仕事にしても勉強にしても、熱意を持って取り組めばいい結果が出るものです。その熱意の源である「やる気」ですが、これがなかなか出せないために苦労するんですよね。
この連載「やる気が出ないときに読む話」では、やる気を出す方法についてご紹介してきましたが、手っ取り早く出す方法の1つに「運動」があります。運動とやる気にはいったいどのような関係があるのでしょう?
今回は、運動とやる気の関係、またどのような運動がやる気アップに効果的なのかをご紹介します。
運動とやる気には関係がある!ジョギングとデスクワーク
20代の頃、乱れた食生活がメンタルに悪影響を及ぼした経験から、私は「健全な精神は健全な肉体に宿る」ということを身をもって知りました。
20代は賃貸営業をしていたため、通勤や社内の移動などで多少なりとも体を動かしていましたが、会社を離れフリーとしての活動がメインになった30代は、自宅でのデスクワークが中心となり、本当に体を動かす機会がなくなりました。
デスクに座ってパソコンでの作業をしている時間が長くなったため、目はドライアイの症状が強く出るうえに体重も増加傾向。
これではいけないなと思い、半年間ほど朝活としてジョギングを取り入れていた時期があります。半年で辞めてしまったのは、寒くなってきて夜明けが遅くなってきたこと、寒いので外に出たくないという気持ちが強くなってきたため。
運動量としては小一時間ほど、スローペースで走ったので距離はたいしたことはありません。消費カロリーもそんなに多くないためか、減量にはつながらず、ほんのちょっと体脂肪が減っただけでしたが、日常生活には大きな変化がありました。
なんと、日中のだるさが軽減したのです。
また、ドライアイがひどく「もっと性能のいい目薬はないのかな」とドラッグストアを徘徊していたのが嘘のように、目薬が不要になりました。
体の不快感が軽減されたので、作業にも集中できます。おかげで仕事がどんどんはかどった半年でした。ジョギングを辞めたら体重・ドライアイ・夕方の倦怠感などが戻ってきたので、ジョギングの効果だったと言えます。
運動をするとやる気が出る理由
運動が体にいいことはよく知られています。しかし、運動はやる気にも影響を与えることがわかりました。
この理由については、
- 運動することで血行がよくなり、脳の動きがよくなった
- 運動の刺激によってセロトニン・ドーパミンなどの神経伝達物質の分泌が盛んになった
- 運動の刺激によって脳自体が活性化した
などが挙げられます。
特に3番目の「運動の刺激によって脳自体が活性化した」に関しては、アメリカの高校での取り組みが知られているのでご紹介しましょう。
イリノイ州にあるネーパーヴィル・セントラル高校で、0時間目に体育を行ってから授業を受ける取り組みを行ったところ、行わなかった生徒に比べて学力に明らかな差が生まれることが判明しました。
ネーパーヴィル・セントラル高校の取り組みを研究したRatey博士によると、運動をすると脳内、特に記憶を司る海馬においてBDNF(脳由来神経栄養因子)が増加することが、学力の向上に関係があるのだと言います。
BDNFは神経細胞同士がくっつくのを助ける働きがあるため、BDNFが増加した状態で勉強をすると記憶しやすい、つまり知識が定着しやすいのだそうです。
つまり運動は、脳によい影響を与えるため、やる気が出やすくなるのですね。
やる気を出すのに効果的な運動とは?
運動はやる気を出す効果があることがわかりましたが、何をどれくらい行えばいいのでしょうか。
カリフォルニア大と筑波大の神経学研究チームによると、心拍数が30%ほど上昇する軽い運動を10分間してもらった後、写真の間違い探しをしてもらったところ、何もしないよりも運動後のほうが明らかにいいスコアでした。
また運動直後の脳をMRIスキャンしたところ、海馬と学習機能をつかさどる部分が活性化している様子が確認できました。Ratey博士の報告と同じですね。
ちなみに安静時の心拍数の平均は60〜90回です。心拍数が60回の人が30%上昇しても78回になるので、ほんの少し早まる程度が「30%」の運動量。
カリフォルニア大と筑波大の研究結果では、10分の運動で効果が表れています。このことから、
ハードな動きは必要ない 最低でも10分は続けられる運動
であれば、脳の活性化はできると言えます。
運動後に仕事などやる気が必要なタスクを行うことを考えれば、肉体がヘロヘロになってしまうほどのハードワークは逆に不要と言えるかもしれません。
軽いジョギングやウォーキング、ストレッチ、ヨガ、ラジオ体操などでも脳を目覚めさせるのに効果があると言えそうです。
脳の覚醒だけでなく肉体改造まで行いたい場合は、改造したい内容に応じた運動を取り入れましょう。筋トレとか。
運動は脳を活性化してくれるため、手っ取り早くやる気を引き出してくれる方法だということがわかりました。
また、脳の活性化には10分程度の軽い運動でも効果が現れます。ということは、通勤時間や昼休憩などを利用した10分程度のウォーキングでも十分だということです。
やる気が必要な時に試してみてくださいね。
参考URL:
https://globe.asahi.com/article/12018789
http://soyalab.taiiku.tsukuba.ac.jp/
https://president.jp/articles/-/10350
http://petit.lib.yamaguchi-u.ac.jp/G0000006y2j2/metadata/C010065000311
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