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法の効力と解釈について|行政書士受験生が知っておきたい法の基礎②

法の効力と解釈について|行政書士受験生が知っておきたい法の基礎②

法律系資格取得を目指す方のための連載「知っておきたい法の基礎(全5回)」、第2回は「法の効力と解釈」についてお伝えします。

字面だけでは、何について勉強するのか、わかりづらいと思います。

法の効力というのは、書かれている法律がどの範囲で効力が及ぶのかを検討します。
法の解釈というのは、書かれている法律を使ってどのように問題解決に導くのかという読み方について検討します。

法の効力と解釈は、行政書士試験では「基礎法学」で出題される可能性がありますし、その他の法律系資格でも「法律」の使われ方として基本的な知識になるので、習得しておくべき事項といえます。

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法の効力

まずは法の効力について見ていきましょう。
どの範囲で法の効力が及ぶのか?という観点から、人・場所・時間による分類をしています。

人に関する法の効力範囲

初めに、法律がどの範囲の人に及ぶか?という観点から、3つの主義があるのを把握しましょう。

法の効力が及ぶ範囲を、法が制定されたその国の中にのみ及ぶとする主義のことを、属地主義といいます。日本ではこの主義を原則としています。

法の効力が及ぶ範囲が、法が制定された国の人に及ぶとする主義のことを、属人主義といいます。
例えば日本には殺人罪が規定されていますが(刑法199条)、この法律は日本国民に適用するとされているので(刑法3条)、これは属人主義といえます。

法の効力が及ぶ範囲が、どの場所でどの国の人にも及ぶとする主義を、保護主義といいます。
例えば、通貨偽造罪(刑法148条)は、国籍・実行場所が国内になくても、日本の通貨を偽造すると処罰の対象になるので(刑法2条)、保護主義を規定したものになります。

場所に関する法の効力範囲

次に、法が適用される場所の効力を検討します。
日本の法は、日本に適用されます。この「日本」というのはどこを指すかを把握するのがこの項目の目的です。

「日本」といえるためには、日本の領域内であることが必要になります。
日本の領土内はイメージできると思うのですが、例えば飛行機で移動中や・船で移動中はどのようになるのか?という問題です。

日本の領域内といえるためには、領土・領空・領海内にあるといえなければなりません。飛行機や船で移動中は、日本籍の船舶・航空機の中では日本であると扱われます。

また、場所的には東京にあっても外国大使館は法律上、日本ではないとされています。
逆に場所的に日本国内に無くても、日本の大使館であれば日本と認められます。

時間に関する法の効力範囲

法の効力の時間的関係も問題になります。制定された法はいつから効力を持つか?ということです。

基本的には、法が制定される前の行為を、新しく作った法によって判断することはできないとする、不遡及が原則であることを把握しておきます。
特に刑罰法規は憲法39条で遡及処罰を禁止していますので、注意しておきましょう。

法の効力の分類(法の効力が及ぶ範囲)

法の解釈

次に、法の解釈という分野についてお伝えします。

世の中に起きうる事象を法律ですべて記載するのは不可能です。
そのため、あることがらに法律をそのまま当てはめることができなくても、似たような法律の規定から対応ができないかを検討していきます。
その従来の法律の規定をどのように読むか?というのが「法の解釈」となります。

文理解釈

まず1つは「文理解釈」です。
これは、法律に書いていることをそのまま適用することをいいますので、すぐにイメージできるかと思います。

理論解釈

問題なのは、条文に書いてあることを使って判断をする「理論解釈」です。
そのやり方によって拡張解釈・縮小解釈・類推解釈・もちろん解釈・反対解釈という方法に分かれます。

■ 拡張解釈

法の言葉を広い意味で考える方法です。

例えば刑法では、他人の「財物」を取るなどといいますが、この「財物」とは、普通に考えると目に見えるものです。

そこで、電気のように目に見えないものを窃盗するようなことが生じた場合に、財物を広い意味で「他人が支配しているもの」と解釈して処罰の対象にするのが、拡張解釈です。

■ 縮小解釈

法の言葉を狭めて使うような方法です。

例えば民法177条は、不動産を手に入れた場合には登記をしないと、契約当事者以外の第三者に「私が不動産の所有者です」と主張できないとされています(条文上は「対抗できない」という記載になっています)。

この「第三者」は、限定して解釈されて運用されています。第三者というと、契約当事者である買主と売主以外の人全員を指すように思えますが、この場合は契約に関係のない人に主張できないとすることの意味はありません。

ですので、ここでの「第三者」とは、「当事者以外の者で登記がないことを主張する正当な利益がある人」と限定して解釈をします。このような解釈が縮小解釈と呼ばれます。

■ 類推解釈

類推解釈とは、直接適用できる条文がないときに、類似する条文の趣旨から適用の判断をするような方法をいいます。

例えば民法94条2項は、ある当事者が示しあわせて不動産を売却したように見せかけた場合、その見せかけた不動産売買を信じた第三者には主張できないとしています。

これは、示しあわせて不動産を売却したように見せかけたというところに落ち度があるためなので、示しあわせがなくても実態とあわない権利関係を信じた人は94条2項を類推解釈して保護されるという判例があります。

なお刑法の分野では、国民に刑罰という重大な不利益を課すので、類推解釈は禁止されています。

■ もちろん解釈

漢字で「勿論解釈」とも表現され、類推解釈の一種とされます。
条文が規定された趣旨を考えれば当たり前なので書いていないだけで、「もちろん適用される」という判断をする方法をいいます。

民法738条は、成年被後見人という地位になった人が結婚をするのに、成年後見人の同意は必要ないとしています。

成年被後見人とは、病気や高齢が理由で判断能力が落ちた人であり、成年被後見人の保護者として代理権や取消権を持つ人が成年後見人です。
しかし婚姻は一身専属権(その人だけに与えられた権利)ですから、成年後見人は代理権や取消権を行使できません。

そのため、同じように判断能力が落ちている被保佐人といわれる人も、保護者である保佐人といわれる人の同意が必要ないのは「もちろん当然のことである」と判断して、被保佐人と呼ばれる人も婚姻に保佐人の同意は不要となります。

類推解釈の一種なので、刑罰法規では利用されないのは同じです。

■ 反対解釈

反対解釈とは、一定の記載事項があって、そこから読み取れる反対の読み方をするものです。

例えば民法96条3項は、詐欺にひっかかって財産を売却してしまった人は、その財産売却を信用して取引関係に入った第三者に権利を主張することはできないとしています。

96条1項・2項では、詐欺・脅迫があった場合の規定をしているのですが、3項で第三者が現れた場合には、脅迫はあえて抜いてあります。

ですので、脅迫を受けて財産を売却した人は第三者に対しても主張できる、と判断するのですが、この方法が反対解釈によるものです。

法の解釈の分類

連載「知っておきたい法の基礎(全5回)」、今回は法の効力と解釈についてお伝えしました。

行政書士試験で出題されるこの基礎法学ですが、法律の各種規定というよりは、学問としてのベースとなるため、行政書士以外の法律系資格の勉強にも役に立つでしょう。

基礎法学は、行政書士試験の勉強を一通り終えた後のほうがわかりやすいのです。ぜひ今回のテーマも、何度も見返しながら把握してみてください。

次回は、刑法という法律についての基本原理についてお伝えします。

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