こんにちは!連載「私の宅建おすすめ勉強法」、今回は「法令上の制限」の勉強法について解説いたします。
法令上の制限をテキストで初めて読んだとき、慣れない用語ばかりで全然頭に入ってこない!と感じた方は多いのではないでしょうか?私もその経験をしてきたのでよくわかります。
しかし、それは最初だけです。勉強していくうちに必ず慣れてきます。最初の山を乗り越えれば、法令上の制限は大事な得点源となりますので、決して捨て科目にしないでくださいね。
目次
頭に入らない法令上の制限、でも実は点が取りやすい!?
冒頭でも触れましたが、宅建勉強中で「法令上の制限って難しい!全然頭に入らない…」という方は多いのではないでしょうか。
かくいう私もその1人で、その原因として定義が覚えられないことが挙げられます。法令上の制限は、漢字が多い専門用語を覚えなければいけません。
暗記する以前に、「言葉の意味がまったく理解できない」という壁にぶち当たるのです。
例えば、都市計画法だと「市街化区域」や「市街化調整区域」といった、似たような専門用語が出てきます。そのため混同しやすいですが、「市街化区域は開発が進められるエリアで、市街化調整区域は基本的に開発が制限される場所」と、しっかり違いを意識して定義を覚える必要があります。
しかし、宅建試験科目の中では、法令上の制限は権利関係よりも遥かに点数を取りやすい科目です!同じ法律関係を扱う科目なのに、なぜでしょうか?
それは、権利関係では具体事例を出して正誤を問うのに対し、法令上の制限では用語の意味や定義、数字等が問われるからです。
つまり、暗記さえできていれば、得点に繋がる分野なのです。
定義や制度、数字など細かな暗記は必要ですが、ひっかけ問題も少なくシンプルな解答を求められるため、覚えてしまえばすぐに得点に直結すると言えます。
個人的に、法令上の制限は宅建業法の次に点が取りやすい分野だと思っています。そして一般的な認識も同じだと思います。その証拠に、宅建業法を満点から9割を得点目標にし、法令上の制限を9割〜8割を得点目標に掲げる人が多いのです。
難易度の違いを示すならば、暗記だけの宅建業法に対し、法令上の制限は理解力+暗記といったところでしょう。
たまに難解な問題が出ることもありますが、そういう問題は他の受験生も解けませんのでスルーしましょう。そこに時間をかける必要はありません。
ただし、法令上の制限の中には出題が限られている項目もあります。頻出問題に関しては過去問から繰り返し出題される傾向があるため、対策が必要です。
- 過去に頻出している問題
- 定番の問題
- テキストを読めば必ず正解できる問題
これらは絶対に落とさないようにしましょう!
宅建試験は年々難化傾向にあるようで、特に権利関係で得点を取ることが難しくなってきています。その分、この法令上の制限では、8問中6問~7問、いや満点正解も十分可能です。ぜひ目標高く勉強していきましょう。
法令上の制限で出題される法令の重要ポイントや覚え方
法令上の制限ではどのような法令が出てくるのか、下記にまとめてみました。
① 都市計画法
法令上の制限で出てくる法令の基礎となっているのが「都市計画法」です。都市計画法は、都市の健全的な発展と秩序のある整備を図ることを目的とした法令で、いわゆる「住みやすい街づくり」に関するルールを定めた法律と言えます。
イメージしてもらいたいのですが、田んぼや森林など自然豊かな地域に、巨大なショッピングモールができたらこの環境はどうなるでしょうか?また、閑静な住宅街や学校の近くに工場やキャバレーがあったらどう思いますか?
本来であれば土地や建物を購入した人が好きに使えるはずですが、好き勝手に使われてしまうと秩序が乱れ、安心した生活を送ることが困難になってしまいます。
冒頭で挙げた「市街化調整区域」は、「田んぼや森林など自然や景観を守る」役割を担う法令です。放っておくと勝手に都市化が進んでしまうため規制されているんですね。
対して、「都市計画区域」は「インフラを促進し活発な都市化を進めていく」役割を担います。
そして、街の雰囲気を決めているのが用途地域です。主に「住居系」「商業系」「工場系」で分かれています。「閑静な住宅街や学校の近くに工場やキャバレー」が混在しないのは、この用途地域のおかけだと言えます。
このように、なぜこの法令が必要なのかを深掘りすると、定義の理解が深まります。
ちなみに、市街化調整区域は「市街化したらダメ、だから調整する」とこじつけると覚えやすいです。他の専門用語でも使えるテクニックなのでぜひやってみてください。
なお、都市計画法では毎年「開発許可制度」について1問出題されています。まずはここを押さえましょう!1点は確実に取りたいですね。
② 建築基準法
建物は好きなところに好きなものを建てられるわけではありません。建物の用途、敷地、構造、高さ等に関する最低限の基準を定めたものが「建築基準法」です。
主に問われるのが、道路に関すること、建ペイ率や容積率に関すること、防火地域等の地域に関することです。
例えば、車が通れない細い道の先に家を建ててしまうと、万が一何かあったときに救急車両が現地に駆けつけることができません。
また、敷地内いっぱいに建物を建ててしまうと、万が一火事になった際、隣家にすぐ延焼してしまいます。そして、大きな道路がない場所に高層マンションを建ててしまっては大渋滞が起こってしまい、快適な生活を送ることはできないでしょう。
このような不都合な事態にならないよう、建築物の構造・用途などについて守るべき最低基準を定めているのです。
建築基準法の特徴は、細かい数字の暗記が多いことです。
例えば「木造3階建て以上500㎡超、高さ13m超の建築物を新築する場合には建築確認が必要」など。
ご覧のように、覚える量も膨大な上、数字に加えて「以上」「以内」「超」「未満」などの数値用語がたくさん出てきます。
この暗記は非常に大変ですが、毎日コツコツ積み上げれば大丈夫です。一覧表を作成したり語呂合わせを使ったりして乗り切りましょう。
③ 宅地造成等規制法
「宅地造成規制法」は、令和4年に改正され「宅地造成及び特定盛土等規制法」通称「盛土規制法」となりました。
令和5年に施行され、令和6年度の宅建試験より問われる範囲となったため、この分野は法改正を意識し学習することが重要です。
「宅地造成」とは、傾斜地を宅地として利用するために行う、土地の造成工事のことを指します。具体的には、山や丘などの土地に盛土や切土を行って平らにし、住宅や建物を建てやすい状態にすることを意味します。
宅地造成に伴い、がけ崩れ等の災害が生じやすいであろう市街地を「規制区域」とし、災害防止の規制を行っているんですね。
宅地造成等規制法(盛土規制法)の特徴は条文数が少ないため、短時間で学習が進めやすいでしょう。
例年の出題傾向から、宅地造成等規制法(盛土規制法)からも1問出題される可能性があります。他の受験生も確実にこの1点を取りにくると思いますので、過去問を繰り返し解いてしっかり覚えましょう。
④ 農地法
「農地法」の目的は、国内の農業を守り、食料の安定的な供給を確保することです。
農地を勝手に住宅地などに変えたり、農業をしない人に自由に売買できたりすると、農地や農業をする人が減ってしまう危険性があるからです。
その危険性を防ぐため「農地法3条・4条・5条」が存在します。
宅建試験では、農地法は毎年1問出題されており、3条・4条・5条の「どの場面で」「誰の許可が必要か」がよく問われます。この3つの条文を理解していれば試験で必ず得点できますので、重要な部分をしっかり暗記しておきましょう。
⑤ 国土利用計画法
名前の通り、「国土利用計画法」は国土を計画的に利用するための法律です。
適正で合理的な土地利用を図るため、一定の取引をした際は知事に届け出る必要がありますが、そのルールを定めています。
出題されるのは「事後届出制」が中心となります。ポイントとなるのは、どの地域の土地なのか、土地の面積はどれくらいか、そして取引の内容です。
取引の種類によって対応が異なるため、背景を理解しながら勉強することが大切です。
また、「誰が」「いつまでに」「何を」「どこに届け出るのか」という細かい部分も問われることが多いので、隅々まで暗記しておきましょう。
④、⑤は比較しながら勉強すると暗記しやすいです。
というのも、この2つは「届出が必要か不要か」「許可が必要か不要か」といった内容が出題の中心となっているからです。
国土利用計画法は、他の法令と組み合わされた問題が出ることもあります。
頻出問題で得点しやすい項目ですので、確実に点を取りましょう。
⑥ 土地区画整理法
「土地区画整理法」は、古い街並みや狭い道路が入り組んだエリアを住みやすく整備するための法律です。
特に、昔からある細い路地や不整形な土地が並んだ地域を整え、合理的に作り変える事業(土地区画整理事業)に関する規定を定め、健全な市街地の造成を図ることを目的としています。自分の住んでいる街の古い地図と今の地図を比べると、その変化がわかりやすいかもしれません。
宅建試験では、土地区画整理事業を「誰が施行するのか」「どこに許可をもらうのか」といった内容が頻出問題です。特に、許可を受ける相手に関するひっかけ問題がよく出るので、過去問を解きながらしっかり対策しておくことが大切です。
合理的な街づくりを進めるためにはどのような手順が必要なのか、流れを意識しながら暗記に取り組みましょう。
法令上の制限で出題される分野 | 問われる数 |
---|---|
① 都市計画法 | 2問 |
② 建築基準法 | 2問 |
③ 宅地造成等規制法(盛土規制法) | 1問 |
④ 農地法 | 1問 |
⑤ 国土利用経過法 | 1問 |
⑥ 土地区画整理法 | 1問 |
合計 | 8問 |
例年、①②からそれぞれ2問、③~⑥からそれぞれ1問出題されています。覚えれば点が取れるところは、繰り返し勉強して確実に得点しましょう。
法令上の制限のおすすめ勉強法とは?覚え方の具体例もあり!
国土利用計画法第23条に規定する届出(以下この問において「事後届出」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 市街化区域内の土地(面積2,500m2)を購入する契約を締結した者は、その契約を締結した日から起算して3週間以内に事後届出を行わなければならない。
2. Aが所有する監視区域内の土地(面積10,000m2)をBが購入する契約を締結した場合、A及びBは事後届出を行わなければならない。
3. 都市計画区域外に所在し、一団の土地である甲土地(面積6,000m2)と乙土地(面積5,000m2)を購入する契約を締結した者は、事後届出を行わなければならない。
4. 市街化区域内の甲土地(面積3,000m2)を購入する契約を締結した者が、その契約締結の1月後に甲土地と一団の土地である乙土地(面積4,000m2)を購入することとしている場合においては、甲土地の事後届出は、乙土地の契約締結後に乙土地の事後届出と併せて行うことができる。
これは平成28年度の過去問(問15)です。
連載第1回でお話しした通り、4肢択一の宅建試験では「4つの内3つの間違いを探す」勉強法がおすすめです。
法令上の制限では、「数字」の他、「内外(例:市街化区域「内」では~)」「高い・低い」等の対義語が重要です。このポイントを踏まえながらしっかり区別して勉強しましょう!
【体験談】法令上の制限の学習で苦労したこと&覚え方の秘策
私はもともとモノ覚えは悪い方ですし、勉強なんて高校を卒業してから初めてのことで「法令上の制限」の暗記には手を焼きました。
漢字が多くて読むだけでも疲れてしまう。さらに、「100㎡」「200㎡」「4m以上の接道義務」など、数字が混在して記憶が曖昧になっていたのです。
その結果、繰り返し勉強してもまったく記憶に定着せず「どうしてこんなに頭に入らないんだろう…」と絶望感を味わうこともありました。特に、語呂合わせの暗記が私は苦手のようで、記憶に定着しなかったのです。
しかし、視覚的な覚え方が得意だと気づいてから、試行錯誤を重ねて「法令上の制限」の暗記がしっかりできるようになっていきました。
私が取り入れたのは、語呂合わせとイラストや写真を組み合わせたオリジナルの覚え方です。
例えば、数字や定義が出てくる箇所は語呂合わせだけでは覚えにくいので、簡単なイラストを自分で描いて語呂合わせとリンクさせるようにしました。
筆者撮影
また、「今日はこれだけ覚える」と決めてメモに書き、ポケットに入れて持ち歩くことも続けました。
語呂合わせを簡易的なイラストに変えて、何度も見返すのです。ボロボロになったらまた書いて…を繰り返します。書くことが暗記に繋がるので何度でも書くことをおすすめします。
筆者撮影
さらに、「13種類の用途地」は文字だけではなく、実際の街を歩きながら「このエリアは住居系地域になるな」と視覚的にリンクさせたり、地図で用途地域を確認しながら暗記するようにしました。実物と結びつけて覚えることで、単なる文字の羅列が生活の中に溶け込み、記憶に残りやすくなったのです。
こうした自分なりの工夫を続けることで、最初は「頭に入らない」と感じていた「法令上の制限」が、気づけば得意分野に変わっていました。
皆さんも、焦らず自分に合った覚え方を見つけて、諦めずに学習してみてくださいね!
法令上の制限は、慣れてしまえば宅建業法よりも点数の取りやすい科目です。単純に、正しく覚えているか否かがポイントとなります。過去問を繰り返し解いて、覚えていきましょう。
次回は、税法・その他関連知識について解説します。
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