この連載では、不動産業界未経験&法律の知識ゼロから独学で宅建試験一発合格を果たした筆者の“効率の良い勉強法と試験科目ごとの重要論点”をお伝えしています。
連載4回目の今回は、宅建試験科目の「法令上の制限」の重要論点と学習法についてです。
法令上の制限は難しい語句が多く内容も専門的であるため、苦手に感じる人が多いです。
しかし出題範囲が狭いため、傾向をつかめば一気に得意分野にできる可能性を秘めた試験科目でもあります。
実際に試験を受けた筆者的には、学習すればするほど点数に直結するため、一番やる気が出る試験科目でした。
そんな私の「法令上の制限」の学習におけるポイントもあわせて解説します。
「法令上の制限」の出題範囲を理解しよう
法令上の制限では、土地や建物に定められているルールに関する問題が出題されます。
土地を買ったからと言って自由に建物を建ててよいわけではありませんし、住宅地の中に多くの人が集まる映画館や騒音の出る工場ができても困りますよね。
それらを制限する各種法律のことを、宅建では総称して法令上の制限といいます。
宅建試験全50問のうち、法令上の制限の出題は8問を占めます。一見少なく感じますが、問題の難易度を考えると宅建業法の次に力を入れたい試験科目です。
目標点は5点といわれています。出題範囲と出題数を以下の表にまとめました。
出題範囲 | 出題数 |
---|---|
都市計画法 | 2 |
建築基準法 | 2 |
国土利用計画法 | 1 |
農地法 | 1 |
宅地造成等規制法 | 1 |
土地区画整理法 | 1 |
法令上の制限では上記のように多くの法律が登場します。
1つ1つの法律がそれぞれどんな法律なのか、誰が何のために何を規制しているのかを理解することが、宅建合格への重要ポイントです。
ではここで、田んぼや畑などの耕作の目的に使われる土地を規制する法律「農地法」を例に挙げて見てみましょう。
今は畑として耕作していない山林の土地があるとします。これは農地法の規制の対象にあたるでしょうか…?
答えはNOです。
このように法律の規制している内容を理解すると、解ける問題が増えていきます。
また出題数に偏りがあるのも、法令上の制限の特徴です。
出題範囲の広い「都市計画法」「建築基準法」からは例年2問ずつ出題されますが、その他の「国土利用計画法」「農地法」「宅地造成等規制法」「土地区画整理法」では、出題範囲が狭いにもかかわらず例年4問出題されます。ここは点数アップに直結するコスパのいい範囲だといえますね。
宅建合格に向けた学習法としては、まずこの後半4つの法律から勉強を進めてもよいかと思います。
「法令上の制限」の重要論点
法令上の制限は、範囲が狭く基本的な知識が問われることが多いため、過去問から繰り返し出題される傾向があります。
実際に試験を受けた筆者が特に試験に出やすいと思う重要論点と、その学習法を出題範囲別に解説します。これから勉強される方はぜひ参考にしてみてください。
① 都市計画法
住みよい街をつくるにはどうしたらよいかを定めている法律です。
この法律で、市街化を図るべき区域・市街化を抑制すべき区域を決めたり、住居地域・工業地域など土地の利用目的を決めたりすることで、計画的な街づくりを行っています。
ここでの重要論点は「開発許可」です。土地の開発をするときには原則として都道府県知事の許可が必要になるのですが、開発許可が必要な場合と不要な場合をしっかりと整理し、問題文に惑わされないようにしましょう。
② 建築基準法
建築物の敷地、構造、設備、用途に関する最低基準を定めている法律です。
個々の建築物ごとに定められる単体規定と一定の地域ごとに定められる集団規定があり、建物の高さや広さ、窓の大きさ等様々な規制が存在します。
どのような規制がされているのか数値とともに覚える必要があり、細かい数字も多く登場するため、自分なりにノートにまとめ、何度も確認しましょう。
③ 国土利用計画法
この法律は地価の高騰を抑え、土地の有効利用を図ることを目的としています。
例えば現在、小笠原諸島は監視区域に指定され、土地の売買の際には事前に都道府県知事に届出が必要です。
このように、届出が必要なのか不要なのかが頻出ポイントとなります。問題を解きながら覚えていきましょう。
④ 農地法
その名の通り農地を守るための法律で、重要論点はなんといっても農地法3条、4条、5条の規制です。ここを覚えるだけで1点を取れるので、それぞれの条例をしっかり区別して押さえておきましょう。
また「農地」「転用」などの言葉の定義をしっかり押さえると、少しひねった問題にも対応できるようになります。
⑤宅地造成等規制法
宅地を新しく作る際に、それに伴って生じてしまう崖崩れや土砂流出による災害を防止するための法律です。
ここでは、災害の起きやすい土地として都道府県知事が指定する宅地造成工事規制区域と造成宅地防災区域の違いを押さえておきましょう。
テキストでのページ数も少ないため、過去問を解きながら完璧な暗記を目指しましょう。
⑥土地区画整理法
宅地の形を変える、公園等をつくるなどして住みやすく綺麗に整理された街並みを作るための法律です。
複雑な内容もありますが、土地区画整理事業の概要と土地区画整理組合は最低限押さえておきましょう。
勉強量で差がつきやすい法律なので、余裕があればテキストの細かい部分まで読んでおくと安心です。
勉強のポイント:過去問を繰り返して頻出箇所を見抜こう
法令上の制限では「建ぺい率」「用途地域」「容積率」「2項道路」「建築確認」などの専門用語が多く登場するため、宅建初心者はすぐに全体像がつかみ切れないと思います。
テキストを読み進めても、わかったようなわからないような…と、手ごたえを感じない方も多いのではないでしょうか。
この試験科目では、一通りテキストを読み進め用語の確認が終わったら、どんどん過去問を解いていくのがおすすめです。そうすると法律の頻出箇所や重要ポイントが見えてきます。
法令上の制限は、過去問を繰り返し解きパターンを知ることが大切です。過去問マスターになれば自ずと得意分野になっていくと思います。
過去問を何年分も解く時間はないという方は、まずはオンライン講座などで重要論点に絞って勉強を進めていくのも1つの方法です。
最初はしんどい思いをするかもしれませんが、めげずに取り組み合格をつかみ取りましょう!
筆者が思う法令上の制限の合格への重要ポイントは、問題の重要論点をしっかりと押さえ、つまずいたからといって投げ出さないことです。がんばってくださいね!
連載「合格者が教える!宅建科目別勉強法」、今回は宅建試験において周りと差がつくポイントとなる「法令上の制限」の重要論点と学習法について解説しました。
法令上の制限はとっつきにくい範囲であるものの、学習を重ねることで宅建業法に次ぐ得点源となります。
過去問とテキストを行ったり来たりしながら理解を深めていきましょう。
法令上の制限で安定して得点できるようになると、合格へと一気に近付きます。最初は苦しいですがめげずに取り組み、ぜひ皆様の得意分野にしていただけたらと思います!
次回は「その他関連知識」の重要論点と学習法についてお伝えしていきます。お楽しみに。
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