コロナ禍になりしばらく経ちました。おそらく当初は、1年くらいで収束するだろうと思っていた方が多かったと思います。登録販売者の筆者もそう考えていました。
しかし予想は外れ、いまだ新型コロナウイルスの脅威は続いています。
その結果リモートワークなども増えて環境が変わり、自分の未来を不安に思うゆえに、様々な体の不調を感じる方も増えているのではないでしょうか。
コロナ禍で起きる様々な不調の対策を解説する連載「登録販売者が教えるセルフメディケーション」、連載5回目の今回は、そんな不安からも起こりうる「不眠」や「うつ」についてセルフメディケーションしていきます。
自分には関係ないと思っている方も、いつなるともわからない病気です。今のうちに知識をしっかり取り入れておきましょう!
「セルフメディケーション」とは、自分で健康管理をし、軽度の不調は自分自身で対応することをいいます。
「登録販売者」とは、第1類以外の医薬品を扱える、薬のアドバイザーです。生活習慣改善のアドバイスも行います。
不眠・うつとは?
まず、「不眠」・「うつ」とは、どういった症状なのか、みていきましょう。
不眠とは?
眠れないという悩みは昔からありました。明日は遠足だからとか、会社でスピーチをしなければならなくて緊張して眠れないなど、イベントによるものですね。
ですが、そういった悩みで眠れないのは、イベントが終われば数日くらいで解消していたと思います。
「不眠」とは、長期にわたって夜の睡眠がとれないことで、日中の活動に不調が現れ、生活の質が下がるものになります。起きている間は体がだるい、頭が重い、物事に集中できない、食欲がないなど影響は多岐に渡ります。
原因は様々ですが、ストレスや環境の変化なども挙げられていますので、コロナ禍で環境が変化したことによって不眠になる人もいるようです。
うつとは?
憂鬱な気分が続いて、物事に興味がなく、何に対してもおっくうになる、それが2週間以上続くと、「うつ」と診断されるようです。
うつの原因は、何らかの要因によって脳内から出る脳内物質が減少するためだということがわかっています。喜怒哀楽や集中力などもこれらの原因のせいで出なくなってしまい、何をしても楽しめなく、疲労感だけ増してしまうのです。
このうつ病に関しては、なってしまうと登録販売者の出る幕はなく、セルフメディケーションのしようもありません。医師による診療しかないのです。
不眠とうつの関係性
不眠がうつの原因にもなり、うつの症状に不眠があるという関係性です。また、ある研究では、不眠がある方は不眠のない方に比べて、3年以内にうつを発症する可能性が4倍になるというものがありました。
このことからも、不眠を防ぐことが、うつを防ぐことにつながるとみていいのではないでしょうか。
うつは、一度なってしまうと、治すのに時間がかかる病気です。まずは、ならないためのセルフメディケーションとして、不眠にならない、不眠を改善をテーマに進めていきたいと思います。
まず医薬品以外でセルフメディケーションしてみよう
ではここからは、不眠にフォーカスしてセルフメディケーションしていきましょう。
まずは、医薬品に頼らないやりかたを紹介します。紹介する中のいくつかの方法を組み合わせていくのがいいかと思われます。
不眠対策① ストレッチ
まずはストレッチです。汗をかくというよりは、体を疲れさせ、そして温めることに狙いがあります。体温が低いと眠りに入りにくいということからも、一度体を温めるのは有効です。
円を描くように両腕や腰、足を動かしたりして10分程やってみてください。お風呂で意識して肩までつかるのもよいでしょう。
不眠対策② 環境音
ヒーリング効果があるという「環境音」(波の音や水中の音、風や焚火の音など)を、布団の中で、ヘッドホンで聞いてみるのもいいでしょう。睡眠を阻害する興奮した気持ちを抑える効果が期待できます。
このような環境音はYouTubeにもありますし、CDとして発売もされているので、探してみてください。
不眠対策③ 日光に体を当てる
うつや不眠の改善に、日光に当たるというものがあります。しっかり太陽の光に当たることで、セロトニンという脳内物質が出て脳を活発にしてくれ、その代わりに夜はメラトニンという脳内物質が出ることで、睡眠に導いてくれるのです。
避けるべき不眠対策
ここで、不眠対策として避けるべきことについても触れておきます。
まずお酒に頼るのはおすすめしません。毎回頼ることになりますし、肝臓に悪影響が出ます。むしろ温かいミルクや紅茶などがいいでしょう(コーヒーはカフェインが入っているのでおすすめしません)。
昼寝も、夜の睡眠時間を奪ってしまう要因となりますので避けましょう。
自分用の眠る方法の確立は、気持ちの安定にもつながります。
「ああ、自分はこれで、不眠で悩むことはないんだ」という気持ちがリラックス感を生み、より眠りやすくなるのです。自分に合う方法が早く見つかるといいですね 。
医薬品でセルフメディケーションしてみよう
では次に、医薬品での不眠対策についてお話していきます。
筆者が登録販売者として店頭にいる際、最近こういったご相談がありました。
「コロナで会社のほうがいろいろあってどうも眠れなくて、睡眠薬が欲しいんですがどれがよく効きますか?」
このようなお客様に、まず先にお断りしておくことがあります。
それは、スーパーやドラッグストアで扱う睡眠薬は、どれも効き目はそう強くないということです。
皆さんは、風邪薬を飲んで眠くなった経験はありませんか?
あれは風邪薬を飲むことによって起こる副作用なのですが、睡眠薬はそれを逆に利用した睡眠改善薬というものなのです。故に、飲む人によっても効果は変わってきます。
ですので、病院で処方してもらえる薬の方が効果はあるでしょう。しかし、お店に来られるお客様はなかなかその時間を都合できないことが多く、お店で購入される方が増えているのが現状です。
有名なものでいうと、「ドリエル」や「スリーピン」などはあちこちのドラッグストアに置いてあるのではないでしょうか。どれもジフェンヒドラミン塩酸塩が主成分で、風邪薬の鼻水やくしゃみを抑える成分と同じものが入っています。
ただ効果が弱いといえど、一度に多く飲んだりすると、薬に依存してしまう方が出てきてくる可能性があります。そうなると、不眠以外の不調も発生しかねません。ただちに医師の診断が必要となりますので、くれぐれも用法容量を守ってご利用ください。
登録販売者である筆者は、お薬をお求めのお客様にも、必ずお薬以外のセルフメディケーションもご案内しています。薬に頼らない方法と合わせてしっかり改善していってほしいからです。
皆さんも、登録販売者や薬剤師に相談し、薬をうまく使いながら自分のペースで不眠を改善していってください。
コロナ禍になって未来を不安視したり、リモートワークになって生活環境が変わったりしたことから、不眠やうつになってしまう方が増えてきています。今回は、その原因や対応策についてセルフメディケーションする方法をご紹介しました。
十分な睡眠を取らなければ精神は安定しない、でも精神が安定しなければ眠れない。
ジレンマではありますが、今回の記事がお役に立てればと願います。
さて次回は「胃腸の不調(下痢・便秘)」ついて。
コロナ禍においての自宅での食生活が、胃腸へとどのような影響を及ぼすのでしょうか。
今回の記事と同様にストレスも関わってきますし、食事の内容によって変わる免疫にも触れていきます、お楽しみに。
参考URL:
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-001.html
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