コロナ禍で仕事や生活の環境が変わり、今までさほど気にならなかった体の不調に、悩むようになっていませんか?
コロナ禍で起きる様々な不調の対策を解説する連載「登録販売者が教えるセルフメディケーション」、最終回の今回は、そんな問題の1つ「冷え・むくみ」を取り上げます。
女性に多い相談ごとのイメージがありますが、男性にも起こりますし、一年中悩まされている人もいます。
なぜ夏でも冷えが起こるのか、むくみとは何なのか?
登録販売者の筆者と、最後までしっかりセルフメディケーションしていきましょう!
「セルフメディケーション」とは、自分で健康管理をし、軽度の不調は自分自身で対応することをいいます。
「登録販売者」とは、第1類以外の医薬品を扱える、薬のアドバイザーです。生活習慣改善のアドバイスも行います。
「冷え」はなぜ起こる?
冷えといえば冬を連想する人も多いと思いますが、今では夏でも普通に起こる症状です。その原因は、移動に使う電車や公共施設、そして会社などでの冷房があげられます。
自宅でならまだしも、外となると、自分に合った冷房の温度調整をするのは難しいでしょう。
ある程度の温度差までは、体にある自律神経の働きで体温を保つことができますが、一定以上の寒暖差を超えると自分で温度調節できなくなり、冷えを感じてしまうのです。
すでに冷えで悩まされている方は、コロナ禍で自宅での仕事に移行し、冷房を自分で調節したとしても、すぐに症状の改善とはいかないでしょう。
そして、冷えが厄介なのは、寒いと感じるだけではなく、それによって引き起こされる体の不調が多いことです。
冷えを感じるとその周りの筋肉も固くなり、肩こりや腰痛を起こしやすくなります。冷えによるストレスを感じることにより、頭痛、肌荒れ、便秘などが起こる可能性もあるでしょう。
ただ冷えるだけと侮れない、冷え。この症状にはどういう改善法があるのでしょうか。
「むくみ」はなぜ起こる?
「朝起きてなんだか顔がむくんでる」「足がむくんでつらい…」なんて話を聞いたことはありませんか。実は、登録販売者である筆者も経験があります。
また、よく相談で聞くのが、長時間歩いた後だとか、夕方になるとむくみやすいという話です。
むくみの原因は「水分の偏り」で、体の血流やリンパ液の体内の循環がうまくいっていないことから起こります。心臓から送り出された血液が体を回ってまた心臓に戻る、この流れには筋肉の収縮が関わるのですが、それがうまくいかず一部の血液などの滞りが起き、むくみが生じるといわれています。
とくに足は、血液が心臓に戻る際、重力に逆らうように流れるので、むくみが起きやすい箇所なんです。靴下を履いていた跡がなかなか消えない…なんてことありませんか?
立ち仕事もそうですが、コロナ禍のリモートワークのようにデスクワークでずっと同じ姿勢でいることも、筋肉の収縮作用に影響を与えて、むくみやすさに繋がっているようです。
他にも、塩分の過剰摂取による水分の代謝の弊害や、運動不足による筋力低下が原因なこともあります。また、女性の場合は男性より筋肉量が少ないこともあり、足がむくみやすいといわれているようです。
ただ、これらむくみの症状は、ほとんど一過性のものです(もし数日に渡ってむくんだ状態が続く慢性のような症状ならば、別の疾患が疑われるので医師の診断が必要です)。
しかし、足がむくむとだるさを感じたり、ひどいと痛みを感じたりすることも。放置せずに、しっかりセルフメディケーションをしていきましょう!次の項で説明していきます。
冷えとむくみをセルフメディケーション!
女性に多い冷えとむくみの悩み。登録販売者によるセルフメディケーションとしては、まず医薬品でのアプローチとして、漢方薬をおすすめします。
「最近、家で仕事をするようになって冷えがひどいんです。」こういった相談は最近多いです。このような方にはまず、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)をおすすめします。 冷え、のぼせ、肩こり、腰痛、むくみ、しみ、耳鳴りなどの症状に向いています。
「生理不順の薬ではないのか」と質問される方もいらっしゃいますが、生理不順ではなく生理不順などで起こる症状に対して効果を発揮する薬ですので、生理不順だけが対象ではありません。
医薬品に頼らないセルフメディケーションのやり方としては、朝起きて白湯を飲む(ショウガ湯もおすすめ)、両手を体の前でプロペラのように回すストレッチもいいでしょう。体を内側から温めていく意識が大事です。
また、むくみに対しては上でご紹介した当帰芍薬散のほかに、マッサージをする、塩分のとり過ぎに注意する、バナナやりんごなどのカリウムの入った食べ物を摂るなどがあります。
冷えやむくみに対しては、薬もいいですが、薬以外のセルフメディケーションを行うことで、効率よく改善できるでしょう。
暑さが年々厳しくなり冷房が必須となった現代では、冷えの症状が常態化して悩んでいる方が増えてきました。
また、リモートワークのような同じ姿勢を長時間続けるせいで起きやすくなる、むくみに悩む方も増えています。
女性に多いこの不調に、登録販売者の筆者は今回、漢方薬や症状を緩和するためのやり方などセルフメディケーションしてみました。自分に合ったやり方を見つけられたら、ぜひ実践してみてください。
さて、連載は今回で最後となります。
今までの記事、皆さんのお役に立てていただけたでしょうか。
もし一助になったのなら幸いです。
WHO(世界保健機関)が規定しているセルフメディケーションの定義は、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」。
セルフメディケーションの主役は皆さんであり、登録販売者はそのサポート役にすぎません。
これからも様々な不調が現れるかもしれませんが、そんな時はぜひ、ドラッグストアやスーパーのお薬コーナーを訪ねてください。私たち登録販売者は、その回復に向けて全力で応援していきます。
そして、これまでの連載で少しご覧いただけたと思いますが、登録販売者は陰ながら皆さんの健康をサポートする役割がある、非常にやりがいのある仕事です。
もし、これを機にこの職業や資格に興味が出たら、ぜひ一度調べてみてくださいね。仲間が増えるのは大歓迎です!
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