この連載「季節バテからくる心身不調の整え方」では、現代社会でなんだかわからない心身の不調を抱える人へ、栄養士の資格を持つ筆者が、季節バテとその改善のヒントをお届けします。
前回まで、春バテ、夏バテ、秋バテと順に取り上げてきました。最終回の今回は「冬バテ」をピックアップ!
冬バテは、夏バテに比べるとあまり聞き慣れないと思いますが、1年の中で最も寒さが厳しい冬も、実は不調が現れやすい時期なのです。
日照時間が短い冬はメンタルに悪影響があることも確認されているため、心のケアがより重要になってきます。
まずはいつも通り「冬バテ」チェックリストで、あなたの不調が「冬バテ」かどうかチェックしてみましょう!その後、対策についてもしっかり解説していきます。
あなたは「冬バテ」?チェックリストで確認しよう
毎年寒くなってくると、常に冷えを感じる、気持ちが晴れない、風邪をひきやすいといった症状を感じていませんか。もしかしたらそれは「冬バテ」が原因かもしれません。
まずは「冬バテ」の代表的な症状を紹介しますので、当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
あなたはいくつ当てはまりましたか?
当てはまる症状が多いほど「冬バテ」にかかっている可能性があります。
冬は厳しい寒さに加え、昼夜の寒暖差が大きくなる時期です。
また年末年始特有の気ぜわしさで、精神的に疲れを感じやすいことが自律神経系を乱す原因となり、上記チェック項目のような不調が現れやすくなるのです。
次の章で冬バテを改善・予防するポイントをわかりやすくお伝えするので、しっかり対策をとっていきましょう!
冬バテを改善・予防する3つのポイント
冬バテ改善・予防に効く、自律神経系のバランスを保つ3つのポイントを解説していきます。
ポイント① 冷え対策を行う
1つめのポイントは「冷え対策を行う」ことです。
冬の冷え対策では、防寒が重要になります。
寒さが厳しい冬の環境下では、人間の身体は血管を収縮させて体温を外に逃がさないようにする働きがありますが、その血管収縮を担っているのが交感神経です。
このため冬は常に交感神経が優位になりやすく、自律神経系が乱れやすくなります。
つまり、身体を冷やさないことが、自律神経系のバランスを保つことにつながるのです。
予防方法としては、以下のような対策がおすすめです。
温かいものを積極的に摂る 防寒できる服装にする しっかり湯船につかり身体を温める
私は年中ほぼ毎日湯船につかっていますが、特に冬の時期は、身体の芯が温まるまで長めの入浴にしています。
そうすると湯冷めしにくくなり、寝るときまで身体が温かいので寝つきも良くなりますよ。
ポイント② 規則正しい生活を送る
2つめのポイントは、「規則正しい生活を送る」ことです。
特に寒い冬の休日は、つい布団の中でゴロゴロして気づいたら昼過ぎになっていた…なんてこともあるのではないでしょうか。
しかし不規則な生活は自律神経系を乱す原因になりますので、以下を意識してみてください。
朝起きたら朝日を浴びる 朝食を摂る 休日も起きる時刻を変えない
これらの3つの対策は、体内時計の調節につながります。
体内時計とは、日中に活動状態となり、夜になると眠たくなることを自然に調節してくれる人の機能。
人間の体内時計は25時間で、地球の周期と1時間ズレていますが、このズレを調整してくれるのが朝日や朝食なのです。
休日、昼過ぎまで寝ていたり自宅でゴロゴロしたりしていると、体内時計がズレたままになり、夜眠くならない・眠りが浅いといった弊害が起きやすくなります。
また上記対策がすべて朝に行うものである理由として、「体内時計の調節のためには寝る時間よりも起きる時間のほうが重要」と言われていることが挙げられます。
とはいえ、仕事や家事など様々な理由で、毎日行うことが難しい場合もあると思います。
そんな人は、1週間のうち1~2日から始めていただければ大丈夫です。その分、運動や食事などでカバーしましょう!
ポイント③ バランスの良い食事を意識する
3つめのポイントは、「バランスの良い食事」です。
どの季節バテでも食事は大切とずっとお話していますが、冬もやはり大切になります。
秋に続き寒さが厳しくなる冬は、自律神経系の乱れが原因となって免疫力が低下しやすくなります。
すると体内に入ってきたウィルスを排除できず、風邪をひきやすいなどの体調不良が多くなります。
このような症状を予防するには、ビタミンが必須です。
そしてビタミンの中でも特に摂っていただきたい栄養素が“ビタミンC”です。
ビタミンCは、体内にウィルスや細菌が侵入すると闘う働きをもつ白血球などを活性化させる働きがあり、免疫力アップに効果的な栄養素です。
またビタミンCは、ストレスにさらされると急速に消費されるのですが、冬は寒い気候や年末年始特有の忙しさによりストレスが溜まりやすい時期。
その面から見ても、積極的に摂りたい栄養素なのです。
そこで栄養士の私が冬におすすめしたい料理が、ビタミンCがたっぷり摂れる「ホウレン草を使った簡単グラタン」です!
栄養士考案!冬バテ対策メニュー「ホウレン草のグラタン」
ホウレン草は年中手軽に入手できる食材ですが、11~3月に旬を迎える冬のホウレン草には、他の季節と比べて約1.7~3倍ものビタミンCが含まれているので、ぜひ積極的に食べてほしいです。
また免疫力アップ食材といえば、連載第4回の秋バテ特集で紹介したキノコ類もありましたね。
このホウレンソウ草グラタンに、キノコ類をプラスすることで、さらに免疫力アップが期待できます。
グラタンのホワイトソース作りが難しそうと思っている方も、ご安心ください。このレシピは材料を一気に入れて混ぜるだけなので、簡単にできます。
調理時間はわずか15分であとは焼くだけですので、ぜひ試してみてくださいね!
それでは作り方をご説明します。
メニュー画像:筆者提供
- お肉(ベーコン/ウィンナー/鶏肉など)…… 30g
- ホウレン草(冷凍でOK)…… 30g
- お好きなキノコ類(お好みで)…… 30g
- 油 …… 小さじ1
- 塩、こしょう …… 少々
- 小麦粉 …… 大さじ2
- バター …… 10g
- コンソメ顆粒 …… 小さじ1/2弱
- 牛乳 …… 200ml
- ピザ用チーズ …… 適量
■ 作り方
① 油を入れたフライパンにお肉、キノコ類、ホウレン草の順に入れたら、塩・こしょうして炒める。
② 具材に火が通ったら、小麦粉、バター、コンソメ顆粒、牛乳を入れて弱火にかける。焦げないように混ぜながら温め、とろみがついたら火を止める。
③ グラタン皿に移し、ピザ用チーズをのせてトースター(オーブン)200℃で15分間を目安に、こんがり焦げ目がつくまで加熱したら完成!
栄養的には、旬で栄養豊富な生のホウレン草がおすすめですが、手に入らない、下処理が大変という方は冷凍のホウレン草でも大丈夫です。
冷凍ホウレン草は洗う・湯がく・切るといった面倒な処理が不要で、栄養価が高い旬の時期に収穫・急速冷凍されているため、そこまで栄養面も劣りません。
免疫力を強化させたい冬は、美味しいホウレン草のグラタンで「冬バテ」を予防しましょう!
「冬バテ」対策するメリットとは?
冬バテ対策をすると、寒さに負けない身体になるだけでなく、心も強くなるというメリットがあります。
冬は、厳しい寒さによって免疫力が低下し、身体の不調が顕著に出やすい季節ですが、身体の不調が精神面に与える影響は大きいです。
また、冬の短い日照時間が心に不快な症状を招くことが報告されています。
ですので、冬は特にメンタルに不調が現れやすい時期なのです。
筆者が会社員だった頃、ある冬に人生で初めてインフルエンザに罹りました。
2、3日で熱は下がったものの、解熱後数日は自宅待機が規則だったのでずっと自宅にいたのですが、熱は下がって身体は元気なのに、なんだか暗い気持ちが続いていました。
しかし出社解禁となり、いつも通り朝起きて朝日を浴びご飯を食べていると、調子が良くなってきたのです。そう、おそらく体内時計のリセット効果です。
このときも、まさに心と身体の健康は相互に関係しているのだなと実感しました。
今回の冬バテの記事をご覧になって、冬に起きる心身の不快な症状は冬バテが原因だったと発見できた方は、ぜひ次の冬が来る前に、ご自身に合う冬バテ対策をとってみてください。
寒い冬に負けない心と身体を作っていきましょうね!
連載「季節バテからくる心身不調の整え方」、今回は「冬バテ」について紹介しました。
冬バテ対策をすることは、特に心の健康維持につながります。本記事が、冬にも負けない心と身体作りに役立てば嬉しく思います。
さて5回にわたって各季節の「バテ」についてご紹介してきましたが、ついに今回でラストとなりました。
季節バテに苦しんでいた方には、ご自身の傾向や原因、対策を知っていただく機会になったのではないかと思います。
またそうでない方も、ご紹介した対策法を積極的に取り入れていただければ、より一層季節バテに強い心身を作れると思いますので、ぜひ参考にしていただけたら嬉しいです。
筆者は、栄養士専門学校で正しい食生活や生活習慣について学んだ経験は、一生の財産だと感じています。
連載記事の中でお話したとおり、食生活や生活習慣の改善により、今では心身ともに軽やかな日々を送れるようになりました。
かつての私と同じような心身の不調でお悩みの方、もっと深く食事や健康、運動に関して知りたいと思った方は、これを機に関連する資格取得や学びに挑戦してみてはいかがでしょうか。
日々の体調が良くなるだけで、とても快適な日常が過ごせますよ!
本記事が皆様の健康作りに少しでもお力になれたら幸いです。
ここまでご覧くださり、ありがとうございました。
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