接客業のあなたは、経済産業省が推進している“キャッシュレス決済”について、どの程度ご存知ですか?
特に近年では、感染予防の観点からも、電子マネーによるキャッシュレス決済を導入する店舗がぞくぞくと増えています。
連載「販売士が教える!小売業界のトレンド」、第2回となる今回は、販売士2級の資格を持つ筆者が、販売員として知っておきたいキャッシュレス決済の現状と対応について解説いたします。
知ろう!経済産業省が推進するキャッシュレス決済の現状
日本では、2025年までにキャッシュレス決済比率を40%程度に上げるのを目標にしていることをご存じですか?
さらに将来的には、キャッシュレス決済比率を世界最高水準である80%まで引き上げることも目指しています。
でも、なぜ政府はそんなにキャッシュレス決済を推進するのでしょうか。
それにはいくつか理由があります。
1つ目は、キャッシュレス決済の導入により消費者の利便性が向上することです。これは、お客様側のメリットといえますね。
続いて2つ目は、店舗側のメリットともいえる、現金管理をしないことによる販売員の負担軽減(コロナの感染予防やレジ閉めなど)、そして、インバウンド消費の拡大です(インバウンドとは訪日外国人のこと)。
最後3つ目は、キャッシュレス決済の利用履歴などのデータの利用・活用です。これは、お客様がどのような商品を購入しているか把握することによって、効率的な販売促進を可能とします。
ここでは、店舗側のメリットである「インバウンド消費拡大」について深堀りしてみましょう。
経済産業省の商務・サービスグループキャッシュレス推進室が2020年1月にまとめたデータによると、日本を訪れる外国人の約70%が「キャッシュレス決済を利用できていたら、さらにお金を使った」と答えています。
実際に、販売士の資格を持つ私が販売員として実務に携わっていたときも、外国人にこのような質問を受けたことがあります。「キャッシュレス決済は使えないのか?」と。
つまり、キャッシュレス決済の環境の整備は、売上増大のチャンスにつながるということです。
我々販売員は、このチャンスを逃すべきではありません。
もしあなたが、キャッシュレス決済の知識がないのであれば、まずは知識を身に付けることから始めましょう。
それが、売上を上げ、競合店との差別化につながるはずです。
よく使われるキャッシュレス決済は?
キャッシュレス決済の全体の現状を把握したら、続いては現場単位でのキャッシュレス決済について知っていきましょう!
現在、キャッシュレス決済にはいくつかの種類があります。
主に使われるキャッシュレス決済は、以下の通りです。
特徴 | 注意点 | 主なサービス | |
---|---|---|---|
クレジットカード | 買い物をした後、指定された口座から引き落とされる。使える店が多く、利便性が高い。 | 後払いなので、使い過ぎには注意が必要。 | 銀行や流通業など幅広い分野の会社が対応。VISAやJCB、楽天など。 |
デビットカード | 買い物したと同時に、口座から即決済される。そのため、残高の管理がしやすい。 | 分割払いやリボ払いに対応していない。後払いに対応していない。 | 主に金融機関が発行。SMBCデビットやりそなデビットカードなど。 |
電子マネー (交通系電子マネーや 非交通系電子マネーなど) |
現金を事前にチャージしてから使用するので、お金を使いすぎる可能性が低い。 | チャージ金額の上限が設定されている場合が多いため、高額の買い物には向かない。 | 流通業や鉄道会社などが発行。楽天Edyやnanaco、Suicaなど。 |
モバイルウォレット (QRコードや バーコード決済など) |
スマホでコードを読み取るなどして、手軽に決済できる。還元率が比較的高いのが特徴的。 | スマホで決済するので、スマホの充電が切れていると使用できない。 | PayPayや楽天ペイ、LINEPayなど。 |
皆さんが使ったことがある、見たことがあるというキャッシュレス決済もあるでしょう。さてここで気になるのが、どの決済手段が主流かという点です。
それは、企業のキャッシュレス決済導入率を見ればわかります。経済産業省が行ったキャッシュレス決済の実態調査アンケートによると、クレジットカード決済とコード決済(モバイルウォレットなど)の導入率が、それぞれ55%となっていました。
このことから、現状キャッシュレス決済の中では、クレジットカードとコード決済が主流だとわかります。
どちらの決済手段もいまだに取り入れていない場合は、手数料や導入費用、客層などを考慮して、どちらかの決済手段を取り入れると、売上拡大が見込めるかもしれません。
販売員がキャッシュレス決済で押さえておくべきポイント
最後は、販売士である筆者が、キャッシュレス決済でしっかり押さえておきたいポイントを、2つお伝えします。接客・販売に携わる販売員だからこそ、しっかり心得ておきましょう。
ポイント① 電子マネーの種類と特徴を知る
近年では、多くの電子マネーが登場しています。交通系電子マネーに加えて、企業が発行する電子マネー(例:PayPayやLINEPay)などです。
そして、前述した電子マネー以外にも、新規参入の企業はますます増えています。
電子マネーといっても様々な種類があるため、我々販売員は、どのような電子マネーが自店のレジで使えるかを把握しなければなりません。
さらに、電子マネーにおいてはどの種類が使えるかだけでなく、“どのように使えるか”も覚えておくことも必要でしょう。
例えば、タッチで支払うのか、バーコードで支払うのか、など電子マネーの特徴を覚えておくだけで、スムーズな会計につながります。
感染予防の観点からも、レジでの会計は早く済ませたいですよね。滞りなく会計を済ませるためにも、販売員であれば電子マネーについての知識を持っていなくてはいけません。
ポイント② 実際に体験する
販売士の私が実務を行ううえでお客様によく聞かれたのが、「どうやって電子マネーを使うのか?」です。
ツールをダウンロードしているんだから、使い方ぐらいわかっているだろう…と思う人もいるかもしれません。
しかし実際には、使い方がよくわかっていないお客様は結構いらっしゃいます。
そのため我々販売員は、電子マネーを知るだけではなく、使いこなせなくてはならないのです。
電子マネーを使いこなすためには、実際に使ってみるのが一番です。
自分が働く店舗に新しく電子マネーが導入された際には、ぜひ自分で使ってみて使用感を確かめてみてください。
できれば、店員同士で上手に説明できるか、休憩時の会話などで確認するなどしてみると、いざお客様がお困りのときにフォローしやすくなるかもしれませんね。
感染症予防の観点やインバウンド消費拡大など、多くのメリットのために推進されるキャッシュレス決済。
接客業従事者としては、様々なキャッシュレス決済に対応するべく、まずは自分自身で体感してみることをおすすめします。
さて次回は、販売士の資格を持つ筆者が、「感染予防をしながらもお客様に気持ちの良い買い物をしてもらうためのポイント」についてご紹介します。
コロナ禍になり、感染予防策としてマスク着用やソーシャルディスタンスが求められる中、今までと同じ接客・販売をしているだけでは、サービスとして足りない場面も出てくるでしょう。
今のサービスをもっと向上させたい、どうすればいい?とお悩みの方は、ぜひご覧ください。
参考URL:
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/cashless/image_pdf_movie/about_cashless.pdf
https://www.meti.go.jp/press/2021/06/20210618002/20210618002-1.pdf
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