を幸せにすることは、言葉掛けがなくても相手の話を傾聴し、その話を受容し、共感するだけでも出来ることだと気づきました。
サービス接遇者として当然のことをしたのかもしれませんが、複数のお客様を担当することが多い職場は、気づかない内に自分の都合でお客様に接してしまいがちです。
常に笑顔でお客様に接することは出来ますが、表面だけではなく本当にひとり一人のお客様に対して好意的関心を持ち、お客様が話したいことを聴いて差し上げることが、サービス接遇者としてのマナーだと思っています。
「傾聴」することを大切に
現在、キャリアサポートアドバイザーとして、若年者から中高年まで幅広い年齢層の方からの相談を受ける時でも、まずはクライエント(相談者)が言いたいことをゆっくり「傾聴」することを心掛けています。話を聴いて差し上げることで安心し、落ち着きます。
今日から皆さん、どなたでも構いませんので話をじっくり聴いてみてください。それだけで、相手に幸せを感じてもらえると思います。
次回のテーマは「顧客の心理を読む」です。お客様への意識の向け方によって、サービスの満足度が変わってくることが分かるお話です。お楽しみに。
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