連載「情報セキュリティマネジメント試験とは?」では、情報セキュリティマネジメントが世の中でどう必要とされているかについてご紹介しています。
前回までは、情報セキュリティマネジメント試験がどのような資格なのか、そして情報セキュリティマネジメント試験で得られる知識がどのように役立つのかをお伝えしました。
では情報セキュリティマネジメント試験は、実際に転職・就職の場面でどのように活かせるのか?というのも、気になってきますよね。
最終回である今回は、情報セキュリティマネジメント試験が転職・就活でどのように役立つのか、そして履歴書に書くメリットについて、資格保有者の筆者がお伝えします。
情報セキュリティを必要としない企業はない
社会が情報化する中、個人情報や社内情報もITシステムで取り扱うようになりました。それらの情報を守るため、どの企業でも情報セキュリティの確保は必須といえるでしょう。
情報セキュリティ関連の問題が一度発生してしまうと、原因の特定から問題の解決まで、顧客や取引先への賠償といったような、多くのお金と時間をかける必要があります。
例えば、顧客の個人情報が流出してしまった場合、なぜ個人情報が漏洩したのかを調査し、システムに問題があれば修理する必要があります。また、情報漏洩したことにより顧客に損失が出てしまった場合は、その損害賠償も行わなければいけません。
またこうした問題が発生してしまうと、「あの会社は個人情報を流出させたし、会員登録するのが怖い」、「あの会社の情報管理はずさんだから、案件を任せたくない」といった、悪いイメージを持たれてしまうことになります。
実際2019年に、セブン&アイ・ホールディングスのキャッシュレス決済「7Pay(セブンペイ)」が、顧客が使っているアカウントが不正利用されてしまったことが原因で、サービスを終了するという事態になりました。
このほうに情報セキュリティに関する問題はどの会社にとっても無縁ではなく、情報セキュリティ対策を施すことが急務とされています。
重大な情報漏洩問題(情報セキュリティインシデント)に発展する前に、問題の原因を取り除いたり、改善したりすることが企業には求められますが、情報セキュリティに関する知識を持っている人材はまだまだ少ないのが現状です。
情報セキュリティマネジメント試験に合格することで、情報セキュリティ関連問題を防ぐ基本的な知識があることを証明できるので、転職・就職で有利になるでしょう。
情報セキュリティマネジメント試験合格が役立つ職種は?
情報セキュリティマネジメント試験合格が実務に役立つのは、エンジニアやIT業界に就く人だけではありません。
ここでは、どのような職種で情報セキュリティマネジメントの知識が役立つのか、一般的な会社の例でご紹介します。
経理系
経理では、企業の金銭に関する情報を取り扱います。現金の出納記録や伝票、帳票が消失したり、内容が書き換えられたりすると、企業の決算などに関わる大変なことになってしまうでしょう。
そこで、金銭に関わる情報を取り扱う際のマニュアルの作成や、内部不正を防止するための取り組みの企画、外部からのサイバー攻撃を回避するための取り組みなど、情報を改ざん、漏洩させないための重点的かつ厳重な対策が求められます。
これらの対策をするのに、情報セキュリティマネジメントの知識が大いに役立つでしょう。
人事・労務系
人事・労務では、従業員の採用や勤怠状況の管理、給与の支払いなどが中心的な業務になります。従業員による勤怠状況の書き換えや、採用情報の漏洩などが発生するリスクがあり、そうしたリスクの対策が求められます。
情報セキュリティマネジメントの知識があれば、「この情報は誰が書き換えられて、誰が見られるようにする」といった情報の書き換えや閲覧に関するルールの作成ができますし、データの持ち出しを防止する取り組みを、率先して行うことができるでしょう。
事務職
事務職は、在庫管理や、見積書や請求書といった帳票の作成など、会社内の情報を広く取り扱うことが多いです。
触れる情報が多い分、それぞれの情報を注意して取り扱わないと、無意識で内容を書き換えてしまったり、また漏洩させてしまったりするリスクがあります。
そのため、各情報の取り扱いやデータの管理方法について、膨大なマニュアルを用意する必要があるでしょう。
情報セキュリティマネジメントの資格を取得していれば、各情報を適切に取り扱い管理するためのマニュアルを作ることもできますし、運用についてもスムーズに進めることもできます。
経理系、人事・労務系、事務職と、情報セキュリティマネジメント試験の知識が役立つ職種をご紹介しましたが、これら以外の職種では役に立たないかというと、決してそんなことはありません。
例えば企業の規模によっては、専任の情報セキュリティ担当者を置いていない場合があり、一般の従業員が情報セキュリティ対策を兼任する場合もありえます。そんなとき、情報セキュリティマネジメントの知識は大いに役立ちます。
情報セキュリティマネジメント試験で得られる知識は、個人情報や機密情報を扱う誰もが、持っていて役に立つ知識なのです。
情報セキュリティマネジメント試験合格を履歴書に書くメリットは?
情報セキュリティについて高い意識があることをアピールできる
IT系資格の登竜門であるITパスポート試験も、履歴書に書くとITに関する基本知識があることを証明できますが、情報セキュリティマネジメント試験であれば、とりわけ情報セキュリティについて高い意識があることをアピールできます。
また、ITパスポートより難易度が高い試験であることも、情報セキュリティマネジメント試験のアピオールできるポイントです。
国家試験に取り組んだという事実をアピールできる
情報セキュリティマネジメント試験を履歴書に書くと、国家試験に取り組んだという事実をアピールできます。
もしあなたが社会人であれば、仕事をしながら勉強し合格したということになります。その実績を履歴書で証明できるということは、仕事に対してもまじめな姿勢があるという判断材料となる可能性が高いでしょう。
今回は情報セキュリティマネジメント試験に合格することで、転職・就職にどのように有利になるのか、履歴書に書くことでどのようなメリットがあるのかについてご説明しました。
情報セキュリティに関する知識を持つ人材を欲している企業は、IT業界だけに限らず、一般企業なども含めとても多く、情報セキュリティマネジメント試験に合格することで転職・就職の際の条件がよくなることもあるでしょう。履歴書に資格保有を書くメリットは、大いにあると思います。
しかし私は、メリットはこれだけではないと思っています。
私は元々ITエンジニアとして働いていましたが、情報セキュリティマネジメント試験に合格することで、仕事の幅が大きく広がりました。
プログラムを書くだけではなく、様々な部署で情報セキュリティ対策計画の作成に携わることができました。また他業種の方々とも積極的に交流することで、情報セキュリティ対策を行うためにはどうやって説明すれば理解してもらえるだろうか、ということを考えられるようになりました。
皆さんもこの試験に合格することで、知見を広げるとともに、様々な業種の方々とお話する機会が生まれるかもしれませんし、それを通して自分をさらに成長させることができると思います。
興味を持った人は、ぜひ情報セキュリティマネジメントの取得を目指してみてはいかがでしょうか?
参考URL
https://www.7pay.co.jp/info/info_20190904_02.html
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