この連載「季節バテからくる心身不調の整え方」では、現代社会でなんだかわからない心身の不調を抱える人へ、栄養士の資格を持つ筆者が、季節バテとその改善のヒントをお届けします。
前回は「春バテ」について紹介しました。今回は、「夏バテ」をピックアップ!各季節バテの中でも一番メジャーなのではないでしょうか。
夏は、楽しいアクティビティやレジャーが盛りだくさんの一方で、厳しい暑さが続くため、この時期になると体調がイマイチという方もいるのでは?
まずは「夏バテ」チェックリストであなたの不調が「夏バテ」かどうかチェックしてみましょう!その後、対策についてもしっかり解説していきます。
あなたは「夏バテ」?チェックリストで確認しよう
毎年、夏になるとなんだかだるい、熱っぽい、食欲が湧かないといった不調を感じていませんか。もしかしたらそれ、「夏バテ」が原因かもしれません。
まずは「夏バテ」の代表的な症状を紹介しますので、チェックリストで確認してみましょう。
あなたはいくつ当てはまりましたか?
当てはまる症状が多いほど「夏バテ」にかかっている可能性があります。
前回もご説明した通り「バテ」るとは、自律神経系の乱れが原因となって起きる、心身の不調のことでしたね!
夏は高温多湿の時期に加え、エアコンの使用により外との温度差が大きくなることも自律神経系が乱れる原因となり、上記チェックリスト項目のような様々な不調が現れやすくなります。
自宅で過ごしている方も知らず知らずのうちに「夏バテ」にかかっているかもしれません。また、夏バテの原因はエアコンだけではありません。
では、夏バテを改善・予防するポイントをわかりやすくお伝えします!
夏バテを改善・予防する3つのポイント
夏バテの原因となる自律神経系の乱れを予防する、日常生活における3つのポイントについて説明していきます。
ポイント① 身体を冷やしすぎない
1つめのポイントは、「身体を冷やしすぎない」ことです。
エアコンを適度に使い熱中症予防することは大切ですが、冷やしすぎは自律神経系の乱れにつながります。エアコンは、設定温度を低くし過ぎないようにしましょう。
また夏の時期は冷たい飲み物を飲むことが多くなり、胃腸に負担がかかるだけでなく身体が冷える原因にもなります。
具体的な冷え対策として、以下を試してみてください。
エアコンの温度は外気温との差が5℃以内になるように設定する 汗をかいても乾きやすい素材の衣類を身につける 不必要に冷たい飲み物を摂り過ぎない
私はエアコンの効いた部屋にいるときは、常温の飲み物を飲むようにして冷え対策に取り組んでいましたよ。
ポイント② こまめに水分補給をする
2つめのポイントは、「こまめに水分補給をする」ことです。
暑い夏は汗をかきやすいため、脱水症状を引き起こしやすくなります。
水分補給がされないと体温上昇を自律神経系でコントロールできなくなり、頭痛やだるさなど熱中症の症状を引き起こします。
また汗と共にミネラルも失われるため、水分と塩分補給も重要です。
対策として、以下に取り組んでみてください。
外出のときは飲み物を持ち歩き、いつでも水分補給できるようにする 喉の渇きを感じる前に水分補給する 汗をかいたときは、ミネラルも補給できるスポーツドリンクを適度に飲む
私は、喉が渇いたときにすぐに飲み物が買えるとは限らないので、外出のときは必ず飲み物を持ち歩くようにしていました。
かばんに入っていると、休憩中や移動中などちょっとした合間に飲めるので、こまめな水分補給につながりますよ。
ポイント③ バランスの良い食事を意識する
3つめのポイントは、「バランスの良い食事」です。
「春バテ」予防と同じく、夏バテにもバランスの良い食事が大切です。
夏になると食欲がなくなり、食べる量が減る、食事が偏るなどして、必要な栄養素が不足しがちです。
特にバテに大きく関係している栄養素が“ビタミンB1”です。
私たちがご飯を食べて活動できるのは、このビタミンB1のおかげだということをご存知でしょうか。
ビタミンB1は、糖質をエネルギーに変えるときに必要な栄養素です。もしも不足すると、ご飯を食べてもエネルギーを作り出せなくなり、身体がだるい、疲れが取れないといった症状が現れます。
また夏はビールが美味しい季節ですが、実はアルコールを分解する際にもビタミンB1が使われるため、夏は特に不足しやすいのです。
そんなビタミンB1を摂取するには、豚肉がおすすめ。「夏バテには豚肉!」というイメージがありますが、これは根拠に基づいているんですね!
そこで、栄養士の私が夏におすすめしたい料理が、豚のひき肉を使った「肉味噌炒め」です。
栄養士考案!夏バテ対策メニュー「肉味噌炒め」
「肉味噌炒め」はビタミンB1を多く含む豚肉を使ったメイン料理ですが、もう1つ注目してほしい栄養素があります。それが“アリシン”です。
アリシンは、にんにくやニラ、玉ねぎなどのネギ科野菜に含まれる栄養素で、ビタミンB1と結合することで ビタミンB1の吸収率を高めてくれます。
さらにアリシンには胃液の分泌を促す働きもあるため、夏バテで弱った胃にも優しくおすすめです。
少し難しい話になってしまいましたが、つまり豚肉×ネギ科野菜は、夏バテに最強!と思っていただけたらバッチリです!それでは作り方をご説明します。
メニュー画像:筆者提供
- 豚ひき肉 …… 50g
- 厚揚げ(木綿豆腐でもOK)…… 100g
- 人参 …… 1/4本
- ピーマン …… 1個
- ニラ(お好きなネギ科野菜)…… 2本
- こんにゃく(お好みで)…… 50g
- にんにく、しょうが …… 各小さじ1/3
- 炒め油 …… 小さじ1/2
- 水 …… 100ml
- 調味料
- 味噌(赤味噌がおすすめ)…… 小さじ2
- 酒 …… 大さじ1
- しょうゆ …… 小さじ1/2
- 砂糖 …… 小さじ1
■ 作り方
① 厚揚げ、人参、ピーマン、ニラ、こんにゃくは食べやすい大きさに切っておく。
② フライパンに油、にんにく、しょうがを入れて熱する。
③ 香りがしたら、豚ひき肉を炒める。
④ 軽く炒めたら、人参、ピーマンを入れて加熱する。
⑤ 野菜に火が通ったら、水100mlとこんにゃくを入れて蓋をして少し煮る。
⑥ 調味料をあわせておく(味噌がダマになる場合は、⑤で加えた水分で溶くとよい)。
⑦ ⑥と厚揚げ、ニラを入れて、豆腐に色がつくまで加熱したら完成!
こんにゃくは手でちぎってもOK!包丁で切るよりも表面積が大きくなり、味が染み込みやすくなるといった効果があります。
にんにくやしょうがなどの香辛料は食欲をそそる効果があるため、食欲がないときにもおすすめです。
肉味噌炒めを作るのも難しいという方は、豚肉とネギ科の野菜を炒めるだけでもOK!
スーパーやコンビニで買う場合は、豚しゃぶサラダや豚肉の生姜焼きもおすすめです。
またビタミンB1は豚肉以外にも、うなぎ、たらこ、大豆、玄米など様々な食材に含まれています。夏はこれらの食品も意識して、積極的に摂ってみてくださいね。
「夏バテ」対策するメリットとは?
季節ごとに「バテ」は存在しますが、「夏バテ」という言葉は昔からよく聞くので、なったことがある人も多いかもしれません。
そんな夏バテの対策をすると、より夏のレジャーを楽しめ、仕事もプライベートも充実し、ハツラツと過ごせるようになるでしょう。
私も夏バテに苦しむ1人で、夏の時期は胃腸不調に加え、食欲不振の症状もありました。
食欲がないからといって食べないでいるとますますバテるという悪循環に陥っており、今思えば、まさにビタミンB1不足だったのかもしれません!
しっかりご飯を食べ栄養チャージすると、心身ともに軽やかになり、休日はキャンプを楽しむなどして夏を満喫できるようになりました。
このように私自身、栄養の知識が心身の不調改善に実際に大きく役立ったと痛感しています。
自分に合った正しい食事法を知りたいと思っている方は、これを機に食に関する資格や健康に関する資格取得に挑戦してみてはいかがでしょうか。
きっと健康な日々を送ることに役立つはずですよ。
連載「季節バテからくる心身不調の整え方」、第3回は「夏バテ」について紹介しました。
夏バテ対策は、心身の不調を改善し、より楽しい夏を送ることにつながります。本記事が皆さんの夏バテ予防の助けになれば嬉しく思います。
次回の第4回は「秋バテ」をピックアップ。あまり聞き慣れないかもしれませんが、涼しくなってくるときにこそやってくるのが「秋バテ」です。
秋に不調を感じる…という方は、ぜひ次回もご覧になってくださいね。
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