みなさんこんにちは。溝口達也と申します。
大学卒業後、製薬会社に入社し、主に錠剤の研究を行ってきました。1999年に会社の指示で危険物取扱者の資格試験を受験し1回で合格しました(合格するコツについては連載第3回でお話しします)。
今回の連載では合格者の立場から、危険物取扱者、特に乙4と呼ばれるもの(正式名称:乙種第4類危険物取扱者)はどのような資格なのか、どのような魅力があるのかをお話ししたいと思います。どうぞ気楽にお付き合いください。
連載「危険物乙4とは?製薬会社の社員が解説!(全3回)」
- 1.危険物取扱者の種類と危険物の分類
- 2.危険物乙4の魅力(活躍できる場はこんなに広い)
- 3.危険物乙4に合格するためのコツをお教えします!
1.危険物取扱者ってどんな資格?
本題の前に、私が所属していた研究所でよく耳にした冗談話をお聞きください。
「もし、この会社が潰れても、薬剤師の資格があれば薬局で働ける。危険物取扱者の資格があればガソリンスタンドで働ける。」
というものです。
ここで私がお伝えしたいのは、製薬会社でありながら危険物取扱者は、薬剤師と並び称されるくらい魅力的な資格であるということです(その魅力については連載第2回でお話しします)。
話がそれてしまいました。危険物取扱者とはどんな資格かというと、消防法で定められた火災の危険性の高い「危険物」を取り扱う際に必要な国家資格です。
資格には甲種、乙種、丙種があり、乙種は第1類から第6類に分類されています。危険物乙4とは乙種第4類のことです(正式名称:乙種第4類危険物取扱者)。
この説明だけでは何のことかわからないですね。まずは「危険物」とは何かを知る必要があるようです。
2.危険物って何?
ここでいう「危険物」とは、上述のように「消防法で定められた火災の危険性の高い物質」のことで、第1類から第6類に分類されています。以下に簡単にまとめました。
第1類 | 酸化性個体 | 不燃性の個体だが、加熱、衝撃、摩擦を与えることで酸素を放出し、他の物質の燃焼を助長するもの アルカリ金属の過酸化物など |
第2類 | 可燃性個体 | 着火、引火しやすい物質 硫黄、鉄粉など |
第3類 | 自然発火性物質 禁水物質 |
空気中で自然発火しやすい個体または液体 水に触れると発火したり可燃性ガスを発生する個体または液体 カリウム、ナトリウムなど |
第4類 | 引火性液体 | 引火しやすい液体の総称 エタノール、ガソリン、灯油、軽油、エチルエーテル、グリセリンなど多数 |
第5類 | 自己反応性物質 | 分子中に酸素を含有し、自己燃焼しやすい個体または液体 ニトロ化合物、ジアゾ化合物など |
第6類 | 酸化性液体 | 反応する相手を酸化させる性質をもつ液体の総称 過塩素酸、過酸化水素など |
少し難しかったですね。ここでは
危険物は6種類に分類されていること 第4類の危険物にはエタノール、ガソリン、灯油など身近な物質が多数含まれているということ
がポイントです。
3.危険物取扱者の種類と正式名称、危険物の分類の関係とは?
危険物取扱者の種類と危険物の分類を見てきましたので、次は両者の関係を資格の正式名称とともに以下にまとめました。
甲種危険物取扱者 | 危険物全6類の危険物を取り扱えるとともに、無資格者が取り扱う際に立ち会うことができます。 |
乙種第○類危険物取扱者 | 危険物全6類のうち、試験に合格した類の危険物を取り扱えるとともに、無資格者が取り扱う際に立ち会うことができます。 危険物乙4とは危険物第4類の取り扱いと立ち会いができ、正式名称は「乙種第4類危険物取扱者」となります。 |
丙種危険物取扱者 | 第4類の危険物の一部(ガソリン、灯油など)を取り扱うことができます(立ち会いはできません)。 |
4.危険物取扱者の役割
甲種と乙種の危険物取扱者は、無資格者が危険物を取り扱う時に立ち会うことができると述べましたが、逆に言うと「無資格者が危険物を取り扱う際には、甲種または乙種の危険物取扱者の立ち会いが必要」ということです。ここが重要です。
製薬会社を例にとると、研究所では試薬、試液など多くの危険物を取り扱いますし、製造所でも製造過程において危険物を使用することが多々ありますので、危険物取扱者は多数在籍しています。
また、全国にあるどのガソリンスタンドでも最低1人は甲種または乙種第4類危険物取扱者が在籍する必要があります。
このように、危険物取扱者の中でも特に危険物乙4は、ガソリンスタンドだけでなくあらゆる分野で活躍できるとても魅力的な資格なのです。
第1回目の話は以上ですがいかがでしたでしょうか。
お酒に含まれるエタノールが「危険物」というのは意外だったのではないでしょうか。(お酒を資格なしで飲んでもいい理由はここではあえて割愛させていただきます。興味を持ってご自身で調べていただけたら幸いです)
連載第2回目はさらに危険物乙4の魅力に迫って行きます。
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