顧客情報の流出やデータの消失といった情報セキュリティに関連した問題は、日々発生しています。こうした問題は1回でも起きてしまうと、企業に大きなダメージを与えかねません。そのため、情報セキュリティについて知識を持つ人材を求めている企業は多いといえるでしょう。
今回は、顧客情報や機密情報を日頃業務で扱っている方なら誰もが身に付けておきたい知識を学べる「情報セキュリティマネジメント試験」について、資格概要や受けるメリットなどを、3回にわたってご紹介します。
連載第1回は、情報セキュリティマネジメント試験とはどのような試験なのか、そして類似資格とはどのように違うのか、についてです。さっそく見ていきましょう!
目次
情報セキュリティマネジメント試験とはどんな試験?
情報セキュリティマネジメント試験とは、情報処理推進機構(以下、IPA)が主催する情報処理技術者試験の一種です。
2015年度に新たな試験区分として創設され、2016年度春期から開始された、比較的新しい国家試験となります。
冒頭でお伝えした通り、情報セキュリティに関する問題が発生すると企業に大きなダメージを与えかねません。ですが、この問題を防止するには、IT技術対策だけでなく、人による対策(マネジメント面の対策)も不可欠です。
情報セキュリティマネジメント試験とは、組織がもつ情報を危険から守り、組織の成長のために安全に活用するために必要な、基本的なスキルを認定する試験なのです。
情報セキュリティマネジメント試験のレベル感は?
4つのレベル中、下から2番目のレベル
IPAでは情報処理技術者試験を大まかに4つのレベルに分けて運用しており、情報セキュリティマネジメント試験は、下から2番目のレベル2相当の試験とされています。
レベル別にみる情報処理技術者試験 | |
---|---|
レベル4 | 高度応用情報処理技術者試験 (情報処理安全確保支援士試験など) |
レベル3 | 応用情報技術者試験 |
レベル2 | 基本情報技術者試験 情報セキュリティマネジメント試験 |
レベル1 | ITパスポート試験 |
「ITパスポート試験」はどの業種の社会人でも持っておきたいレベル1の資格ですが、情報セキュリティマネジメントはその1つ上のレベルにあたります。ですので、ITパスポートをすでにお持ちで、よりステップアップしたい方にもおすすめの試験です。
またIT系職業に従事している方はもちろん、それ以外の職種でも、個人情報の管理に携わっている方や管理職の方は、企業の情報セキュリティ向上のためにもぜひ取得しておきたい資格といえるでしょう。
同じレベル2の「基本情報技術者試験」とはどう違う?
IPAの中のレベル2には、もう1つ「基本情報技術者試験」があります。情報セキュリティマネジメント試験がこの試験と違う点は、大きく分けて3つあります。
① 情報セキュリティマネジメント試験のほうが、出題範囲が狭い
② 情報セキュリティに関する知識がより重点的に問われる
③ 基本情報技術者試験が開発者側を想定した試験であるのに対して、情報セキュリティマネジメント試験は利用者側を想定した試験である
試験範囲が狭く、利用者側を想定した試験であるということは、ITエンジニアやプログラマー向けの専門知識は不要だということ。同じレベル2の試験であっても、基本情報技術者試験よりは情報セキュリティマネジメント試験のほうが、一般的には合格しやすい試験だといえます。
とはいえ油断は禁物です。情報セキュリティに関連する知識については重点的に問われるため、情報セキュリティマネジメント試験専用のテキストやオンライン講座で、しっかり学びを深めることが大切です。
情報セキュリティマネジメント試験の類似資格・試験とは?
情報セキュリティマネジメント試験の類似資格・試験には、「情報セキュリティ管理士」や「個人情報保護士認定試験」があります。どちらも、一般財団法人全日本情報学習振興協会が主催する試験です。
情報セキュリティ管理士とは、情報セキュリティに関する全般的かつ実践的な知識を有することを認定する資格。
個人情報保護士認定試験とは、企業実務において個人情報の利活用や管理、運用ができる知識や能力があることを認定する試験です。
情報セキュリティマネジメント試験は類似資格とどう違う?
情報セキュリティマネジメント試験と、前述の情報セキュリティ管理士・個人情報保護士認定試験とは、何がどう違うのでしょうか。
情報セキュリティマネジメント試験は出題範囲が広く実務的
情報セキュリティ管理士や個人情報保護士認定試験は、主にマネジメント分野について出題されます。
一方、情報セキュリティマネジメント試験は、マネジメント分野に加えて、情報セキュリティを支える技術に関しても出題されます。前述の2資格に比べて、求められる知識範囲が広いといえるでしょう。
さらに情報セキュリティマネジメント試験は、より技術的な内容を学べる、つまり実務的な知識が身に付くため、社内で情報セキュリティに関する問題が発生した際に素早く対処できるようになります。
例えば、社内のパソコンがコンピュータウィルスに感染したとき、そのパソコンを素早くネットワークから切り離すという判断ができる知識を身に付けられるのです。
情報セキュリティマネジメント試験は国家試験
前述の2資格はいずれも「民間試験」ですが、情報セキュリティマネジメント試験は、IPAが主催し経済産業大臣が認定する「国家試験」です。
国家資格であるため認知度が高く、また資格を取得することで認定されるスキルレベルについても周知されています。
また一般的には、民間資格より国家資格の方が、転職・就職の際にアピールしやすいというメリットがあります。
以上の点から、類似資格の中で取得を悩んだ時は、情報セキュリティマネジメント試験がおすすめだといえるでしょう。
今回は、情報セキュリティマネジメント試験とはどのような試験なのか、類似資格・試験とはどう違うのかについてお伝えしました。
この資格を取得すると、情報セキュリティについて広く基本的な知識を持っている証明ができるため、社内でのアピールや就職・転職に有利な資格といえます。
個人情報や社内情報の管理、情報セキュリティを実現できる組織づくりに携われるので、情報化社会の現代、会社に欠かせない存在になれるでしょう。
次回は、情報セキュリティマネジメント試験の知識をどのような仕事に活かせるのか、具体的な職種や実務例などを挙げてご紹介していきます。
参考URL
情報処理推進機構 – 情報セキュリティマネジメント試験
https://www.jitec.ipa.go.jp/sg/
情報処理推進機構 – 試験区分一覧
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/seido_gaiyo.html
情報セキュリティ管理士試験
https://www.joho-gakushu.or.jp/isme/
個人情報保護士認定試験
https://www.joho-gakushu.or.jp/piip/
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