以前は従業員の副業禁止が一般的でしたが、2017年に政府が「働き方改革」を推進するようになってから、副業を解禁する企業が増えています。
長い間、日本の経済は長時間労働によって支えられてきましたが、少子高齢化の進む日本で生産性を維持するためには、働きやすい環境を整えることが不可欠になりました。
そこで政府は企業に対し、働きやすい環境づくりを求めていくことにしたのです。
今回は、企業で副業が解禁されるようになった背景と、副業のメリット・デメリットについてご紹介しましょう。
なぜ副業が解禁されつつあるの? 副業と働き方改革の関係
2018年6月に「働き方改革関連法案」が可決・成立し、2019年4月から施行されることが決定しました。
この「働き方改革」とは、“これからは人口が減っていくので、長時間労働で成果を出す従来のやり方ではなく、効率的な働き方で生産性を上げていきましょう”というものです。
そのためには働く環境の改善が必要だとし、企業側にテレワークやフレックスタイム制の導入、育児休暇や時短勤務を取りやすくするなど、柔軟な働き方の実現を求めています。
この働き方改革の一環として、副業が推奨されることになりました。
政府によれば、労働者にとっては主体的なキャリア形成や所得の増加などといったメリット、企業にとっては優秀な人材の獲得・流出防止などといったメリットがあるとされます。
従来、日本の企業は就業規則で副業を禁じているところが大半でした。しかし、働き方改革を受けて、副業を解禁する企業が増加しています。
副業が解禁されたらどんなメリットがある?
労働者側のメリット
副業が解禁されたらどんなメリットがあるのでしょうか。まずは労働者側のメリットからご紹介しましょう。
副業には「本業のスキルを活かす」パターンと「本業と無関係の業務を行う」パターンの2つがあります。
本業のスキルを活かす場合は、本業プラスアルファの仕事をするので、スキルアップができるだけでなく、関連スキルの向上も見込めます。
本業と無関係の業務を行う場合は、本業だけでは身に付けることができないスキルを習得できます。
そしていずれの場合でも、人脈作りに役立ちます。
副業を行うとこのように、本業だけでは培うことができないスキルや経験値を得られるのがメリットです。
私は地方在住で普段は事務員として働いていますが、副業で東京のベンチャー企業と様々な自治体の地方創生事業に関わっています。
私が東京のオフィスに赴くことはなく、仕事のやり取りはすべてチャットやビデオ通話です。
地方の一事務員のままでは経験できない体験をさせてもらっていますし、オンラインツールを駆使した仕事の進め方を本業に取り入れることに成功しました。
企業側のメリット
次に企業側のメリットをご紹介しましょう。
企業は副業を解禁することで、従業員にお金をかけず教育ができるというメリットがあります。
従業員が本業でのスキルを活かして副業をする場合なら、自社だけで経験を積むよりも短期間でスペシャリストに成長していく可能性があります。
本業と無関係の副業でも、本業にいい影響を与えるスキルや知識を持ち帰り、新たなアイデアが生まれるきっかけになるかもしれません。
副業解禁によってどんなデメリットが考えられる?
一方で副業が解禁されると、どのようなデメリットが考えられるでしょうか。労働者側に考えられるデメリットからご紹介しましょう。
労働者側のデメリット
本業で残業無しであっても、副業を含めると結局長時間働くことに変わりがない、ということが考えられます。
副業は出勤前か退社後、または休みの日を使って行うことになりますが、しっかり休養をとれなければ健康を損なってしまうことになります。
また本業の残業代に比べ、副業の収入のほうが低い場合も考えられます。副業をするより残業をしていたほうが収入はよかった、という事態になることは否定できません。
企業側のデメリット
企業側にもデメリットはあります。
まず、社員が副業をやりすぎて本業に悪影響が出るおそれがあるという点です。
次に、社員が副業で現在のスキルを活かそうとすれば、同業他社の仕事を引き受けることになるため、人材や情報が流出するリスクが生まれるという点です。
副業として始めた仕事が軌道に乗り、独立してしまうというケースもあります。
このように、副業解禁は必ずしもいいことばかりではないのです。
今回は、企業の副業解禁によるメリット・デメリットについてご紹介しました。
今後も副業解禁の流れは加速していくことが考えられます。これからはフリーランスとして仕事を請け負う働き方や、社員として会社で働きながら自分でデザイン事務所を立ち上げるといった「複業」も増えていくでしょう。
自分の能力を最大限に発揮するためには、副業を通して武器となる強みを身に付けることが重要と言えそうですね。
参考URL:
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192188.html
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